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   井上正広

Appendix A

道徳授業「ぼくは後悔しない」の資料内容

ぼくは後悔しない

黄色く地面をうずめていたいちょうの落ち葉をふみながら、三郎はゆっくり と校庭を門の方へ向かっていった。三郎の心は重かった

三郎のむねの中には、なまりのように重いものがっかえているようだった。

 三郎の組の学級会の議題は、7人の運営委員が、投票箱を開けて、そこに入 れられた議題の中から決めることになっていた。

今日、投票箱から出た議題でいちばん多かったのは、学級の新聞係への注文 と、学級のボールの使い方についてだった。それは、

「学級のボールを、決ったいく人かがいつも持っていくために、ほかの者が使 いにくい。 これからは、誰でも使えるようにしよう。」

という提案だった。あしたどちらの議題を取り上げるか話し合ったが、まとま らないので、投票で決めることになった。

 三郎は迷った。新聞のことも大切だが、みんながボールについて不満を持っ ていることを、委員の一人としてよく知っていた。

 ところが、ボールをいつも持って出る人たちの中に、三郎の大好きな正夫が いるのだ。そして、明日の学級会の提案は、三郎がする番だった。

正夫は体が大きく、運動も万能だ。三郎はさっぱりした性格の正夫とは、よ

く気が合う。

三郎は、みんなのことを考えたら、ボールの議題を取り上げなければと思っ た。しかし、学級会での正夫の立場や気持ちを考えると、ボールの議題を取り 上げたくなかった。

三郎はどうしたらいいか迷ってしまった。

Appendix B

道徳授業「ぼくは後悔しない」の授業記録

逐語録「ぼくは後悔しない」(第6学年1組第1時)

Tl Cl T2 T3

T4 C2 C3 T5 C4 T6 C5 T7 C6 T8 C7 T9 C8 C9 T10 C10 T11

:みなさんは学級会の議題をどんなふうに決めていますか。

:議題箱に議題を入れてそれを話し合っています。

:地目は議題のきめ方について勉強します。早速ですけど、さっき配った資料を出してください。

:それも同じように議題のきめ方について三郎という人が、議題について考えている資料です。先  生が読みますので、分からない所があったら後で聞いてください。

      (資料範読)

;出てくるのは誰ですか。

三郎。

=正夫。

三郎と正夫君だね。三郎君と正夫君はどういう間柄なんですか。

:仲のいい友達。

:仲のいい友達だと思う人。

:全員挙手。

:三郎と正夫とが仲のいい所が分かる所に線を引いてください。

:全員線引きの作業を行う。

:線を引っ張った所を誰か発表してください。

:なかなか挙手がない。

:後一分待ちます。

:三郎はさっぱりした性格の正夫とはよく気が合うという所。

三郎の大好きな、という所。

二人の関係は分かった。今から考えて欲しいのは、一番最後の行を見てください。一緒に読んで  みようか。

:全員で最後の行を読む。

:三郎は何を迷ってしまったのか。

T12:隣の人と相談してもいいですよ。(1分後)はい、やめなさい。三郎君は何を迷っているのか。

C11:みんなのことを考えたら、この議題を取り上げなければと思った。しかし、正夫の気持ちを考え    ると、ボールの議題を取り上げたくなかったので、正炎は迷っていると思います。

T13=ボールの議題を取り上げるか取り上げないか迷ったんだね。それでは、三郎君はどうしたらいい    か。考えてください。このプリントを配りますので、このプリントに、ボールの意見を取り上げ    たほうがいいか、取り上げないほうがいいか、自分はどう考えるか、そのどちらかを書いてくだ    さい。そしてなぜそう思うのか、その理由を②のところに書いてください。理由は一つでいいで    す。時間は5分間です。

C12:理由をシートに書く。

T14:正筆巡視を行う。

T15:書いたのを発表してください。まず自分の立場をはっきりしてから発表してください。

C13:ぼくは、取り上げるほうで、理由は、一人のことだけじゃなくみんなのことを考えれば取り上げ    るべきだと思います。

T16:どうしてみんなのことを考えたなら取り上げるべきですか。

C14:黙る。

C15:みんながボールの問題を困っているんだから、ボールの議題を取り上げたほうがいいと思います。

   学級の問題になっていて、みんなが不満に思っているから、その不満をなくすためにもその議題    を取り上げたほうがいいと思います。

C16:ぼくは取り上げるべきだと思います。三郎の大好きな正夫がいるから、取り上げないのはおかし

   い。

T17:どうしておかしいのかな。

C17:黙る。

T18:考えていてください。

C18:ぼくは取り上げるほうで、みんなの気持ちを先に考えて、言ったほうがいいから。正夫が自分に    対する気持ちが変わるのではないかという自分勝手な気持ちではいけないから。

T19:なぜですか。

C19:クラスの問題だから。

T20  :}ま力鰭こ亭ま。

C20:ぼくは取り上げるほうで、学級の問題だから。

C21:ぼくは取り上げたほうがいいと思います。正夫一人のことより、学級のみんなのことを考えたほ    うがいいと思うから。

T21:どうして三郎君は、学級みんなのことを考えたほうがいいのかな。

C22:学級の問題になっているから。

C23:ぼくは取り上げるほうで、訳は、正夫君は、学級のボールを持っていって不満を持たれているの    で、やっぱり取り上げたほうがいいと思います。

T22:友達だけども、みんなのためを考えたら取り上げたほうがいいのかな。

C24:それも正夫のためになる。

C25:ぼくは取り上げるほうで、ただ一人の友達だけで、取り上げないのはよくないと思ったから。み    んなが使うボールだから持っていったらいけない。

C26:ぼくは取り上げるほうで、決った人が、一人で使うよりみんなで使ったほうがいいと思ったから。

C27:ぼくは取り上げるほうで、一人のことよりみんなのことを考えたほうがいいから。

C28:ぼくは取り上げるべきの方で、これは学級の問題なので、周りの人は不満を持っているのに、や    らないというのはいけないと思うから。

C29:わたしは取り上げるのほうで、いくら仲のいい友達でも、他の人がボールで遊びたいんだから、

   取り上げないことがおかしいから。

C30:友達は大切なんだけど、悪いことは悪いこととして、けじめをつけるべきだと思います。

C31:わたしは取り上げるべきで、みんなのことを考えると、これは学級の問題だから友達のことじゃ    ないから、友達のことは、後で友達に話して、学級のことは学級のことだからけじめをつけるべ    き。

C32:取り上げるほうで、ボールはみんなのことだから、一人の人ばかり使っていると他の人が使えな    いので。

C33:わたしは取り上げるのほうで、いくら友達でもみんなのことを考えると、ポールのことについて    不満に思っているから、取り上げるべきだと思います。

C34:わたしは取り上げるべきだと思います。いくら仲のよい友達のことだとしても、みんなが不満に    思っているのならそれを解決すべきだと思います。

C35:取り上げたほうがいいと思います。みんなが不満に思っているのだから、取り上げたほうが、正    夫君のためにもなると思います。

C36:わたしは取り上げるべきだと思います。いくら仲のよい友達がその中にいても、これはクラスの    問題で、その人の友達関係だけでポールの議題を取り上げないのはおかしい。

C37:取り上げるほうです。みんなはいつも決った人が、ボールを使うから使いにくいのだから、それ    に正夫君は、みんなに嫌な思いをさせていることを話し合えば分かってくれると思うから。

C38:仲のいい人だって、みんなのことを考えると、取り上げるべきだと思う。仲のいい人の気持ちも    大切だけど、一人のためにみんなを困らせるのはいけないと思う。

C39:みんながボールについて不満を持っているから、正夫のことだけ考えないで、みんなのボールに    ついての不満をなくしたほうがいいと思う。

C40:悪いことは悪いこととしてけじめをつけたらいいと思います。

T23:全員取り上げるべきだということですね。それでは、取り上げる理由をちょっと見てみょうがな。

   取り上げる理由は、みんなのことを考えると取り上げるべきだ、と。学級の問題だから。それか    ら、自分勝手な意見ではだめだから。それからもうひとつ、正夫君のことを考えたら、かえって    取り上げたほうがいい。悪いことは悪いことだから。だいたい、君たちみんなの意見を聞いてい    たら、このようなパターンに分かれたんじゃないかと思います。

T24:どうしてみんなのことを考えたら、取り上げるべきなのかな。

C41:沈黙。

T25:②のところに、今出た意見を参考に、なぜ取り上げるのかもう一度書いてください。変える人が    いたら変えていいです。

C42:二回目の判断理由づけを行う。

逐語録 「ぼくは後悔しない」(第6学年1組 第2時)

T1 :昨日議題を取り上げるか取り上げないか、君たちの意見は全員、取り上げるということでしたね。

   それはなぜかということで、理由を書いてもらいましたけど、4つぐらいに分かれたね。それで    今日はですね、それについてまずグループで話し合ってもらいたいと思います。君たちが昨月決    めた理由というのは、何かというと「きまり」です。君たちがこれから学級会とかで、議題を取    り上げるときの規則、決まりになります。この前は、三郎君がどうしたらいいかだったんだけれ    ども、自分たちがそういう時にはどうしたらいいのか、その時の決まりになるのです。それをみ    んなで話し合っていきたいと思います。君たちが昨日書いたものを参考に、いくつかのグループ    を作りました。なぜこのように分けたかというと、いろいろな意見の人が、一つのグループにい    るように分けました。今からグループで話し合ってもらいます。そして、グループのなかで一つ    の決まり、取り上げるべきだ、なぜなら、これこれこうだから、という決りをグループの中で話    し合ってください。そしてそれを、その小黒板に書いてもらいます。話し合いの内容をテープレ    コーダーに録音しながら、話し合いをしてください。話し合いには約束というのがあります。一    つは、全員発表してもらうということ。もう一つ、ある人の発表に対して、反対か賛成かはっき    り決めて、その人にちゃんと言ってあげる。それと、これは大事なことですけど、みんなが話し    合いの中で納得した意見は、みんなこれから守らなくちゃいけない、これから。こう決めたけど、

   ぼくは守れないなあというのは、決めないでください。だから、これは守れないなあというのは、

   その意見に対してノーといってください。そして、なぜ守れないのか、その理由を班の中の人に    言ってください。もう一つ、みんなが納得できるまで、話し合いをするということです。グルー    プの中の一人でも納得できない場合は、とことん最後まで話し合いを続けてください。時間は、

   約10分間です。

G1 :・正夫一人のことだけじゃなく、みんなのことを考えたら、取り上げるべきだと思う。

   ・取り上げて話し合ったりすると、正夫君も自分が悪いことをしたと気づく。

   ・私は取り上げるべきで、正夫君のためにもなるし、学級のみんなにもポールのことが大切だ     から、取り上げたほうがいいと思います。

   ・正夫君のためにもなるけど、みんなのためにもなる。

   ・質問するけど何でみんなのためにすっと。

   ・学級のことだから。

   ・なんで学級のことだからするの。

   ・だって二人の問題だけじゃないでしょ。

   ・みんなが悩んでいるからだろ。

   ・二人だけならそんなのほっといてよかよ。

   ・だったら、反対という意見はないわね。

   ・だったら、三郎君は取り上げて発表すればいいということ。