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中では,上流域の老年層を中心にマツガサが譲立つ。おそらく共通語的表現の 内部で,古いマツガサと新しいマツカサの抗争があったのであろう)。

 この表では理解について表示を省略したので,補足しておく。

 マツボックリの理解は,年齢層による率いが議立つ。理解者は20歳代以下18 人,40上代以下12人,50歳代以上2人であった(このうち童謡で覚えたと積 極的に指摘する者が,2G歳代以下に2人,40歳代以下に4人含まれていた)。

この数字は,若年層でもマツボックリを知らない人が,依然としてかなりいる ことを示している。

 マツ(ノ)ボボの理解者は全体で66人あったが,大体は使用者の散在してい る範圏に含まれていた。例外は,地点しからZの範囲の20歳代以下の7入と,

Z42, Z52の9人であった。一方,マツ(ノ)ボボを知らない人もかなり多かっ

132  地域差と年齢論

旨29主婦の塵

       ⑫オンナジロ        0バンバジロ

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た。使用者の分布する範囲内にも,知らないとする人がかなり混在している。

 これに対してマツカサは,使用でなければほとんどの人が理解していた。知 ちないと答えた人は約30人であるが,うちマツボックリを答えた人8人,マツ

(ノ)ボボを答えた人5人が含まれていた。ほかは松笠に関してまったくの無 答(マツ潔ックリに鮒してもマツ(ノ)ボボに対しても知らないという)であっ た(20歳代以下に多かった。13入)。対象物が存在しないというわけでもない のに,注意が向かないためか,若年層に無名状況が現れるものとしては,別に 表14(躁),表17(自在鉤の横木)があった。

 表29(主婦の座)は,次の表30とともに,囲炉裏のまわりの座名に関する項 目である。この表も,表9,表12〜表15などに準じて作成した。

 中年層と老年層では,まず,オンナジロとバンバジロが混在しているといえ

       2.結果と考察 133 る。下流域ではオンナジurが,上流域ではバンバジロがやや優勢であるが,そ の境界ははっきりしない。簸上流の老年層にケンジが認められる。この地域の 最古層と考えられ,その衰退のさまは,表16(虹)のニュージなど,表17(自 在鉤の横木)のチュージなどと似ている。カカジmは,オンナジロ,ないしは バンバジmの臨時的な言いかえではあるまいか。

 元来は主婦の虚名ではなかったヨコザやシモジmなどが,地点B,D, Q,

S,W, Yにみられるが,席次に関する社会制約がゆるみはじめたために混入 したものであろう。

 若年層が全域で無名状態に移行していく点は,地域差の認められない2.1.の 類とすることができたかもしれない。囲炉裏のまわりの席次についての社会制 約がゆるみはじめて,無名状態が発達しつつあるのであろう(中年層,老年層 にも,すでに無名状態がかなり認められる)。若年層は,席次といった社会醐約 にまだなじんでいないので現在無名,といった事情もあるかもしれない(若年 層が無名となるものには,表14(躁),表i7(自在鉤の横木),表28(松笠)が あった)。なおこの地域における囲炉裏の存在,舞存在については,表 27の説 明の末尾でふれている。

 この表では各語形の理解を表示していないので,その分布を補記する。

 オンナジロは,使胴範囲以外では,A49,地点CからMの30〜40歳代(12人),

地点RからWの範囲では,R 79, S 48, U 32, W43, W 69で理解されていた。

 バンバジロは,使糟範囲以外では,A49, F 28, F 29, Gc 29, Gc 31, Gc 54,

Gc 64, H 33,153,王64,地点」からYの40歳代以下(15人)で理解され ている点が矯につく。

 ケンジは,T65, U 62, Z 57, Z 70で理解されていてなるほどと恩われる が, r 29,さらにはGc 29でも理解されているのはおもしろい。また, S 82,

T58,T65,W65,W69,Y60でケンジは客座のこと(主婦の座の向かい側=

長男の座)として主婦の座ではないとしたのは,今園の資料の範園では何とも いえないが,さらに深く考えるべき問題である。

 表30(下座)は,表29とともに,囲炉裏のまわりの病名に関する項目である。

この表も,表9,表12〜表15などに準じて作成した。

134 地域差と年齢差

表3G下座

⑧ シモジm O シモザ

† スエジロ,セージロ マ スエザ,セーザ

。 キジロ

v無名

ドキュメント内 方言の諸相 : 『日本言語地図』検証調査報告 (ページ 139-142)