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DC 型セルにおける放電発光特性の計算結果と考察

ドキュメント内 村上 由紀夫 (ページ 107-112)

第 5 章 二次電子の逆拡散を考慮した DC 型セルの一次元シミュレーション 88

5.4 DC 型セルにおける放電発光特性の計算結果と考察

10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 1

0 5 10 15 20 25 30

Ionization energy (eV)

Secondaryelectronyieldγ

Ni

図 5.4 分子イオンによる二次電子放出係数(γ)の電離エネルギー依存性

10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 1

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Time (μs) 260 V 270 V 280 V 290 V

=300 V

Dischargecurrent(μΑ)

γ , He-Xe (10%) Torr cm

図 5.5 各種印加電圧(Va)に対する放電電流進展の計算例(放電開始電圧Vs 280 V)

0 200 400 600 800

0 10 20 30 40

Reduced electrode distance (Torr cm)

γ ' γ γ ' γ

Breakdownvoltage(V)

He-Xe (10%)

He-Xe (1%)

図 5.6 実効二次電子利得(γ)と真空中の二次電子利得(γ)によるパッシェン曲線 の比較

では放電開始電圧は約280 Vであることが分かる。このようにして計算したγγ を用いた時のパッシェン曲線を図5.6に示す。表5.1の計算条件のpd=6 Torr cmの

0 50 100 150 200

0 100 200 300 400

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 Time (μs)

Dischargecurrent,,(μΑ) Appliedvoltage(V)

γ ' γ

図5.7 実効二次電子利得(γ)と真空中の二次電子利得(γ)による放電電流波形(Va

は印加電圧波形)

場合,γおよびγを使用したときの放電開始電圧は,それぞれ276 Vおよび294 V となり,後者の電圧上昇は逆拡散により実効的にγが低下したためである。ここ での二次電子利得γの低下は,放電開始時のように初期電流が小さく空間電荷に よる電界歪みが無視できる状態では時間的な変化を伴わない。したがって,γ は印加電圧だけから決まる換算電界E/pの値を用いて図5.1により簡単に求めら れる。

5.4.2 繰り返しパルス放電の電流波形

これまでと同様に表5.1の計算条件による繰り返しパルス放電で,真空中の二次 電子利得γとガス中の実効的な二次電子利得γを用いたときの放電電流の時間変 化を図5.7に比較して示す。この時の放電電流Idの最大値は前者が104μA,後者

が72μAとなり約70%に減少している。また両者ともに電子による電流成分Ie

放電電流の約90 %,イオンによる電流成分Iiは約10 %である。

このようなパルス放電時の二次電子利用効率γは,パッシェン曲線を求めた 場合のように一定値にはならず,図5.2に示したように時間とともに変化する換算 電界E/pに依存して決まる値となる。さらにパルス放電では図5.3に示したよう に,二次電子の生成に関して支配的な粒子の種類が入れ替わるなど,複雑な動作

0 50 100 150 200

0 5 10 15 20

0 1 2 3 4

Time (μs)

VUVoutputpower,,(μW) Inputpower(mW)

図 5.8 実効二次電子利得(γ)によるセル入力電力と紫外線電力の時間変化

表 5.2 実効二次電子利得(γ)と真空中の二次電子利得(γ)による紫外線電力およ び発光効率の比較

Input power VUV output power (μW) Luminous efficiency

Pi P147 P152 P173 PV U V PV U V/Pi

(mW) (147 nm) (152 nm) (173 nm) (Total) (%)

γ 2.75 39.8 6.67 21.7 68.2 2.48

γ 4.31 57.9 10.1 27.9 95.9 2.22

になっている。

ここで,前述した分子イオンの二次電子放出係数γの値の採用前後によるt= 1μs 時の最大電流値の差は,わずか0.3 %程度に留まっていることを付記する。

5.4.3 共鳴線と分子線による紫外線電力

図5.8は実効的な二次電子利得γを用いて表5.1に示した条件で計算した147 nm,

152 nmおよび173 nmの紫外線電力,P147,P152,P173の時間変化を表す。共鳴準位 原子Xe(1s4)から放射される147 nmの紫外線は共鳴放射の閉じ込めを伴うことか ら,陰極と陽極に到達する電力が異なるので,それぞれの値P147KP147Aも合わ

μs

μ

γγ

(a) Electron

μ

μs

γγ

(b) Total ion

μ

μ

γγ

(c) Xe(1s4)

図 5.9 電子とイオンおよび共鳴準位原子Xe(1s4)の時空間分布の計算結果

せて図に示した。これらは放電セル一個から放射される紫外線電力であり,入力 電力Piは電流制限抵抗による損失を除いて実際に放電セルで消費される電力を示 している。

表5.2に,図5.8のデータから求めた紫外線電力と入力電力の平均値,および,

その比である発光効率について一覧で示した。実効的な二次電子利得γに対する 発光効率は,真空中の二次電子利得γを用いたときよりも10 %程度大きい。これは γを用いた場合,ガスによる逆拡散の影響で実効的にγが小さくなり発光輝度が

低下するが,この場合放電電流の値も約70 %と小さくなり入力電力が低下するこ とから,発光効率の上昇につながったものと理解できる。PDP放電セルのグロー 放電動作の場合,放電電流密度を小さくした方が発光効率が上昇する実験結果も 得られている [8]。

5.4.4 電子とイオンおよび共鳴準位原子の時空間分布

計算した12種の粒子の中から代表例として,図5.9に電子とイオンおよび共鳴 準位原子Xe(1s4)密度の時空間分布を示す。図5.9の左列のγを用いた時の分布 は,右列のγを用いた分布に比べ粒子の最大密度が小さい。これは,逆拡散によ りγγより減少したことが原因で,図5.7の放電電流波形にもその影響が現れ ている。

ドキュメント内 村上 由紀夫 (ページ 107-112)