うえ希銓の妻秋菊を妓楼に売るが‘九死一生’に阻止される(第32回)。賭場で有り金を摩 り杭州へ逃げる(第39回)。不良僧侶となり盗みを働き枷に架けられる(第45回)。
②慈善詐欺師
史紹経という“大善士”が山西救済の寄付を募る二百冊の募金帳を省の各州県知事用に 送りつけてくる。これら新手の“大善士”には売名や詐欺目的の者が多く、中には ‘無 名氏’の寄付金を一部のみ公益報告書に載せ残りを生活費に流用し、寄付された衣類を被 災地に送らず自宅で雇用人のお仕着せとする者もいる(第15回)
③自称贋金つくり
銭荘の主古雨山が六銭七八分のコストで七銭三分の銀貨を作れるという触れこみの男 を信用し、製造を委託する。男は七千銀の元手を受け取り逐電する(第63回)。
④山東の「好漢」
私は叔父の二人の遺児を連れ帰る途次に、地元で「好漢」と通称される盗賊団に襲われ る。彼らは抵抗しなければ財物のみ奪い、人に危害を加えないという。悪党なりに人情が あり、私が幼児の衣類だけは残してくれと懇願すると、聞き入れてくれる(第108回)。
(3)傀儡師型利欲追及者
①苟才
召使を従え立派な身形で身分の低い兵卒にへりくだり‘礼賢下士’の人物を演出してい る(第4回)。‘礼賢下士’の真相は、貸衣装を着こみ親族を下僕や下婢に仕立てて体裁を繕 い、大官の兵卒を接待して口利きを求める就職運動だった。しかも貸衣装を汚して貸衣装 屋と揉める(第7回)。役職に就いた苟才は十六歳の長男に美しい嫁を娶らせる。しかし嫁 は苟才夫人にいびられ、嫁を庇った長男まで虐められ持病を悪化させて死ぬ。おりしも苟 才は御史太夫に弾劾され免職となっていた(第87回)。苟才は気に入りの妾を亡くした総督 に、長男の嫁を新しい妾として贈ろうと企む(第88回)。嫁が総督に舅の非道を訴えようと したので、薬を盛り朦朧状態に陥らせて輿入れさせる(第89回)。その効果でたちまち三つ の職を得る(第90回)。
②父の友人尤雲岫
○杭州で客死した‘九死一生’の父の葬儀に駆けつけ、遺産を着服する(第2回)。
○長老と謀って‘九死一生’の家産を李家に斡旋して儲けようとする(第19回)。
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○訴訟を請負って稼ぎ世間に憎まれていたが、息子が強盗を働き処刑され、破産零落する
(第65回)。
③一族の長老
○母危篤と偽った電報で‘九死一生’を呼び戻し祖廟修復費の名目で遺産を巻き上げよう と企む(第18回)。
○尤雲岫と結託して‘九死一生’の家産を李家に斡旋して儲けようと謀る(第19回)。
④宝石店店主
宝石店に現れた自称役人が宝石の販売を店に委託し、客を装う共犯が手付金を払う。役 人が品物の返還を求めたので、店が宝石代を立て替えて支払う。役人と客は金と宝石を持 ったまま逐電し、番頭たちは大金を詐取され、店の損害を賠償する羽目に陥る(第5回)。 実はこの詐欺の黒幕は宝石店主で、宝くじにあたった店員たちの金を狙った犯行であった。
(第6回)。
⑤密輸業者
○税関役人が阿片を押収し私物化するので、大量のイナゴと糞尿を詰めた壺を阿片に見 せかけ押収させる。開けるとイナゴの群れが飛び出し糞尿が飛び散り大騒動となる。
○棺桶に遺体の代わりに禁制品を隠していると見せかけ税関を通る。委員が開けさせると 本当に遺体であったので葬礼をやり直し五千銀を償い謝罪する羽目となる。その後何日 間も続けざまに棺桶が通り査問なしで通関する。実は後の棺桶の中身はすべて禁制品で あった(第12回)。
⑥船賃詐欺の母子
上海の旅館近辺で、蘇州から息子を捜しに来た母親と船賃を払えと責める船員の芝居を 演じて同情を引き、通行人から船賃を詐取する(第17回)。
⑦沈経武
もと四川の質屋の徒弟で、店の女中と出奔する。後に共同経営者の出資金を横領し、
女中に金を預けて収監される。女中は上海に薬茶屋を開いて待つ(第28-29回)。出獄する と妻子を捨て、女中と共に薬屋を営み、北京の老舗同仁堂の看板を掲げる。同仁堂は告訴 するために店員を派遣する。彼は店員を饗応して酔い潰し、夜中に看板の文字を書き換え るという奇策を弄して切り抜ける(第32回―第35回)。既述の如くこの話は、中国小説史 上最初の商業訴訟記事となった。
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⑧塩商の妾羅魏氏一族
家の再興を謀ろうとする現当主を先代当主の妾羅魏氏とその一族が不孝の名目で訴え
(第45回)幽閉する(第53回)。既述の如く、西太后と光緒帝を暗喩していると思われる。
⑨斎明如
洋服の仕立屋だが本業はいかさま賭博を生業とするやくざである。江蘇知府候補柳采卿 に外国人を紹介し、息子を洋行買弁として採用するという条件で五千銀を出資させる。
外国人は名前も国籍も定かでない破落戸で金を奪って姿を消す(第49~50回)。
⑩塩商の息子
財産分与に不満を抱き、父親を義和団の残党と訴える(第53回)。
⑪祖武(労佛/COVE)医師
外国帰りの中国人西洋医で、成金荀鴬楼に薬局を開店し新薬を作ると持ちかけ十万銀を 投資させる。その後、大量の薬瓶を残して行方をくらます。瓶の中身はただの水だった。
荀鴬楼は官界に伝手を得て税の取り立てを請負い搾取していた。彼の悪行を憎む人々は喝 采を叫ぶ(第55回)。
⑫李荘
夏作人は李荘の妻と私通していた。李荘は夏作人を脅し彼の弁髪を奪った後、妻を惨殺 し、手に夏作人の弁髪を握らせる。夏作人は李荘の妻殺害の罪で処刑される(第56回)。
⑬下宿人の老婦人
置き屋のやり手婆が資産家を装って間借りし、大家の息子を義子にする。帰郷と称して 息子一家を連れ去り、息子を猪仔にその妻と妾と女中二人を妓女に売り飛ばす(第59回)。
⑭車文琴
妓楼遊びに耽る京官で、結婚したくないので、婚約を破談にしようと不貞の噂を立てて 許婚者を自殺に追いこむ(第77回)。
⑮四川の詐欺師
四川の大富豪張百万が娘に皇后の気が顕れているという詐欺師の託宣を信じる。詐欺師 は夜中に樵の枕頭で松明を焚き、光と煙を演出して皇帝の気が顕れたと言いたてる。張百 万は娘と樵に龍衣鳳冠を着けさせて婚礼を挙げさせるが、謀反の罪で捕えられる(第81回)。
⑯陸観察
陸観察は、日清戦争時に平壌で日本軍と対陣した清軍司令官に、日本軍の強暴さを言 い募り怯えさせる。秘かに日本軍に退却を申し出て退路を空けさせるほうが、全滅するよ