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基づく年金分割請求権が認められることをもって,直ちに国際裁判管轄が肯定されるわけではない。

さらに,

ZPO

上の一般的な管轄ルールの援用,特に合意管轄も排除されている302

FamFG

102

条の管轄は専属的ではなく,外国裁判所の管轄と競合する(FamFG106条参照)。

(e) 管轄の継続

訴訟係属後に管轄原因事実が失われた場合に,管轄が継続するか否かは,その性質上,

FamFG

102

条第

1

号についてしか問題とならない。訴訟係属時にドイツに常居所を有していた一方配偶 者が,その後口頭弁論終結前に外国に常居所を移した場合には,ZPO第

261

条第

3

項第

2

号に基づ いてドイツ裁判所の管轄は係属する。年金分割請求は,財産法的性格が強いため,FamFG第

99

条 や第

101

条のような権利保護の要請は働かないと解されている303

プルの婚姻を認める国々(同性婚型:ベルギー,オランダ,スペインなど),②同性カップルのためにド イツ法上の登録パートナーシップと類似した法制度を設けている国々(登録パートナーシップ型:米国 の複数の州),他方で,③同性カップルと異性カップルの双方を対象とした制度を設けている国々( ックス型:フランス,またオランダ及びベルギー),さらには④異性間の事実婚カップルを制度化してい る国々(非婚共同体型:たとえばスロヴェニア)もある。

FamFG

103

条は,一方的にドイツ法上の登 録パートナーシップ制度を対象としているが(この点は,EGBGB17b条が登録パートナーシップ制度 を対象とした抵触規則を置いているのと同じである),同規定を外国法上の制度に適用することは否定さ れていない。実際にも,

FamFG

103

条第

1

項がドイツ法上の登録パートナーシップにしか適用さ れないとすると,適用対象を同項第

3

号が定めるドイツを登録地とする登録パートーナーシップに 限定することになってしまう305。そこで,個々の法制度を性質決定し,それが機能的にみて

FamFG

103

条にいう「登録パートナーシップ」に相当するか否かを判断する必要がある。

②のモデルが機能的に「登録パートナーシップ」に相当することには争いがない。①の同性婚 についても,通常は,異性間の婚姻とは異なるものとして,ドイツ法上の「登録パートナーシップ」

に相当するものと解されている(いずれもブリュッセルIIbis規則の適用はない〔後述参照〕)。

③のパックス型については,同性カップル同士のパックス(民事連帯契約)に関するかぎり,

FamFG

103

条第

1

項が直接適用される。他方,異性カップル同士のパックスについては,憲法第

6

条第

1

項の「婚姻及び家族の保護」に関する競合禁止の原則に基づいて,登録パートナーシップ は同性カップルであることを要件とするため,

FamFG

103

条第

1

項は直接適用されえない。しか し,現実には利害関係が共通しており,登録地の管轄及び居住地の管轄を認める必要があると解さ れることから,FamFG第

103

条第

1

項が類推適用されるという。

それに対して,④の非婚共同体型については,身分関係を構成せず,事実上の同居に基づいて 親族法類似の法的効果を導くに過ぎない場合には,

FamFG

103

条第

1

項は適用されない。ただし,

婚姻挙行の方式を履践していなくても,当該外国法が身分関係として構成している場合には(コモ ンロー婚,南米諸国の事実婚〔matrimonio de hecho〕など),FamFG第

98

条にいう婚姻の問題となる306

(b) EU法及び条約

FamFG

103

条第

1

項に優先して適用される条約上又は

EU

法上の規範は存在しない。ブリュ

ッセル

IIbis

規則は,登録パートナーシップには適用されない。また,同規則にいう「婚姻」とは,

EU

法に固有の概念であり,それを同性カップルにも拡張する構成国の国内法制は基準とならないた め,同性婚もブリュッセル

IIbis

規則の適用対象外であると解されている307

305 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 6.

306 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 7.

307 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 8 et seq.; Zöller/Geimer, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 1.

(2) 管轄原因 (a) 一方パートナーのドイツ国籍

FamFG

103

条第

1

項第

1

号によれば,パートナーの一方が口頭弁論終結時又はパートナーシ

ップ登録時においてドイツ人であった場合に,国際裁判管轄が認められる。本条にいう「ドイツ人」

の概念は,FamFG第

98

条第

1

項第

1

号等の概念と一致する308

(b) 一方パートナーのドイツにおける常居所

FamFG

103

条第

1

項第

2

号によれば,ドイツ裁判所は,一方パートナーが現在ドイツに常居

所を有している場合にも管轄をもつ。「常居所」概念は,

FamFG

98

条第

1

項等の概念と一致する。

ただし,

FamFG

98

条第

1

項第

4

号とは異なって,

FamFG

103

条第

1

項第

2

号は,当事者 の本国における承認可能性を要件としていない。この点については,過剰管轄であるとの批判もあ るという。しかし,現実には,

FamFG

103

条第

1

項第

2

号による管轄が問題となるのは,ドイツ に居住する外国人パートナーが(ドイツ人であれば第1号による),外国法に基づいて登録されたパー トナーシップ(ドイツで締結されていれば第3号による)――機能的にドイツ法上の登録パートナーシ ップに相当するもの――に関する身分関係訴訟を提起する場合に限定され,実務上の意義は大きく はない。また,ドイツとしては,当事者の本国法上の制度にかかわりなく登録パートナーシップ制 度による保護を与えている以上は(EGBGB17b条第1項によれば,登録パートナーシップは原則として 登録地法による),当事者に外国法上の類似の法制度に基づく保護も与えるのが一貫している。そし て,同性カップルによる登録パートナーシップの制度をもっている国は,まだ限られており,外国 での承認可能性は担保されていないため,当事者の本国での承認可能性を度外視することは当事者 の不利にはならない。さらに,登録パートナーシップが婚姻とは異なる制度である以上,前者を解 消する際の管轄要件を離婚の場合よりも緩和しても不当ではないと解されている309

(c) ドイツにおける登録パートナーシップの創設的登録

FamFG

103

条第

1

項第

3

号によれば,登録パートナーシップがドイツ当局において締結され

たかぎり,ドイツ裁判所は登録パートナーシップ事件に関する管轄をもつ。国際的にまだ確立して いない身分制度を創設した国は,その身分関係の確認及び解消について法的保護を与えるのが相当 であるといえる。このような登録を基準とする管轄は,

EGBGB

17b

条とも平仄が合うものであり,

婚姻事件の国際裁判管轄とは同列に論じ得ない(もとより婚姻事件について婚姻挙行地の国際裁判管轄を 認めれば,明らかに過剰管轄となる310

FamFG

103

条第

1

項第

3

号は,ドイツにおいてドイツ法に従い,登録パートナーシップが創

設されたことを前提とする。これは,

EGBGB

17b

条第

1

項第

1

号によれば,登録パートナーシッ

308 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 10 et seq.

309 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 12.

310 Zöller/Geimer, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 17.

プの実質的及び形式的成立要件のいずれについても登録地法が準拠法とされ,実質と方式の並行が 予定されていることによる311

(3) 国際裁判管轄に関する基本原則 (a) 限定列挙及び専属管轄の否定

登録パートナーシップ事件について,

FamFG

103

条第

1

項に掲げる管轄原因は限定列挙であ り,それ以外の管轄原因は認められない312。登録パートナーシップ事件に関する国際裁判管轄は,

専属管轄ではなく,外国裁判所の管轄と競合しうる(FamFG106)。それゆえ,ドイツ裁判所が 管轄をもつことは,登録パートナーシップに関する外国裁判を承認する障碍とはならない。

(b) 管轄の継続

管轄の継続は,婚姻事件と同様に認められる。

3. それ以外の登録パートナーシップ事件に関する国際裁判管轄ルール (1) 適用範囲

(a) 事項的適用範囲

FamFG

103

条第

2

項及び第

3

項が対象とするその他の登録パートナーシップ事件とは,

FamFG

269

条第

1

項第

3

号~第

12

号及び同条第

2

項・第

3

項に定める事項である。具体的には,

①親権,面接交流権,子の引渡請求(FamFG269条第1項第3),②養子縁組及び養子縁組への同 意に代わる家庭裁判所の決定(4),③登録パートナーシップに基づく住居(5),④家財( 6),⑤年金分割請求(7),⑥登録パートナーとの共通の未成年子に対する法律上の扶養義務

8),⑦登録パートナーシップに基づく法律上の扶養義務(9),⑧登録パートナーシップ 財産制に基づく請求(第三者が関与する場合を含む)(10 ),⑨登録パートナーシップに基づく財 産処分に関する家庭裁判所の決定(11),⑩登録パートナーシップ財産契約に基づく財産処分に 関する家庭裁判所の決定(12),⑪登録パートナーシップの予約(FamFG269条第2項第1),

⑫登録パートナーシップに基づく請求(同第2),⑬登録パートナーシップに関する別居又は解消 に関する当事者同士の請求,あるいは登録パートナーと一方親の請求(同第3),そして,⑭日常 家事債務(FamFG269条第3)である。

(b) EU法及び条約

ブリュッセル

IIbis

規則第

8

条以下は,登録パートナーシップに基づく親責任にも適用される。

ただし,同規則第

12

条は,婚姻関係の存在を前提とし,当事者の合意及び子の福祉にかなうことを

311 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 13 et seq.

312 MünchKomm/Rauscher, op.cit., § 103 FamFG, Rn. 16. FamFG98条の類推適用,土地管轄に関するFamFG270 条第1項及び第121条,一般原則としてのZPOを援用することで,別の管轄原因を認めることはできない。