第3章 XenServerのホストとリソース プール
3.8. リソースプールデータのエクスポート
注︓
リソースプールデータのエクスポートは、 XenServer Enterprise Editionユー ザー、またはXenApp/XenDesktop権限によりXenServerにアクセスするユーザー が使⽤できます。XenServerの各エディションおよびエディション間のアップグ レードについては、Citrix Webサイトを参照してください。ライセンスについて詳 しくは、 XenServer 7.5 Licensing FAQを参照してください。
[リソースデータのエクスポート]オプションを使⽤すると、リソースプールのリソースデータレ ポートを⽣成し、それをXLSファイルやCSVファイルとしてエクスポートできます。このレポートに は、リソースプール内のサーバー、ネットワーク、ストレージ、仮想マシン、VDI、GPUなど、さま ざまなリソースについての詳細な情報が記述されます。これにより、管理者はCPU、ストレージ、お よびネットワークなどのワークロードに基づいて、リソースの追跡、計画、および割り当てを⾏うこ とができます。
次の表は、このレポートに記述されるリソースおよびリソースデータの⼀覧です。
リソース リソースデータ
サーバー • 名前
• プールマスター
• UUID
• アドレス
• CPU使⽤率
• ネットワーク(平均/最⼤KB/秒)
• 使⽤メモリ
• ストレージ
• アップタイム
• 説明
ネットワーク • 名前
• 接続状態
• MAC
• MTU
• VLAN
• 種類
• 場所
VDI • 名前
• 種類
• UUID
• サイズ
• ストレージ
• 説明
ストレージ • 名前
• 種類
• UUID
• サイズ
• 場所
• 説明
リソース リソースデータ
仮想マシン • 名前
• 電源状態
• 実⾏サーバー
• アドレス
• MAC
• NIC
• オペレーティングシステム
• ストレージ
• 使⽤メモリ
• CPU使⽤率
• UUID
• アップタイム
• テンプレート
• 説明
GPU 注︓GPUに関する情報は、GPUを搭載した
XenServerホストでのみ記述されます。
• 名前
• サーバー
• PCIバスのパス
• UUID
• 使⽤電⼒
• 温度
• 使⽤メモリ
• コンピュータ使⽤率
3.8.1. リソースデータをエクスポートするには
1. XenCenterのナビゲーションペインで[インフラストラクチャ]をクリックし、リソースプール をクリックします。
2.
[プール]メニューをクリックし、[リソースデータのエクスポート]を選択します。
3. レポートの保存先を指定して、[保存]をクリックします。
3.9. ⾼可⽤性
3.9.1. ⾼可⽤性の概要
ネットワークの物理的な切断やXenServerホストのハードウェア障害などにより、ホストが接続不能 になったり停⽌したりすることがあります。⾼可⽤性機能には、これらの障害に備えたり、障害発⽣
時に仮想マシンを安全に回復したりするための⼀連の⾃動化オプションが⽤意されています。
⾼可⽤性を有効にすると、ホストが到達不能になったり動作が不安定になったりした場合に、そのホ スト上で実⾏されている仮想マシンがシャットダウンされ、ほかのホスト上で再起動されます。これ により、仮想マシンが(⼿作業または⾃動的に)ほかのホスト上で起動した後に元のホストが障害か
ら回復して、同じ仮想マシンが2つのホスト上で動作して仮想マシンディスクが破損するという問題 を避けることができます。
また、プールマスタに障害が発⽣したり通信できなくなったりした場合に、⾼可⽤性によりプールの 管理機能が⾃動的に復元されます。
さらに、仮想マシンの再起動プロセスを⾃動化して、常に最適なホストが選択されるように設定する こともできます。複数の仮想マシンが特定の順番で起動して、特定の仮想マシン上のサービスが起動 してからほかの仮想マシンが起動するようにスケジュールを設定することもできます。これにより、
たとえばSQLサーバーよりもDHCPサーバーが先に起動するように設定できます。
警告︓
⾼可⽤性機能は、マルチパス化したストレージおよびネットワークボンディングと
⼀緒に使⽤するように設計されています。これらの機能を設定してから、⾼可⽤性 を有効にする必要があります。マルチパス化したストレージとネットワークボン ディングを使⽤しない場合、インフラストラクチャでの問題発⽣時にホストが予期 せず再起動されることがあります(⾃⼰隔離)。
3.9.1.1. オーバーコミット
設定したフェイルオーバートレランス数に達して、実⾏中の仮想マシンをほかのホスト上で再起動で きない場合、そのリソースプールはオーバーコミット状態とみなされます。
障害が発⽣したときに、すべての仮想マシンを再起動するために必要なメモリがプール内にない場 合、オーバーコミット状態になります。また、軽微な設定変更により、意図したとおりに仮想マシン が保護されなくなる場合もあります。たとえば、仮想ブロックデバイス(VBD)とネットワークの設 定を変更すると、どのホストでどの仮想マシンを再起動できるかが変更される可能性があります。現 状では、XenServerですべての要因を予測して、⾼可⽤性機能による保護が正しく反映されるかどう かをチェックすることはできません。ただし、⾼可⽤性を維持できなくなった場合は、⾮同期的なア ラートが送信されます。
XenServerでは、プール内の複数のホストに障害が発⽣した場合にどのような対処を⾏うかとい う「フェイルオーバープラン」が動的に保持されます。⾼可⽤性機能を使⽤する場合、重要な概念と して「フェイルオーバートレランス数」を理解する必要があります。フェイルオーバートレランス数 とは、サービスを中断せずにフェイルオーバーするホスト障害の数を指します。たとえば、64台の ホストが動作するリソースプールでフェイルオーバートレランス数を3に設定すると、プール内の任 意の3台のホスト障害までは許容され、そのホスト上の仮想マシンをほかのホスト上で再起動すると いうフェイルオーバープランが計算されます。フェイルオーバープランが⾒つからない場合は、プー ルが「オーバーコミット」したとみなされます。フェイルオーバープランは、仮想マシンの追加や起 動などのライフサイクル操作や移⾏に応じて動的に再計算されます。新しい仮想マシンの追加など、
プールがオーバーコミット状態になるような変更を加えると、XenCenterまたはメールでアラートが 送信されます。
3.9.1.2. オーバーコミットの警告
仮想マシンの起動または再開によりリソースプールがオーバーコミット状態になると、警告アラート が送信されます。この警告はXenCenterに表⽰されるほか、Xen APIではメッセージインスタンスと しても使⽤可能です。メールによる通知が設定してある場合、この警告はメールでも送信されます。
警告アラートを受信した場合、その原因になった処理をキャンセルしたり、そのまま続⾏したりでき ます。処理を続⾏すると、リソースプールがオーバーコミット状態になります。さまざまな再起動優 先度の仮想マシンで消費されているメモリ量が、プール全体およびホストごとに表⽰されます。
3.9.1.3. ホストを隔離する
ホストにネットワークの切断やコントロールスタックの問題などの障害が発⽣すると、仮想マシンが 2つのホスト上で同時に実⾏されることがないように、XenCenterホストは⾃動的に隔離されます。
隔離されたホストは直ちに再起動され、そのホスト上で実⾏中のすべての仮想マシンが停⽌します。
リソースプール内のほかのホストは、これらの仮想マシンの停⽌を検出し、設定されている再起動優 先度に従って仮想マシンを再起動します。隔離されたホストが再起動すると、リソースプールへの復 帰を試⾏します。
3.9.2. 設定要件
注︓
Citrixでは、⾼可⽤性機能は、3台以上のXenServerホストが動作するリソースプー ルで使⽤することをお勧めします。ホストが2台しかないプールで⾼可⽤性を使⽤
すると、ハートビートが失われた場合に予期せぬ問題が発⽣する場合があります。
詳しくは、Citrix Knowledge BaseのCTX129721を参照してください。
⾼可⽤性機能を使⽤するには、以下の要件を満たす必要があります。
• ハートビートストレージリポジトリとして、356MB以上のiSCSI、NFS、またはファイバチャネル LUNを少なくとも1つ含む共有ストレージ。ハートビートストレージリポジトリには、⾼可⽤性機 能により次の2つのボリュームが作成されます。
4MBのハートビートボリューム ハートビートに使⽤されます。
256MBのメタデータボリューム
プールマスタに障害が発⽣した場合に備えて、プールマスタのメタデータが格納されます。
注︓
信頼性を向上させるため、Citrixは⾼可⽤性ハートビートとして専⽤のNFSまたは iSCSIストレージアレイを使⽤することを強くお勧めします。
注︓
CHAPで認証した場合、SMBまたはiSCSIを使⽤して接続されたストレージはハー トビートストレージリポジトリとして使⽤できません。
NetAppまたはEqualLogicのストレージリポジトリを使⽤する場合は、ハートビートストレージリ ポジトリに使⽤するアレイにNFSまたはiSCSIの論理ユニット番号を⼿作業で準備する必要があり ます。
• XenServerのリソースプール。⾼可⽤性機能では、単⼀リソースプール内のホストレベルの障害に 対する⾼可⽤性が提供されます。
• すべてのホストの静的IPアドレス。
警告︓
⾼可⽤性が有効なサーバーのIPアドレスが変更されると、そのホストのネットワー クに障害が発⽣したと認識されてしまいます。この結果、そのサーバーは隔離さ
れ、起動不能状態になります。この問題を解決するには、host-emergency-ha- disableコマンドを実⾏して⾼可⽤性を無効にしてから、pool-emergency-reset-masterコマンドを実⾏してプールマスタのアドレスをリセットし、その後
で⾼可⽤性を有効にします。⾼可⽤性機能で仮想マシンを保護するには、その仮想マシンがアジャイルである必要があります。こ れは、以下のことを意味します。
• 仮想ディスクが共有ストレージ上にある。この場合、共有ストレージの種類は問いませ
ん。iSCSI、NFS、またはファイバチャネルのLUNはハートビートストレージでは必須条件です が、仮想ディスクストレージとしても使⽤できます。
• 次の使⽤が可能︓ XenMotion
• 仮想マシンにローカルDVDドライブへの接続が設定されていない。
• 仮想ネットワークインターフェイスがプール全体にわたるネットワーク上にある。
Citrix ⾼可⽤性を有効にする場合はプール内のサーバーで管理インターフェイスをボンディングし、
ハートビートストレージリポジトリにはマルチパスストレージを使⽤することを強くお勧めします。
CLIを使⽤して仮想LANを作成してインターフェイスをボンディングした場合、作成された仮想LAN が接続されておらず、アクティブになっていない場合があります。この場合、仮想マシンがアジャイ ルでないため、⾼可⽤性機能で保護されません。CLIのpif-plugコマンドを使⽤して、仮想LANとボ ンディングPIFをアクティブにすると仮想マシンがアジャイルになります。また、xe
diagnostic-vm-statusコマンドを使⽤して、仮想マシンがアジャイルでない原因を調べたり、必要な修正を
⾏ったりすることもできます。