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各種粒子密度分布の計算結果と考察

ドキュメント内 村上 由紀夫 (ページ 46-51)

第 2 章 AC 型および DC 型セルの一次元放電シミュレーション 16

2.4 各種粒子密度分布の計算結果と考察

て増加する。

当時,FTI法による分散関数,分布関数および輸送係数を求めたときの計算時間 は,FACOM M360APでおおよそ1520分であり,MCSに比較して遙かに短い。

精度についてもFTI法では速度(エネルギー)軸上,多数の格子点(200〜500)を 取り,飛行,衝突に伴うエネルギー分散関数を繰り返し働かせて出発レート分布 を緩和決定する際も前述したように変化分の和が極めて0に近い値(10−8)となる まで収束させているために,極めて高い。このため輸送係数も相対誤差10−4以下 で得られ,他のどの方法よりも高精度となっている。

表 2.3 AC型とDC型セルの一次元シミュレーションの計算条件 AC-type cell DC-type cell

Gas composition He -Xe (10%)

Gas pressure (p) 40.0 kPa (300 Torr) Electrode size (S) 0.2×0.2 mm2

Cell size 0.6×0.6 mm2

Gap length (d) 0.2 mm

Capacitor (C)/Resistor (R) 300 pF/cm2 400 Ω/cm2 Secondary electron

Same values for Ni emission coefficients (γ)

Applied voltage (Va) 160V Bias = 150 V AC Pulse Pulse = 170 V

Pulse period (T) 4μs

AC型セルで826μA,DC型セルでは104μAでありAC型セルの方が一桁近く大 きい。

2.4.2 電子およびイオン密度の時空間分布

図 2.8にAC型とDC型セルの(a)電子密度と(b)イオン密度および(c) 電界 の時空間分布を示す。AC型セルの電子は,セル中央から陰極動作の電極(以下 陰極と略す,陽極も同様)との間に分布し,DC型セルの電子はセル中央から陽 極の間に分布している。その最大密度はそれぞれ,7.9×1012,1.2×1012個/cm3で あり,AC型セルの方が6.4倍大きい。また同様にイオンの最大密度はそれぞれ,

8.5×1012,2.1×1012個/cm3であり,AC型セルの方が4倍大きい。これらの空間電 荷により電界(c)はセル内で大きな歪みを生じ,その最大値はそれぞれ,4.9×104, 3.7×104V/cmであり,AC型の方が1.3倍大きい。

2.4.3 励起粒子密度の時空間分布

図 2.9にAC型とDC型セルの(a)共鳴準位原子Xe(1s4) と(b)準安定準位原子 Xe(1s5)および(c)励起分子Xe2YZの密度の時空間分布を示す。Xe(1s4)は147 nm

0 50 100 150 200 250 300 350

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0 0.5 1 1.5 2

Time (μs) (a) AC-type cell

0 50 100 150 200 250 300 350

0 20 40 60 80 100 120 140

0 1 2 3 4

Time (μs) (b) DC-type Cell

Gap voltage Applied voltage Discharge current

Discharge current Gap voltage Applied voltage

Voltage (V)Voltage (V) Discharge current (μA)Discharge current (μA)

He-Xe(10%) p=40.0 kPa

He-Xe(10%) p=40.0 kPa

図 2.7 AC型とDC型セルの放電電流と電極間電圧の計算結果

の紫外線を放射する原子であり,DC型セルではセルの中央付近にピークが現れ るが,AC型セルでは陰極と陽極の近傍にピークが見られる。これは,陰極近傍 は電界が大きいため直接励起が盛んで,さらにXe(1s5) からの階段励起が加わ るので大きなピークができ,陽極近傍は後者による生成から小さいピークが生じ ている。Xe(1s4)は共鳴放射の閉じ込めによる時定数で減衰しており,その値は 1μs 程度である。また,最大密度はAC型セルが5.0×1013個/cm3,DC型セルは 7.8×1013個/cm3となり,放電電流の最大値が一桁も小さいDC型セルの方が1.6

μμ

DC-type cell   AC-type cell

(a) Electron

μμ

DC-type cell   AC-type cell

(b) Total ion

μ

μ

DC-type cell   AC-type cell

(c) Electric field

図 2.8 AC型とDC型セル内の電子とイオン密度および電界の時空間分布の計算

結果

倍大きい。ここで,放電電流を基準に励起粒子の密度を比較したのは,放電電流 はセルに注入するエネルギーに深く関係し,発光効率の評価の一つの指標になる ためである。2.5.2項でも同様に,放電電流を基準として分析する。

Xe(1s5)とXe2YZの空間分布もXe(1s4)と同様になっている。後者の励起分子 は173 nmを中心とした紫外線を放射する粒子である。Xe2YZは主にXe(1s5)とXe とHeの三体衝突で生成されるため,この二つの粒子の時空間分布の形状は同様に

μ

μ

DC-type cell   AC-type cell

(a) Xe(1s4) atom

μ

μ

DC-type cell   AC-type cell

(b) Xe(1s5) atom

μ

μ

DC-type cell   AC-type cell

(c) Xe2YZ molecule

図 2.9 紫外線発光に関与する励起粒子密度の時空間分布の計算結果

なる。しかし,Xe(1s4)の陰極と陽極近傍の二つのピークの値は大きさが異なる が,Xe(1s5)の二つのピークの値はほぼ等しい。これは正と負のパルスが印加さ れるAC型セルの場合,

1 粒子は電界強度の大きい陰極近傍で多く生成され,

2 陰極が陽極に反転後もXe(1s5)の減衰時定数が10μs程度と大きいために粒 子の減少が少なく,

3 再び陽極が陰極に戻り1の動作となる,

この一連の動作を繰り返すためである。

また,Xe2YZの最大密度についてはAC型セルが3.4×1011個/cm3,DC型セル は1.0×1012個/cm3となり,この粒子も放電電流の小さいDC型セルの方が3倍大 きい。このことから,AC型セルの放電電流のように狭パルスとなる場合は,分子 線発光となるXe2YZの粒子密度は充分に生成される領域に達していないと言える。

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