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65 1902(光緒二十八)年

【4月『漢口日報』編集人に招聘される。】

【11月梁啓超が‘小説界革命’を標榜し雑誌『新小説』を発刊。】

時事政論集『呉趼人哭』を手跡出版する。

1903(光緒二十九)年

【5月『漢口日報』が官弁に買収され辞職、上海に戻り、小説家に転身する。】

【6月『蘇報』事件】

10

月より『新小説』に作品を発表、専業作家となる。】

10

月『二十年目睹之怪現状』(-1906.145回まで連載、以後全108回を執筆、1911.1まで八巻に分 けて出版)、「痛史」(-1906.1未完)「電術奇談」(-1905.7)、「新笑史」(-1905.12)同時連載 開始。

1904(光緒三十)年

【2月日露戦争勃発する。】

12

月「九命奇冤」(-1906.1)、「新笑林広記」連載開始(-1905.11)。

1905(光緒三十一)年【8

月「中国同盟会」成立。9月科挙が廃止となる。】

【娘呉錚錚(1905.3.28-1971.1.4)誕生。】

【春漢口で米人経営の『蘇報』中文版主筆に就く。】

【7月辞職して上海に帰り反美華工禁約運動に参加する。】

1

月「瞎騙奇聞」連載開始(-1905.3)

9

月『新石頭記』連載開始(-12月第13回まで連載、1908. 1040回単行出版)

1906(光緒三十二)年

9

月清朝中央官制改革、立憲政治を予告する。】

【11月『月月小説』発刊。周桂笙とともに編集執筆に携る。】

4

月『中国偵探案』出版。

9

月「糊塗世界」、『胡宝玉』出版。

10

月『恨海』出版。

11

月「俏皮話」(-1908.9)、「両晋演義」連載開始(-1907.11未完)

11

「預備立憲」、「慶祝立憲」12月「大改革」、「義盗記」(いずれも短編小説)

1907(光緒三十三)年

【<中国革命同盟会>各地で起義】

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【冬同郷有志で広東旅学(広志小学校)を組織】

1

短編小説「黒籍冤魂」

2

短編小説「快昇官」、「立憲万歳」「平歩青雲」

3

月「上海遊驂録 」連載開始(-5月)

4

月「賈鳬西鼓詞・序」発表。『趼廛剰墨』(-1908.12)

5

月「曾芳四伝奇」連載開始(-10月未完)短編小説「査功課」

11

月「劫余灰」連載開始(-1909.12)

11

月「発財秘訣」連載開始(-1908.3)。「剖心記」、「雲南野乗」

(-1908)

短編小説「人鏡学社鬼哭伝」

12

月戯曲「鄥烈士殉路」連載開始(1908.1)

1908(光緒三十四)年

【10月清朝<憲法大綱>発表、9年後の国会開設を予告。11月西太后、光緒帝没。】

【12月『月月小説』24期を出して停刊。】

【2月広志小学校を開学、運営する。】

1

短編小説「無理取閙之西遊記」

2

短編小説「光緒万年」

10

月『新石頭記』全

40

回単行出版

1909(光緒三十五)年

【娘に纏足を禁じ天足会(纏足しない天然の足を奨励する会)に入会させる。】 春「近十年之怪現状」発表(未完)

10

短編小説「中霤奇鬼記」

12

月「劫余灰」連載終了

1910(宣統二)年

春「我仏山人滑稽談」執筆(―9月)

「近十年之怪現状」(『絵図最近社会齷齪史』)出版

3

月「我仏山人札記小説」連載(-6月)

6

月「情変」連載開始(未完)

10

21

日喘息の発作で急死する。

絶筆「情変」、年内に出版。

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1911(宣統三)年 1

月『二十年目睹之怪現状』(108回)全巻の出版が完了する。同月に『趼

廛筆記』も出版される。いずれも死後の出版である。急死した作家の未完作品刊行が読者に 俟たれ、出版社が遺文の収集刊行に努める現代の情景に近い。呉趼人が辛亥革命前夜の清末 において最後まで“売れる”作家であったことを窺わせる。

呉趼人はこのように常に複数の長篇小説を並行して連載し、随筆、笑話、戯曲と多彩、多 量の執筆活動を行った。とりわけ小説において、創意工夫を凝らし独自の作品作りに努めた ようである。呉趼人の小説に見られる様式上の創始や資料価値については、以前から指摘さ れてきた。近年、欧陽健や付建舟をはじめとする中国の研究者は作品内容を検討し、さらに 幾つもの中国小説史上初めての試みを挙げて検証している。それらの成果をまとめると、以 下の如くとなる。

【《社会小説》】

呉趼人は『新小説』誌上に《社会小説》の角書を冠して『二十年目睹之怪現状』を発表し た。『二十年目睹之怪現状』は中国小説史上初めて《社会小説》の名を冠した小説である*

【‘○現状’というタイトル】

『二十年目睹之怪現状』は清末に大量に書かれた‘○○現状’という題名を冠する小説の 嚆矢でもある*2。

【一人称】

『二十年目睹之怪現状』は、中国小説史上はじめて一人称の進行方式を採用した*3

【‘資本主義商界’の記事】

『二十年目睹之怪現状』には、中国小説史上初めて‘資本主義商界’の記事*4が描き こまれた。

【≪写情小説≫】

1906

年に≪写情小説≫の角書を冠して発表した『恨海』は、中国小説史上最初の創作≪

写情小説≫である5*。呉趼人は作品冒頭に‘写情’の定義と意義を挙げて執筆の決意を表 明している。

【≪歴史小説≫】

≪歴史小説≫に新たな意義付けをした*6。

【≪翻新小説≫】

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『新石頭記』は昔の書名と人物名を踏襲して新しい話を描く所謂≪翻新小説≫(阿英は《擬 旧小説》と呼ぶ)の先駆けである*7。

【≪笑話小説≫】

≪笑話小説≫に新境地を拓いた*8。

【民族資本家形象】『二十年目睹之怪現状』呉継之は、いわゆる紳商出身の民族資本家形象

(官僚地主から資産階級に転身した人物)の小説における最も早い出現である*9

【官人の商人への転身】

『二十年目睹之怪現状』は、地主階層官僚経験者いわゆる郷紳階層の起業、実業界への意 図的転身を描いている。管見によれば、官界と絶縁したうえで商人に転身する士大夫とい う新たな階層が小説中に登場したのは、おそらく中国小説史上『二十年目睹之怪現状』が 最初であろうと思われる。

【業界内部告発記事】

管見によれば、『二十年目睹之怪現状』に記された江南製造局の裏話(第

28、第 50

回)、

「発財秘訣」*10に記された茶問屋が生産業者から収奪する実態(第 8 回)などは呉趼人の 実体験に裏付けされている。おそらく中国小説史上初めての就労経験者からの業界告発記 事であろう。

【‘民族資本機器工業主’】

『二十年目睹之怪現状』に、中国における‘民族資本機器工業主’に関するおそらく最 も早い記録証言が成された*11。『二十年目睹之怪現状』に登場する発昌機器工廠は実在し た民族資本工場で、作中の工場主方佚蘆のモデルは実際の工場主方逸侶である。民族資本 工業の小説中における初めての記載であり、歴史上にも貴重な記録を残した

【商標訴訟の記事】

『二十年目睹之怪現状』に中国小説史上初めて商標訴訟の記事が描きこまれた*12。

【悪人ばかりの小説】

「瞎騙奇聞」(1905)、「糊塗世界」 (1906)、「発財秘訣」三篇の中心人物はみな社会倫理 に悖る悪行を処世の業としている。管見によれば“登場人物のほとんどが(非政治性)悪 人”、“悪事の描写が主眼”という設定の小説は中国小説史上初めての試みと思われる*13。

このように呉趼人は素材面、方法面において中国小説史に多くの新たな領域を開拓した。

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