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を契機とする又はその準備のための監護権に関する決定(子の養子縁組への同意のための後見人又は補 佐人の選任など)に関する国際裁判管轄も,

FamFG

99

条,あるいはそれに優先するブリュッセル

IIbis

規則又は

1961

年未成年者保護条約ないし

1996

年子の保護条約による278

(2) 外国準拠法に基づく養子縁組

外国法が養子縁組の準拠法となる場合(EGBGB22279には,国際裁判管轄は,機能的に

FamFG

186

条に定める家庭裁判所の措置に相当するあらゆる措置を対象とする。そこには,ドイ

ツ実体法が知らない措置,たとえば養子縁組障碍の排除や特定の養子縁組要件の確定なども含まれ る。従前の実務においては,養子縁組に関するかぎり,当該外国法上の制度があまりにドイツの制 度と異なり家庭裁判所が対応できないことを理由に,管轄が否定された例はない。むしろドイツ裁 判所が国際裁判管轄をもち,

EGBGB

22

条によって外国法が準拠法として指定される場合には,

可能なかぎり,外国準拠実体法上の要請に適応すべきであると解されている280

養子縁組事件について国際裁判管轄が肯定される場合に,外国準拠法が契約型の養子縁組を予 定しているときにもドイツ裁判所が決定によって養子縁組を行ってよいかどうかは問題となる。多 数説によれば,これは養子縁組の方法及び要件の問題であるため,

EGBGB

22

条が指定する準拠 法に従う(国際私法の問題であり,国際民事手続法の問題ではない)。そして,養子縁組の準拠法が,契 約型養子縁組を行うために裁判所の関与(許可など)を予定している場合には,ドイツ裁判所はその 措置を取ることができる。それに対して,養子縁組の準拠法が裁判所の関与を全く予定していない 場合には,ドイツ裁判所は裁判権を行使することはできない。ただし,裁判所の関与なしに行われ る養子縁組が具体的事案において公序に反する(EGBGB6)場合には,ドイツ裁判所は,欠缺 補充のために

BGB

1752

条第

1

項を適用して縁組決定を下すと解されている281

養子縁組の準拠法が養子縁組を知らない場合にも,ドイツ裁判所の管轄は認められる。そして,

当事者のドイツ国籍又はドイツにおける常居所に基づいて十分な内国牽連性があり,その準拠法の 適用が公序に反する場合には,ドイツ裁判所は,欠缺補充のためにドイツ法を適用して縁組決定を する。子又は養親の本国がその養子縁組を承認しないことは,管轄権を行使する妨げにはならない282

278 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 5.

279 EGBGB22条第1項によれば,養子縁組は,原則として養親の縁組当時の本国法による。一方配偶者又は

夫婦双方による養子縁組は,第14条第1項が定める婚姻の身分的効力の準拠法による。同第2項によれば,養 子縁組の効果としての養親子関係及び実親子関係は,第1項に定める準拠法による。同第3項によれば,養親 死亡後の相続関係については,相続人が終意処分においてその旨を定め,相続の準拠法がドイツ法である場合 には,配偶者又は親族と養子との関係は,第1項及び第2項に定める法いかんにかかわらず,ドイツ法によっ て決定される(ただし,養子が縁組当時に満18歳に達していた場合にはその限りではない)

280 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 6.

281 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 7 et seq.

282 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 9.

(3) FamFG186条第4号に基づく措置

FamFG

186

条第

4

号は,

BGB

1308

条第

1

項に定める縁組親族の婚姻障碍の除去に関する 手続を定めている。体系上は,

FamFG

101

条による国際裁判管轄は,縁組親族の婚姻障碍の除去 も対象とするが,立法政策としては疑問であり,立法の不備であると指摘されている。すなわち,

婚姻障碍の除去は,養子法と関係するが,実際には婚姻の実質的成立要件の問題であり,各当事者 の本国法によって判断される(EGBGB13条第1)。従来の多数説は,縁組親族の婚姻障碍の除去 も各当事者の本国が判断することしていたが,近時は,婚約者双方がドイツ国内に常居所をもつ場 合には,保護のための管轄又は常居所地管轄を根拠として(FGG旧第43条第1項及び旧第35条第1 2号類推適用),管轄を肯定する見解も有力になっていた283

一つの見解によれば,ドイツ法が一方当事者の婚姻の実質的成立要件の準拠法であり,

BGB

1308

条第

1

項に基づいて婚姻障碍を除去すべき場合には,

FamFG

101

条に基づいてドイツ裁判所 が管轄をもつという。他方,外国法に基づく縁組親族の婚姻障碍を除去する場合には,

FamFG

99

条第

1

項第

2

・第

3

号及び第

101

条第

2

号の包括的な類推適用によって,一方婚約者がドイツに常 居所をもつ又は例外的に保護の必要性がある場合(内国での婚姻挙行の予定,本国の無管轄など)には,

ドイツ裁判所が管轄をもつという284

(4) EU法及び条約

ブリュッセル

IIbis

規則は,親権・監護権について規律するだけである。唯一,養子縁組の前提 となる監護権に関する事件(補佐人又は後見人の選任)に適用されるに過ぎない。1961年未成年者保 護条約及び

1996

年子の保護条約は,養子縁組には適用されず,ただその前提となる監護権に関する 事件(補佐人又は後見人の選任)に適用されるに過ぎない。

1965

11

15

日ハーグ養子縁組条約は,養子縁組に関する直接管轄は定めておらず,外国で

下された養子縁組決定の承認について定めるに過ぎない。外国裁判所の間接管轄については,同条 約第

3

条に規定がある285。他方,1993年

5

29

日「国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関 するハーグ条約」は,国境を越えた養子縁組に関する行政協力を中心とする条約である。1993年条 約第

2

条第

1

項は,本条約の場所的適用範囲について,「ある締約国(出身国)に常居所を有する子 が,出身国において他の締約国(受入国)に常居所を有する夫婦又は単身者と縁組をした後に,又

283 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 10.

284 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 10. ラウシャーによれば,BGB1308条第2項に基づく婚姻障 碍の除去は縁組姻族との関係でのみ問題となるため,養親の一方がドイツに常居所をもつことを根拠として管 轄を認めると,おかしな結論になるという。

285 1965年ハーグ養子縁組条約第3

[1] 養子縁組の成立を認める裁判(その他の処分)につき管轄権を有する機関は左の通りとする。

一 単独で養親となる者が常居所を有する国の機関,または,夫婦で養親になろうとする場合には,その夫婦 がいずれも常居所を有する国の機関

二 単独で養親となる者が国籍を有する国の機関,または,夫婦で養親になろうとする場合には,その夫婦が 共通の国籍を有する国の機関

[2] 常居所および国籍に関する諸要件は,本条に定める機関に申立がなされた時においても,また,その機関 が養子縁組の成立を認める裁判(その他の処分)をするに際しても,充たされていなければならない。

は受入国若しくは出身国においてこのような縁組をするために,受入国に移動を終え,現に移動し,

又は移動しようとする場合に適用する」と定めている。それによれば,養子縁組自体が養子の出身 国と養親による受入国のいずれにおいて行われるかは規定しておらず,国際裁判管轄及び準拠法の 決定について各締約国の判断にゆだねている。

そのほか,1964年

4

24

日ヨーロッパ評議会養子縁組条約は,実質法を対象とする。養子縁 組の国際裁判管轄について規律している二国間条約は存在しない286

3. 国際裁判管轄の決定 (1) 基準となる主体

FamFG

101

条は,同第

99

条及び第

100

条と同じ管轄原因によっている。基準となる主体は,

単独養親,養親となる夫婦の一方,そして子のいずれかであり,選択的に適用される。ドイツの国 際裁判管轄は,これらの者のいずれかがドイツ国籍又はドイツに常居所をもつだけで要件が充足さ れる。連れ子養子の場合,

FamFG

101

条の文言上は,実親がドイツ国籍又はドイツに常居所をも っていても要件は充足されない(実親の配偶者又は登録パートナーだけが養親に当たるため)。しかし,

利害関係は夫婦共同養子縁組の場合と共通するため,第

101

条を類推適用し,実親のドイツ国籍又 はドイツの常居所を管轄原因とすることが提唱されている287

(2) 管轄原因

管轄原因としての「ドイツ人」(FamFG101条第1)及び「ドイツにおける常居所」(同第2 )は,各々第

99

条及び第

100

条の概念と一致する。

(3) 限定列挙及び専属管轄の否定

FamFG

101

条に定める管轄原因は,限定列挙であり,それ以外の管轄原因を援用することは

できない。FamFG第

99

条第

1

項第

3

号のような保護の必要性に基づく管轄は認められない。いず れの当事者もドイツ国籍又はドイツに常居所をもっていないとき,ドイツが養子縁組を行う必要性 があるケースはほとんど想定されないうえ,縁組決定を下しても外国で承認されず,跛行的法律関 係が発生するからである。ドイツ法が養子縁組の準拠法となることも,管轄原因とはならない288。 ドイツ裁判所の管轄は専属的ではなく,外国裁判所の管轄と競合する(FamFG106)。外国 裁判所が管轄をもつことは,それが外国法上は専属管轄であっても,ドイツ裁判所が裁判権を行使 する妨げにはならない289

286 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 11 et seq.

287 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 14. FamFG101条は,登録パートナーには言及していないが,

おそらくそれはドイツ実質法上,登録パートナーが共同養子縁組をなし得ないことにあると解される。もっと も,ドイツ実質法上も,登録パートナーが連れ子養子をすることは可能である(登録パートナーシップ法第 9 条第7項)

288 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 18 et seq.

289 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 101 FamFG, Rn. 21. ただし,ドイツの学説上は,解釈論上フォーラム・ノン・