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2.2 海洋プラスチックごみ問題への対策状況

2.2.7 ドナーによる取り組み

国際的に海洋ごみ、特にプラスチックごみ対策へのコミットメントが強まる中で、主要なドナ ー、国際的な団体も、プラスチックごみの発生から流出後の海上での回収に至るまで、さまざま な活動を行っている。ここでは団体ごとにその主要な取り組みについて示す。

(1)UNEP

UNEP は海洋プラスチックごみ対策についてイニシアチブをとる役割にあるが、同時にドナーと してUNEPが個別に支援しているプロジェクトについて記載する。

Promotion of countermeasures against marine plastic litter in Southeast Asia and India 我が国とUNEPによる東南アジア(メコン川流域)やインド(ガンジス川流域及びムンバイ)

における海洋ごみ排出対策支援のプロジェクトである。我が国が1億2,300万円(約1,100,000USD)

の拠出を行う。カンボジア、タイ、ベトナム、ラオス、インドの政府機関及び専門家と協力し、プ ラスチックごみの排出源・経路の特定やモニタリング手法のモデル構築を行う。調査には衛星画 像分析やドローンも取り入れられ、2020年には調査結果を元にアジア初の長期モニタリング手法 モデルを発信予定である。

SEA Circular22

2019年2月に開始しており、スウェーデン政府が出資、UNEP、COBSEAが実施機関となり、

東南アジア地域各国でのプラスチックの製造から廃棄後のリサイクルまでのバリューチェーンを 見直して、海洋へのプラスチック流出を防止することを目的とした 4.5 年間、630 万ドルのプロ ジェクトである。対象国は東南アジアであるが、ベトナム、フィリピン、タイ、マレーシアを中 心に、その中でもとりわけタイとマレーシアに焦点をあてている。

22 2019年8月6日のUNEP バンコック事務所における聞き取り調査結果。

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プロジェクトは主に以下の4つのコンポーネントからなる。

 企業とのタイアップによる、不必要なプラスチックの削減及び必要なプラスチックの材料リ サイクル推進

 海洋海岸管理関係者を巻き込んだ、海ごみの発生抑制及びモニタリング

 Clean Sea Campaignの各国版の実施

 関連する海洋プラ対策プロジェクト関係者のネットワーク構築(2019年11月11日―14日に タイ・バンコクで、SEA of Solutionというイベントが開催された。2020年はベトナムで開催 の予定)

(2)UNDP

Project to support for setting up secretariat function on marine plastic debris in Indonesia23 インドネシア国において、海洋プラスチックごみ対策を担う、「海洋ごみ対策国家調整チーム」

の事務局機能立上げを、ノルウェーの資金180万ドルを活用し、環境林業省(MOEF)に対し支援 を行っている。具体的には国家調整チームの組織構造や運営方針面でのアドバイス業務であり、

人員面でも 3名を環境林業省に派遣している。また今後のレポーティングシステムの構築支援も 含まれている。今後は海洋ごみ行動計画のそれぞれの活動についての積算を行い、実施にむけた 支援が始まる予定となっている。

Supporting for formulating National Action Plan for Marine Plastic Debris in Vietnam24

ベトナム国において、海洋プラスチックごみ国家行動計画の策定支援を、UNDP は外部コンサ ルタント3名を雇用しVASIに対して行っている。同計画は、2019年12月、首相決定No. 1746と して発表された。25

(3)世界銀行

持続可能な開発ボンド(Sustainable Development Bond)

2018年8月に世界水週間 2018のイベントの中で世界銀行グループが水と海洋資源に関する新 たなイニシアチブを発表し、これに伴いSDGsのゴール6とゴール14に焦点を当てた取り組みを 開始した。これまで持続可能な開発ボンドは SDGs の達成を目的に女性と子供に対するプロジェ クトに対して等発行されてきたが、水や海洋資源を主たる対象としたボンドの発行は今回が初め てである。年限は7年で国際復興開発銀行(IBRD)が10億スウェーデンクローナ(約122億円)

のボンドを発行し、機関投資家と個人投資家に販売して資金調達を行う。

PROBLUE

世銀がBlue Economyプログラムの一環として実施する、海洋環境汚染防止、漁業管理、沿岸部

23 2019年7月18日のUNDPインドネシア事務所での聞き取り調査結果。

24 2019年8月1日のUNDPベトナム事務所での聞き取り調査結果。

25 https://www.vn.undp.org/content/vietnam/en/home/library/environment_climate/national-action-plan-for-management-of-marine-plastic-litter-by-.html

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の持続可能な経済成長に向けた新たなマルチドナー信託ファンド(MDTF)である26。「漁業・養殖 管理」「プラスチックを含む海洋汚染脅威への対応」「観光業、海運業、洋上再生可能エネルギー 等の持続可能な発展」「政府のキャパシティ・ビルディング」の4つのテーマに対して投資する。

本PROBLUEに対して7,500万USDのコミットメントが示されている。内訳としてノルウェー政 府から1,500万USD出資済み、そのほか、カナダ政府が5,000万USD出資を発表し、その他ドイ ツ、スウェーデン、アイスランド、欧州委員会も出資を予定している。

Improvement of Solid Waste Management to Support Regional and Metropolitan Cities27 対象地はインドネシアの西ジャワ州Citarum River流域の廃棄物管理改善プログラムで、2020年 開始5年のローンプログラムの予定となっている。Citarum River流域には、毎年雨季には洪水が 発生し、プラスチックごみの流出も多いと想定されている。この流域で廃棄物管理を改善するこ とにより、海洋へのプラごみの流出を削減することを目的としている。ベースラインとして、海 洋への流出量を定量的に計ることは困難なので、陸上でのごみ収集量の増加量や、最終処分場へ の搬入量をもって、その成果指標とする予定である。

Rethinking Plastics Support for ASEAN Region28

1~2年間のTechnical Assistantプロジェクトで、2019年8月現在承認待ちの状態(2019年末に は結果がでるとのこと)。フィリピンとタイが対象国となっており、WB シンガポールオフィス が主管となっている。海洋プラの知見の深化、国家行動計画の策定支援を目的としている。

(4)GEF

Addressing Marine Plastics - A Systemic Approach29

GEF が支援、UNEPが実施機関を務め、エレンマッカーサー財団と Ocean Conservancy、GRID Arendalが支援するプロジェクトである。プロジェクト期間は2017年から2019年の2年間で、総 額1,300万ドルで、次の4つのコンポーネントが実施された。

i) プラスチックを一から再設計するための国際的なアライアンスプラットフォームの構築

:New Plastics Economyが実施 ii) アジア太平洋地域での廃棄物管理対策の開発、及び高度な知識ベースの提供

:Ocean Conservancyが実施 iii) 優先的に介入するポイントの特定、及び統合的な戦略ガイダンスの提供

:UNEPが実施 iv) 効率的な各コンポーネント成果の取りまとめと共有のファシリテーション

:GRID Arendalが実施

26 https://www.worldbank.org/en/programs/problue/overview

27 2019年7月15日のWBインドネシア事務所での聞き取り調査結果。

28 2019年7月22日のWBフィリピン事務所での聞き取り調査結果。

29 https://www.thegef.org/project/addressing-marine-plastics-systemic-approach 2019年6月7日アクセス。

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プロジェクトは世界行動計画(GPA)及びUNEPの地域海行動計画を活用する。プロジェクト は世界全体での、プラスチックのバリューチェーンからのプラスチックの環境への流出を、2015 年を参考年としてマッピングして報告書に取りまとめる。マッピングはプラスチックの生産から 加工、プラスチックもしくはプラスチック容器の使用と、製品の廃棄までをカバーする。

(5)ADB

海洋ファイナンスイニシアチブ(Ocean Financing initiative)

ADBはその2030年に向けた運営戦略(Strategy 2030: Operational Plans)の一環として、アジア 太平洋地域の海洋プラスチックごみ対策等に、協調融資を含め50億ドルを投じる「健全な海と持 続可能なブルー経済に向けた行動計画」30を2019年5月に発表した。これを推進するため、この 海洋ファイナンスイニシアチブ31が立ち上げられた。ADB 及び他ドナーからの技術支援、資金支 援に加えて、収益補償や信用補完ボンドを活用して、プロジェクトの技術的・財務的リスクを軽 減してプロジェクトを「融資可能」なものとすることにより、プロジェクトへの資金の導入を促 そうというものである。

どのような案件にどのような資金ソースを充て、如何に案件をBankableにして民間資金を呼び 込むか、どのような新しい資金メカニズムが適用できるかなど、支援スキームの設計をしている 段階である32

Promoting Action on Plastics Pollution from Source to Sea in Asia and the Pacific33

100万ドルのTechnical Assistantプロジェクトであり、対象国は、インドネシア、フィリピン、

ミャンマー、タイ、ベトナムの予定。インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムにおいては、そ れぞれ 1都市を選んで行動計画の策定支援を計画中。対象都市は沿岸あるいは主要河川沿いとい うことで、インドネシアではチレボン、フィリピンはメトロマニラ、ベトナムはハロン湾を選定 予定であるが、タイは未定となっている。プラスチックごみだけでなく、循環経済や気候変動の 視点も入れて、制度面、インフラ面などを盛り込み、PPP も含めて如何に資金手当てをするかも 検討する予定である34

Capacity Building on River and Ocean Eco-Environmental Management annd Plasic Pollution Control

中国に対する予算6百万ドルのTechcnical Assistantプロジェクト。プラスチックごみ汚染対策 のためのロードマップ策定の支援を行う。また農業用プラスチックフィルムに関するライフサイ クルアセスメントを含めたケーススタディ、および食料飲料包装ごみに関するケーススタディを 実施予定。Ministry of Environment and EcologyがCPとなる予定。

30 https://www.adb.org/news/adb-launches-5-billion-healthy-oceans-action-plan

31 https://www.adb.org/sites/default/files/related/145041/Oceans%20Financing%20Initiative.pdf

32 2019年7月26日のフィリピンADB本部にて聞き取り調査。

33 https://www.adb.org/projects/53068-001/main#project-overview 2019年6月7日アクセス。

34 2019年7月26日のフィリピンADB本部への聞き取り調査結果。