図5-3-1、図5-3-2は、1980年から2000年までの日中、米中の実際の為替レートと均
衡為替レート((4)式より推計)を示したものである30。実際の日中レートは、趨勢的 に通貨価値が下落しているが、その動きは 93年までは均衡為替レートとほぼ同様の動 きであり、94 年以降においても両者は若干の乖離が見られるものの概ね同じ動きを示 し、2000 年において両者はほぼ同じ値である。したがって、現在の元は必ずしも過度 な元安ではなく、経済のファンダメンタルを反映した値であると言えよう。一方、実際 の米中レートも、1980年から1995年まで趨勢的に通貨価値が下落しているが、1995年 以降は、1 ドル=8.3 元でほぼ一定である。この期間の実際のレートと作成された均衡 レートを比較すると、確かに95年〜97年までは実際のレートが元安基調であるものの、
98、99年には両者は一致しているので、この元安も過度なものであるとは言えず、円・
元レートと同様に経済のファンダメンタルを反映したものであると考えられよう。
5‑3‑2‑3 台湾の均衡為替レート
台湾との均衡為替レートは、図5-4-1、図5-4-2に図示されている。これをみると、1990 年以前の実際の為替レートは、対円、対米ドルいずれについても、均衡為替レートより も割安で推移してきたことがわかる。
対円レートに関しては、90 年代前半は、実際の為替レートと均衡為替レートとの間 に大きな乖離はなかった。90 年代の後半からは、実際の為替レートが割高になる傾向 が見られたが、アジア通貨危機時を経て実際の為替レートが減価するにつれ、両者の乖 離は縮小することとなった。対ドルレートに関しては、90 年代前半からアジア通貨危 機の97年、98年までの間、実際の為替レートと均衡為替レートはほぼ一致した動きを 示している。したがってアジア通貨危機における台湾ドルの減価は、対円、対ドルレー トともに経済のファンダメンタルを反映したものであると考えられよう。
30 ここでは、データの制約により(7)式から計測されるサービス部門を考慮した均衡レートは作成できな いので、(4)式によって計測されるサービス部門を考慮していない均衡為替レートのみ推計をおこなった。
図 5‑3‑1 日中 均衡為替レート(元/円)
基準年次:1993 年
0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)
図 5‑3‑2 米中 均衡為替レート(元/ドル)
基準年次:1993 年
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)
96
図 5‑4‑1 日台 均衡為替レート(新台湾ドル/円)
基準年次:1994 年
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)
図 5‑4‑2 米台 均衡為替レート(新台湾/ドル)
基準年次:1994 年
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)
5‑3‑2‑4 タイの均衡為替レート
図5-5-1は日本とタイにおける実際の為替レートと均衡為替レート(バーツ/円)を、
また図5-5-2は米国とタイにおける実際の為替レートと均衡為替レート(バーツ/ドル)
を示したものである。対円レートに関しては、基準年である93年以降、一貫して均衡 為替レートは実際の為替レートよりもバーツ安で推移しており、実際のバーツは円に対 し、過大に評価されているといえよう。一方、対ドルレートは、98年、99年に均衡レ ートがバーツ安を示し、実際のバーツはドルに対し、過大に評価されているが、2000 年は両者はほぼ一致している。また、1997年、98年におきたバーツの大幅な減価は、
均衡為替レート自体が対円・対ドルに対して大幅なバーツ安を示していることから、経 済のファンダメンタルズを反映したものであると考えられる。
5‑3‑2‑5 マレーシアの均衡為替レート
図5-6-1、図5-6-2は、マレーシアリンギの対円、対米ドルの均衡為替レートについて
みたものである。図 5-6-1をみると、リンギは、台湾ドルと異なり、1980年代は、実際 の円レートと均衡為替レートは、ほぼ同じような動きをしていた。この傾向は90年代 半ばまで続くが、それ以降は、均衡為替レートが実際の為替レートよりも大きくリンギ 安の方向へと向かう。アジア通貨危機で、実際の対円レートが円安になることにより、
均衡為替レートと実際の為替レートの乖離は徐々に縮小し、2000年時点では、均衡為 替レートは実際の為替レートの値に収束している。
一方、対米ドルとの関係では、すでに1990年代の初めから、実際の為替レートは、
均衡為替レートに比べて割高で推移していた。均衡為替レートと実際の為替レートとの 乖離は、アジア通貨危機直前まで拡大した。しかしアジア通貨危機後は、この乖離は縮 小し、資本規制をとり、米ドルにペッグした実際の為替レートに、均衡為替レートが収 束していく動きをみせている。
98
図 5‑5‑1 日タイ 均衡為替レート(新台湾ドル/円)
基準年次:1993 年
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)
図 5‑5‑2 米タイ 均衡為替レート(新台湾/ドル)
基準年次:1993 年
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)
図 5‑6‑1 日マレーシア 均衡為替レート(リンギ/円)
基準年次:1990 年
0.000 0.010 0.020 0.030 0.040 0.050 0.060 0.070
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)
図 5‑6‑2 米中 均衡為替レート(リンギ/ドル)
基準年次:1990 年
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1980 1985 1990 1995 2000
実際のレート 均衡レート(サービス部門含まず)