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158 地域差と場面差

2.第一次調査(語彙編) エ59

2。第一次調査(語彙編)

2.1調査の方法・内容

2.1.1調査項目・調査対象場面

 調査項冒は「u三戸語地図2(参考文献1)の項目を中心に35項目。一部,

熊本方言研究会編『熊本県言語地図集』(参考文献2>から項目を採った。項目 の具体的内容および質寒心は次のとおりである(以下,括弧内にr絵」と記し たものは,絵を示して質問した項目であるが,絵の内容を掲げることは雀略す

る〉。

 1.きのこ(茸) まつたけやしいたけなど,こういうものをひっくるめて    nabaと言いますか。 kinokoと言いますか(絵)。

 2.とげ(束の いばらやさんしょうの木などの枝についているとがった鋭    のようなものをigeと言いますか。 togeと言いますか(絵)。

 3.とげ(裂片) よく削っていない板をこすったときに何か手に剃さるこ    とがあります。「何が刺さった」と言いますか。

 4.寒い 冬,気温がTがって体がふるえるようなとき,「今Bはどんなだ」

   と言いますか。

 5.暑い 夏,汗がダラダラ出るようなとき,「今Bはどんなだ」と言います

   か。

 6.いくら 店に買い物に行って品物の値段をたずねるとき,do∫iko,nambo,

   ikuraのうち,どのことばを使いますか。

 7.ください人から煙草(または「飴」)を1本(1個)もらおうとすると    き,「たばこをヤレ」と言いますか。「たばこをクレ」と言いますか。

エ60 地域差と場面差

 8.やる(与える〉 人に煙草(または「飴」)を1本(1個)与えるとき,

   「これをヤルjと言いますか。「これをクルル」と言いますか。

 9.頭 風邪をひいて,ここ(指さす〉が痛むとき, fg oraノイタカ」と言    いますか。「bintaノイタカ」と言いますか。ほかの言い方をしますか。

 10.つむじ(旋毛) 頭の上に毛がうずになっている所があります。ここの    ことを何と言いますか(絵)。

 11.ものもらい(麦粒腫) まぶたのへりにぶつっとできる小さなできもの    です。うみをもって赤くはれると,むずむずしてかゆいのですが,間も    なく治ります(絵〉。

 12.ほほ(頬) このへん(実物)の柔らかい所のことを何と言いますか。

 13.くちびる(磐) ここ(実物)のことをtsubaと言いますか。 kut S ibiru    と言いますか。

 14.つば(唾) 切手をはるとき,べろっとなめることがありますが,その    ときつける水のようなもの(指先に少しつけてみせて),これをtsuzuと    亡いますか。t$ubaと言いますか。

 15.はぐき(歯茎) ここ(実物)を何と言いますか。歯の生えぎわの肉の    部分です。

 16.かかと(踵) 足のこの辺のことを何と言いますか(絵)。

 17.灸をすえる こういうふうにすることを,どうすると言いますか。もぐ    さの小さな固まりに火をつけて皮膚にのせます(絵)〈この項匿は「灸」

   と「すえる」の二か所を考察の村象とした〉。

 18.土闘 家の中の床の張っていない所をniwaと言いますか。 do:ziと書    いますか。domaと言いますか。

 ig.前庭家の前の仕事場で,脱穀したり,豆を干したりする所のことをmae    と言いますか。niwaと言いますか。

2G.昼食昼の:食事のことを何と言いますか。

 21.食べたい たとえば,「天ぷらが食べたいjと言うとき,「テンピラノ    k Vo:gotaruJと言いますか。それともほかの言い方をしますか。

 22.晩酌 夜,ごはんを食べるときに酒を飲むことを何と言いますか。

       2.第一次調査(諮彙編) エ61  23.煮る 大根をなべに入れて,みそやしょうゆを入れて火にかける。こう    することを大根をniruと言いますか。大根をtakuと言いますか。

 24.おたまじゃくし(蝟餅〉 これを何と雷いますか。夏の初め,水の中に    群がって泳いでいます。大きくなるにつれて手足が生えてきます(絵)。

 25.蛙〔前項おたまじゃくしの方言形〕が大きくなるとこうなりますが,

   これを何と雷いますか(絵)。

 26.ひきがえる(墓) これを何と雷いますか。体が大きくてのろのろして    います。宮中は茶色,腹は臼くて黒い紋がありますく絵)。

 27.かたつむり(蝸牛) これを何と言いますか。からを二瀬ってのろのろ    はって歩きます(絵)。

 28.なめくじ(虫舌蛾) これを何と言いますか。〔前項かたつむりの方言形〕

   に似ていますが,からは背負っていません(絵)。

 29.まむし(痩) 毒をもっている蛇です。色は茶色で銭形の紋があります。

   この蛇をhirakut∫iと雷いますか。 mamu∫iと言いますか(絵)。

 30.はえ(蝿) 出たくさん隔て食物にたかる虫です。これをhja:と喬いま    すか。haiと言いますか。 haeと言いますか(絵)。

 31.くも(蜘蛛〉 しりから糸を出して網を張る虫です。何と言いますか(絵〉。

 32.とんぼ(蜻蛉) いろいろ種類がありますが,こういう虫をひっくるめ    てSemboと言いますか。 tomboと言いますか(絵)。

 33.こおろぎ(螺蜂) この虫を何と比いますか。色は濃い茶色で,夏から    秋にかけて鳴きます(絵)。

 34.かたぐるま(出車) こういうふうに,こどもを首にまたがらせて肩に    のせることを何と言いますか(絵)。

 35.めんこ(鼠子) 男の子の遊びですが,厚紙で作った,これぐらい(手    で示す)の大きさのまる形または四角のもので絵がかいてあり,床や地    颪にたたきつけて遊びます。これを穂と旧いますか(絵)。

 以上の35項Hのうち,本稿では後に掲げる18項臼についての分析結果を記 す(紙幅の都合で,代表的な項臼しか採り上げることができなかった。舗愛した 項罰で興昧深い結果が得られたものについては,別に報告する予定である)。

エ62 地域差と揚面差

 次に,調査対象場面としては,原則として,どの項目についても次の5場面 における使用語形をたずねた。まず,文体的に最も下位の語形が出ると予想さ れる場面として場面Aを設定し,次に最も上位の場面として場面Eを設定,中

間段階として場面B・C・Dを設定した。ABCは岡じ集落内, Dは同じ県内

の中心地,Eは全国の中心地であり,また, ABはくつろいだ場弼, CDEは あらたまった場颪として設定した。

ABCDE

 質問の順序は,

答されたときには,予備調査で得た狸面形を提示してその使用の膚無をたずね る),ついでABCDEの順に,それぞれの場簾における使用語形の有無をたず ねた。ある項醤について5場薇の使用状況を質問してから次の項冒へ進んだ。

 なお,項習6・7・8では,設定場顧を次のように変えた。

 言様6 「いくら」(値段をたずねるとき)

 A 店番が瞬年配の土地の人の場合。 B 店番が土地の若い入の場合。

 C 役場で抄本などをもらって手数料をたずねる場合。 D 熊本で買い物  をする場合。 E 東京で買い物をする場合。

 項召7 「ください」(揺弧内は項目8rやる《与える》」)

 A 同年配の土地の入からもらう(睡年配の土地の人に与える)場合。

 B 土地の若い入からもらう(〜に与える)場合。 C 土地のE上の入か  らもらう (土地の村長(市長》さんに与える)場合。 D 熊本で初対面の  人からもらう(〜に与える)場合。 E 東京で初村面の入からもらう(〜に  与える)場合。

瞬年配の土地の人とくつろいで話すとき。

土地の若い人とくつろいで話すとき。

村の会合の席などであらたまって話すとき。

熊本で初鳥寄の人と話すとき。

東京で初対面の人と話すとき。

     まず,質問文により語形を求め(その際に共逓語形のみが回

      2.第一次調査(語彙編) エ63 2.1.2調査時期・調査考

 予備調査を1971(昭和46)年11月,本調査を1972(昭和47)年4月に実施 した。本調査における調査者は,次の4名であった(所属は調査当時)。徳川宗 賢(第一研究部地方言藷研究室長),本堂寛(書室主柾研究官),佐藤亮一一(岡 室研究員〉,高田誠(同)。

2.1.3 調査地域・被調査者

 別表参照。調査地域は,八代市と人吉市の中間に位置する球磨郡球磨村と八 代郡坂本村が大部分を占め,一部に声北乱声北町を含む。往時の交通路は,人 吉・八代問の河川交通のほか,球磨村二瀬蔀(地点番号20)付近から芦北町佐 敷へ通ずる街道が多用されたらしいが,現在は調査地域沿いの鉄道および道路 の利溺が著しい。調査地域は相良・熊本両三にまたがり,また,調査地域の南 寄りの部分は,隣接する鹿児島・窩二品方言の影響を強く受けている。調査地 域のうち,文化的中心地とみられる地点は,人吉・八代両市のほか,球磨村一 勝地柳詰(地点番暑13)付近,同村二瀬(同22・23付近),坂本村坂本(同46)

などである。

 被調査者は,それぞれの地点について,その土地で生まれ育った老年層の男 性1名。ただし,適格者が得られず,50歳未満の者や,女性を調査した地点も

ある。

調査地点。被調査二一二

地点番弩  講査蛇点    被調査看  生年  講査者  地点番号  調査地点    被謁査者  盈年  調査者

01E6995  人一下林町一蔚村 02E 6991    〃一樗】神町一臓本 03 W 6854  〃一〃一大姉 e4 E 6832 球一渡一地下 65E 6820  〃一〃一今村 06E 6801    〃一〃一峯 07E 5799    〃一〃一島旺…

08E5777  〃一〃一小」[[

09E5786  Sl・一〃一茶屋 10〜〜「5688    〃一三力∫訂露一}耳良

前村敏行 fiA 43 Sat 元銀 進 明36 Sat 大柿農田信明41 Sat

井口謡雄大6Hon

内看玉蕩窯之   明39  }{on

由口好松  明39 Tok

宮本政瑚 大10 Tok

宮原尚兵  明35 Tok 東 勝喜  明42 Hon

那良改蔵 明35 Tak

11E 5654 12E 4692

13W5549 14W55e8 15W4573

ユ6E 4552

17W4434 18W3455

19E 3423 2eE 2441 21E 2404

〃鍍一馬場

〃一〃一中園

〃一一勝地一御詰

〃一〃一池下

〃一〃淋

一〃一海;林

〃一〃一大坂総 門告鎌瀬

球一神瀬一大瀬

〃一〃一蔀

〃一〃一堤

馬場真大2Sat

中罰定通   大 3  Sat

御詰佐太郎明35 Tak

束 磨 大6Tak

淋  弘市   1男22   Hen

淋脆義 明37 Tok

水本市太郎大5Hon

鎌倉二義  明32 Tak

大瀬政喜  明34 Tak

蔀  定義   明37  Hen 犬壷武垂佳   明35   Hon

ドキュメント内 方言の諸相 : 『日本言語地図』検証調査報告 (ページ 165-176)