1. 7. 1 オープンコースウェアのミッションと体制
2005年から始まった京都大学OCWは,学内で実際に利用している講義教材をインターネットで公開するプロ ジェクトである.学内の学生,教職員,他大学の学生,関連学会の研究者,京都大学を志願する高校生,さらなる 学習を志す社会人など,あらゆる方々に京都大学の講義内容を知ってもらい,門戸を広げることを目的としている.
また,世界へ向けて,京都大学のビジビリティを高め,日本の文化・伝統を発信するために日本語で積極的にアピー ルする.OCWは,人類の知的資産の貢献と 共有を目指して,世界各国とのコミュニケーションを高め,国際交流 を推進する.
学内の体制は,2011年度までは,OCWプロジェクトであったが,2012年度より,組織化された.2012年度は,
教授1名,教務補助員1名,学生スタッフ6名(日本人3名,ベトナム人1名,ドイツ人1名,アメリカ人1名)で,
OCWの運用,システム開発,OCWコンテンツ企画,高校生のためのOCW推進,OCWに関するシンポジウムの開催,
講義収録,編集,サイトアップを行った.
学外への体制は,日本オープンコースウェアコンソーシアムに入会しており,国内でOCWを推進している大学 や企業との交流をはかる.また,国際的には,オープンコースウェアコンソーシアムに入会し,世界の300以上の OCWを推進している大学との交流を持つ.
1. 7. 2 現状の課題と取り組みの方針
現在,297講義がOCWにアップされている.詳細は,講義映像453クリップと2000の講義資料である.これ だけ多いと,ユーザーは見たい講義になかなかたどり着かないという現象が起こってくる.これらの講義を苦労す ることなく,ユーザーヘ最大限活用してもらうためには,ユーザーの興味から講義が選択できる機能が必要である.
そこで,私のOCWとして,iOCWという興味のある言葉を入力すると,言葉の連想から任意のOCWコンテンツ をレコメンドしてくれるシステムを開発した.
また,ユーザーに見やすくするために教員の講義とパワーポイントを同時に再生でき,また見たい場面へインタ ラクティブに飛ぶことができるストリーミングシステムを採用している.
67 1. 7 オープンコースウェア(OCW)
2011年度より,文科省の大学教育公開の推進を受け,OCWヘ全部局の講義シラバスを公開している.課題とし ては,高校生へOCWの情報がなかなか届きにくいという事がある.対策としてはオープンキャンパスをOCWで 配信することをはじめ,現役京大生による高校生へのおすすめOCW講義を紹介している「高校生のためのOCW」
の配信や,高校生が読んでいる大学ジャーナル紙上で京大OCW特集を組んだりしている.
1. 7. 3 2012 年度の取り組み
2012年には,情報環境機構の運用委員会のひとつとして,学生が居る部局の教員,学務部教務基盤課,技術職 員をメンバーとする22名のOCW運用委員会を発足させた.各部局のOCW運用委員と研究科長と共に面談し,
OCWの推進を促した.運用委員会では,OCWシステム開発も行った.具体的には,学術情報メディアセンター 河原達也教授の研究成果である講義映像に音声認識から字幕を付ける機能と,情報学研究科黒橋貞夫教授の研究成 果である曖昧検索YSUBAKIをOCW検索用に開発した.
iPS細胞研究所山中教授の講義で,日本語字幕が付いている画面
新 た な 試 み と し て,MOOCと 呼 ば れ る10分 単 位 の 講 義 を 宿 題 と 共 に 配 信 す る 講 義( 医 学 研 究 科 の 講 義 Introduction to Evidence-based Mental Health, 古川壽亮教授)を収録し,配信を試みた.大変好評であり,今後この 配信の方法が進むと思われる.
最後に,全学的に,前期,後期の前にOCW募集をメールで呼びかけると共に,最終講義の募集と撮影も行い,
2012年度のOCW配信コンテンツは,正規講義数74講義(日本語68,英語5,フランス語1)公開講座29講義,
国際会議12講義で,総合計は117講義を配信した.
1. 7. 4 今後の進め方
OCWを推進すると共に,OCWの発展系であるハーバードとMITが作ったオンライン教育プラットフォーム edXを,OCW運用委員会で推進していく.
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