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6.施肥設計と施用手法

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6.1 施肥設計の基本的考え方

5.1に概説のとおり原料により肥料成分が異なるた め、液肥となる消化液の肥料成分を調査するとともに、

従来の施肥基準に基づき対象地域の土壌・農作物で求 められる各成分量の調査が必要である。

それらを比較の上、施肥基準上必要とされる成分量 に最初に達する成分と必要量に達する消化液の施用量 を確認し、その時の施用量では施肥基準上不足する成分 を化成肥料等により補うことが基本となる(図−7)。

例えば、福岡県大木町の場合、全窒素濃度が他成分 と比べて高いことに着目し、消化液の全窒素量2.7g/L に対しリン・カリウムが少ないため、窒素成分を消化 液で補い、その他のリン・カリウム成分を化成肥料等

表−3 液肥の肥料成分分析結果

で補うといった消化液中の窒素成分を基準とした施肥 設計となっている。

6.2 施用手法

我が国の消化液の液肥としての施用手法は牧草地、

水田、畑地で大きく異なる(表−5)。牧草地でのス ラリースプレッダによる機械施用やパイプラインによ る肥培潅漑の実施例は多く、一定の施用手法は確立さ れているが、水田や畑地での液肥施用の実施例は少な く、更なる工夫が必要である。

水田の場合、元肥は潅漑用水と液肥を混ぜて流し込 む手法の他、前述の機械施用も可能であるが、追肥は

前者の流し込む手法が有効であり、これまでの調査結 果から、水田で肥料成分の均一性を保つには、ほ場の 均平度向上、施用前の十分な落水、低濃度かつ十分時 間をかけた施用が有効であることが分かっている。

畑地の場合、改良型スラリースプレッダの他、うね 間に液肥を流し込みうね間側面から浸透させる施用手 法、マイクロ潅漑チューブによる施用手法等があり、

前者は土壌の透水性確保、後者は液肥中の懸濁物質除 去が重要となる。

写真は、消化液の機械による直接散布状況(写真−

1、2)、潅漑用水と消化液の混合による流し込み散布 状況(写真−3、4)である。

図−7 施肥設計の基本的考え方 表−4 液肥の重金属成分分析結果

Vol. 36 No. 135 2012/4 農業集落排水施設と連携したメタン発酵消化液の液肥利用について 表−5 消化液の施用方法毎の概要

写真−1、2 改良スラリースプレッダによる直接施用 写真−3、4 潅漑用水との混合による流し込み施用

7.おわりに

集排汚泥を含むバイオマスを原料としたメタン発酵 施設の普及には、施設自体の適切な管理・運営が大前 提としてあり、行政による財政的・人的支援のみなら ず、消化液の利用が施設の適切な管理・運営上必要と される。

農業集落排水施設では集排汚泥の利用、メタン発酵 施設では消化液の利用の可否が、両施設の健全な維持 管理上大きなウェイトを占めている。農村地域では発 生した集排汚泥を堆肥として、消化液を液肥として農 地利用することで施設全体の運転経費の大幅な軽減に つながり、集排汚泥及び消化液の農地利用の検討、推 進は不可欠である。

農村地域では消化液の利用を推進する上で液肥利用 技術の確立が重要であり、現状の消化液の成分分析結 果と従来の施肥基準を比較した施肥設計、現状の農地 利用状況を踏まえた適切な施用手法が主な検討事項と

なる。

また、消化液の農地利用の普及にはそれら利用技術 だけでなく、技術を理解し策定した計画を具体化する 実施体制の整備、市町村等の事業者が利用者側の農家、

消費者等に対して消化液利用の意義を十分理解しても らう取組も重要である。

これは集排汚泥の堆肥利用にも言えることであり、

農家、消費者等の理解を得るには農家、消費者等に対 する事業者からの分かりやすく丁寧な説明が必要であ る(図−8)。

JARUSではこれまでの集排汚泥の堆肥利用に関す る知見をさらに充実させるとともに、それらの知見の 活用により、メタン発酵の過程で生じる消化液の農地 利用促進を図ることとしている。

さらに、消化液の農地利用のモデルとなる優良事例 を増やし、液肥利用の取組を支援することで更なるメ タン発酵施設の普及を図り、我が国におけるバイオマ ス利活用の推進に努めたいと考えている。

図−8 集排汚泥利用の知見活用によるメタン発酵施設の普及

Vol. 36 No. 135 2012/4 下水汚泥有効利用に関する(社)日本下水道協会の取り組み

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