• 検索結果がありません。

1005‑3‑2‑6  日米の均衡為替レート

ドキュメント内 わが国の国際収支における中長期的な分析 (ページ 107-117)

100

5-4 . 均衡為替レートの要因分析

前節では、1980年以降における韓国、中国、台湾、タイ、マレーシア 5カ国の実際 の為替レートと均衡為替レートの比較検証を行った。そこでの主要な結果は、ウォン、

元、台湾ドル、バーツ、リンギともに、1990年代に入ってからは趨勢的に通貨価値が 減価していく傾向にある。この中でウォンやリンギ、バーツは97年から98年にかけて いわゆるアジア通貨危機といわれた大幅な減価が、また元は1995年以降、ドルとの平 価を維持し実質的にドルにペッグしていることを示していた。こうした動きの中で、各 均衡為替レートは、実際のレートよりも早く減価を示しており、アジア通貨危機後の 2000年頃になって両者の差が解消するようになっている。

本節では、このような均衡為替レートがどのような要因で変化してきたのかを検討し よう。ここでは Yoshikawa(1990)、宮川・外谷(1999)に従い基準年における各国の技 術係数a、bが,それ以降も一定であるとの仮想的な均衡レートと、(4)式に基づいた 均衡レートを比べることにより考察していく。均衡レートとある要因を固定した仮想的 な均衡レートの差が大きい場合は、固定した要因が均衡レートに大きな影響を与えてき たということが確認され、逆に2つの差がほとんど見られないときは、その要因はあま り均衡レートに影響を与えていないことが理解できる。

表5-1-1は日本と韓国の技術係数が基準年の1990年で一定と仮定した場合の日韓均

衡レートである。この表から言えることは、均衡為替レートの動きは、ほぼ賃金で測っ た購買力平価の動きに沿っているという点である。この点は、Yoshikawa(1990)で示され た日米の均衡為替レートの動きとは異なっている。しかしそのことは他の技術係数が何 の役割も果たさなかったということを意味しない。もし韓国の労働投入係数aが一定で あった場合、2000年において韓国の通貨価値はおよそ1/3 となっていることが示され ている。このことは、この期間における韓国の労働生産性の上昇がウォン高に大きな影 響を与えてきた事を意味する。一方、韓国の原材料投入係数bが一定であっても、均衡 レートと仮想的均衡レートの間には大きな違いが見られない事から、韓国の原材料投入 係数bの変化は均衡為替レートにあまり影響を与えていないと考えられる。他方、日本 の労働投入係数aや原材料投入係数bが一定の場合は,仮想的均衡レートはウォン高に なることが示されている。これらの結果は1977年‐1995年の日韓均衡レートを検証し た宮川・外谷(1999)と概ね整合的なものであった。すなわち韓国の労働生産性の上昇 が、日本の労働生産性や原材料生産性の上昇と相殺され、結果的に均衡為替レートは、

賃金で測った購買力平価と同じ動きをしていると解釈できる。また表 5-1-2は米国と韓 国の技術係数が基準年の1980年で一定と仮定した場合の米韓均衡レートであるが、主 要な結果は日韓均衡レートとほぼ同じであり、韓国の労働投入係数aが米韓均衡レート に大きな影響を与えてきた事を示すものである。

102

   

表 5‑1‑1  技術係数が基準年で一定と仮定した日韓均衡レート  (基準年次:1990 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

韓国のa 一定

韓国のb 一定

日本のa 一定

日本のb

一定 PPP

1980 2.679 1.309 0.428 1.248 1.346 3.276 1.774

1981 3.088 1.365 0.551 1.304 1.406 2.918 2.018

1982 2.935 1.523 0.669 1.461 1.562 2.909 2.212

1983 3.266 1.928 0.927 1.875 1.992 3.024 2.412

1984 3.393 2.186 1.192 2.143 2.251 3.027 2.514

1985 3.647 2.588 1.497 2.554 2.651 3.140 2.679

1986 5.231 3.138 1.959 3.129 3.285 3.704 2.882

1987 5.687 4.050 2.797 4.047 4.255 4.319 3.164

1988 5.708 4.586 3.544 4.591 4.693 4.851 3.623

1989 4.867 4.974 4.164 4.974 5.081 5.321 4.282

1990 4.888 4.888 4.888 4.888 4.888 4.888 4.888

1991 5.444 5.439 6.196 5.444 5.385 4.929 5.520

1992 6.164 5.638 7.542 5.642 5.642 5.021 6.314

1993 7.218 6.386 9.559 6.399 6.365 5.183 7.016

1994 7.861 7.635 13.104 7.661 7.507 5.432 7.935

1995 8.200 7.884 16.383 7.921 7.404 5.012 8.447

1996 7.395 8.497 19.756 8.533 7.740 4.891 9.254

1997 7.863 7.701 20.635 7.710 6.906 4.260 9.460

1998 10.705 7.568 20.880 7.541 6.739 4.241 9.264

1999 10.436 9.461 29.217 9.432 8.141 4.356 10.750

2000 10.494 9.433 34.036 9.368 7.629 3.677 11.446

表 5‑1‑2  技術係数が基準年で一定と仮定した米韓均衡レート  (基準年次:1990 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

韓国のa 一定

韓国のb 一定

米国のaが 一定

米国のbが

一定 PPP

1980 607.4 241.3 78.9 230.0 249.9 578.2 295.5

1981 681.0 216.9 87.5 207.2 223.9 494.0 323.5

1982 731.1 311.6 136.8 298.7 323.3 533.7 342.5

1983 775.8 356.0 171.2 346.3 368.7 566.5 364.4

1984 806.0 359.3 196.0 352.2 370.0 545.0 376.2

1985 870.0 442.9 256.2 437.1 455.3 573.2 392.0

1986 881.5 580.6 362.5 579.0 624.6 674.2 410.2

1987 822.6 663.3 458.2 662.8 695.2 669.8 443.7

1988 731.5 704.6 544.6 705.5 727.1 721.6 506.6

1989 671.5 749.1 627.1 749.1 761.8 784.1 613.6

1990 707.8 707.8 707.8 707.8 707.8 707.8 707.8

1991 733.4 801.9 913.6 802.7 783.6 771.2 790.6

1992 780.7 802.0 1072.9 802.6 743.2 795.2 860.8

1993 802.7 840.2 1257.7 841.9 751.9 816.1 920.7

1994 803.5 917.3 1574.3 920.4 786.4 851.5 1030.8

1995 771.3 865.7 1798.9 869.7 706.9 786.6 1116.5

1996 804.5 836.9 1945.9 840.5 670.7 751.4 1237.6

1997 951.3 793.9 2127.0 794.8 613.4 711.7 1268.4

1998 1401.4 901.8 2488.0 898.6 644.5 796.9 1177.7

1999 1188.8 1058.0 3267.5 1054.8 692.2 762.6 1292.9

2000 1131.0 926.8 3344.0 920.4 586.4 555.5 1319.3

表5-2-1、表5-2-2は日本と中国、米国と中国の技術係数が基準年の1993年で一定と 仮定した場合の日中均衡レート、米中均衡レートである。これらの表は、韓国の均衡レ ートと同様に、中国の労働投入係数aが中国の均衡レートに大きな影響を与えているこ とを示すものである。もし中国の労働投入係数が1993年の水準で一定であった場合、

2000年において中国の通貨価値は、対円、対米均衡レートともおよそ1/3となることを 示している。一方、中国の原材料投入係数bは、対円、対米ドル均衡レートにそれほど 影響を与えていない。また、相手国である日本や米国の労働投入係数や原材料投入係数 は、それらが一定であったとしたら、それぞれ元高になることを示しているが、相対的 に相手国の原材料投入係数の変化が元の均衡レートに影響を与えている結果となった。

中国の場合は、賃金で測った購買力平価が均衡為替レートよりも安く推移していること から、中国の労働生産性の上昇が、日米の生産性上昇を凌駕して結果的に均衡為替レー トの減価の度合いを低く抑えていることがわかる。

表 5‑2‑1  技術係数が基準年で一定と仮定した日中均衡レート  (基準年次:1993 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

中国のa 一定

中国のb 一定

日本のa 一定

日本のb

一定 PPP

1985 0.012 0.017 0.009 0.017 0.017 0.027 0.022

1986 0.020 0.025 0.014 0.025 0.025 0.033 0.024

1987 0.026 0.019 0.013 0.019 0.020 0.031 0.027

1988 0.029 0.025 0.017 0.025 0.026 0.041 0.031

1989 0.027 0.036 0.022 0.036 0.037 0.048 0.032

1990 0.033 0.038 0.023 0.038 0.037 0.051 0.034

1991 0.040 0.042 0.028 0.042 0.041 0.051 0.036

1992 0.044 0.040 0.035 0.040 0.040 0.045 0.041

1993 0.052 0.052 0.052 0.052 0.052 0.052 0.052

1994 0.084 0.065 0.072 0.065 0.064 0.062 0.065

1995 0.089 0.075 0.085 0.075 0.071 0.077 0.076

1996 0.076 0.082 0.108 0.082 0.074 0.071 0.081

1997 0.069 0.077 0.119 0.076 0.068 0.061 0.083

1998 0.063 0.081 0.172 0.080 0.069 0.055 0.100

1999 0.073 0.084 0.220 0.083 0.070 0.050 0.111

2000 0.077 0.078 0.263 0.076 0.062 0.041 0.122

表 5‑2‑2  技術係数が基準年で一定と仮定した米中均衡レート  (基準年次:1993 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

中国のa 一定

中国のb 一定

米国のaが 一定

米国のbが

一定 PPP

1985 2.937 2.387 1.209 2.390 2.628 3.207 2.684

1986 3.453 3.730 2.114 3.743 4.616 3.821 2.949

1987 3.722 3.392 2.406 3.388 3.628 3.746 3.178

1988 3.722 3.897 2.696 3.883 4.124 4.679 3.660

1989 3.765 5.176 3.262 5.171 5.537 5.257 3.937

1990 4.783 4.819 2.968 4.806 5.063 5.224 4.124

1991 5.323 5.318 3.585 5.310 5.571 5.543 4.353

1992 5.515 4.887 4.249 4.886 4.997 5.055 4.716

1993 5.762 5.762 5.762 5.762 5.762 5.762 5.762

1994 8.619 6.737 7.489 6.728 6.526 6.910 7.147

1995 8.351 7.198 8.109 7.149 6.742 8.427 8.499

1996 8.314 6.882 9.062 6.834 6.289 7.474 9.164

1997 8.290 6.851 10.582 6.771 6.037 6.956 9.392

1998 8.279 8.109 17.312 8.016 6.628 7.048 10.719

1999 8.278 8.108 21.217 7.998 6.189 5.934 11.303

2000 8.279 6.790 22.789 6.617 5.001 4.138 11.931

104

表5-3-1、表5-3-2は、台湾ドルの均衡為替レートの変動要因を示している。台湾ドル

の均衡為替レートの変動要因は、ウォンの均衡為替レートの変動要因とほぼ同じである。

すなわち、1994年以降の均衡為替レートの動きは賃金で測った購買力平価に沿って動 いている。勿論台湾の労働生産性の上昇は大きいが、それが均衡為替レートを上昇させ る力は、日本または米国の労働・原材料投入係数の相対的低下によって相殺されている。

アジア通貨危機以降、台湾ドルの均衡為替レートが上昇した背景には、この労働・原材 料投入係数における日本と米国との格差が縮小してきたことがあげられる。

表 5‑3‑1  技術係数が基準年で一定と仮定した日台均衡レート  (基準年次:1994 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

台湾のa 一定

台湾のb 一定

日本のa 一定

日本のb

一定 PPP

1980 0.159 0.050 0.023 0.049 0.054 0.117 0.106

1981 0.167 0.055 0.026 0.054 0.060 0.125 0.119

1982 0.157 0.053 0.027 0.052 0.057 0.124 0.124

1983 0.169 0.058 0.032 0.058 0.063 0.123 0.129

1984 0.167 0.074 0.041 0.073 0.080 0.138 0.136

1985 0.167 0.083 0.046 0.083 0.089 0.146 0.137

1986 0.224 0.111 0.068 0.111 0.121 0.168 0.149

1987 0.220 0.145 0.095 0.144 0.158 0.193 0.161

1988 0.223 0.152 0.106 0.152 0.160 0.213 0.170

1989 0.191 0.163 0.121 0.163 0.170 0.219 0.184

1990 0.186 0.172 0.139 0.172 0.174 0.218 0.198

1991 0.199 0.184 0.163 0.183 0.183 0.217 0.213

1992 0.199 0.215 0.197 0.215 0.218 0.234 0.232

1993 0.237 0.239 0.227 0.239 0.242 0.249 0.248

1994 0.259 0.259 0.259 0.259 0.259 0.259 0.259

1995 0.281 0.265 0.290 0.265 0.253 0.259 0.265

1996 0.252 0.285 0.324 0.284 0.263 0.254 0.269

1997 0.237 0.355 0.405 0.354 0.307 0.261 0.274

1998 0.255 0.345 0.425 0.344 0.296 0.260 0.285

1999 0.283 0.312 0.452 0.311 0.259 0.234 0.297

2000 0.290 0.272 0.455 0.271 0.215 0.198 0.300

表 5‑3‑2  技術係数が基準年で一定と仮定した米台均衡レート  (基準年次:1994 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

台湾のaが 一定

台湾のbが 一定

米国のaが 一定

米国のbが

一定 PPP

1980 36.00 7.54 3.46 7.39 9.05 12.33 13.85

1981 36.84 7.18 3.39 7.05 8.37 12.72 15.01

1982 39.11 8.72 4.36 8.56 10.39 13.40 15.16

1983 40.06 8.77 4.82 8.63 10.47 13.44 15.30

1984 39.60 9.89 5.52 9.77 11.93 14.46 15.96

1985 39.85 11.62 6.43 11.52 14.17 15.51 15.78

1986 37.82 16.58 10.11 16.51 22.27 17.94 16.65

1987 31.77 20.58 13.51 20.53 26.95 18.86 17.72

1988 28.59 20.22 14.08 20.18 25.25 20.11 18.74

1989 26.40 20.75 15.42 20.72 25.23 20.55 20.76

1990 26.89 20.58 16.54 20.55 24.25 19.79 22.58

1991 26.81 21.76 19.31 21.73 25.23 20.91 23.96

1992 25.16 24.43 22.34 24.41 26.74 23.37 24.87

1993 26.38 25.59 24.30 25.59 26.87 24.95 25.58

1994 26.46 26.46 26.46 26.46 26.46 26.46 26.46

1995 26.48 25.36 27.66 25.33 23.97 26.58 27.55

1996 27.46 25.08 28.53 25.04 22.89 25.78 28.35

1997 28.66 31.69 36.23 31.66 27.18 27.88 28.89

1998 33.44 34.45 42.46 34.39 27.56 31.13 28.46

1999 32.27 29.78 43.14 29.69 22.44 26.37 28.14

2000 31.23 23.21 38.75 23.07 16.95 19.29 27.23

マレーシアリンギの均衡為替レートの動きについても、表5-4-1、表5-4-2をみると、

台湾ドルのケースと同様のことがいえる。均衡為替レートの動きは、ほぼ賃金で測った 購買力平価の動きに沿っている。労働生産性については、マレーシアの方が日本や米国 を上回っているが、原材料生産性の部分で劣位にあるため、労働生産性向上の部分が均 衡為替レートの上昇に反映されていない。しかしここ数年は、原材料生産性の相対的改 善によって、均衡為替レートはリンギ高となっている。

 

表 5‑4‑1 技術係数が基準年で一定と仮定した日マレーシア均衡レート(基準年次:1990 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

マレーシア aが一定

マレーシア bが一定

日本のa 一定

日本のb

一定 PPP

1980 0.010 0.005 0.004 0.003 0.005 0.026 0.016

1981 0.010 0.007 0.004 0.003 0.007 0.030 0.016

1982 0.009 0.006 0.004 0.004 0.006 0.019 0.018

1983 0.010 0.007 0.005 0.006 0.007 0.018 0.020

1984 0.010 0.008 0.008 0.007 0.009 0.016 0.021

1985 0.010 0.009 0.008 0.008 0.010 0.020 0.022

1986 0.015 0.012 0.012 0.011 0.013 0.017 0.021

1987 0.017 0.013 0.014 0.012 0.014 0.018 0.021

1988 0.020 0.014 0.015 0.014 0.015 0.019 0.019

1989 0.020 0.016 0.016 0.016 0.016 0.019 0.019

1990 0.019 0.019 0.019 0.019 0.019 0.019 0.019

1991 0.020 0.023 0.024 0.023 0.022 0.019 0.020

1992 0.020 0.025 0.028 0.025 0.025 0.020 0.021

1993 0.023 0.030 0.033 0.030 0.030 0.022 0.022

1994 0.026 0.036 0.044 0.036 0.034 0.024 0.025

1995 0.027 0.045 0.052 0.044 0.040 0.027 0.025

1996 0.023 0.048 0.062 0.047 0.040 0.026 0.028

1997 0.023 0.047 0.073 0.047 0.038 0.024 0.030

1998 0.030 0.055 0.083 0.054 0.044 0.027 0.031

1999 0.033 0.062 0.098 0.061 0.046 0.026 0.032

2000 0.035 0.058 0.114 0.057 0.040 0.021 0.033

表 5‑4‑2 技術係数が基準年で一定と仮定した米マレーシア均衡レート(基準年次:1990 年) 

実際の為 替レート

均衡為替 レート

マレーシア のaが一定

マレーシア のbが一定

米国のaが 一定

米国のbが

一定 PPP

1980 2.177 1.044 0.725 0.533 1.075 4.649 2.602

1981 2.304 1.162 0.739 0.568 1.200 4.985 2.557

1982 2.335 1.227 0.942 0.842 1.303 3.354 2.797

1983 2.321 1.333 1.008 1.090 1.426 3.252 2.958

1984 2.344 1.369 1.271 1.222 1.497 2.624 3.082

1985 2.483 1.663 1.440 1.386 1.786 3.372 3.161

1986 2.581 2.095 2.155 2.015 2.437 2.691 3.018

1987 2.520 2.180 2.384 2.111 2.311 2.689 2.885

1988 2.619 2.342 2.452 2.302 2.419 2.789 2.723

1989 2.709 2.453 2.536 2.425 2.496 2.782 2.728

1990 2.705 2.705 2.705 2.705 2.705 2.705 2.705

1991 2.750 3.134 3.400 3.141 3.017 2.851 2.818

1992 2.547 3.449 3.944 3.448 3.041 3.171 2.928

1993 2.574 3.934 4.327 3.932 3.271 3.524 2.899

1994 2.624 4.361 5.334 4.355 3.347 3.823 3.188

1995 2.504 5.190 6.040 5.174 3.646 4.553 3.353

1996 2.516 5.124 6.721 5.100 3.448 4.447 3.699

1997 2.813 5.183 8.057 5.142 3.222 4.363 3.957

1998 3.924 6.923 10.567 6.875 3.743 5.470 4.001

1999 3.800 7.648 12.138 7.591 3.590 5.094 3.813

2000 3.800 6.751 13.259 6.621 2.903 3.691 3.835

106

5-5 . 実効均衡為替レートの計測

これまでは、2国間の実体経済の要素価格や生産性をもとに、両国の貿易財に関する 国際競争力を均等化させる均衡為替レートとその要因を分析してきた。しかし、本来貿 易取引は、多国間で行われるもので、2国間の国際競争力が均等化し、長期的にみても 貿易収支が均衡するように為替レートが決まる必要はない。また、ある国との為替レー トが、均衡為替レートに収束したとしても、それが他国との均衡為替レートからの乖離 をもたらす場合もある。

こうした点から、ここではこれまで計算してきた2国間の均衡為替レートを、貿易ウ エイトで加重平均することにより、実効均衡為替レートを計算した。計算方法としては、

以下の通りである。

(1)これまで計算した2国間の均衡為替レートを、1990年=100として指数化する32

(2)次に財務省の『外国貿易概況』から、相手国との輸出入金額のウエイトをとって、

そのウエイトで、各均衡為替レートを加重平均する。このウエイトについては、1990 年時の固定ウエイトと、毎年の貿易ウエイトをとる変動ウエイトの両方のケースに ついて計算する。

(3)この加重平均した為替レートの系列が、実効均衡為替レートである。

勿論、我々が計算した均衡為替レートは、米国とアジア5カ国に限られているので、

日本が貿易しているすべての国を対象としているわけではない。しかし、1990年(基 準年)では、これらの国々との貿易額(輸出額+輸入額)が全体の貿易額に占める比率

は46%になるので、日本の貿易の約半分をカバーしていると考えられる。

以上のような計算によって、計測した実効均衡為替レートの系列が図5-8に示されて いる。図 5-8では、実効均衡為替レートと、現実の為替レートを同じ貿易ウエイトで加 重平均した名目実効為替レート、そしてIFS統計の名目実効為替レートを比較している。

図では指数の値が大きくなるほど、円の価値が高くなるようにしている。これをみると、

米国とアジア諸国だけで計算した名目実効為替レートの動きとIFS統計による名目実 効為替レートはほぼ同じ動きをしているため、我々は実効均衡為替レートと、米国、ア ジア諸国を中心とした名目実効為替レートの動きを比較することにする。

32 2国間の貿易収支が縮小する時期は異なっているが、ここでは、日本の貿易収支が、この15年間でもっ とも、縮小した1990年を基準年として選んだ。

ドキュメント内 わが国の国際収支における中長期的な分析 (ページ 107-117)