57 減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク
日本国内の環境系15団体で構成された連携組織。環境省の「プラスチック資源循環戦略」に対 し、①海洋プラスチック憲章の内容を越えた取り組み、②使い捨てプラスチックの大幅な削減、
③資源有効利用率に熱回収分を加算しない、等を明記するよう提言書を提出した。
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C) プラスチックの分別排出を向上させるためのリサイクルの促進 D) 自然へ放出されてしまったプラスチックごみの海洋への経路の解明 E) 海洋へ流出したプラスチックごみの回収
F) マイクロプラスチックの発生抑制と流出防止
G) 海洋におけるプラスチックごみの挙動の解明とモニタリング
これらの課題に対して、JICAの協力案件が関わりを持っているのか、課題解決への貢献策を提 示しているのか、といった視点から38件をレビューした。
(3)レビューの結果
上記 A~G に関する活動を協力案件の中で実施を支援したか、あるいは計画の策定を支援した かについて、38案件の内容をまとめると、下表のとおりである(詳細は表 2-23、表 2-24)。
表 2-22 廃棄物管理分野のJICA協力38案件の内容
関連課題 課題の内容 技術協力 無償資金
実施支援 計画策定支援 協力 A. 発生やフロ
ー実態把握
ごみ量の把握、組成分析 18 (11) 0 (0) 0 (0) リサイクル市場の把握 11 (4) 0 (0) 0 (0) B. 自然への放
出防止
廃棄物収集能力の向上 16 (0) 8 (0) 9 (0) 分別回収の促進 14 (9) 12 (0) 0 (0) 中間処理の改善・導入 6 (2) 8 (0) 1 (1) 最終処分の改善 9 (0) 12 (0) 6 (0) C. リサイクル
促進
リサイクル産業の振興 4 (0) 4 (0) 0 (0) リサイクル技術の支援 1 (1) 0 (0) 0 (0) エネルギー回収の支援 0 (0) 0 (0) 0 (0) D. 陸域発生ごみの海洋への経路解明1) 0 (0) 0 (0) 0 (0) E. 海洋プラスチックごみの回収2) 0 (0) 0 (0) 0 (0) F. マイクロプラスチック発生抑制、流出防止 0 (0) 0 (0) 0 (0) G. マイクロプラスチック挙動モニタリング 0 (0) 0 (0) 0 (0)
注: 括弧内はプラスチックごみを対象とした活動があることを示す。情報はインターネットに公開されているもののうち出来 る限りプロジェクトの完了報告書や最終報告書を参照したが、JICA「見える化サイト」や事前評価表などを利用したものもある。
1) 上記38件には含まれていないが、2019 年度案件として採択されたSATREPS「東南アジア海域における海 洋プラスチック 汚染研究の拠点形成」(タイ国)プロジェクトでは、プラスチックごみの発生と経路の研究も行う。
2) 上記38件には含まれていないが、有償資金協力で実施されたジャカルタ漁港リハビリ事業では海洋プラスチックを回収する 機能も有する港湾内の水の浄化施設が整備されている。
この表より、以下を導くことができる。
廃棄物の発生実態の把握やフローの解明を協力案件の中で実施している事例が多い。ごみ 量・ごみ質調査による発生実態の把握は「定番」とも言え、ごみ質調査ではプラスチック ごみを「PETボトルとそれ以外」「硬質と軟質」など2つ以上に区別して行う事例も見ら れる。プラスチックごみに関する法的規制も増える中、プラスチックごみの発生実態の把 握はより重要であり、JICA案件でのノウハウが活かせると考えられる。
収集改善あるいは資源回収により、自然へのごみの放出防止を協力案件の中で実施する事 例も多数あり、無償資金協力において収集・運搬用車両あるいは車両メンテナンス用機材 が供与され収集能力が拡大されている。技術協力で収集改善を行う場合は住民による排出 行動の改善が重要であり、適切な排出行動を促す際に資源の分別を併せて促す場合が多く、
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プラスチックごみ、特にPETボトルは多くの場合、資源分別の対象品目となっている。開 発途上国におけるプラスチックごみの自然への放出防止には、廃棄物収集と管理は最も重 要な対策の一つ (UNEP 2016)であることから、今後の協力案件においても重要な活動であ ると考えられる。
Jambeck, et al. 2015では、発生したプラスチックごみのうち管理が不適切で自然へ放出され る割合を、最終処分の状況から推定していた。これは裏返せば、最終処分の改善はプラス チックごみの自然への放出を防止することに貢献する。最終処分場の整備のための無償資 金協力は多くはないが、海洋プラスチック予防にはごみを飛散させない適切な運営管理が 重要であり、最終処分改善のための技術協力が多数実施されていることには意義がある。
また、多くの開発途上国が熱帯地域にあり蒸発散量が多いことや、処理コストが安価であ ることから、最終処分場の浸出水処理を行う場合には循環処理法が採られている。浸出水 には投棄後に細片化したマイクロプラスチックを含むとの調査結果がある (van Praagh, Hartman and Brandmyr 2018)ことから、循環処理はマイクロプラスチックの放出防止の点か らも適切な方法であると考えられる。
資源の分別回収は多くの案件で実施するものの、活動は回収した資源ごみを業者へ売却す るところまでであり、リサイクル産業の振興や技術支援はあまり行われていない。これは、
JICA協力案件が主として地方自治体の廃棄物管理部署をカウンターパートとしており、当 該カウンターパートにそのような業務機能がないことが主たる理由と考えられる。なお、
リサイクル技術分野の JICA 支援は民間連携を通じて実施されており、これに関しては本 調査第二次国内調査以降において協力に活用可能な本邦技術を調査する際に取り上げる。
海洋への経路解明、海洋プラスチックごみの回収、マイクロプラスチックの発生抑制・流 出防止・挙動モニタリングに関する活動を取り入れた案件はこれまでなく、今後の新しい 協力分野として注目する必要がある。なお、ここでは廃棄物管理分野の協力案件をレビュ ーしたが、マイクロプラスチックは下水処理施設で除去される場合があり (Sun, et al. 2019)、
マイクロプラスチック除去は下水道分野の協力で貢献があるものと考えられる。
表 2-23 JICA実績レビュー結果(無償資金協力)
国 件名 ⾦額
(億円)
贈与契約
(⽉/年)
収集・運 搬(⾞両 整備含
む)
最終処分 資源回収
ヨルダン 北部シリア難⺠受⼊地域廃棄物処理機材整備計
画 16.31 05/2018 〇 〇
パラオ 廃棄物処分場建設計画 13.11 05/2018 〇
パレスチナ 廃棄物管理に関する収集及び運搬の改善計画 17.85 02/2019 〇
バングラデシュ 廃棄物管理機材整備計画 14.86 05/2015 〇
スーダン ハルツーム州廃棄物管理能⼒向上計画 15.34 02/2014 〇 〇 ラオス 環境的に持続可能な都市における廃棄物管理改
善計画 13.84 03/2014 〇 〇
パレスチナ ⻄岸地域廃棄物管理改善計画 8 12/2012 〇 〇 〇
ジブチ 廃棄物処理機材整備計画 13.46 12/2012 〇 〇
コソボ 廃棄物管理向上計画 5.43 03/2011 〇
シリア 第⼆次地⽅都市廃棄物処理機材整備計画 9.85 03/2010 〇
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表 2-24 JICA実績レビュー結果(技術協力)
凡例 〇ごみを対象に実施を支援、●プラスチックを対象(の一つ)として実施を支援
□
ごみを対象に計画作りを支援、●プラスチックを対象(の一つ)として実施を支援 ―実施していない(4)海洋プラスチックごみ問題への対応に貢献していると考えられる案件事例
38件のうち、調査対象地域が沿岸部に位置し、海洋プラスチック問題への対応に貢献している と考えられる案件数例を、以下に取り上げる。
キューバ国ハバナ市廃棄物管理能力向上プロジェクト(2009年9月~2014年9月)
ハバナ市の廃棄物収集は、コンテナ収集方式をとっており、収集サービスの必要な住民はだれ でもサービスを利用できる状況にはなっているが、配車が滞りコンテナからのごみ回収が遅れる と、ごみがあふれてしまうとの問題があった。さらにその原因としては、外国機関からの支援に より供与された多種多様な車両が使われており、スペアパーツが共有できない、あるいはパーツ 自身が不足しているなどの理由から、車両の稼働率が低いことにあった。このため、このプロジ ェクトでは成果の一つとして「ハバナ市公共サービス局衛生部のごみ収集・運搬能力が強化され る。」を掲げ、必要機材の供与や研修の実施などにより車両の維持管理体制の強化が行われた。
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このことは、プロジェクト目標の指標の以下から、確認できる。
メカニックによる主な修理・メ ンテナンス作業に要する時間が約10%減少。
車輌の燃費が2008-09年の0.80m3/Lから0.90m3/Lへ増加。
海洋プラスチック問題への貢献の可能性:プロジェクト実施前においては、コンテナ周辺にごみ があふれ、プラスチックごみが側溝などに放出されうる状況であったものが、車両の維持管理能 力の向上により定期的なコンテナごみの回収が可能となり、プラスチックごみの放出も減少した ものと考えられる。
インドネシア国 3R 及び廃棄物適正管理のためのキャパシティーディベロップメント支援 プロジェクト(2013年10月~2016年10月)
本プロジェクトはタイトルにもある通り 3R 活動をメインテーマとしており、パイロット都市 であるパレンバン市およびバリクパパン市において発生源分別・分別回収・有価物売却を行うパ イロットプロジェクトが行われた。パレンバン市のパイロットプロジェクトは、分別排出者への ごみ収集料金の割引、同国環境林業省が推奨しているごみ銀行の設立、プラスチックごみの可搬 性と付加価値を高めるための破砕処理の導入などを含むものであった。またバリクパパン市では、
日本の街に見られるごみステーション方式導入による分別排出の適正化、資源選別工場の立ち上 げと有価物回収などが行われた。インドネシアでは、コンテナやコの字型のコンクリート壁で囲 まれた「一次集積所」に住民は廃棄物を排出し、一次集積所から最終処分場までは行政が廃棄物 を運搬する、という収集・運搬体制が一般的である。この体制は、効率的ではあるものの、一次 集積所はいつでもだれでも気軽にごみを捨てられる状況にあり、モラルの要求される分別排出と は共存し難い。そのような中、上記パイロットプロジェクトは発生源分別の意識付けを図り3R活 動のモデルを提示しており、循環経済を目指す一歩を成すものと考えられる。
海洋プラスチック問題への貢献の可能性:発生源分別を意識した排出行動を促すことにより、ル ールに則ったごみの排出意識が高まり、プラスチックごみの自然放出を抑制される。また、市民 が循環経済作りに参画することにより、資源回収費用の低減が図られ、プラスチックの資源循環 が促進される。
バングラデシュ国廃棄物管理機材整備計画(14.86 億円、2015年度 G/A)および同国南北 ダッカ市及びチッタゴン市廃棄物管理能力強化プロジェクト(2017年5月~2021年4月)
バングラデシュ国チッタゴン市は、人口人口同国最大の港を有する国内有数の沿岸都市である。
2015年度の無償資金協力では、南ダッカ市、北ダッカ市、チッタゴン市に計150台の廃棄物収集 車両が供与され、うち、チッタゴン市には38台が供与された。準備調査報告書によると、この車 両供与により、ごみ収集率は2014年の75%が2019年に98%に増加する計画であり、この実現の ため、2017年からは技術協力プロジェクトが実施されている。
海洋プラスチック問題への貢献の可能性:2019年の1日当たりの廃棄物収集能力が、2014年に比 べて662トン増強される予定であり、1日当たりおよそ60トンのプラスチックごみが自然放出を 免れることになる。