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熱可溶化高効率嫌気性消化システム

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3.日本下水道事業団で取組む汚泥からのエネ ルギー回収技術

3.2  熱可溶化高効率嫌気性消化システム

を行うことにしている。

Vol. 36 No. 135 2012/4 下水汚泥有効利用の課題と日本下水道事業団における取り組み

理が行われるのに対し、本技術では後段で消化脱水汚 泥を対象に熱可溶化が行なわれることから、次のよう な多くの特徴を有している。

① 脱水汚泥を対象に処理することから、可溶化の ための熱エネルギーが極めて少ない

② 熱バランスを調整するための熱交換器を必要と しない

③ 消化されずに残った汚泥のみを熱可溶化するた め熱の効率的使用が可能となる

④ 消化後の汚泥を加温するため、生汚泥を加温す る方式に比べ臭気問題が極めて少ない

⑤ 汚泥の脱水性が大きく改善される

(3)実証プラントの概要と実験結果 1)実証プラントの概要

熱可溶化高効率嫌気性消化システムの開発におい ては、H18年度からのベンチスケールでの基礎実験 に続いて、平成22年度には消化タンク容量15m3

実証プラントを猪名川流域下水道原田処理場(大阪 府豊中市)に設置した。実証プラントの概要を表 3−4に、プラント外観及び熱可溶化タンクを写真 3−2に示した。

原田処理場では混合生汚泥を嫌気性消化処理

(37℃中温消化、消化日数30〜35日)したあと機械 脱水し、焼却処理を行っている。実証プラントでは この消化タンク投入前の混合濃縮生汚泥を配管途中 から一部分岐して用い、H22年5月〜H23年5月ま での約1年間にわたって実証テストを行った。

2)可溶化投入率と有機物分解率(VS除去率)

消化タンクへ投入する混合生濃縮汚泥のTS量

(kg/日)に対する可溶化タンク投入TS量(kg/日)

の比率を可溶化投入率と呼んでおり、本熱可溶化高 効率嫌気性消化システムにおける有機物分解率やガ ス発生量に係わる重要運転管理要素の一つである。

図3−7は、実証プラントにおける可溶化投入率 図3−6 熱可溶化タンクの構造

表3−4 実証プラントの概要

写真3−2 実証プラントの外観(左)、熱可溶化タンク(右)

とVS除去率(有機物分解率)の関係を示したもの である。可溶化投入率が0.2程度のときのVS除去率 は50%程度であったものが、可溶化投入率0.7程度 ではVS除去率70%以上にまで高くなっている。ち なみに原田処理場の既設消化タンクにおけるVS除 去率は47%程度であった。

3)ガス発生特性

図3−8は、実証プラントにおける投入VS当りの ガス発生量と、原田処理場におけるそれとを比較し て示したものである。可溶化処理を行っていない原 田処理場のガス発生量は0.39〜0.45 Nm3/kg-VSに対

し、消化日数が短い(有機物負荷として1.5〜2.0倍 高い)実証プラントのそれは0.49〜0.63Nm3/kg-VS と、2〜4割大きな値が得られている。ちなみに、

発生ガス中のCH4濃度は、既設処理場においては56

〜60%であるのに対し、熱可溶化実証プラントにお いては61.6〜62.6%(平均62.3%)と若干高い値で 安定していた。

4)脱水性の改善効果

嫌気性消化汚泥は生汚泥に比べ、通常粗繊維分が 少なく、かつ汚泥粒子が細かいため難脱水性を示す。

しかし、熱可溶化処理することで細胞壁の破壊や細 図3−7 可溶化投入率とVS除去率(有機物分解率)

図3−8 ガス発生量 既設(原田処理場)との比較

Vol. 36 No. 135 2012/4 下水汚泥有効利用の課題と日本下水道事業団における取り組み 胞内結合水、結晶水等の性状改変により脱水性の改

善が期待できる。そこで、処理能力2.0m3/hrの高効 率型遠心脱水機の実機を用いた脱水試験により確認 を行った。試験では、実証プラントにおける熱可溶 化消化汚泥以外に、比較対照のため実際の原田処理 場における消化汚泥についても行った。試験の結果 を表3−5に示す。薬注率等を変えて複数回試験を 行ったが、通常消化汚泥におけるケーキ含水率が 80%程度であったものが、熱可溶化消化汚泥におい ては71〜72%というレベルまで脱水が可能であるこ

とが確認された。       

なお、熱可溶化消化汚泥と通常消化汚泥の脱水ろ 液について調べた結果では、SSやT-Pについてはほ とんど差は見られなかったものの、CODやT-N濃度 においては10〜20%程度熱可溶化した場合高くなる 傾向が認められた。

(4)導入効果について 1)創エネルギー効果

汚泥中有機分の分解ガス化率が向上することか ら、通常消化の1.5倍の高VS負荷で運転しても、投 入有機物当りのガス発生量は20〜40%増加すること が確認された。

2)汚泥減量効果

熱可溶化処理による汚泥中有機分の分解率向上に 合わせて、汚泥の脱水性状が大きく改善(脱水汚泥 含水率が5〜8%低下)することから、図3−9に

示すように、発生する脱水汚泥の量は未消化処理に くらべ7〜8割り減、通常消化汚泥に比べ3割〜5 割削減される。

3)省エネルギー効果

脱水汚泥含水率が71〜75%程度にまで処理できる ため、処分すべき汚泥量が大幅に削減できるほか、

汚泥有効利用するに当たり緑農地利用のための乾 燥・コンポスト化や固形燃料利用のための乾燥・炭 化のための必要熱エネルギー量が大幅に削減可能と なる。

4)未利用バイオマスの有効利用

消化タンクの有機物負荷量を1.5〜2倍に高める ことができることから汚泥処理能力に余裕が生じ、

新たな消化タンク建設を省略したり、下水汚泥以外 表3−5 消化汚泥の実機脱水試験結果

図3−9 減量効果のイメージ図

の近隣で発生する未利用バイオマス(生ごみ、し 尿・浄化槽汚泥、OD(オキシデーションディッチ)

法汚泥、家畜糞尿など)の受け入れが可能となる。

特に、し尿・浄化槽汚泥やOD法汚泥、家畜糞尿な どメタン発酵性の低いバイオマスの分解ガス化率向 上に大きく貢献できる。

3.3 汚泥から直接電気を取り出す生物電池の研究

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