−楽しく基礎的な能力を身につけるための指導方法−
吉 田 悦 子 指導主事
今 江 智 美(下坂部小)
研 究 員
〃 森 本 宏 子(武庫北小)
〃 小 山 清 江(武庫東小)
【内容の要約】
昨年度 「楽しい音楽とは何か」という課題をもとに,子どもの意識調査をした。, そして,研究員3校の実践 「校内音楽会 「総合的な学習の時間との連携 「鑑賞, 」 」 曲から合奏曲へのアレンジ」を通して,楽しい授業を展開するための指導方法と教 材開発の研究に取り組んだ。
2年目にあたり,私たちは始めに,子どもの学習意欲について考えた。
音楽の基礎的な能力が自然に身につけば「意欲」を高めることができるのではな いか,という仮説をたて研究を進めた。
音楽の基礎については「リズム感」と「読譜」の能力に絞り,それを高めるため
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の指導方法による 授業実践に取り組んだ 意欲に関しては意識調査により検証し 音楽活動への意欲を高める指導方法を探った。
キーワード:意欲,基礎・基本,リズムと拍の流れにのる力,読譜力,音楽会,
楽しい音楽
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1 はじめに 45
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2 研究の概要 46
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3 研究の内容 47
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(1)実践例1とその考察 47
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(2)実践例2とその考察 53
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(3)実践例3とその考察 59
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4 おわりに 64
1 はじめに
新学習指導要領が昨年度からスタートし,年間の総授業時数も削減となり,音楽科に おいても小学校中学年で10時間,高学年では20時間もの縮減となっている 。今までの1 ) 年間70時間を大幅に下回る時数の中で,授業の見直しを余儀なくされている。また最近 子ども達は,音楽は好きだけど自ら進んで歌を歌ったり,楽器を演奏すること等につい ては消極的である。そのような中で私たちは,子ども達の音楽活動への意欲を高めてい かなければならない。そこで,研究のはじめに,2年間計画の見通しをたてるために,
今回の新学習指導要領の音楽科改訂におけるポイントを検討した。
総則の冒頭に「基礎的・基本的な内容の指導を徹底し」が「基礎的・基本的な内容の 確実な定着を図り」2 )となっており基礎・基本がさらに重視されている。そこで「音楽 科における基礎・基本とはどういうものであるか」について,八木正一氏の著書『 音「 楽活動の基礎」の授業−50のネタ』3 )を参考に考察した。
八木氏は,音楽の「基礎・基本」の違いについて次のようにいっている 「ニュアン。 スの問題になるかもしれないが,技能の場合に 〈発声の基礎理論〉といったように,, 多くの場合〈基礎〉という言葉が使われる。それに対して 〈基本〉という言葉は 〈教, , 育基本法〉や〈基本的人権〉といったように〈おおもと〉といった意味合いがある。そ れぞれの微妙な違いを踏まえて,私は 〈基礎・基本〉の構造を次のように考える 」, 。 4 )
「基礎 ・・・音楽活動を行う上での技術的な礎となる力」
「基本 ・・・音楽を楽しみ音楽活動をしようという心」 自ら表現しようとする気持ち
昨年度私たちは,子ども達の「音楽って楽しいな 「こんな音楽をやってみたい」と」 いうような心や気持ちを育てることが重要であると考えた。その共通理解のもとに,ま ず,研究員各校の子ども達の好きな曲,嫌いな曲について意識調査を行なった。その考 察をもとに校内音楽会の実践,総合的な学習の時間との連携,そして鑑賞教材をアレン ジして,合奏教材とした授業実践を通して 「楽しい授業を展開するための指導方法と, 教材開発」の研究に取り組んだ。
昨年度,研究発表会で指摘された内容は 「基礎・基本」について「基本」から取り, 出す基盤にある気持ち,すなわち意欲を取り出して考えていくということであった。そ
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こで 本年度は 意欲についての意識調査 音楽の時間は好きですか など を行ない
「基礎−音楽活動を行う上での技術的な礎となる力−」に着眼した。音楽の「基礎」が 自然に身につくような授業を展開すれば,子ども達の意欲は高まり,楽しく音楽活動に 取り組めるのではないかという仮説のもとにテーマを次のように設定した。
「音楽活動への意欲を高める指導の研究」
〜楽しく基礎的な能力を身につけるための指導方法〜
2 研究の概要
1958年(昭和33年)の学習指導要領の改訂以降,基礎的な能力の育成が大きな 目標の一つになった。そして楽譜の読み書きの力を養うために,楽譜を視唱する練習を 繰り返し行った。このような基礎指導を徹底して指導する音楽科の歴史があり,子ども 達の中に「音楽の授業離れ」という言葉も生まれた。このように基礎を重視する指導が 授業離れになったという事実を繰り返さないよう考える必要がある 。5 )
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そこで 私たちは基礎指導について 子ども達が楽しみながら学ぶことができないか と考えた。
音楽の活動をする中で,自然に無理なく基礎的な能力が身に付いていくならば,子ど も達はさらに自らの力で取り組み,意欲が高まるのではないだろうか。
「音楽の基礎」は,楽譜を読む力,歌う,演奏する,旋律の創作などたくさんあるの で,生涯にわたって音楽活動する上で,発展性のある内容に絞り込むことにした。
そして,絞り込む内容は次の2点にした。
(1)リズムと拍の流れにのる力(リズム感)
(2)リズムと楽譜を対応させることができる力(読譜力)
上記のことを踏まえ,私たちはそれらの基礎的な能力を身につけさせるため,特に低 学年・中学年を対象に,その指導方法を考えていくことにした。
「意欲」の実態について調べる方法として,子ども達にとって基礎的な学習は楽しい ものかどうか,に関して意識調査を行った。2年〜4年生を対象に,各校独自の「基礎 的な項目『4 」を付加した音楽の授業について,次のような「しつもん」』 6 )により意 識調査をした。結果については実践例の中で述べることにする。
3年 組 名前( )
しつもんします!
*自分の気持ちにあてはまるところを○でかこみましょう。き も ち
(れい ・・・・・はい) ふつう いいえ
♪ 歌ったり,えんそうしたりすることについて
1,音楽の時間は,好きですか ・・・・・・・・・・・・・はいお ん が く 。 ふつう いいえ 2,音楽の時間に,歌をうたうことが好きですか ・・・・・はい。 ふつう いいえ 3,音楽の時間に,楽器をえんそうすることはすきですか ・はい。 ふつう いいえ 4,音ぷを「ドレミ」で読むことはすきですか ・・・・・・はい。 ふつう いいえ 5,家で,歌ったり楽器の演奏をすることがありますか ・・はい。 時々 いいえ
♪ 音楽をきくことについて
1,音楽をきくことが楽しいと思いますか ・・・・・・・・はい。 ふつう いいえ 2,テレビの歌番組が好きですか ・・・・・・・・・・・・はいば ん ぐ み 。 ふつう いいえ 3,友達の演奏はすなおな気持ちできいていますか ・・・・はい。 ふつう いいえ 4,音楽をきいて感動したことがありますか ・・・・・・・はいか ん ど う 。 ふつう いいえ 5,家で音楽をきくことがありますか ・・・・・・・・・・はい。 ふつう いいえ
3 研究の内容
実践例1とその考察
(1)
武庫東小学校 2年生1.2.3組(106人)
題材「リズムにのって遊ぼう」
1. 題材について
基礎の中の一つ「音楽の流れにのることのできる力」は拍の保持能力ともいわれ ている。拍を保持しながら(一定のテンポで)歌唱したりリズム打ちや即興できる 力である。また鑑賞においても,音楽の拍に合わせて指揮をしたり,身体でリズム の流れを感じることができる力である。これが私たちがふつうに接している音楽の もっとも基礎ではないかと考える。
また学習指導要領における学年目標の中の低学年の項目には 「リズムに重点を, おいた活動を通して,基礎的な表現の能力を育て,音楽表現の楽しさに気づくよう にする」7 )と 記されている。
そこで本校では,楽しみながら「音楽の流れにのることのできる力」を身につけ させたいと考え,音楽専科が指導している2年生で毎時間継続して短い時間を使っ て, 次に提示する様々なリズム遊び(活動パターン①〜⑦)を実践した。
またこの実践を行うにあたって,昨年度,常光寺小学校の西田教諭にリトミック の概要と指導法について学んだ。その後,教育総合センターの音楽科教育研修講座
(第3回)で,常光寺小学校の1年生による音楽の授業(リトミックを取り入れた音 楽活動)を見せて頂き,勉強した。
活動パターン 2.
① 3拍リレー
〈準備物〉
・ 小物のリズム楽器(タンバリン,カスタネット等 ,リズムカード)
〈授業の流れ〉
・ のリズムにのって,自分の名前,好きな教科,色,果物,動物,
朝,食べてきたものなどを一人ずつリレーしていく。
② リズムに合わせて
〈準備物〉
・すずらんテープ
・ケンパのためのわっか,または床に直接油性のマジックでまるを書く。
・竹だいこ
・4分の4拍子の曲のテープ( ドレミの歌」など)「
〈授業の流れ〉
・クラス全体を4グループに分ける。
ア 指揮グループ: 4拍子)の指揮をする。( イ 竹だいこグループ:
ウ ケンパグループ: ケンパ( ケンパ ケンケンケンパ ケンパ ケンパ ケ ンケンケンパ)のリズムで飛ぶ。
エ バンブーダンスグループ:4拍子に合わせて飛び方を工夫する。