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障害回復とバックアップ

XenServerの障害回復(DR︓Disaster Recovery)機能は、壊滅的なハードウェア障害などによりそ のプールやサイト全体が使⽤不能になった場合に、仮想マシンやvAppを回復できるように設計され ています。単⼀サーバーの障害からの回復については、項3.9. 「⾼可⽤性」を参照してください。

注︓

この機能を使⽤するには、ルートユーザーまたはプールオペレータ以上の権限が必 要です。

8.1. XenServerの障害回復のしくみ

XenServerの障害回復では、仮想マシンやvAppを回復するために必要なすべての情報がストレージ リポジトリ(SR)上に格納され、その情報が実務環境(プライマリサイト)からバックアップ環境

(セカンダリサイト)に複製されます。プライマリサイトのリソースプールが停⽌すると、複製され たストレージから仮想マシンやvAppが復元され、セカンダリサイト(障害回復サイト)上に再作成 されます。

障害が発⽣したら、XenCenterの障害回復ウィザードを使⽤して、複製ストレージから障害回復サイ トにインポートする仮想マシンやvAppを選択します。障害回復サイトのプールで仮想マシンが起動 すると、そのプールのメタデータも複製されたストレージ上に格納されます。プライマリサイトがオ ンライン状態に復帰すると、セカンダリサイトで再作成された仮想マシンやvAppが、このメタデー タに基づいてプライマリサイトに復元されます。XenCenterの障害回復ウィザードにより同⼀仮想マ シンについての複数の情報が検出された場合(プライマリサイトのストレージ、障害回復サイトのス トレージ、およびインポート先のプールに同⼀仮想マシンのメタデータが⾒つかった場合など)は、

最新の情報のみが使⽤されます。

障害回復機能は、XenCenterおよびxe CLIで使⽤できます。コマンドについて詳しくは、項A.4.6.

「障害回復(DR)コマンド」を参照してください。

ヒント︓

障害回復ウィザードでは、障害回復システムの設定を確認するために、フェイル オーバーテストを実⾏することもできます。このテストでは、通常のフェイルオー バーと同じ処理が実⾏されますが、障害回復サイトにエクスポートされた仮想マシ ンやvAppは⼀時停⽌状態で起動します。さらに、テスト完了時にこれらの仮想マ シンやvApp、および再作成されたストレージが障害回復サイトから消去されま す。

XenServer の仮想マシンは、以下の2つのコンポーネントで構成されています。

• 仮想マシンにより使⽤される仮想ディスク。その仮想マシンのリソースプールで構成されているス トレージリポジトリ上に格納されます。

• 仮想マシン環境の内容が記述されたメタデータ。使⽤不能になったり破損したりした仮想マシンを 再作成するために必要な情報は、このメタデータのみです。通常、仮想マシンの作成時にメタデー タ設定データが書き込まれ、仮想マシン構成を変更すると更新されます。プール内の仮想マシンで は、メタデータのコピーがそのプール内のすべてのサーバー上に格納されます。

障害回復機能が有効な場合、プール内のすべての仮想マシンやvAppについての設定情報であるプー ルメタデータにより、仮想マシンがセカンダリサイト(障害回復サイト)上に再作成されます。各仮 想マシンのメタデータには、仮想マシンの名前と説明、固有の識別⼦であるUUID(Universally Unique Identifier)、メモリと仮想CPUの構成、およびネットワークとストレージの情報が記録され ます。また、⾼可⽤性または障害回復環境での仮想マシンの起動オプション(起動順序、起動間隔、

および⾼可⽤性再起動優先度)も仮想マシンのメタデータに記録されます。たとえば、障害発⽣時に 仮想マシンをDRサイトのプールに再作成する場合、vAppに含まれる各仮想マシンはメタデータに記 録されている順序および間隔で起動します。

8.2. 障害回復のインフラストラクチャ要件

XenServerの障害回復機能を使⽤するには、プライマリサイトおよびセカンダリサイトで特定のイン フラストラクチャ要件を満たす必要があります。

• プールメタデータおよび仮想マシンの仮想ディスクで使⽤されるストレージが、実務環境(プライ マリサイト)からバックアップ環境(セカンダリサイト)に複製されている。ストレージの複製

(ミラー化など)は、使⽤するストレージソリューションにより⾏われ、その⽅法はデバイスに よって異なります。

• 障害回復サイトのプールで再作成された仮想マシンおよびvAppが起動した後で、障害回復プール のメタデータと仮想ディスクを格納するストレージリポジトリが複製されている。これにより、プ ライマリサイトがオンライン状態になったときに、これらの仮想マシンおよびvAppがプライマリ サイトに復元(フェイルバック)されます。

• 障害回復サイトのハードウェアインフラストラクチャは、プライマリサイトのものと同⼀である必 要はありません。ただし、XenServerのバージョンおよびパッチレベルが⼀致しており、プライマ リサイトすべての仮想マシンの再作成および実⾏に必要なリソースが障害回復プールに設定されて いる必要があります。

警告︓

障害回復ウィザードでは、ストレージアレイの機能を制御することはできません。

障害回復機能を使⽤する場合は、メタデータのストレージが2つのサイト間で複製 されるように設定しておく必要があります。⼀部のストレージアレイには、スト レージを⾃動的に複製するためのミラー化機能が⽤意されています。このような機 能を使⽤する場合は、仮想マシンが障害回復サイト上で再起動する前に、ミラー化 機能を無効にしておく必要があります。

8.3. 障害回復についての注意事項

障害回復機能を有効にする前に、以下の点について確認してください。

8.3.1. 障害発⽣前の⼿順

障害が発⽣する前に、以下の⼿順を⾏います。

• 仮想マシンおよびvAppを設定する。

• 仮想マシンおよびvAppとストレージリポジトリ、およびストレージリポジトリとLUNとの対応を 確認する。特に、

name_label

フィールドと

name_description

フィールドにこれらの対応を⽰

す内容を使⽤すると便利です。仮想マシンやvAppとストレージリポジトリの対応、およびスト レージリポジトリとLUNの対応を表すストレージリポジトリ名を使⽤すると、複製ストレージから の仮想マシンやvAppの回復がわかりやすくなります。

• LUNの複製を設定する。

• これらのLUN上の1つまたは複数のストレージリポジトリへのプールメタデータの複製を有効にす る。

• プライマリプールメタデータを複製しているストレージリポジトリが1つのプールにのみ接続され ているようにします。

8.3.2. 障害発⽣後の⼿順

障害が発⽣した後では、以下の⼿順を⾏います。

• 障害回復サイトから共有ストレージへの読み取り/書き込みアクセスが正しく⾏われるように、既 存のミラー化機能を無効にする。

• 仮想マシンデータの回復元のLUNがほかのプールに接続されていないことを確認する。ほかのプー ルに接続されていると、データが破損することがあります。

障害回復サイトを障害から保護する場合は、障害回復サイトの1つまたは複数のストレージリポジ トリにプールメタデータを複製する。

8.3.3. 回復後の⼿順

仮想マシンが正しく回復された後では、以下の⼿順を⾏います。

• ミラー化されたストレージを再同期します。

• 障害回復サイトで、プライマリサイトにフェイルバックする仮想マシンやvAppを正しくシャット ダウンする。

• プライマリサイトで、フェイルオーバー時と同じ⼿順に従って、仮想マシンやvAppをプライマリ サイトにフェールバックする。

• プライマリサイトを再び保護する場合は、複製LUN上の1つまたは複数のストレージリポジトリへ のプールメタデータの複製を有効にする。

8.4. XenCenterでの障害回復の有効化

ここでは、XenCenterを使⽤して障害回復を有効にする⽅法について説明します。XenCenter の[障害回復の設定]ダイアログボックスを使⽤して、プール内のすべての仮想マシンやvAppにつ いての設定情報であるプールメタデータの格納先ストレージリポジトリを指定します。このメタデー タは、管理者がプールの仮想マシンやvAppの設定を変更するたびにアップデートされます。

注︓

障害回復を有効にできるのは、ストレージとしてHBA上のLVMまたはiSCSI上の LVMを使⽤する場合のみです。これらのストレージでは、プールの回復情報を保持 する新規LUN⽤にいくらかの容量が必要になります。

最初に、障害回復に使⽤しているストレージリポジトリがプライマリサイトで1つのプールにのみ接 続され、セカンダリサイトのプールに接続されていないことを確認します。

障害回復を構成するには、次の⼿順を実⾏します。

1. プライマリサイトでフェイルオーバー対象のリソースプールを選択します。[プール]メニュー から[障害回復]、[設定]の順に選択します。

2. プールメタデータの格納先として、最⼤で8つのストレージリポジトリを選択できます。これらの ストレージでは、プールの回復情報を保持する新規LUN⽤にいくらかの容量が必要になります。

注︓

プール内のすべての仮想マシンの上⽅が格納されます。仮想マシンを個別に選択す る必要はありません。

3.

[OK]をクリックします。これでプールの障害回復が有効になりました。

8.5. 障害発⽣時の仮想マシンとvAppの回復(フェイルオーバー)

ここでは、障害発⽣時に仮想マシンやvAppをセカンダリ(障害回復)サイトにフェイルオーバーす る⽅法について説明します。

1. XenCenterで、セカンダリサイトのリソースプールを選択し、[プール]メニューから[障害回

復]、[障害回復ウィザード]の順に選択します。

この障害回復ウィザードでは、実⾏する操作として[フェイルオーバー]、[フェイルバッ

ク]、または[フェイルオーバーテスト]を選択できます。仮想マシンやvAppをセカンダリサイ

トにフェイルオーバーするには、[フェイルオーバー]をクリックして[次へ]をクリックしま す。

警告︓

ファイバチャネル共有ストレージでLUNミラー化によるセカンダリサイトへのデー タ複製を⾏っている場合は、回復を実⾏する前にミラー化を無効にする必要があり ます。これにより、セカンダリサイトからの読み取りおよび書き込みアクセスが可 能になります。

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