(1)兵庫県のスラグ管理基準(販売規格)
運転開始より平成15年度までが日本下水道事業団で の運営となっている。当時はスラグ利用に関しての基 準・規格が無く再利用も処理場工事(場内配管埋め戻 し等)に限定されていた。
平成15年度に兵庫県及び関係業界等で構成する「下 水汚泥利用検討会」を設置し、平成16年度以降の中播 磨県民局(姫路市、神埼郡)、西播磨県民局(揖保郡、
龍野市、相生市、赤穂郡、赤穂市、宍粟市、佐用郡)
で発注する舗装工事において適応可能な箇所について は原則スラグ入りアスファルトを使用することとした。
図−7 旋回灰溶融炉
表−2 年度別汚泥等処理量とスラグ発生量
使用に当たり平成15年当時、スラグにはJIS規格等 無く、県独自の基準として下記の基準を設け品質管理 を行っていた。
(2)4・5号溶融設備におけるスラグ品質管理 4・5号溶融設備から生成されたスラグは、「JIS A 5032一般廃棄物、下水汚泥又はそられの焼却灰を溶融 固化した道路用スラグ」の基準を満足することを条件 に兵庫県が引き取りを行っている。以下に4・5号溶 融設備から生成されるスラグの品質管理方法について 述べる。また、各品質管理基準値を表−2に示す。
<日々の管理【1次品質管理基準】>
日々発生するスラグは「スラグ貯留ヤード」に搬送 し、日別、溶融炉系別に保管する。「スラグ貯留ヤー ド」への搬送時に、【1次品質管理基準】試験用とし て、スラグ約100gをサンプリングする。溶融炉系別 に1日分のサンプルをコンポジットし、『塩基度』を測
定する。なお、『塩基度』は、分析室内に設置されてい る卓上型蛍光X線分析装置で行う。当試験分析の結果 が『1次品質基準値』を満足していれば合格とする。
合格したスラグは翌日「スラグ処理設備」で全量処理 し、溶融炉系別に「製品スラグ貯留ヤード」に搬送、
一週間分を纏め、保管する。図−8にスラグ処理設備 のフローを示す。スラグ処理設備は、破砕機、磨砕 機、搬送コンベヤ、スラグバンカ等で構成されてい る。溶融スラグは粒度調整および磨砕処理を経て、製 品スラグとなる。『1次品質基準値』を満足していない ものは不合格品とし、C系スラグヤードに搬送し、不 合格スラグとして保管する。日々のスラグ破砕整粒 時、「No.2スラグ搬送コンベヤ」出口でスラグ約800gを サンプリングする。サンブリングした試料は【2次品 質管理基準】試験用(約100g)と【3次品質管理基 準】試験用(約700g)のサンプルに分割し、保管す る。1次品質管理基準値は、『スラグ品質管理基準値一 覧表』による。
表−3 兵庫県兵庫西流域下水汚泥広域処理場スラグ管理基準(販売規格)
Vol. 36 No. 135 2012/4 兵庫県における下水汚泥溶融スラグの有効利用について
<週の管理【2次品質管理基準】>
溶融炉系別に1週間サンプル(約100g×7日=約 700g)を、コンポジットし、『溶出試験六価クロム』
及び、『含有試験鉛』を行う。当試験分析の、『溶出試験 六価クロム』及び、『含有試験鉛』の結果が全て『第2 次品質基準値』を満たしていれば、合格とする。合格 した1週間分のスラグは溶融炉系別にC系スラグヤー ドに搬送し、合格スラグ(合格山スラグ)として保管 する。2次品質基準値をひとつでも満たしていないも のは不合格品とし、C系スラグヤードに搬送し、不合 格スラグとして保管する。C系スラグヤードへ搬送途 中に、「トラックスケール」でスラグ重量を計量する。
不合格となった場合、事前に分割保管していた、【3次 品質管理基準】試験用サンプルは廃棄処分とし、合格 したサンプルのみ保管する。2次品質管理基準値は、
『スラグ品質管理基準値一覧表』による。
<月の管理【3次品質管理基準】>
週毎、溶融炉系別で合格保管した1ヶ月間のスラグ サンプル(不合格スラグを除いたサンプル)約21kg をコンポジットし、【3次品質管理基準】試験用サンプ ル(約20kg)と長期暴露品質試験サンプル(1.0kg)
に分割する。【3次品質管理基準】試験用サンプルは溶 融炉系別に1ヶ月分のサンプルとし、『物性試験』『溶出 試験(環告46号)』及び、『含有量試験(土壌汚染対策 法に基づく環告19号)』を行う。当試験分析の結果、
『物性試験』『溶出試験(環告46号)』及び、『含有量試験
(土壌汚染対策法に基づく環告19号)』が3次品質管理 基準値を全て満たしていれば合格とし、販売用スラグ とする。長期暴露品質試験サンプルについて3次品質
管理基準に合格した場合は保管し、不合格の場合は廃 棄する。3次品質管理基準値をひとつでも満たしてい なければ、不合格品とし、C系スラグヤードの不合格 スラグヤードで不合格スラグとして保管する。3次品 質管理基準値は表−4『スラグ品質管理基準値一覧表』
による。なお、長期暴露品質試験とは、1年分のスラ グをまとめて屋外に放置し、今後10年間にわたり1年 毎にスラグの溶出試験実施、追跡調査する試験を行う ことになっている。
(3)有効利用実績
平成16年度から22年度までの用途別有効利用量を 表−5に、年度別有効利用量を図−9に示す。有効利 用用途としては、アスファルト骨材としての利用が最 も多く、次いでコンクリート骨材、煉瓦骨材と続いて いる。なお、無償分とは、地方公共団体(ただし流域 下水道汚泥処理事業に参画していること)での使用 や、試験研究用として提供したスラグ量である。アス ファルト骨材については、前述のとおり平成16年度よ り県に当該事業が移管されたとき、県発注の土木工事 仕様書に当該処理場で生成しているスラグの利用を明 記するようになってから割合が増加している。一方年 度別有効利用量を見ると平成16年度から平成20年度ま では年々上昇しているが、平成20年をピークとして近 年は減少傾向が見られる。これは、主な有効利用用途 であるアスファルト骨材としての利用量が大きく影響 している。つまり、年度毎に発注される道路整備等の 土木工事の発注量など、その当時の景気状態が反映さ れていることになる。
図−8 スラグ処理フロー
表−6にスラグ販売価格を示す。スラグの販売価格 は、積み込み費を含む場合(県が搬送用車両に積み込 みを行う)は1トンあたり315円、積み込み費を含ま ない場合(購入者自らが搬送用車両に積み込みを行 う)は、1トンあたり203円と定めている。
6.まとめ
現在1系の更新炉である4号炉は平成22年4月より 稼働し順調に運転を行っている。計画運転時間に対し 実運転時間は99%以上とトラブルもなく運転を継続し 表−4 スラグ品質管理基準値一覧表
表−5 スラグ用途別有効利用量
Vol. 36 No. 135 2012/4 兵庫県における下水汚泥溶融スラグの有効利用について
ている。2系の更新炉である5号炉も平成23年4月に 稼働し順調に運転を行っている。4号炉での運転実績 をふまえ各炉には一部改良を加えたためより運転管理 の安定性は向上していると考えている。
本炉にて処理した汚泥からできたスラグは、「JIS A 5032一般廃棄物、下水道汚泥又はそれらの焼却灰を溶 融固化した道路用スラグ」の基準を満足するもので、
さらに、兵庫県独自の基準も満足しており、レンガブ ロック用骨材、アスファルト骨材、整地用、コンク リート二次製品などに利用可能である。旧炉において 処理されたものも上記JISの基準を満足しており平成 21年度は約10,000トン近く22年度には約5,500トン近く
資材や土木工事に再利用されている。
近年減り気味のスラグ使用量も発生量とほぼ同等で 安定はしている。
強度を求めていないブロック等での意匠にこだわる 製品等への利用も期待できるがアスファルト骨材利用 と同様に、行政側が積極的に製品の利用を行わないと 普及はしないと考えられる。
今後はより効率的に安定して処理が行えるように、
また地球温暖化ガスの発生抑制に配慮しながら運転管 理を行い3系更新の際のデータを蓄積していきたいと 考えている。
図−9 年度別スラグ有効利用量
表−6 スラグ販売価格
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1.はじめに
社団法人地域環境資源センター(以下「JARUS」
という。)では、全国5,200地区以上で整備されている
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