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4.1 優先度が高い国の選定

4.2.2 タイ

海洋プラスチックごみ問題に関する施策と関連機関

タイでは、2018年4月17日の閣議において、天然資源環境省(MONRE)大臣及び関連閣僚が プラスチックごみ問題に対応し環境保全に努めることを決議した。これを受け、MONRE は、国 家環境委員会の下にプラスチック廃棄物管理に係る小委員会を設置し、その委員長にMONRE事 務次官を、事務局に公害防止局(PCD)、環境保全推進局(DEQP)、海洋沿岸資源局(DCMR)

を任命した。

プラスチック廃棄物管理小委員会の下には、3 つのワーキンググループが結成され、ワーキン ググループ1は、プラスチック廃棄物全体の対策メカニズムの開発を目的に PCDが主要機関に、

ワーキンググループ2は、プラスチック廃棄物削減のための広報キャンペーンの推進を目的に DEQP が主要機関に、ワーキンググループ 3は、プラスチック廃棄物の再利用とリサイクルの推

62 2019年12月12日公共事業省への聞き取り調査より。

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進を目的に民間のプラスチック工業協会が主要機関に、それぞれ就任した。

表 4-4 プラスチック廃棄物管理のための小委員会とワーキンググループ

内閣 国家環境委員会        プラスチック管理小委員会 委員長:天然資源環境省 事務次官 事務局: 

  公害防止局(PCD)   環境保全推進局 (DEQP)   海洋沿岸資源局 (DMCR) 小委員会

  公的機関

  民間機関

   ワーキンググループ1 プラスチック廃棄物削減のメカニズ ム開発

主要機関: 公害防止局(PCD)

  

事務局: PCD, DEQP, DMCR, ワーキンググループ: 公的機関、民 間機関  

   ワーキンググループ2 広報キャンペーンの推進 主要機関 : 環境保全推進局

(DEQP)

  

事務局: DEQP, PCD,  DMCR, ワーキンググループ: 公的機 関、民間機関

   ワーキンググループ3 プラスチック廃棄物の開発と再利用 主要機関 :プラスチック産業グルー プ  

事務局プラスチック研究所公害防 止局

ワーキンググループ公的機関、民 間機関

ワーキンググループ1の主要機関であるPCDは、以下の「プラスチック廃棄物管理ロードマッ プ(2018~2030)」を策定した。このロードマップは国家環境委員会に提出・承認の後、2019年1 月8日に閣議に提出され、4月に承認された。

このロードマップにおいては、Target 1として、3種類のプラスチックを2019年までに使用禁 止、4種類のプラスチックを2021年までに使用禁止とすることを目標に定めている。またTarget 2としては、2027年までに、特定の廃プラスチックを100%リサイクル(エネルギー回収を含む)

することを目標に掲げ、そのための技術開発等を進めることとなっている。

表 4-5 プラスチックごみ管理に係るロードマップ(2018~2030)の概要 ビジョン 循環経済により、持続可能なプラスチック管理に向け行動する。

目的 全ての関係者の協力のもと、プラスチックごみ管理の課題を解決し環境を 保全するための枠組み、針路として使用。

目標 プラスチックごみ管理に係るロードマップ(2018~2030)は、SDGsのゴー ルを達成するために符号しており、特にTarget 14の海洋資源の保全と持続 可能な使用に資するものとなっている。具体的には以下の二つのTargetを 設定した。

目標1 以下のプラスチックに関しては、使用削減もしくは使用禁止とし、環境に 優しい代替品に転換を図る。

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・ 2019年までに使用禁止:1)PETボトル等の蓋を被覆するシール、 2) 酸化型生分解性プラスチック、3)マイクロビーズ

・ 2021 年までに使用禁止: 1厚み 36ミクロン以下のプラスチックバ ッグ、2)食品包装用の発泡スチロール、3)使い捨てプラスチックコッ プ、4)プラスチックストロー

目標2 ターゲットとするプラスチックについては、2027年までに100%のリサイ クルを目指す。この目標を達成するために、研究し、リサイクル方法を見 つけ、廃棄物発電を含む方法によって適正に管理を行う。

上記ロードマップの実施のための行動計画を PCDが中心となって作成し、2019年8 月現在、

国家経済社会開発庁(NESDC)に提出され審議中となっている。プラスチック廃棄物削減のため のインセンティブの付与や税制度など経済的な措置は、NESDCが最終判断を下す予定となってい る。PCDは今年度中(2019年9月)までの承認を目指していたが、今年は組閣があったために遅 れる見込みとのことである。

プラスチックごみの排出抑制、排出削減の現況

タイ国においては、固形廃棄物に係る基本計画として、「National Solid Waste Management Master Plan(2016-2021)」が策定され、2016年5月に閣議承認されている。この基本計画においては、1)

3Rsのコンセプトの下、発生源における廃棄物の削減を推進し、2)発生した廃棄物は適正に処理 し、3)廃棄物管理に係る全ての関連機関が参加すること、を基本概念としている。

基本計画のゴールとしては、適正処理される廃棄物の割合や分別される有害廃棄物の割合等の 数値目標は掲げられている。さらに本マスタープランの実効性を高めるため、2016年に Thailand Zero Waste行動計画、2017年にClean Province行動計画が出されている。

プラスチックごみに関しては、前記ロードマップは年間廃プラスチック発生量を1.93 million ton、

そのうちリサイクルされるものが0.39 million ton (20.2%)、最終処分及び不明なものが1.54 million ton (79.8%)と推定している。またロードマップの実施により、2030年には0.78 million ton(40%)

の廃プラスチックを削減するという目標を定めている。

一方都市廃棄物に関しては、2018年の集計結果によると、2,780万トン/年の発生量のうち、34%

が再利用・リサイクルされ 39%が適正に最終処分、27%が非適正な最終処分となっており、発生 量のうちのプラスチックごみは、200万トン/年とのことである63

プラスチックごみのリサイクル促進の現況

プラスチックごみに限らず、一般廃棄物のリサイクルはインフォーマルな回収が主体であった が、上記の施策によりフォーマルな回収も各地で行われるようになっている。バンコック首都圏 においては、Onnut旧最終処分場を中継基地として利用し、さらに最終処分量の削減のため、大規 模なCompost Plant (1,700 ton/day)が運転中である。その前処理には選別ラインがあり、インフォー マルセクターの労働者を雇用して、混合ごみのなかからアルミ缶、PET ボトル、金属などを回収 する取り組みが行われている。

また、代替エネルギー開発計画(2015-2036)により、一般および産業廃棄物はバイオエネルギ ー源に位置づけられ焼却発電も推進の対象となっている。これを背景に、廃プラスチックの燃料

63 Booklet on Thailand State of Pollution 2018, PCD, 2018

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化(RPF)なども行われており、セメント工場の原燃料や焼却発電施設で利用されている。

プラスチックごみの海洋流出防止に向けた取り組み

河川や運河の閉塞は洪水の主要な原因のひとつであることから、従来より各自治体によって河 川、水路のごみの除去は行われている。バンコック首都圏の場合は、1600の水路に対し、198か 所のポンプステーションを配置し、水位差を利用して川のごみをスクリーンに追い込み、ごみの 回収をおこなっている。ごみを水域に放出しないことが重要であるが、バンコック首都圏にも未 だ水上生活者も多く存在し、ごみや汚水を河に廃棄しているエリアが存在する。

チャオプラヤ川など大規模河川は、バンコック都環境局が、小さな水路は同排水・下水局が担 当して、水路からのごみの除去を定期的に行っている。

水路などに流出したごみの組成分析も行われており、2018 年にバンコク首都圏では、5,200 ト ンのごみを水路から回収し、そのうち50%が水草、7%がプラスチックを含む都市廃棄物、3%が木 材という結果になっている。