親権及び子との面会交流等に関する親子事件については,家庭裁判所が職分管轄をもつ(FamFG 第111条第2号,第151条)。特に子の居所指定,面会交流,引渡し,あるいは子の福祉の危険に関す る事件については,手続が優先的かつ迅速に進められる(FamFG第155条)。他方で,子の福祉に反 しないかぎりは,手続のいかなる段階においても和解が試みられる(FamFG第156条)。手続には,
職権探知主義が妥当する(FamFG第26条)。子の利益を実現するのに必要な場合には(法定代理人と の利害の対立,親権の取り上げが問題となる場合など),手続補佐人が選任される(FamFG第158条)。14 歳以上の子については原則として,14 歳未満の子については適切な場合に意見聴取がなされる
(FamFG第159条)。親も直接尋問されるほか,養育人及び少年局も関与する(FamFG第160条以下)。
血縁上の親子関係事件については,家庭裁判所が職分管轄をもつ(FamFG第111条第3号,第169 条第4号)。FamFG制定以来,手続は,訴えではなく申立てによって開始され(FamFG第171条第1 項),被告は存在しない。子,法律上の父,そして母は必ず当事者となる(FamFG第172条第1項)。 未成年子の利益を実現するために必要があれば,手続補佐人が選任される(FamFG第174条)。手続 には,職権探知主義が妥当する(FamFG第26条)。ただし,当事者が主張していない事実は,父子関 係を維持するのに役立つか又は申立て人が同意するかぎりでのみ判断の基礎とされる(FamFG第177 条第1項)。当事者の一人が終局裁判の確定前に死亡した場合にも,他の当事者の一人が
1
ヶ月以内 に申立てをすれば,手続は継続する(FamFG第181条)447。養子縁組についても,家庭裁判所が職分管轄をもつ(FamFG第111条第4号,第186条以下)。縁 組手続においては,養親及び養子となる子(FamFG第192条),さらに養親又は養子の子ら(FamFG 第193条)のほか,養子となる子が未成年である場合には,少年局も(FamFG第194条第1項)意見
445親権及び子との面会交流については,1976年離婚法改正後(Erstes Gesetz zur Reform des Ehe- und Familienrechts [1.
EheRG] vom 14.6.1976, BGBl. I, S. 1421)は,必ず離婚事件において附帯的に決定されていたが(必要的併合手続
[Zwangsverbund]),1997年親子法改正後は,父又は母の申立てが要件とされている(FamFG第137条第3項)。
446 Schwab, op.cit., S. 153 et seq.
447当事者の死亡後の父子関係の否認は,相続権との関係で意味をもつ。Schwab, op.cit., S. 265.
聴取される。家庭裁判所は,縁組の申立てについて決定をもって判断する。養子縁組が認容される 場合には,縁組決定は,養親に通知した時点から効力をもつ(FamFG第197条第1・第2項)。
(参考資料1)「家事事件及び非訟事件の手続に関する法律」448
第
1
編第9
章 渉外関係手続第
1
節 国際法上の条約と欧州連合の制定法 第97
条 優先性及び適用可能性(1)
国際法上の条約における準則は,それが国内法上直接適用しうる規範となっているかぎり,本法 の規定に優先する。欧州連合の制定法上の準則の適用は妨げられない。(2)
前項にいう条約及び制定法を国内法化及び実施するために定められた準則の適用は妨げられな い。第
2
節 国際裁判管轄第
98
条 婚姻事件;離婚事件と附帯処分事件の併合(1)
ドイツ裁判所は,以下の場合に婚姻事件について管轄をもつ。1.
一方配偶者がドイツ人であるとき又は婚姻時にドイツ人であったとき。2.
夫婦双方がドイツ国内に常居所を有しているとき。3.
一方配偶者が無国籍者でドイツ国内に常居所を有しているとき。4.
一方配偶者がドイツ国内に常居所を有しているとき。ただし,ドイツで下す予定の裁判が夫婦い ずれの本国法によっても明らかに承認されえない場合には,その限りではない。(2)
前項に基づくドイツ裁判所の管轄は,離婚事件及び附帯処分事件が併合されているときには,離 婚の附帯処分にも及ぶ。第
99
条 親子事件(1)
ドイツ裁判所は,第151
条第7
号に定める手続を除いて449,子が,1.
ドイツ人であるとき,あるいは2.
ドイツ国内に常居所を有するときには,管轄をもつ。また,ドイツ裁判所は,子がドイツ裁判所による保護措置を必要とする場合にも,管 轄をもつ。
(2)
ドイツ裁判所及び外国裁判所が後見開始命令のための管轄をもっており,後見がすでに当該外国 において開始されている場合には,それが被後見人の利益にかなうかぎり,ドイツ国内では後見開 始命令を差し控えることができる。(3)
ドイツ裁判所及び外国裁判所が後見開始命令のための管轄をもっており,ドイツ国内ではすでに 後見が行われている場合には,後見を監督している裁判所は,それが被後見人の利益にかない,後448 Gesetz über das Verfahren in Familiensachen und in den Angelegenheiten der freiwilligen Gerichtsbarkeit (FamFG) vom 17.12.2008 (BGBl. I S. 2586, 2587).
449第151条第7号は,精神病者の保護収容に関する州法に基づく,未成年者の自由を剥奪する保護収容命令に 関する手続を指す。
見人が同意し,当該国が後見の引継ぎを承諾したときには,後見開始命令に関して国際裁判管轄を もつ国に後見をゆだねることができる。単独後見人,あるいは共同で後見が行われている際の複数 後見人の一人が同意を拒否した場合には,後見事件が係属している裁判所に代わって,審級が上位 の裁判所が決定を下す。その決定を取り消すことはできない。
(4)
第2
項及び第3
項の規定は,第151
条第5
号及び第6
号の手続に準用する450。第
100
条 血縁上の親子関係事件ドイツ裁判所は,子,母,父,あるいは母の妊娠時に同衾していたと宣誓した男性が,
1.
ドイツ人であるとき,あるいは2.
ドイツ国内に常居所を有するときには,管轄をもつ。
第
101
条 養子縁組事件ドイツ裁判所は,養親,夫婦共同養子縁組の養親の一人,あるいは子が,
1.
ドイツ人であるとき,あるいは2.
ドイツ国内に常居所を有するときには,管轄をもつ。
第
102
条 年金分割事件 ドイツ裁判所は,1.
申立人又は相手方がドイツ国内に常居所を有するとき,2.
ドイツ国内における年金期待権について決定すべきとき,あるいは3.
ドイツのいずれかの裁判所が申立人と相手方の離婚判決を下したときには,管轄をもつ。
第
103
条 登録パートナーシップ事件(1)
ドイツ裁判所は,登録パートナーシップ法に基づく登録パートナーシップの解消,あるいは登録 パートナーシップの存在又は不存在の確認を対象とする登録パートナーシップ事件について,1.
登録パートナーの一人がドイツ人であるとき又は登録パートナーシップ締結時にドイツ人であ ったとき,2.
登録パートナーの一人がドイツ国内に常居所を有しているとき,あるいは3.
登録パートナーシップがドイツ国内の当局において締結されたときには,管轄をもつ。
450第151条第5号は,補佐又はそれ以外の未成年者又は胎児の代理人の選任に関する手続を,同第6号は,未 成年者の自由を剥奪する保護収容(BGB第1631b条,第1800条,第1915条)に関する手続を指す。
(2)
前項に基づくドイツ裁判所の管轄は,登録パートナーシップの解消事件と附帯処分事件が併合さ れているときには,附帯処分にも及ぶ。(3)
第99
条,第101
条,第102
条,第105
条の規定は準用される。第
104
条 世話事件及び保護収容事件,成年補佐事件(1)
ドイツ裁判所は,本人又は成年者である被補佐人が,1.
ドイツ人であるとき,あるいは2.
ドイツ国内に常居所を有するときには,管轄をもつ。また,ドイツ裁判所は,本人又は成年者である被補佐人がドイツ裁判所による保護措 置を必要とする場合にも,管轄をもつ。
(2)
第99
条第2
項及び第3
項の規定は準用される。(3)
第1
項及び第2
項の規定は,第312
条第3
号に基づく保護収容事件451には適用されない。第
105
条 その他の手続本法に基づくその他の手続については,ドイツ裁判所は,ドイツのいずれかの裁判所が土地管轄を もつ場合に管轄をもつ。
第
106
条 専属管轄の否定本節に定める管轄は,専属的ではない。
第
3
節 外国裁判の承認及び執行第
107
条 婚姻事件に関する外国裁判の承認(1) 婚姻を無効とする,取消す,婚姻関係が成立した後に又はそれを維持したままで解消する,あ
るいは当事者の婚姻の存在又は不存在を確認する外国の決定は,州法務局が,承認要件が具備され ていることを確認した場合にのみ承認される。ただし,夫婦双方が裁判時に国籍を有していた国の 司法機関又は行政機関が判断した場合には,その承認は,州法務局による確認を必要としない。(2)
管轄をもつのは,夫婦の一方が常居所をもつ州の法務局である。夫婦のいずれもドイツ国内に常 居所をもたない場合には,新たな婚姻が挙行される又は登録パートナーシップが締結される予定で ある州の法務局が管轄をもつ。その場合に,州法務局は,婚姻の挙行又は登録パートナーシップの 登録が申請されたことの証明を求めることができる。その他の管轄原因が存しない場合には,ベル リン州の法務局が管轄をもつ。451第312条第3号は,精神病者の保護収容に関する州法に基づく,成年者の自由を剥奪する保護収容に関する 手続を指す。