6 操船シミュレーション
6.7 操船シミュレーション実施結果
6.7.2 Case1
(1) シミュレーション設定
現状の通航ルートを平均的な速力で航行する状況を設定した。西航船 16 隻、東航 船 7 隻、合計 23 隻の船舶を発生させた。
(2) 操船状況
Case1 における全船舶の航跡を図 6.7.1 に、第 1 及び第 2 船橋の制御量・状態量 の時系列変化を図 6.7.2 及び図 6.7.3 に示すとともに、それぞれの操船状況を以下 にまとめる。
① 第 1 船橋
第 1 船橋では、巨大船となる 92,000GT の貨物船を操船した。
設定 Co.285°、速力 12knot で東方ブイ北側の位置からスタートし、航路に沿っ て西航する計画とした。
東方ブイ~No.2 ブイ間においては、津波流により速力は徐々に増速され明石大橋 下あたりで 18knot を越えたが、10°前後の舵角により保針操船は可能であった。
明石海峡大橋下の通過を目処に左に舵を取って変針を開始し、No.2 ブイを左に見 て Co.268°へ向けようとしたが、北西側への横流れが大きく、10°~20°の横流 れ角を生じる状態となり、15°~20°の当舵を取りながら船体姿勢を保持し No.1 ブイまで航行した。
No.1 ブイ通過後は、横流れ角も小さくなり、西方ブイと正横した時点でシミュ レーションを終了した。
② 第 2 船橋
第 2 船橋では、500GT 級の貨物船を操船した。
設定 Co.088°、速力 12knot で No.2 ブイ南側の位置からスタートし、航路に沿っ て東航する計画とした。
逆潮が強く、No.2 ブイ付近で 3.5knot となり、その後 1knot 程度まで速力が落ち、
ほとんど前進できない状況となったが、舵効きが良く小舵角で保針操船は可能で あった。
明石海峡大橋下付近で、第 1 船橋の終了時をもってシミュレーションを終了した。
107
1km
0 2km 3km 4km 5km
淡路島 明石市
神戸市
179m
114m
17 9m
11 4m
淡路島
神戸市
図 6.7.1 航跡(Case1)
図 6.7.2 Case1 第 1 船橋(92,000GT 貨物船・西航)グラフ
-400-300 -200-1001002003004000
0 5 10 15 20 25 30 35
横移動速力(cm/sec)
Time(min) 船首尾横移動速力(cm/sec)
船首 船尾
(左舷)
(右舷)
-40-30 -20-10102030400
0 5 10 15 20 25 30 35
舵角(deg)
Time(min) 舵角(deg)
(左舷)
(右舷)
180 210 240 270 300 330 360
0 5 10 15 20 25 30 35
船首方位(deg)
Time(min) 船首方位(deg)
-50-40 -30-20 -1010203040500
0 5 10 15 20 25 30 35
回頭角速度(deg/min)
Time(min) 回頭角速度(deg/min)
(左舷)
(右舷)
0 5 10 15 20
0 5 10 15 20 25 30 35
対地速力(knot)
Time(min) 対地速力(knot)
(後進)
(前進)
-40 -30-20 -10102030400
0 5 10 15 20 25 30 35
横流れ角(deg)
Time(min) 横流れ角(deg)
(左舷)
(右舷)
第3号灯浮標通過 第2号灯浮標通過 第1号灯浮標通過
第3号灯浮標通過 第2号灯浮標通過 第1号灯浮標通過
第3号灯浮標通過 第2号灯浮標通過 第1号灯浮標通過
第3号灯浮標通過 15.0knot
第2号灯浮標通過 17.7knot
第1号灯浮標通過 17.2knot
第3号灯浮標通過 第2号灯浮標通過 第1号灯浮標通過
第3号灯浮標通過 第2号灯浮標通過 第1号灯浮標通過
図 6.7.3 Case1 第 2 船橋(500GT 貨物船・東航)グラフ
-400-300 -200-1001002003004000
0 5 10 15 20 25 30 35
横移動速力(cm/sec)
Time(min) 船首尾横移動速力(cm/sec)
船首 船尾
(右舷)
(左舷)
-40-30 -20-10102030400
0 5 10 15 20 25 30 35
舵角(deg)
Time(min) 舵角(deg)
(右舷)
(左舷)
0 30 60 90 120 150 180
0 5 10 15 20 25 30 35
船首方位(deg)
Time(min) 船首方位(deg)
-50-40 -30-20 -1010203040500
0 5 10 15 20 25 30 35
回頭角速度(deg/min)
Time(min) 回頭角速度(deg/min)
(右舷)
(左舷)
0 5 10 15 20
0 5 10 15 20 25 30 35
対地速力(knot)
Time(min) 対地速力(knot)
(前進)
(後進)
-40 -30-20 -10102030400
0 5 10 15 20 25 30 35
横流れ角(deg)
Time(min) 横流れ角(deg)
(右舷)
(左舷)
第2号灯浮標通過
第2号灯浮標通過
第2号灯浮標通過
第2号灯浮標通過 3.5knot
第2号灯浮標通過
第2号灯浮標通過
(3) 操船者及び参加者のコメントのまとめ
操船者及び参加者のコメントを表 6.7.2 にまとめる。
表 6.7.2 操船者及び参加者のコメント
設問 意見
航路航行時の変針 及び針路保持にお ける難易点等につ いて
航跡図から判断。航跡図を重畳して判断するのは難しい。各線ごとの
航跡図が必要。(巨大船)東方海域から大橋まで針路が安定しており、横流れが現れていない。大橋通過後、左変針と同時に斜航しており、1 号ブイ航過後、針路(244°)に定針するまで斜航が続いている。変針舵 角が不明であるが、舵角に余裕があれば、支障にはならないと思う。
他船との航行操船 における難易点等 について
逆潮であり、ある程度の船速があれば航行は可能と思われる。但し、
圧流は大きくなるので注意を要する。
巨大船は航路内の斜航を含め西航レーン内では中央を航行しており、
可航幅も十分あるので航行に支障はない。但し、巨大船が航路内で斜 航することは、同航の他船に与える操船上の心理的な負担は大きいと 思われる。
航路航行している為、難易度自体は高くない。小型船が少ないことが
影響している可能性がある。潮流を含めた津波 流が操船に与える 影響について
予想速度の広報システムが必要である。
西航船は、針路と流向がほぼ一致している時は針路が安定しているが、変針中は斜航が見られ、新針路になり、流向と一致すると針路が安定 するように見える。いずれも支障があるようには見えない。東航船は、
どの船も針路が安定しているように見える。第 2 船橋のスタート直後 の動き(航路法線に沿っていない)は、流れの影響ではなく操船者の意 図的なものと思われる。
その他、航行操船 に及ぼす影響につ いて
フェリー1 と 2 がともに、他の 2 船の間を通り、追い抜いている。他
の 2 船の船間距離が不明であるが、流速に対して大きい船速をもつ フェリーは、津波の影響が比較的少ないことから、無理な追い越し等 が他船に心理的な負担を与えることも考えられる。 船長の慣れ(潮流の影響の存在を知っている)のため、早めの変針と針
路設定がなされており、津波の存在を知らない船長が操船可能か問題 と考える。→情報入手不可能の場合(VHF 無しの場合、外国船の場合) 巨大船は当舵 10°~20°によりスムーズに航行できた。対地速力
17knot 程度となったが、安定した航行であった。意見交換
事前に Leeway があることを認識していれば ECDIS 等を活用して実航路
をコントロールできていたが、事前の認識がないともっとコントロー ルが難しくなってオーバーシュート状態になるのでないか。また反航 船(東航船)より同航の追越船が間近かを航行し圧迫感があった。 視覚的に特異航行は見受けられなかった。当舵量も左右 20°以内で
leeway6°特に大きな数字はなかった。(20°前後) 同航船もスムーズ に航路内航行をしていたと見受けられた。反航船も同様の傾向である。速力は up しているが航行そのものに支障は感じられない。