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4.1 優先度が高い国の選定

4.2.1 インドネシア

海洋プラスチックごみ問題に関する施策と関連機関

2017年、バリ島で開催された世界海洋サミットにおいて、海洋調整担当省(CMMA)57の大臣 が2025年までに海洋ごみを70%減らすとのコミットメントを示し、これに向けて、海洋ごみ対策 にかかる大統領令(2018年第83号)58が出された。

57 2019年の組閣により海洋投資調整担当省に改編。

58 https://peraturan.bpk.go.id/Home/Details/94716/perpres-no-83-tahun-2018

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大統領令(2018年第83号)ではまず、海洋ごみ、特にプラスチックごみを減らすことを目的と して、2018年から2025年にかけての行動計画を策定している59。行動計画は、表 4-2のような戦 略とプログラムから構成される。戦略は5 つあり、意識向上、陸域・海域の廃棄物管理、財務や 法制等の実施環境、研究開発と、海洋ごみ問題を広く網羅したものとなっている。

表 4-2 海洋ごみ行動計画の戦略とプログラム

戦略 プログラム

1. ステークホルダーの意識の向 上

1. コミュニティの意識の強化

2. 公務員、学生、大学生、そして教員への教育を通した 海洋ごみへの意識の強化

2. 陸地由来の廃棄物の管理 1. 河川流域での廃棄物の管理

2. 上流産業部門からのプラスチックごみの管理 3. 川下産業部門からのプラスチックごみの管理 3. 海洋・海岸における廃棄物の

管理

1. 海運活動からのプラスチックごみの管理

2. 海洋観光エリアでの活動からのプラスチックごみの 管理

3. 海洋および漁業活動からのプラスチックごみの管理 4. 沿岸および小諸島での活動からの廃棄物の管理 4. 資金調達、組織強化、モニタ

リング、および法の執行

1. 国家予算/地方予算以外の資金調達スキームの多様化 2. 組織強化

3. モニタリングの効果向上と法の執行

5. 研究開発 1. 研究開発を通じた海洋ごみ汚染の対策の強化

さらにこの行動計画の実施のため、「海洋ごみ対策国家調整チーム」を設置している。チーム の議長はCMMA、事務局は環境林業省(MOEF)であり、その他の構成員は16の省庁である。こ の調整チームによる調整会議は定期的に開催され、2019年12月13日の調整会議ではインドネシ アが排出する海洋プラスチック量のベースライン値に関する国家プラスチックアクションパート ナーシップ(NPAP)60、世界銀行、インドネシア科学研究所による調査結果が発表された。そし て、ベースラインは年間27万トンから59万トンの範囲にあるとする見解が示された。

また調整チームの構成員は、表 4-3に示すように、プログラムの下に計画されている59の活動 をそれぞれ担当する。

表 4-3 海洋ごみ行動計画の活動と担当調整機関

担当調整 機関

番 活動 戦

略 プ ロ グ ラム

工業省 1 環境に優しいプラスチックの利用に関する理解の向上 1 1

2 産業セクターに対する廃棄物利用技術の促進 1 1

59 なお、インドネシアは2020年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にて、①プラスチックの使用削 減又は他素材への代替、②再利用やリサイクルを踏まえたプラスチックの製品設計、③プラスチックごみ収集率 の80%への倍増、④プラスチックリサイクル能力の倍増、⑤リサイクルできないプラスチックの安全な最終処分、

の5項目からなる行動計画を発表し、この詳細をさらに今年3月に明らかにするとしている。ただしこの計画と大 統領令(2018年第83号)に示した行動計画との関連は不明である。

60 2.2.8 (2) 参照。

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3 廃プラスチックの原材料としての利用に関する技術ガイダンスの

とりまとめ 1 1

4 廃プラスチックの発生抑制や環境に優しいプラスチックの製造等

によるプラスチック産業の役割に関するキャンペーンの実施 1 1

5 生分解性あるいは再生しやすいプラスチックの製造促進 2 2 6 生分解性プラスチック産業へのインセンティブの評価とりまとめ 2 2

7 生分解性プラスチック製品のGMP(Good Manufacturing

Practice)ガイドラインのとりまとめ 2 2

8 焼却発電施設のモデル整備 2 2

9 プラスチックごみの油化施設のモデル整備 2 2

10 プラスチックごみ再利用の装置や機器の供与 2 3 11 製造業者とフレーク状プラスチックのストックに関する情報の集

約 2 3

12 観光地へのプラスチックリサイクル産業の進出に関するレビュー 2 3

13 リサイクル産業の促進 2 3

14 生分解性あるいはリサイクル可能なプラスチック製造の促進 2 3 15 生分解性プラスチックに関する国家基準の工業大臣令の制定 4 3 16 海洋観光エリアへのプラスチックリサイクル産業の普及に関する

レビュー 5 1

17 生分解性プラスチック製品の国家基準の策定 5 1

運輸省

18 海洋環境汚染防止に関する運輸大臣令の実施とモニタリング 3 1

19 公共港湾での海洋ごみ受け入れ施設の整備 3 1

20 すべての公共港湾におけるISO14001に基づく廃棄物管理の実施 3 1

21 乗務員による乗船客への廃棄物管理手順の通知 3 1 22 港湾管理者・関係者への廃棄物管理手順の理解促進 3 1 23 海洋観光エリアの活動から生じる廃棄物管理の手順書策定 3 2 24 海洋観光エリアの活動から生じる廃棄物管理の手順書の実行 3 2

25 海洋観光エリアでの廃棄物管理施設の整備 4 2

26 海洋観光エリアにおける廃棄物管理の手順にかかる褒章や罰則の

適用 4 3

海洋漁業省

27 インドネシア海洋学校プログラムの実施 1 1

28 河口域における廃棄物管理 2 1

29 公共漁港と国立漁港での廃棄物処理施設の整備 3 1 30 公共漁港と国立漁港でのISO14001に基づく廃棄物管理の実施 3 1

31 環境に優しい漁業活動の手順書の策定 3 3

32 環境に優しい養殖業の手順書策定 3 3

33 外洋の小諸島への廃棄物の一時保管施設あるいはリサイクルセン

ターの整備 3 4

34 海洋沿岸クリーニング活動の促進 3 4

35 海洋ごみ汚染とその影響に関する研究 5 1

環境林業省

(MOEF)

36 廃棄物管理に加え、海洋ごみの負の影響に関して、理解向上のた

めの活動を組織する。 1 1

37 プラスチックごみの分別と利用に関する技術向上 1 1 38 民間、マスメディア、市民団体、宗教団体等との協力プログラム

の形成 1 1

39 廃棄物のリサイクルに向けた先進的活動に関する民間、マスメデ

ィア、市民団体、宗教団体等への表彰 1 1

40 プラスチックごみの利用促進 2 2

41 製造業者による廃棄物削減ロードマップに関する環境林業大臣令

の策定 2 3

78 公共事業住

宅省

(MPWH)

42 河川へのごみ回収施設の整備 2 1

43 都市におけるプラスチックごみを含む廃棄物の管理 2 1 44 道路建設でのプラスチックごみの利用促進の規制策定 2 3 45 海洋観光エリアにおけるプラスチック廃棄物管理施設の整備 3 2 海事担当調

整大臣府

(CMMA)

46 関係省庁・機関との連携による環境と美化意識プログラムの推進 1 2

47 沿岸や小諸島におけるプラスチックごみ回収活動 3 4 48 PPP、CSR、コミュニティファンド、その他の法的資金源を通じ

たプラスチックごみ管理のための資金調達推進 4 1 49 海洋ごみのモニタリングと防止に関する統合情報システムの構築 5 1

海洋保安庁 50 海洋ごみに関する違反の摘発 4 3

外務省 51 国境を越える海洋プラスチックごみの管理 3 4

教育文化省 52 美化や健康な暮らし、環境に関する意識を育てる学校教育の実施 1 2 研究技術高

等教育省 53 環境に優しいプラスチック代替素材開発の振興 5 1 国家開発計

画庁/地方 開発計画局

54 プラスチックごみ管理部門への予算配置を優先する中央・地方政

府意思決定者のコミットメントの奨励 4 2

財務省 55 プラスチック税に関する規制策定 2 2

通信情報省 56 マスメディアやSNSなどを通じた海洋ごみに関するキャンペー

ンの実施 1 1

内務省 57 プラスチックごみ管理に関する地域レベルの指導 4 2 保健省 58 マイクロ/ナノプラスチックの人体への影響のレビュー 5 1

出所 大統領令(2018年第83号)国家行動計画より(通番は本報告書での便宜上のもの)

最も担当する活動の多いのは工業省で、代替素材技術の開発、廃棄物管理技術、プラスチック ごみのリサイクル技術など、管轄するプラスチックの製造業あるいは廃プラスチックの処理業を 対象とした活動が並んでいる。次いで、港湾を管轄する運輸省、漁業や島しょ地域を管轄する海 洋漁業省が9つの活動を担当する。MOEFは社会全体における海洋ごみ問題の理解向上、公共事 業住宅省は海洋ごみ対策のためのインフラ整備や道路建設におけるプラスチックごみの利用、

CMMA は国レベルでの意識向上や海洋ごみ対策全体のモニタリングなどを担当することとなっ ている。

この大統領令では、最低 1年に一回、行動計画実施報告書を大統領へ提出することになってい るが、2019年7月の現地調査時点ではまだ提出されておらず、12月の現地調査においても入手で きなかった。現在、UNDP がノルウェーの資金を得て行動計画に計画された各活動の予算額算定 作業を支援しており、その結果から国家・地方予算の配置や対外支援の要請などによる予算措置 が図られる予定となっている。

また、2018年10月に陸上起因の活動による海洋環境の保護に関する世界行動計画(GPA)の第 4 回国家間レビュー会合がバリで開催された際に出されたバリ宣言がきっかけとなって、2019 年 3月、MOEFはバリにRegional Capacity Center for Clean Sea (RC3S) を設立した。RC3Sはバリにあ るMOEFの地域事務所内に開設されているが、組織上はMOEFの公害管理総局海洋海岸公害管理 局の下に位置づけられ、当該局長がRC3S のExecutive Directorを兼任している。3つの課の課長 およびSecretaryのスタッフ1名が着任済みである。