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結果と考察   55

明36 明34

2.  結果と考察   55

スル・24回転ザグラカク・42女ヤグラオカクが見られ 表1

た。

 ビタグラ(オ〉カクは,06までの年齢の高い層で比較的 多く用いられているが,「昔は使った」という焔心が多

く,現在はあまり用いられなくなっている様子がうかが われる。08から37までの層(60歳一一 31歳)で見ると,

陵う」より「知っている」の方が多くなり,とくに女 ではr昔使った」が27にあるのみであとは全く使われて いない。男女合わせて見ると,使用する,あるいは,使 倒したという人より,知っているだけという人の方がや

・や多いということになる。

 39より著い(30歳以下)層で見ると,r使う」という のは41勇と46男に見られるだけである。それぞれ被調 査者の注によれば,「まれにしか使わない」ということで ある。「知らない」が最も多く,「知っている」がこれに 次ぐ。この年齢層では,ほとんど用いられない語形とい

うことになろう。

 アグラ(オ〉カクは,全年齢層にわたって罵いられてい る。78から37までの層(80歳から31歳)で見ると,合 わせて6人が「知らないjと答えているが,39より若い 層では全員が「使う」と答えている。

 顎本丁語地図』52図に示されたこの地点の方書形

は,ビタグラ(オ)カクである。老年層のさらに古い層を 代表していると言えようか。『β本言語地図』の分布を児 ると,ビタグラ(オ)カクは,北関東から福島にかけて散 在するのみで,この地域の大勢はアグラ(オ〉カクである。

分布図からも,ピタグラ(オ〉カクは古いものの残存のよ

うに見え,表1の分布は触本言語地図3の分布と軌を

一にしていると書えよう。また,『β本言語地図』では,

女場⑭⁝働⑳曾一働愈⑰ 一◎駐⑰ ︸㊥ 一一㊥ ︸ 一⑭⑭ ︻一⑲⑱ 一⁝⑭︻ 一︸ 一⑧㊥ 一×⑭ ﹇愈×醗 一 一 一〜留 一︻︻ ⑲⑭ 一 ㊥⑱⑳ ﹁ ︻ ⑫ ︼ 麟 一 ⑭ ⁝ ×麟 一 ⑬⑭⑭ 一 ⑭㊥×⑳㊥⑧ ︻ ゆ⑱××⑬   ⑱ 一 ⁝ ⑭ 一 ⁝ 一 働轡 憩飾 ⁝ ②働

アグラ︵オ︶カク

女男×一〇××︻QO×﹁×OX ○⁝﹇○㎜﹇○◎一一〇〇︸一〇一︻一︻X×⁝⑭◎⁝◎働◎﹇﹇一⁝㊥一⁝⁝×X﹁○×⑲︸︻O﹇⑭︸×﹇⑰働一◎OX一〇QO◎◎◎⁝⑱O⑭㊥○一⑯﹁一◎︻一一◎醗⑯⑰﹇◎ׇビタグラ︵オ︶カク

別性3219876543210976532987654318754219865321876532108555444444444433333322222222111111eOOOOOO999999887   藷形生年

56 〜地点における年齢差と地理的分布

        この地点にアグラ〈オ〉カクは見られないが,周辺には広く分 表2

       布している。本表で児られるアグラ(オ)カクの全年齢層にわ        たる分布は,「H本言語地図」に見られる広い分布を蕎景とし        て,この地点にも,ビタグラ(オ)カクとの2形併存として,

        さらに,若い贋ではビタグラ(オ)カクと交替するかたちで浸        透している様子を示すものと言えよう。

2.2.2.表2「センタクスルを 裁縫する の意味で使う    か」(「H本言語地図』59図)

 『臼本言語地図毒59図では,栃木梁に計7地点「言う」が あり,駒生(5649.53)ではf古くは言った」となっている。

分布からは,「露う」は古形の残存と言うべきであろう。

 この項目の回答を全年齢にわたった分布として示したもの が表2である。23より上の年齢磨にr使う」がわずかに計7 入見られるだけで,それより下の層には「知っている」が散 見されるだけである。消滅寸前の語ということは明らかであ

る。

2.2.3.表3「あざになる」(触本欝語地図280図〉

 『日本言語地図書では,動詞部分にも注琶して作表し,符 号が与えられているが,本調査では前半の名詞部分のみに油 暑し,動詞部分は記録しなかった。表3には三つの語形を掲 げた。クurナジミとプチミは提示語形であるが,アザは純 築言語地算』式質問で得られた語形である。提示語形として は,上の二つのほか,クWジ,ブチを用意したが,クロジに ついては「知っている」という内雀がだれからも得られず,

また,ブチについても,「使う」というのが95男ただ1人で,

「知っている」が06男,48男,51男の3人だけだった ので,表には示さなかった。さらに,『日本言語地図』方 式の質闘の樹冠として,78勢,06男,23勇,25男,29 男でドドメイロニナルという表現が得られた。うち,25 男は「古いことば」という内雀を示してくれた。

 クロナジミは,いちばん若い層を除いてほぼ全年齢層 で用いられている。この地点で強固な地位を占めている 語形であると言えよう。78男,06努,29男と45女,51 男とで「今使うjという回答が見られる。一見r新しい」

侵入のようにも見えるが,前の3人については,上で述 べたように,ドドメイm・:・ナルと併用している。25男の

「ドドメィロは古い」という回答と合わせて考えて,こ の三つの「今使う」は,ドドメイUとの舛比でf新しい」

ということであろうと推測される。45男と51男につい ては,ブチミの方が「知っている」であるから,r昔使っ た」という語形はないことになる。従って,この「今使

う]というクロナジミは古い何かを追放して新しく侵入 したものとは限らないということになり,この2人の被 調査者(23歳と17歳)が,大人の仲問入りをした後覚え た方喬形であるという見方も可能である。

 49女,53女の2入は,クロナジミもブチミも椥って いる」けれど使わない。旨下のところ使屠語形はないわ けである。52男も使溺語形がない。このいちばん若い3 人については,今のところ「あざになる」という現象を 表わす語を持っていない。こののち,どのような語を採 用するか興味のあるところである。上の年代の人が広く 用いているクロナジミを採るか,後に述べるアザ,ある いは,ブチミを習得するかという少なくとも三つの可能 性が考えられるわけである。

 2.結果と考察  57

表3

女男〇 一〇〇× 一転00 一⑩母〇 一〇 〜 一e〜 一〇〇 〜 一〇㊥   薗 一   一 〜⑱㊥  O幽︶一⑲O⑬   一 一 一⑱ 一 一⁝ XO 一 〇×○ ⁝ 一 ⑳ ⁝ X ⁝ Q 一 鐙⑧ 一◎面︶○ 一 ㊥⑳○⑱⑬⑲ ﹇ OO⑳ゆ⑧ 一 × 一 ﹇ ○   ⁝ ︸ ○醗㊥働︶ ⁝ ×○*プチミ

女35○ ︻ ⑭○働 一 ⑱爾︶④   ㊥⑲爾 一 ⑧ ﹇ 一 ⑮ ︻ 一 ⑳㊨ ﹁ ⁝ ⑳⑳ ⁝ 一 ⑳ ︸ 一 ⁝ ︻ ⑬⑳ ﹇ 働働 ⁝ ⑭⑧働 一 一 ﹁   ㊥ 一 一⁝ X⑲ ︸ ㊥⑰働 一 一 ⑳ ⁝ ㊥ 一 × ︸ ⑲⑭ ⁝◎㊥○   轡晦㊥働⑲◎ ⁝ @⑧⑲⑱⑭ 一㊥ ︻ 一 ㊥   ︸ ⁝ ㊥ ⑲⑳⑱ ﹇ ⑩㊥*クロナジミ

瑚性321987654321⑪9765329876543187542198653218765321085554444444444333333222222221111110000000999999887   語形坐年

58 一地点における年齢差と地理的分布

 ブチミは,全年齢層にわたって,「知っている」という圓答が多く,「使う」

という回答の分布がクロナジミに比べて全般にやや薄い。とくに,39より若い 層では少ない。若い層には伝承されていない古い語形かとも考えられるが,逆 に「新しい」とするものも児られる。計8人から得られた「今使う」という情 報である。この表からはどちらとも判断できないと雷うべきであろう。

 このほか,触本言語地図』方式による質問で得られた形にアザがあったが,

98女と28努の2人だけだったため表示はしなかった。

 『日本書語地図sの分布を見ると,本調査地点の駒生はクロナジミニナルで ある。動詞部分に多少の変種が見られるものの,栃木県北半には広くこのクロ ナジミが分布し,駒生がその分布領域の雨縁に位置している。すぐ南隣に位置 する5659.42の下都賀郡壬生町,西隣の5648.96の上都賀郡粟野町は,すでに 関東の中心部に広く分布するアザの分布領域である。また栃木果北半のクロナ ジミの分布領域内にもアザが数地点見られる。分窟のすがたからは,このクロ ナジミは,南に分立するアザに押されその侵入を許し,二,三の地点では等語 線を飛びこしたアザの侵食を受けているということが言える。

 アザの勢力の血忌線に接している駒生では,クWナジミの分窟が後退してい ることが年齢層を軸とした分布の上にそのすがたを反映しているのではないか と予想されたが,表3に示すように,実際には,クロナジミはほぼ全年齢層に わたって使われ,衰退の徴候は見られない。いちばん若い49,52,53の3人の 回答にその徴候を求めるのはいささか強引であろう。一方,アザは南に強い分 窟を持ち,この駒割にも何らかのかたちで侵入しているかと予想したが,先に

も述べたように,ほとんどその兆しは見られない。

 等語線のすぐ近くに分布しながら,新しい勢力の侵入をほとんど受けず,そ の地点本来の方需形を金年齢層にわたって守っている状態を示す一つの例であ

ろう。

 プチミは,広い分布領域は持たず,一.,二地点おいた東隣に数地点見られる だけである。地理的分布からは強い勢力とは思われない。しかし,瓜生では表 に示すようにかなりの分布を示している。アザをおさえてクWナジミの領域に 侵入しようとしているすがたであろうか。あるいは,少し違った意味領域で馬

      2. 結果と考察   59 いられているものの反映であろうか。03で「黒くならないもの」という注記が 得られたが,いわゆるr打ち身」のうち「あざ」にならないものとの境潔がや やあいまいになっていることの反映かもしれない。いくつかのことが考えられ るが,この資料から雷えることはここまでであろう。

2.2.4.表4「においをかぐ」一後部分一(粕本書語地図書86図〉

 「においをかぐ」の動詞部分について質問した結果を表に示したものである。

カムは提示語形として総意したもので,カグは『日本言語地図誘:方式の質問で 得られた語形である。ただ,カグの分布はまばらで,カムの分布が密である。

多くの場合,『日本賢君地図』方式の質問で得られた回答がカムであったことを 示している。

 さらに,関連項臼として,『日本言語地図sにはない項目を加えた。音便形で ある。質問文は『たとえば,「落ちる」ということについて欝うと,落ちてしまっ たことは「落ちた」ですね。もしそういうふうに言うと,においを嗅いでしまっ たことはにおいをどうしたと欝いますか。sというものであった。質問文中に「カ イデ」という形を示してしまったことは適切でなかったと今となっては反雀さ れる。表にはカムないしはカイダの音便形としてカンダ,カイダの使用状況が 示してある。

 カムは,ほぼ全年齢層にわたってf使う」となっているが,46より若い層で は,「知らない」が多い。「知っているjというのも全体で4人しかなく大きな 勢力ではない。

 カグは,全体として分布が薄いが,若い層では多く,とくに,45(23歳)よ り若い層では11人中10人が「使う」と答えている。若い層へ新しい勢力とし て浸透していると見てよかろう。カグを「使う」と答えた人の多くは,カムを

「知らないjか「知っている(が使わない)jとしているが,51女(17歳)で は,ヵムをr今使う」と答えている。いちどは,新勢力のカグを習得し,その 地点本来の面諭形カムは受け継がなかったものが,最近になって周囲の:大人か

ら改めて方言形を伝承したということであろうか。