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図2,2 数のしくみの異なる国の買物場面
(3)学習課題
日常生活で買物をするとき、「どこの品物が高いか、安いか」や「ど の店は高い」などは、生徒の関心事として、一般的な話題である。そこ で、次のような学習課題を取り上げる。
「どの店の鉛筆が一番高いか」
「どの店が一一as安いか」
これらの課題によって、課題追求の意義をつかませ、目的意識をもっ て学習に取り組ませる。
最初の課題は各店の鉛筆の値段を比べる問題である。この解決はそれ ぞれの国の鉛筆の値段はそれぞれの国の数のしくみで表現されているの で、それぞれの値段を共通のしくみで表現し直して比べる必要がある。
このことは単位の異なる数量を比較する場合に一方の単位に換算するな どの経験をもつ生徒にとって、それほど抵抗なく気づくことができる。
共通なしくみで表現し直すということは、即ち、n進数の変換であり、
生徒は捻進数を変換する必要に迫られることになる。n進数をどの11進 数に変換するかは数学的には同等であるが、生徒が価値判断できるのは
10進数である。従って、生徒は10進数以外のn進数を10進数に変
換することを考えることになる。
ただ、これらの課題をはじめから与えて解決させることはできない。
これらの課題に生徒の独力で取り組むためには、生徒に数のしくみが異 なることを実感させ、そのしくみを知るための手立てを与えておく必要 がある。そのような準備的な活動を次の課題で行う。
「n進数のお金のしくみを調べよう」
準備的な活動では5進数や2進数などのお金を両替することで、同じ 10のお金でもlO(5,=5、10(2)=2のように、価値が違うことな どを調べることになる。しかし、現実の世界には11進数のお金も11進数
同様存在せず、生徒が確かに10(5》を両替すると5、10(2》を両替す ると2になることを調べることはできない。そこで、そのための道具と して、コンピュータを利用する。コンビt一三教材を開発する目的はn 進数のしくみを調べるための道具を生徒に与えることである。
また、先の課題の解決に生徒が取り組む過程では、次のような、解決 方法を整理させるための課題を生徒に投げかける必要がある。
「計算で求めましょう」
生徒にとって、重要なことは、課題を適切に解決することであり、解 決方法はどのようなものでもよい。確信のもてる方法であれば、数や式
を用いなくてもよい。これは生徒に具体物や道具を操作して問題解決さ せるとき、留意すべきことである。ここでの最終目標であるn進法につ なげていくためには、数や式による一般化や形式化が必要である。中学 校2学年段階では計算や数式処理もかなり経験していて、具体的な問題 解決を数や式で置き換えていく能力も育ってきている。問題解決の過程 で、生徒自身の学習活動をそのような数式処理へ方向付けることは、数 学的な見方や考え方の育成にも重要である。そこで、生徒が数式処理に 向かわざる得ないようにするため、買物場面の品物の値段には、コンピ
ュータでは処理できない値を含ませておく。
そして、最終的には数学的な課題に取り組ませていく。
2.2.3 単元の指導計画と各時間の指導案
場面設定と学習課題を位置づけた単元の指導計画を表2,1に示す。生 徒がコンピュータを使用するのは、n進数のお金のしくみを調べる1時 問目後半と買物場面での課題を解決する2時問目の活動においてである。
また、単元の目標は既に示したように、次の通りである。
単元の指導目標
「2進法などの数の表現方法を理解させ、位取り記数法についての 数学的な見方・考え方を養うとともに、n進数と10進数の相互 の変換ができるようにする。」
表2。1 単元の指導計画(3時間取り扱い)
「学醇項
主な学習内容 時1,n進数のしくみ
(買物場面の設定)10:進数のしくみを考える。 1
n進数のお金のしくみを調べる。
2.買物課題 買物場面で、次の課題を解決する。
「どの店の鉛筆が一番高いか」 1
「どの店が一番安いか」
解決方法を整理し変換法をまとめる。
3.変換の仕方とn
進法n進数の10進数への変換方法を考える。
10進数のn進数への変換方法を考える。 1 n進数のしくみをまとめる。
1時問目の導入では場面設定の後、最初の学習課題を一旦生徒に投げ かける。そして、前半、その解決のため、10進数のしくみについて復 習し、後半、n進数のお金に調べる準備的な活動を行わせる。
2時間目は買物場面に戻って、コンピュータの道具的利用を行いなが ら、学習課題「どの店の鉛筆が一番高いか」、 「どの店が一番安いか」
の解決に取り組ませる。1時問目で調べたn進数のしくみをもとに、生 徒が自ら考え、n進数に働きかけながら、変換の方法を発見していくこ
とになる。
3時問目は変換の方法とl/進数の表し方を教師とともに学習する。ま
ず、n進数と10進数を相互に変換する方法については、2時問目の解
決の際に生徒が見いだした方法をもとに、変換方法を数式に整理させ、累乗を単位とした式につなげていく。そして、しくみの規則性や変換方 法の類似性も含め、累乗を単位とした数の表し方として、統合していく。
コンビu.・一一タは教師の説明のために用いる。
これらの各時間の指導案を以下に示す。
(1) 11進数のしくみの指導案(1時問目)
目標 n進数の存在を知り、n進数のお金のしくみを調べる活動を通 して、n進数のしくみについての基礎的な理解を図る。
展開
過程
学習活動 指導上の留意点
時間
導
1.n進数の存在
外国での買物を考えさせ、価値を知る。 の違うお金の存在に気づかせる。
買物場面を提示し、しくみの違う数
入 の存在を連想させる。
n進数の表記法、棒読みの指導 日常の買物場面での話題を出しなが ら課題「どの店の鉛筆が一番高いか」
2.本時の目標を 「どの店が一番安いか」を投げかけ、
知る。 そのためにn進数のしくみを考えるこ
5
i
とを知らせる。 1分展 3,10進数のしく みを考える。
開
4.n進数のお金
のしくみを調べ
る。
10個の数字を並べて表す表現方法を 思い出させる。各位の数の大きさの関 係に着目させる。
10進数のしくみをお金で考える。
コンピュータでの両替で、10進数の 各界の数が順に10倍になっていること に気づかせる。他の操作法を教える。
コンピュータを自由に使いながら、
調べさせる。
調べ方や操作法について分からない ことは質問させるよう指示する。
雪間巡視し、操作法を指導する。
整 5.n進数のしく
みをまとめる。理
6,予告を聞く。
学習シートに分かったこと、気づい たことをまとめさせる。
各生徒に発表させ生徒の調べ拒こと を中心にn進数のしくみをまとめる。
買物課題につなげ、瞬時予告する。
10
20
40
50
流し方
数のしくみについて勉強します。まず、数のしくみをお金で考え ることにします。みなさんはお金を使って買物をしたことはありま すね。お金ではいろいろな品物が買えます。
でも、海外旅行でアメリカに行ったときはどうでしょう。みなさ んが使っているお金は使えますか。
50ドルの品物を同じ50でも50円では買えませんね。
50ドル 50円
50ドルの品物を買うには50でなく5500円程いりますね。
世界のお金は各々の国で使われているお金が違うから、同じ50
でも価値が違い、違う数50と5500でも同じ価値になることが
あります。
でも、円もドルも数を表すしくみは同じです。
これから考えるのは、数を表すしくみが違う国でのお話です。
ここに4つの国の文具店があります。それぞれ、10進数の国、
5進数の国、2進数の国、3進数の国の文具店です。これらの国で は数を表すしくみが違っていて、しくみの違うお金が使われていま す。品物の値段も異なるしくみで表されています。
私たちが使っている数は10進数で、私たちは10進数の国に住
んでいることになります。何が買いたいですか。
ノートはどの国のお店で買いたいですか。
5進数と2進数はしくみが違うから、数の後に(5)や(2)をつけて その違いが分かるようにします。そして、「5進数の2、3」円と
か、「2進数の1、1、0、0」円と棒読みします。
さて、これから、この数のしくみが異なる4つの国の文具店で、
「どの店の鉛筆が一番高いか」、
「どの店が一番安いか」を考えてもらいたいのですが、…
どんなしくみかが分からないと解けないだろうから、まず、どん なしくみになっているか、一緒に考えてみましょう。
私たちの使っている数は10進数です。
10進数に使われる数字はいくつあるかな。
O、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10個ですね。
たった10個の数字で、どんに大きな数も小さな数も表せるので すが、どんなしくみになっているのかな。
2134の場合、このように(板書)数字を並べてかきます。
2134の3は、3ではなくて、30の3ですね。
10が3つあると考えてもいいですね。
2134の1は、1ではなくて、100の1、または、100
が1つという意味の1。
10進数のしくみをお金で考えると、
2134の3は、10円玉の3個の3。
2134の1は、100円玉の1個の1。
100円玉1個;を10円玉に両替すると、どうなるかな。
10円玉10個。
10円玉を1円玉に両替すると、
1円玉10個。
ということは、各桁の数の大きさの関係はどうなっているかな。
3桁目の1は2桁目の1の… 、
10倍になっているね。各桁の数は順に10倍ずつなっているね。
このように、10進数は、桁によって大きさが違い、左から順に 10昂ずつ大きくなっているね。
では、コンピュータを使って、
「n進数のお金のしくみを調べましょう。」
n進数のしくみが分かりましたか。
分かったことを、学習シートにまとめましょう。
では、n進数のしくみについて分かつだことを発表して下さい。