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紫外線発光効率の計算結果と考察

ドキュメント内 村上 由紀夫 (ページ 51-55)

第 2 章 AC 型および DC 型セルの一次元放電シミュレーション 16

2.5 紫外線発光効率の計算結果と考察

3 再び陽極が陰極に戻り1の動作となる,

この一連の動作を繰り返すためである。

また,Xe2YZの最大密度についてはAC型セルが3.4×1011個/cm3,DC型セル は1.0×1012個/cm3となり,この粒子も放電電流の小さいDC型セルの方が3倍大 きい。このことから,AC型セルの放電電流のように狭パルスとなる場合は,分子 線発光となるXe2YZの粒子密度は充分に生成される領域に達していないと言える。

表 2.4 一次元シミュレーションによるAC型とDC型セルの紫外線出力および発 光効率の比較

(a) AC-type cell

Pressure Input power VUV output power (μW) Luminous efficiency

p Pi P147 P152 P173 PV U V PV U V/Pi

(kPa) (mW) (147 nm) (152 nm) (173 nm) (Total) (%)

26.7 2.91 56.3 3.20 10.2 69.7 2.39

40.0 2.93 57.4 8.69 20.8 86.9 2.96

(b) DC-type cell

Pressure Input power VUV output power (μW) Luminous efficiency

p Pi P147 P152 P173 PV U V PV U V/Pi

(kPa) (mW) (147 nm) (152 nm) (173 nm) (Total) (%)

26.7 4.36 62.4 3.84 14.3 80.5 1.85

40.0 4.31 57.9 10.1 27.7 95.6 2.22

μ

図 2.10 計算によるDC型セルの最大電流と発光効率の関係

2.5.3 共鳴放射の閉じ込めの影響に関する考察

Xeの共鳴線147 nmは共鳴吸収を伴い放射と吸収を繰り返しながら伝搬する。こ

のためXe共鳴準位原子の自然放出寿命(3.7 ns)[33]は実効的に長くなるために,

電子衝突による累積電離や階段励起などにより,他の準位に遷移する確率が大き くなることから,蛍光面から離れた共鳴準位原子ほど共鳴放射の閉じ込めの影響 が顕著に現れる。そこで,共鳴準位原子の蛍光面への伝搬効率を調べるため,本 シミュレーションに使用している共鳴放射の閉じ込めの式 (2.17) [3]を用いて陰極 に到達する紫外線束FV U V を計算した。

FV U V = 0.67νR(πkdRΔx)−1/2

×R1Δx[0.53 + 4.38(kdRΔx)−1.5] +

N

j=2RjΔx[j1/2(j−1)1/2] (2.17) ここで,νR は光放射遷移確率,KdRは共鳴線のスペクトル中心における吸収係数,

Δxは数値解析の格子幅,分割数Nd/ΔxR1Rjは陰極から1番目とj番目 の区間番号を表すが,式の導出などは文献[3]に譲る。この式を用いて対象とする 区間にのみ共鳴準位原子Xe(1s4)の密度を与え,その他の区間の密度を零として,

その区間から蛍光面(陰極)に対する伝搬効率を計算した。

このようにして求めた共鳴線の伝搬効率と蛍光面距離の関係を図2.11に示すが,

He-Xe(1%) の陰極に最も近い第1区間の伝搬効率を1に規格化している。すなわ

ち,セルの中央付近の粒子の伝搬効率は0.2程度であるので,第1区間の1に比べ るとわずか1/5しか蛍光体の発光に寄与しないことを意味している。また,これら 伝搬距離依存に加えて,Xe分圧の増加に伴い共鳴放射の閉じ込めが大きくなる。

例えばXe量が1 %から10 %に増加すると紫外線の伝搬効率は1/3程度に減少して

いる。このXe分圧の増加による伝搬効率の低下傾向は,表 2.4(b)の紫外線電力 P147で見られる。

一方,共鳴放射の閉じ込めを伴わない分子線173 nmを発光するXe2YZは,主 にXe(1s5)とXeとHeの三体衝突で生成されるために,圧力の増加に伴う密度の 増加は,表 2.4(a)(b)の紫外線電力P152P173に現れて,40 kPaの紫外線電力は 26.7 kPaの値に比べ2倍程度に増加している。

2.5.4 紫外線発光効率を決定する要因についての考察

ここで,今回の計算で得られた荷電粒子や励起粒子密度などの時空間分布の例 および紫外線の伝搬効率などの結果を基にして,AC型とDC型セルにおける紫外 線効率に関係する要因をまとめて列挙する。

図 2.11 計算による147 nm共鳴線の伝搬効率と蛍光面(電極)距離の関係

1 AC型セルのような急峻で大きい放電電流密度で動作する場合には,Xe(1s4) とXe2YZなどの粒子は電流に追従して増加しない。

2 AC型セルの陰極近傍で特に電界が大きくなる領域[図 2.8(c)参照]では,

報告された電離係数および励起係数のデータによると飽和傾向を示し,さら に増加するとその係数は逆に減少傾向になる [16]。

3 AC型セルでは共鳴準位原子が蛍光面(電極)近傍に分布することから,蛍 光面に到達するまでの伝搬過程での発光と吸収の繰り返し回数が少なくなり,

共鳴放射の閉じ込めによる実効的な寿命は長くならない。

4 AC型セルは,電子がセル中央から陰極の間に多く分布し,紫外線発光に関 与する励起粒子は陰極と陽極の近傍に分布するために,電子と励起粒子がセ ル中央に共に分布するDC型セルに比較して,空間的に両者が共存する割合 が少なくなり,累積電離や階段励起などの反応が少ない。

5 AC型セルは,DC型に比べて放電電流が流れる期間が短いために,電子と 紫外線発光に関与する励起粒子の共存する割合が時間的にも少く,累積電離 や階段励起などの反応が少ない。

以上述べた5項目の中で,1と2は,AC型セルの発光効率が低下する要因であ り,3 5は上昇する要因となる。今回の計算条件ではこれらの要因が差引され,

AC型セルがDC型に比較して30%程度高くなったものと考えられる。

2.6 モンテカルロシミュレーションによる局所場近似の

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