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E c cR
cR
ピーク構造は、MI相においてV-V二量化により形成されたd//*状態に帰属できる。これらの 結果は過去の報告[9,16–18]とよく一致しており、V-V 二量化に伴うd//状態の分裂が VO2の MITにおいて起こっていることを示している。
4.3.9. K/VO
2におけるキャリア誘起金属相の結晶構造図4.3.30(b)に、VO2薄膜におけるK蒸着前後のO K XASスペクトルの温度・偏光依存性
を示す。T = 250 Kで測定したK/VO2のキャリア誘起金属相におけるスペクトルに注目する と、d//*状態に由来すると考えられる肩構造が530.6 eV近傍に観測されている。このことは、
VO2のキャリア誘起相が、単斜晶系VO2に特有のV-V二量化を維持した単斜晶構造である ことを示している。一方、第4章のPES測定の結果においては、このK/VO2の電子状態は
250 KでEF上に状態密度をもつ金属状態である。その形状はRM相のものとは異なり、電
子状態が金属的であるのにもかかわらず、この肩構造はLDスペクトルにおいてより明瞭に 観測され、MI 相のd//*状態のピーク位置とエネルギー位置が一致していることから、やはり d//*状態に由来したものであると考えられる。
以上の結果は、K/VO2に発現するキャリア誘起金属相が、単斜晶系 VO2に特有のV-V二 量化を維持した「単斜晶系金属相」という新しい電子状態であることを示している。
図4.3.30. VO2/Nb:TiO2(001)薄膜におけるK蒸着前後のO K XASスペクトルの温度・偏光依存性.
この K/VO2薄膜における新たな電子相「単斜晶系金属相」の可能性をより詳細に調べるた めに、PES測定と同様に偏光依存O K XASにおける温度依存性の測定を行った。このK/VO2
薄膜がPES測定において絶縁体へ転移した150 K、K蒸着前のVO2薄膜が金属相となる320 Kで偏光依存O K XASを測定した結果を図4.3.30(b)に示す。250 Kにおいて観測されたd//* 状態は、絶縁体相へと転移する 150 K においても、同様に観測されている。したがって、
K/VO2は150 KでK蒸着前のVO2薄膜と同様にMI相となっていることが分かる。一方で、
320 Kではd//*状態は完全に消失しており、そのLDスペクトルがRM相のものとほぼ一致す
る様に変化することが分かった。320 Kで測定された価電子帯スペクトルの形状が、RM相
150 K 320 K
Intensity (arb. units)
VO
2/Nb:TiO
2(001)
O K XAS K/VO
2/Nb:TiO
2(001)
O K XAS E // c
RE ⊥ c
RE // c
RE ⊥ c
R528 530 532
Photon Energy (eV) Photon Energy (eV) 528 530 532 σ
∗π
∗σ
∗π
∗d
//∗(320 K) RM
(250 K) MI
250 K
LD × 2 LD × 2
(a)
Intensity (arb. units)
(b)
のものと類似していることからも、K/VO2は320 KでK蒸着前のVO2薄膜と同様にRM相 となっていることが分かる。
以上の結果から、表面キャリア注入された VO2 のチャネル層領域(界面数ナノメートル)
における電子相図を決定した(図4.3.31)。これらのRM相とMI相との相境界に、単斜晶構 造でありながら金属状態を示す、VO2チャネル層領域においては、表面(界面)電子蓄積時に、
従来のMI相とRM相の境界において新たな電子相である「単斜晶系金属相」が出現すると結 論づけた[20]。
図4.3.31. 表面電子注入されたVO2薄膜における電子相図.丸印は放射光電子分光測定点を表す.
従来のMI及びRM相の境界に新たな電子相である「単斜相金属相」が出現することを見いだした[20].
4.3.10. K/VO
2における電子相境界における相分離の検証これまでにPES測定と偏光依存O K XAS測定の結果より、K/VO2薄膜においてRM相と MI相との相境界に、VO2の斜晶構造に特有のV-V二量化を維持しながら金属状態を示す新 たな電子相「単斜晶系金属相」が存在する可能性について議論してきた。この様な電子状態及 び結晶構造が観測結果として示される別のモデルとして、RM相とMI相の相分離現象を捉 えている可能性も考えられる。すなわち、二つの異なる電子相が共存した状態の平均値を観 測しており、PES におけるEF上の状態密度はRM相ドメインから、d//*状態に由来したO K
Te m pe ra tu re (K )
400 300 200 100
00.00 0.05 0.10 0.15
Doped Electron Concentration
OV cR