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図26−4 第:3段階。
・第4段階一退行が裏の下唇亜基節にまで進み、表の下唇前基節内が空洞化 する。成虫用の下唇は、まだ淡黄色であり、毛の存在も分かりにくい。下 端は、申肢の辺りにある(図26−5)。ここで1日を要する。
・第5段階一下端は、前肢と中肢の問にまで退行しきる。色は、濃黄色にな り成虫の下唇が完成する。茶色の毛がはっきり見える。黒い針状の器官が 見えていることもある。下唇前基節を切り取っても羽化には支障がない
(図26・6)。
第5段階まで退行しきった下唇は、筒状に丸められており、羽化時に体液 の圧力で伸展し、成虫のロ器を覆う様子が観察できた(図28−1,2)。
下唇内部組織の退行は、成長スピードと同様に、温度が高くなるほど早く 進んだ。上記の5段階は、水温27〜29℃で飼育した場合に観察された変化 である。30℃で飼育した場合は、3,4段階を1日で終えた個体もあった。
15℃で飼育した場合は、2段階で7〜8日,3段階で3〜4日,4段階で2
〜3日,5段階で3〜4日かかった。細かい変化を図29に示す。
他のヤゴの下唇内部組織の形や色の変化は、ギンヤンマと同様ではないが 3,5段階の変化は視認しやすい。成虫の下唇がはっきりした形になり、毛 も見えておれば、羽化日だと特定して間違いなかった(図27>。
この判別法は、ギンヤンマの他に、タイリクアカネ・シオカラトンボ・ウ スバキトンボ・ショウジョウトンボ・コノシメトンボ・クロスジギンヤンマ
・ヤブヤンマ・アオヤンマ・オオルリボシヤンマについても適用できた。下 唇が淡色である他のヤゴについても、適用できると考えられる。
3.羽化抑制と羽化促進
過抑制処理にかけると、ギンヤンマの複眼は、徐々に黄化していった。複 眼は、羽化直前には、まだ、深緑色を呈している。それが、鮮やかな黄色に
図26−5 第4段階 図26−6 第:5段階
図27 羽化直前のタイリクアカネの下唇
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図28−1 羽化を失敗した成虫の下唇
図28−2 羽化を成功した成虫の下唇
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図29 下唇内部組織の退行過程
変化したのである(図30−1,2)。
ギンヤンマは、風や低温など、不可抗力的な要因があれば羽化を自制でき た。しかし、複眼が黄化した状態で上陸場所を与えないと、水中にいても羽 化が始まった。そして、頭・胸部が一部出たところで、一様に溺死した。複 眼が黄化した状態では、速やかに上陸しなければならないようである。
必死で上陸場所を求める複眼が黄化したギンヤンマは、簡易羽化装置に移 すと、平均10分以内に上陸し、1時間以内に羽化することが分かった。こ れは、体力が十分残っている個体についてのみ言えることである。
複眼が黄化したギンヤンマは、羽化自制の限界である最後の夜にも羽化で きず、さらに、10時間ほど過剰に自制し続けていることになる。よって、
多くの個体は、弱り切った状態にあった。
こういう状態で羽化するため、上陸さえできなかったり、羽化の途中で力 尽きることが多かった。各種処理法を組み合わせた結果、複眼が黄化した状 態で、体力を十分温存したまま、朝9時頃までもたせるためには、以下の2 つの方法が効果的であることが分かった。
(1)昼夜逆転状態での過抑制
昼夜逆転は、大型インキュベータ内(設定温度25℃〉で、タイマーと4 0W電球2個(1個は球切れ防止用)を用いて行った。明暗の設定は、学校 時間に合わせて、(L)P.M。5〜A.M.10(D)A.M10〜P.M.5とした。
ヤゴの呼吸は、鯉呼吸であるが、羽化前には気管呼吸に変わる。バットに 入れたヤゴが溺死しないよう、気管部を空中に出せるだけの場所として、半 切りレンガを入れた。水は、レンガの上面辺りまで入れた。酸素補給のため 常時、エアレーションを行った。ヤゴがエアレーションのパイプに上陸して 羽化してしまうことがあったので、アクリル板でバットを覆った(図31)。
餌は、摂食停止まで、ミミズを十分に与えた。集団飼育になるので、ペイン トマーカーによる個体識別を行った。
図30−1 複眼の黄化(ギンヤンマ)
図30−2