7 シミュレーション結果の比較・評価
7.1 通常航行時と西向き一方通航時の航路航行操船への影響
7.1.2 水流の影響
本シミュレーションでは、明石海峡において最強西流時に津波の押し波(西流)
が重ね合わさった状況を流況として図 7.1.3 のとおり設定した。
津波の最強流時には、明石海峡の南側(淡路島側)の海域に 10knot 以上の強い流 れが発生することとなり、その時間帯に同海域を航行する船舶は、水流の影響を受 けて航行することとなる。
図 7.1.3 水流の設定状況
シミュレーションでは、図 7.1.4 及び図 7.1.5 に示すとおり、速力 10knot で東 航する船舶は 1knot 程度まで速力が低下し、速力 15knot で西航する船舶は 25knot 程 度まで速力が増加する。
これらの状況を予測して操船できる場合は対応が可能であるが、水流と逆方向に 航行する場合は、大きく減速されるとともに、水流を受ける方向によっては大きく舵 を取られ操縦不能になる可能性がある。また、水流と同方向に航行する場合は、舵効 きが低下するとともに、他の船舶を追い越そうとしている場合などでは、不測の追突 事故が起こる可能性がある。
図 7.1.4 東航船(500GT 貨物船 初速 10knot)
図 7.1.5 西航船(3,000GT 貨物船 初速 15knot)
7.1.3
92,000GT 貨物船の航行92,000GT 貨物船が西航する場合、水流の影響による速力の増加は、図 7.1.6 及び 図 7.1.7 に示すとおり、質量が大きいためゆっくりとした増速となり、西航レーン 航行時では 18knot まで、東航レーン航行時では 17knot 程度まで増速した。
これは、流向が NW 方向のため、航路に沿って航行しようとすると、図 7.1.8 に示 すとおり、35°程度の横流れ角をもって航行し、また、当舵を大きく取っているため、
速力は大きく上昇しなかったものと考えられる。
また、図 7.1.9 に示すシミュレーション画像からも、斜航している状況がわかる。
) 0
5 10 15 20
0 5 10 15 20 25 30 35
対地速力(knot)
Time(min) 対地速力(knot)
(前進)
(後進)
第2号灯浮標通過 3.5knot
0 5 10 15 20 25 30 35
0 5 10 15 20 25 30 35
対地速力(knot)
Time(min) 対地速力(knot) 第3号灯浮標通過
19.3knot
第2号灯浮標通過 22.5knot
第1号灯浮標通過 20.3knot
(後進)
(前進)
181
図 7.1.6 92,000GT 貨物船が西航レーンを西航した場合の速力変化
図 7.1.7 92,000GT 貨物船が東航レーンを西航した場合の速力変化
図 7.1.8 92,000GT 貨物船が東航レーンを西航した場合の航跡
淡路島 明石市
神戸市
171m
-99m
淡路島
神戸市
17 1m
-9 9m
)
0 5 10 15 20
0 5 10 15 20 25 30 35
対地速力(knot)
Time(min) 対地速力(knot)
(前進)
(後進)
第3号灯浮標通過 14.3knot
第2号灯浮標通過 17.7knot
第1号灯浮標通過 16.2knot
0 5 10 15 20
0 5 10 15 20 25 30 35
対地速力(knot)
Time(min) 対地速力(knot)
(前進)
(後進)
第3号灯浮標通過
14.9knot 第2号灯浮標通過 13.7knot
第1号灯浮標通過 11.8knot
図 7.1.9 92,000GT 貨物船が東航レーンを西航した場合の SIM 画像
183
7.1.4
3,000GT 貨物船の航行92,000GT 貨物船が東航レーンを西航した場合と同様の航跡を航行した 3,000GT 貨 物船の横流れ角を図 7.1.10 に示す。
No.2 ブイを通過後、変針による影響と水流の影響により横流れ角は 30°を超える状 況となり、その後徐々に小さくなった。
図 7.1.10 3,000GT 貨物船が東航レーンを西航した場合の横流れ角