• 検索結果がありません。

骨評価

ドキュメント内 <474C F31312E DFC82E88A7789EF E706466> (ページ 36-40)

第Ⅱ章  骨粗鬆症の診断

B.  骨評価

a. dual-energy X-ray absorptiometry DXA

いつ,誰に,どのように行うか

1)

骨粗鬆症治療をおこなう可能性がある症例を対象 とする 177)

2) 65

歳以上の女性23),危険因子を有する

65

歳未満 の閉経後から周閉経期の女性においては,骨折リ スク評価のための骨密度測定は有効である(レベ

I)

 177)。危険因子とは,過度のアルコール摂取(1

3

単位以上),現在の喫煙,大腿骨近位部骨折の 家族歴である。

3) 70

歳以上の男性178)(レベル

I

),危険因子を有す る

50

歳以上

70

歳未満の男性においても骨密度測 定は有効である。

4)

脆弱性骨折を有する症例は,重症度判定のため測 定の対象となる(レベル

I

177)

5) 低骨密度・骨量減少をきたす疾患に罹患している,

またそれを引き起こす薬物を投与されている成人 は測定の対象である。

どの部位の測定が診断に有用か

 骨粗鬆症診断には,

dual-energy X-ray absorptiometry

(DXA)を用いて,腰椎と大腿骨近位部の両者を測定 することが望ましい179)。腰椎

DXA

では前後方向

L1

L4

または,L2〜

L4

を計測し,側方向測定は診断 に使用しない179)。大腿骨近位部

DXA

では,頚部,

転子部,全大腿骨近位部(頚部,転子部,骨幹部の

3

領域)を測定する。左右どちらかの測定でよい。女性,

男性ともに大腿骨近位部と腰椎の骨密度を用いる。

 高齢者において脊柱変形180)などのために腰椎骨密 度の測定が適当でないと判断される場合には大腿骨 近位部骨密度とする。これらの測定が困難である場 合は,橈骨骨幹部(1/3遠位部)の骨密度を用いると されている。

測定値の適用基準は

● 腰椎 DXA

 通常

L1

L4

または

L2

L4

の平均値を用いる。

ただし局所的な変化(硬化性変化など)やアーティ ファクトのある椎体は除き,それ以外の椎体の平均 骨密度値とその

YAM

に基づき評価する。1椎体しか

評価できない場合はデータとして採用しない。隣接 椎体と比べて

1.0SD

以上の差がある場合はデータと して採用しない。また椎体ごとの数値は用いない。

● 大腿骨近位部 DXA

 全大腿骨近位部と頚部の骨密度のうち

YAM

に対す るパーセンテージが低値の方を採用する。ウォード 三角部骨密度は診断に使用しない179)。左右いずれの 測定でもよい。両側大腿骨骨密度の平均値を診断に 用いることが可能であるか否かの十分なデータはな い。モニタリングには両側平均骨密度を用いること が可能で,全大腿骨近位部が望ましい。

● 年齢と適用基準

① 閉経後女性と

50

歳以上の男性は,YAMとの比較 で評価する。

② 閉経前女性と

50

歳未満の男性は,YAMとの比較 ではなく

Z

スコア(同年齢比較

SD

)で評価する のがよい。Zスコアが−

2.0

以下であれば年齢相当 値から外れていると理解する。

③ 50歳未満の男性では骨密度のみで骨粗鬆症と診断 してはいけない 。

④ 周閉経期の女性では原発性骨粗鬆症診断基準を適 用してもよいとされる。

精度管理とは

 一般にファントムを用いて,定められた測定方法 に基づいて繰り返し測定を行った場合の再現性を測 定精度と呼ぶ。精度管理は測定の品質水準を保つた めに重要である。

 一般に,装置ごとにメーカーの定めたガイドライ ンに従って精度管理を行う。指示がない場合,下記 に従うのがよい。

1)

システムキャリブレーションとは別に,DXA装置 付属のファントムを用いて周期的に(少なくとも 1週間に

1

回)施行する。

2)

結果をプロットし総括する。

 再現性のよい測定には,上記のような精度管理に

第Ⅱ章 骨粗鬆症の診断

加えて,同一条件でのデータ収集,患者のポジショ ニングの再現性,解析領域の再現性が重要である。

施設内の,検者ごとの測定精度を把握しているこ とが望ましい181)

前腕 DXA の有用性は

 腰椎および大腿骨近位部測定が十分に行われない 場合には,前腕骨が測定の対象になる179)。たとえば,

両股関節術後,腰椎椎体骨折多発例,強度変形性脊 椎症例や,極度の肥満症例などの場合である。腰椎 と大腿骨のいずれも測定できない場合に,第

2

選択 部位として前腕骨で測定することもある。

 副甲状腺機能亢進症では,橈骨骨幹部(1/3遠位部)

が最適の測定部位である。

 前腕 DXAには,非利き腕の橈骨

1/3

遠位部を用い る。骨折既往があれば反対側で計測する。

骨折リスクの評価に有用か

 低骨密度と新規骨折発生との相関182),および既存 骨折の有無と新規骨折発生との相関183)は高い。

 骨密度は骨折リスク評価に有用であり,ことに

65

歳以上において有用である184,185)(レベル

I)。骨密度

YAM

1SD

低下(10〜

12%

低下に相当)すると,

骨折タイプと測定部位の組み合わせによって,骨折 リ ス ク は

1.5

2.6

倍 に な る186,187)。 躯 幹 骨

DXA

が 高リスク症例の検出に最も役立つ188-190)(レベル

I)。

骨折リスクは同部位の骨密度ともっともよく相関し,腰椎 骨密度

1SD

低下で椎体骨折リスクは

2.3

倍,大腿骨近 位部骨密度

1SD

低下で大腿骨近位部骨折リスクは

2.6

倍になる187)。大腿骨近位部骨密度は脊椎骨折をはじ めあらゆる骨折の予知能に優れ184,186,191)(レベル

I

),

大腿骨近位部骨密度

1SD

低下は,あらゆる部位の骨 折リスクが

1.6

倍増加することを意味する187)

DXA の新しい応用方法は

Hip Structure Analysis

HSA

192)は,大腿骨骨密 度の

DXA

データに基づいて簡便に骨ジオメトリーお よび骨強度指標を算出する方法である。大規模臨床

試験では骨粗鬆症治療薬の効果評価における有用性 は知られている(レベル

I)が,骨折リスク予知の有

用性についてはまだ十分なエビデンスは得られてお らず,慎重な適用が必要である。補助的手段として の有用性は期待されており,今後さらに検討が必要 となる。

 Vertebral Fracture Assessment(VFA)は,椎体骨 折検出のための脊椎

DXA

画像解析である。VFA単独 で診断に使用するのではなく,骨密度測定を施行し た場合の補助的手段として行う。本検査の精度は装 置のレベルに依存するため,その点を理解した上で の運用が望まれる。女性では,70歳以上,若年期よ り

4cm

以上の身長低下,経過観察中

2cm

以上の身長 低下などを指標に,男性では,80歳以上,若年期よ り

6cm

以上の身長低下,経過観察中

3cm

以上の身長 低下などを指標に,VFAの適用を決める。

Trabecular Bone Score

TBS

193)は, 前 後 方 向 の腰椎

DXA

画像の生データ(密度の濃淡画像)か ら求めた指標で,骨梁幅や骨体積比率などの骨微細 構造を反映する。解析ソフト(TBS iNsight ®

,Med-Imaps

)は

Hologic

社製および

GE Healthcare Lunar

のいずれの

DXA

装置にも搭載可能であり,骨密度解 析領域と一致した領域で計算する。臨床において簡 便に算出できる骨構造特性指標として期待され,現 在信頼性や有用性について検証されている。

ま と め

 腰椎および大腿骨近位部の

2

部位の

DXA

測定が推 奨される。対象は,①脆弱性骨折を有する症例,②

65

歳以上の女性と

70

歳以上の男性,③危険因子を有 する

65

歳未満の閉経後および周閉経期の女性と

70

歳未満の男性である。大腿骨近位部骨密度は,あら ゆる骨折の予知能に優れており,全大腿骨近位部か 頚部の骨密度のうち,YAMに対するパーセンテージ がより低値の方を用いて診断する。腰椎および大腿 骨近位部での評価が困難な場合,前腕骨

DXA

測定を 施行する。いずれの測定もポジショニングに留意し,

再現性のよい測定を心がける。

28

第Ⅱ章 骨粗鬆症の診断

 B. 骨評価

b. その他の骨評価法( MD および QUS 法)

MD の概要は

  エ ッ ク ス 線 撮 影 画 像 の 濃 淡 や 皮 質 骨 の 幅 か ら 骨 密 度 を 評 価 す る 方 法 を

RA(radiographic absorptiometry) と い う。MD(microdensitometry)

はわが国で開発され,第二中手骨を用いる

RA

の一つ

である194,195)

MD

は保険適用(

140

点)の骨密度測

定法である。

 MDで評価できるのは末梢の皮質骨を中心とした 骨密度である。男女とも

30

歳代をピークとしている。

女性は

40

歳代後半より急激に低下し,男性はなだら かに低下する196)

 近年,エックス線撮影のデジタル化が進み,MD においても技術革新がなされた。すなわち,CRで得 られた画像をインターネット経由でサーバーに送り,

診療現場で骨密度値を得ることなどもできるように なった。これによって,エックス線フィルムの現像 条件の差などに左右されない測定値を速やかに得る ことが可能である。

MD で骨粗鬆症の診断ができるか

 わが国において

MD

による大規模な骨折リスクの 検討は行われていない。国際的にはプロスペクティ ブ研究により,中手骨

RA

において,

1SD

低下により,

椎体骨折は

1.7

倍(95% CI,1.2〜

2.5),全身の骨折

1.6

倍(95% CI,1.2〜

2.1)増加するという報告

がある197)

 MDは「原発性骨粗鬆症の診断基準

2012

年度改訂 版」においても骨粗鬆症の診断における骨密度測定 方法として取り上げられており,骨粗鬆症の診断に 用いることができる。

MD で治療効果を判定できるか

 現在の骨粗鬆症治療薬は主に海綿骨の骨密度上昇 が期待されている。中手骨における海綿骨の割合は

2

3%であり,末梢皮質骨では変化を認めることは困

難である。MDの測定精度は

1.5

5%であることか

ら治療効果判定には数年が必要となり,モニタリン グも困難である。

QUS 法の概要は

  定 量 的 超 音 波 測 定 法(quantitative ultrasound:

QUS)は超音波の骨内の伝播速度(speed of sound:

SOS)と減衰係数(broadband ultrasound attenuation:

BUA

)を測定することにより,骨評価を行う方法で

ある198-200)。通常は海綿骨の多い踵骨を測定部位とし

ているが,脛骨の皮質骨や橈骨の皮質骨,海綿骨を 測定する装置も開発されている。人間ドックや検診 現場では骨粗鬆症のスクリーニングとして汎用され るが,下記のように確定診断には用いられない。保 険が適用される(80 点)。

 QUSは,単に骨量を評価しているのみではなく,

骨質を評価している可能性がある。小児や妊産婦に おいても測定が可能である。欠点としては,誤差が 大きい(3〜

4%)ことや,温度の影響を受ける

201)

ことがあげられる。QUSで得られるパラメータは

2010

年に日本骨粗鬆症学会

QUS

標準化委員会で標 準化されている202)

QUS で骨粗鬆症の診断ができるか

QUS

では,

DXA

による骨密度とは独立して,骨 折の判別と骨折リスクの評価ができる可能性がある ものの,骨塩定量を基盤とする骨密度測定とは一線 を画するものである。これらについて原発性骨粗鬆 症の診断基準を改訂する際にも議論がつくされたが,

2012

年度改訂版の診断基準においても骨粗鬆症の診 断に用いる検査としては採用されなかった。

 このため,QUSは骨粗鬆症のスクリーニングなど には用いることはできるものの,原発性骨粗鬆症の 診断基準をあてはめた確定診断に使用することはで きない。

QUS で治療効果を評価することができるか

 治療効果の評価における

QUS

使用のコンセンサス は得られていない203)

 アレンドロネートによる治療効果の評価では

SOS

4

年 間 で

1.9

% 上 昇, 二 次 パ ラ メ ー タ の 剛 性 は

DXA

で得られるのと同等の

9%の上昇が報告されて

いる204)。わが国でも,アレンドロネートやエチドロ

ドキュメント内 <474C F31312E DFC82E88A7789EF E706466> (ページ 36-40)