6 操船シミュレーション
6.2 シミュレーションデータ作成及び条件設定
6.2.2 外力の設定
明石海峡においては、東流と西流の二つの方向の潮流が認められるが、西流が東 流よりも大きくなること、また、明石海峡における南海トラフ巨大地震による津波 は、進入(西流)の流速が引潮(東流)より大きくなることから、潮流と津波の合 成流が最大となる西向き潮流の最大値を検討対象とする。
① 水路誌及び潮流図
「瀬戸内海水路誌」及び「大阪湾及播磨灘潮流図」によると、明石海峡の西流最 強時の平均流速は図 6.2.2~図 6.2.3 に示すとおりであり、最大流速は 5.0knot と なっている。
(資料:書誌第一 03 号 瀬戸内海水路誌 平成 25 年 3 月刊行)
図 6.2.2 明石海峡潮流図(西流最強時の平均流速)
(資料:大阪湾及播磨灘潮流図 海上保安庁)
図 6.2.3 明石海峡潮流図(西流最強時の平均流速)
② 大潮期の平均的な潮流の最大値
大潮期の平均的な潮流の過去 20 年間の最大値について、海上保安庁海洋情報部で 計算した結果を図 6.2.4 に示す。最大潮流は淡路島北東部の 6.5knot で、明石海峡 航路内では、航路南寄りの位置で 5.9~6.4knot となっている。
この値を明石海峡の海図トレース図に転記し、明石海峡航路第二号灯浮標付近の 流速を、図 6.2.5 のとおり算出した。
(資料:海上保安庁海洋情報部により計算、本委員会へ提供)
図 6.2.4 明石海峡大潮期の平均的な潮流の最大値(過去 20 年間)
図 6.2.5 明石海峡第二号灯浮標付近の西流最大値の算出
明石海峡航路第二号灯浮標付近
⇒周辺の流速値から比例配分⇒
5.7knot
③ 潮汐表における最大西流
平成 26 年度の潮汐表において、明石海峡航路第二号灯浮標付近の西流最大値は 7.5knot となっている。
④ 最強西流の算出
表 6.2.1 に示す潮流図の解説によると、潮汐表の流速と潮流図の流速に差がある 場合、その比率を潮流図の各所の流速に乗じて、各所の流速を求めることができる とあり、表 6.2.2 に示すとおり前述の数値から比率を求め、図 6.2.6 に示すとおり 明石海峡における西流時の流速最大値を算出した。
算出した潮流は、淡路島北東部の 8.6knot で、明石海峡航路内では航路南寄りの 位置で 7.8~8.4knot となる。
表 6.2.1 潮流図の解説
(資料:大阪湾及播磨灘潮流図 海上保安庁)
表 6.2.2 潮汐表流速値と大潮期の平均的な潮流流速値の比率 A:潮汐表による最強流速(明石海峡航路第二号灯浮標付近)
B:大潮期の平均的な潮流の過去 20 年間の最大値による明石海峡航路第二号灯浮 標付近の流速
図 6.2.6 明石海峡西流の最強流速の算出
⑤ 潮流の設定
シミュレーションにおける潮流について、図 6.2.4 に示す流向と図 6.2.6 に示す 流速を、次項に示す津波データ出力点へ比例補完し、各出力点の初期値として設定 する。
(3) 津波
① 津波データ出力点の抽出
第五管区海上保安本部海洋情報部から提供を受けた、南海トラフ巨大地震津波シ ミュレーション結果から、図 6.2.7 に示す出力点の時系列データを抽出し、シミュ レーションに反映させる。
海上保安庁による津波シミュレーションの出力点は 150mメッシュで計算されて おり、明石海峡航路法線上など本調査で必要となるポイントに出力点はないことか ら、航路においては航路中央線及び航路法線に沿った最も近い点を約 150m間隔で 抽出し、航路外においては航路法線と平行に 500m離れた線上で最も近い点を約 300 mごとに抽出した。
64
図 6.2.7 津波データ出力点
34°35′
34°36′
34°37′
34°38′
34°35′
34°36′
34°37′
34°38′
135° 135°1′ 135°2′ 135°3′ 135°4′ 135°5′ 135°6′
134°59′
134°58′
134°57′ 135° 135°1′ 135°2′ 135°3′ 135°4′ 135°5′ 135°6′134°59′134°58′134°57′
1000m
0 500m 2000m 3000m 4000m 5000m
2 1 3 4 5 6 7 8 9 10 12 13 27
26 25
24 23
22 20
19 18
17 16
15 14 11
28 29 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 53 54 55 56 58 57 59 60 61 62 67
68 69 70 71 72 74 75 76 77 78
79 80 81 84
83 85 86 87 88 89 90 91 93 95 97 98 100 101 103 104 105 107 110109 111 113 115 116 117 118 120 122 124 139 137
140 141 142
146 145 147 148
151 150
149
144
143 112
108 106
102 99
96 94
92
82
152 153 154 156 157
155 159
160 161 162 163 164 166 167 169 170 172 173 174 176 177 178 180 182 183 184 186 187 190 192 206
207
211 212 213 214 217
218 216
215
210 209
208
66 65 64 63
114 52
21
30 205
261
252 185 188
181 179
175 171
168 165
158
223 226 232
239 281 244
280
323 322
321 320 278277 279
319 318 276
275 274
317 316
315 314 273
271 270
311 269
313 312
309 308 307 306 258 256
255 254 251 305
304
310 253 250
249 248
245 246 302 303
301
298 241
240 243
236 234 235
231 230
229 228
227 225
224 222
221 220 284 219 286
285 287 288 289 293
294 295 296 238
237
291 290
282 299
300 247
242
297 272
73
233
283 292
500m 1500m
500m 500m
500m 257
259 260 262 266 264 268
263 265 267
194 196 198 200 204 202
126 128 130 132 134
203 201 199 197 195 127 125 129 131 133 135 136
189 191 193
123 121 119 138
② 津波データの入力
津波が明石海峡へ来襲する場合、航行船舶の操船に最も影響のある状況は最大流 速発生時と考え、明石海峡の中央付近の流速が最大となる津波進入時(西流時)を 再現する。
参考に、明石海峡における南海トラフ巨大地震による津波は、進入時(西流)の 最大流速の発生状況を図 6.2.8 に、明石海峡中央付近の時系列データを図 6.2.9 に示す。
図 6.2.8 において、⑰の地点では、図 6.2.9 のとおり、第一波は地震発生約 105 分(1 時間 45 分)後に最大流速 1.9knot が、第二波は地震発生 160 分(2 時間 40 分)後に最大流速 3.2knot が発生することとなる。
操船シミュレーションにおいては、最大流速が大きくなる第二波を対象とした時 間帯とし、地震発生後、8,100 秒(2 時間 15 分)~10,500 秒(2 時間 55 分)の 40 分間のデータを入力する。
入力する津波データは、抽出した各出力点の水位変動および流速・流向の時系列 データとする。
(資料:第五管区海上保安本部 津波防災情報図(進入図)を編集)
図 6.2.8 南海トラフ巨大地震モデル 広域津波防災情報図(進入図)
(資料:第五管区海上保安本部 経時変化図を編集)
図 6.2.9 地点⑰経時変化図:干潮時(例)
第一波 第二波
津波再現時間帯
(4) シミュレーション上の流向・流速の設定
シミュレーション上の流速・流向は、ベクトル計算により潮流の流速・流向と合 成した値を算出し入力する。
潮流・津波合成流のベクトル線(中央付近最強流速発生時)を図 6.2.10 に、潮 流・津波合成流の流速最大値分布を図 6.2.11 に示す。
68
注)流速値は各出力点の最大値を示す。
図 6.2.10 潮流・津波合成流のベクトル線 航路中央付近最強流速発生点
69
図 6.2.11 潮流・津波合成流の流速最大分布