以上の協力可能性を踏まえ、海洋プラスチック問題への対応策を施策・制度・計画面、技術・
実務面、モニタリング面とから、有効と考えらえる協力アプローチを検討した。
製造 流通・使用 排出・収集 最終処分
資源回収 熱・エネルギー回収 環境への放出
バージン資源
従来の廃棄物管理案件=自治体の廃棄物行政の範囲
環境からの回収
モニタリング(マテリアルフロー)
海洋プラスチック問題のニーズ=多数のステークホルダー
再生資源
国はマテリアルフロー全体に関し政策策定を担う。
自治体は域内の流通に施策を講じうるとともに、都市廃棄物に関し責務を負う。
産業界は上流において主たる実施者であり、下流においても部分的に実施を担う。
再資源化
モニタリング(廃棄物フロー)
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表 3-1 海洋プラスチックごみ問題への対応策と協力アプローチ
海洋プラスチックごみ問題への対応策
有 償 資 金 協 力
無 償 資 金 協 力
技 術 協 力
(
研 修 除 く)
民 間 連 携
SATREPS
課 題 別 本 邦 研 修 A 政策・制度・計画面における対策
A.1 国・自治体による対策
〇 〇 〇
海洋プラスチックに係る戦略や計画策定
海洋プラスチック問題全般にわたる中長期的な方針、各 関係機関の役割、実施目標の設定など
プラスチック製品に関する政策・制度・計画の策定 プラ製品製造時の素材や仕様の制限、プラ製品への課 金、素材表示のルール化、製品の長寿命化、リサイクル しやすさの向上など
廃プラスチックの管理に関する政策・制度・計画の策定 プラスチックごみを含む廃棄物の適正管理やリサイクル のための促進策、規制、役割分担、目標設定など A.2 民間による自主的な取り組み
〇 〇 〇
プラスチックごみ減量化
代替素材導入や軽量化、レジ袋配布削減、マイクロビー ズ使用制限、樹脂ペレット漏出防止
プラスチックごみ回収やリサイクル
プラスチックを含む使用済み製品の回収や解体・分別の 容易な製品設計、リサイクルに関する自主目標
B 技術面
B.1 製造段階における対策
〇 〇 〇 〇
プラスチックのリデュース技術 素材転換、詰め替えや軽量化 B.2 廃棄後における対策
〇 〇 〇 〇 〇
プラスチックごみの環境への放出防止
適切なごみ排出行動の啓発、確実なごみ収集、廃棄物処 理・処分施設の整備と適切な運営
プラスチックごみのリサイクル
効率的・効果的な回収・選別、メカニカルリサイクル、
ケミカルリサイクル、エネルギー回収、熱回収等の技術 導入
〇 〇 〇 〇
プラスチックごみの環境からの回収
漂流・漂着ごみの回収、発生・堆積予測 〇 〇 〇 〇 C モニタリング
マテリアルフローの把握
資源の投入、製造、流通、排出、収集・運搬、処理、処 分に至るプラスチックのマテリアルフローの定量的な解 明
〇 〇 〇
海洋プラスチックの実態把握
モニタリング手法の標準化、流出源・経路の特定、二次 MP形成過程の解明、国際的なモニタリングネットワー クの構築
〇 〇 〇
上の表において、「技術協力」は、「課題別本邦研修」を除くものとしている。「課題別本邦研 修」は、いずれの課題も研修テーマとして取り上げうる。本調査においては本邦招へい事業を行 い、この結果から課題別本邦研修に対する提言等をまとめることとしているため、以下では課題 別本邦研修以外の協力の可能性について述べる。
67 A. 政策・制度・計画面における対策
A.1 国・自治体による対策への協力
国や自治体は、政策・制度・計画を策定することにより、海洋プラスチックごみ問題への対策 を推進することが求められている。これに対する協力は、技術協力プロジェクトまたは専門家派 遣により可能である。
支援の内容としてはまず、廃プラスチック対策全般にわたる方針や戦略、中長期的な計画など の策定が挙げられる。これらの策定においては、廃プラスチック問題に関連のある海洋環境分野、
廃棄物管理分野、プラスチック製造業分野などを主管する各機関の役割分担やそれらの間の調整 メカニズムの構築、目標設定の前提となる廃プラスチックの現状把握なども併せて実施すること が考えられる。
また全般的な内容は主として、プラスチック製品製造に関するものと廃プラスチックの管理に 関するものとに大別でき、いずれかに焦点を置いた協力事業も考えられる。前者に関しては、プ ラスチック製品の素材や仕様の制限、プラスチック製品への課金(レジ袋有料化等)、素材表示 に関するルール作り、所有ではなくシェアに重きを置いた製品の長寿命化や有効活用、リサイク ルのしやすさを向上させる取り組みの促進などに関する施策づくりへの支援となる。後者に関し ては、従来の廃棄物管理に関する政策支援を沿岸地域・河川流域など海洋へのごみ放出リスクの 高いエリアにより重点をおいて行う、あるいは、廃プラスチックの資源やエネルギーとしての有 効活用の促進を目指したものとなる。
また、各種技術の政策目標に対する有効性や経済性、各プラスチック製品または代替素材のラ イフサイクルを通じた環境への影響評価に関する SATREPS を通じた知見は、政策の意思決定や 制度設計に資すると考えられる。
A.2 民間の自主的な取り組みに対する協力
海洋プラスチック対策において民間企業は、積極的な動きを見せており、本報告書2.2.6節で紹 介した素材代替や軽量化などの技術革新もまた、産業界における対応の成果である。
こうした民間における自主的な取り組みに対し、政府開発援助としては直接的に関与し難いが、
上記 A.1で触れた政府施策の中に、自主的な取り組みを促すような内容を盛り込み、間接的に支 援することは可能である。我が国では、「資源有効利用促進法」によって事業者には合理的な資 源の有効活用が求められており、これを踏まえPETボトルリサイクル推進協議会がPETボトル自 主設計ガイドラインを策定するなどして自主的な取り組みを促進する仕組みが働いている。
B. 技術面
B.1 製造段階における対策に対する協力
製造段階における対策は、素材の転換、詰め替え容器への変更や製品の設計上の工夫による軽 量化、マイクロビーズの代替化または不使用、摩耗しにくい合成繊維の開発など、そもそも廃プ ラスチックごみを出さないための製品上流域での対策である。
そうした製造技術の向上や導入への協力は、民間連携事業を通じたものが考えられるが、これ までは実績として生分解性プラスチックの普及を目的とした 1件にとどまっている。しかし、製
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造業の民間連携事業として見れば事例は少なくなく、今後期待される分野といえる。上記 A.1 や A.2 などによる製造業界への制度環境が背景にあれば、よりこの分野の協力が進みやすいと考え られる。
また、新規技術の開発と社会実装を目指し、SATREPS事業としての協力可能性もある。
B.2 廃棄後における対策に対する協力
廃棄後においては、廃プラスチックを環境に放出されないように適切に処理・処分する対策、
リサイクル資源として廃プラスチックを活用する対策、そしていずれをもってしても環境へ放出 してしまった廃プラスチックを回収する対策とがある。
海洋放出防止の対策として、確実に収集・運搬し必要に応じ中間処理を施し適切に最終処分す るという事業は、有償資金協力、無償資金協力、技術協力プロジェクトによる協力が可能であり、
従来からも多くの国で行われてきたものである。具体的な内容としては、収集・運搬用車両の調 達、車両メンテナンスワークショップ、中継基地、最終処分場等のインフラ整備、これらの適切 な運営管理体制の確立、住民協力を得るための教育啓発活動等である。海洋プラスチックごみ対 策との観点からは、沿岸地域や主流河川流域を対象として、水域に放出されているプラスチック ごみ量をプロジェクト前後でモニタリングすることによりプロジェクトの実施効果が確認できる のが望ましいと考えられる。また、途上国の実情に適合した技術開発を目指した SATREPS 事業 としての協力も可能性がある。
リサイクルに関しては、効率的・効果的な回収や選別、メカニカルリサイクル、ケミカルリサ イクル、エネルギー回収などの技術の導入が、有償資金協力や無償資金協力にて支援しうる。ま た、こうした施設整備やリサイクルの仕組み作りに対して、技術協力を行うことも可能である。
さらに民間連携事業により 2.2.6 節で紹介したような技術を民間企業が普及展開することや、
SATREPSを通じて適正技術の開発と社会実装を目指すことも考えられる。
廃棄後の廃プラスチックに対しては、上記の処理・処分とリサイクルにより環境へ放出されな いことがもっと肝要であるが、すでに環境へと放出された廃プラスチックに対しては砕片化や沈 降の進む前に回収する必要がある。漂流ごみを回収する特殊船舶の整備や、その効果的な活用の ために実際の漂流ごみ発生状況や対象海域の海流や波浪の情報から回収効率の高い運用計画を策 定する技術的な支援などが考えられる。
C. モニタリングに対する支援
モニタリングすべき対象としては、製造から廃棄に至るまでのマテリアルフローを流れるプラ スチックと、廃棄され海洋へ放出されたプラスチックの二つがある。前者はプラスチックの陸域 モニタリング、後者は水域モニタリングともいえる。
前者では、バージンあるいは再生資源の投入、製造、流通、排出、収集・運搬、処理、処分、と いった段階ごとのプラスチックを定量的に解析することになる。ステークホルダーが多く、イン フォーマルセクターの関与も大きいため、データの所在の確認と獲得方法の確立、サンプリング 調査からの統計的なデータ推計などを含む技術協力が考えられる。我が国のプラスチック資源戦 略では、使い捨てプラスチックの排出抑制や廃プラスチック有効活用に関して数値目標が掲げら れているが、そのような指標の客観的なモニタリングのためにもマテリアルフローの定量的把握