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 4−1 観光行動の促進・阻害要因

 観光魅力の形成要因は,観光行動の促進要因と密接な関係にあると言えるが,行動を 促進(阻害)する要因や動機に関する研究は,従来から種々の観点より分類する作業が 行われている(表10,表ll),国際観光も多くの要因から行動が阻害されるが(表▲2),

都市観光における促進あるいは阻害要因には,どのような特徴がみられるのだろうか一

表10 観光欲求・動機の分類(田中喜 )

理由・B的 分類

心情的動機(心白{腺因) 思郷心・交遊心・信仰心

精神的動機(精神的原因) 知識欲求・見聞欲求・歓楽欲求 身体的動機(肉体的原因) 治療欲求・保養欲求・運動欲求 経済的動機(経済的原因) 買物目的・商用目的

出所:田中喜  (IY50)「観光事業論」

表ll 観光に赴く動機・目的(J.A. Thomas)

動機 目的      分類 教育的・文化的動機

娯楽的・休養的動機

民族的動機 祖先の土地や出身地,移住先等への訪問 その他の社会的・経済的動機 人に先んじること・同調を含む 出所:前田勇(1995)『観光とサービスの心理学』より引用

表12 国際観光を阻害する要因13°

項目 種別     項目     種別 犯罪・紛争 治安的要因 査証・手続 制度的要因 言語・交流 疎通的要因 興味・関心 心理的要因 費用・為替 経済的要因 気候・地形 地学的要因 健康・体力 身体的要因 外交・世論 政治的要因 災害・疫病 安全的要因 認知・知識 情報的要因

食「芦・習慣 文化的要因 家族・相手 対人的要因

休B・余暇 時間的要因 ∫供・動物 管理的要因 距離・移動 物理的要因 企画・構成 商品的要因 筆者f乍成

り国際観光を阻害する要因は,・・般的に為替等の経済的要因や災害等の安全的要因に強く影響されるが,

:国間の為替や,国家の経済のみでは説明できない側面も多く,背景は複雑的かつ複合的であることから,

因]二の関係性を求める作業は容易ではない

 一般に観光行動が成立されるためには,一 定の経済的要件及び時間的要件に加えて,

目的地に関する情報が必要であるが1 1,都市観光が従来型の名所旧跡の見物や保養目的 の旅行と比較した場合,特徴的な側面には再訪問の頻度の高い側面がある1「 2、それでは,

いかなる要因から再訪問の動機が誘発されるのであろうか,

 この問題を解くために,過去(少なくとも1990年代後半から2000年代前半にかけて)

東京が,都市の規模と比較して少ない外国人訪問者数から推察して,観光魅力が乏しい 都市であったと仮定すると,何故魅力が創出されてこなかったかを考えるが,次節では,

この背景について既存の調査資料を用いた考察を行ってみる、

 4−2 訪日外国人による事前事後評価

 ハTO(国際観光振興機構)は,国内の空港及び海港で,出国直前の外国人に対する「訪 日外国人旅行者満足度調査t S1]」を定期的に実施している,同調査では,訪日前後の外国 人に対する、肯定的イメージ(表13)及び否定的イメージ(表14)の変化に関する設問 があるが,2005年調査1:s4によると,訪日前の肯定的イメージはt「人々が親切・礼儀正し い」が1位(33.2%)、その後,「都市の景観が美しい」(25.3%),「文化・歴史が素晴ら

しい」(22.0%)などの項目に続いていた,これが,訪日後の変化となると,「人々が親切・

礼儀i正しい」は,最大の上昇率である6.1ポイントを示し,さらにイメージが上昇してい る状況に対して,都市の構造的要素の影響を受ける「都市の景観が美しい」及び「文化・

歴史が素晴らしい」は,反対に双方とも4.8ポイントの最大の下降率,すなわち訪日後に 最もイメージが悪化した項目であった、

}:「 O田(1995)前掲書

:/1: 痰ヲば,台東区(L) 009)[台東区新観光ビジョン策定の考え方.p.3

皐) 蒼烽フ}、要な空港及び海港にて,出国直前の外国人に対して定期的に行う設問調査 Uta 2005年は1月から2月にかけて六空港・海港で4,161名に対し、て調査を実施した,

表13 訪日前後の肯定的イメー一一ジの変化 qtイ∪: : % 訪日前と訪日後のイメージの変化

言戊元 1| 自「∫ (A)       6戊元 1| f後 (B)       nf∫f後差 (B  A)

人々が親切・礼儀正しい 33.2 39.3 6.1

便利な・進んだ交通機接1 11.9 17.9 6.o

一一ビスが良い 16.2 20.2 ].0

Pがおいしい 19.5 22.0 2.5

治安が良い 9.5 11.5 2.0

物価が適切 3.8 1.8 LO

、礫が通じやすい 2.1 3.0 0.9

自然・田舎が妄しい 12.5 13.3 0.8

肖定的

Cメー/ ン、)ノとンクが楽しめる 7.8 8.5 0.7

にぎわい・活気がある 11之 9.0 2.2

高い生活水準 15.0 12.2 2.8

映画・アニメ ・音楽り)高イメー一ジ 6.6 3.6 .3.0

産業・ じ柴製品の高イメ・一ン 12.2 8.5 3.7

都市の景観が美しい 25.3 20.5 一4.8

文化・歴史が素晴らしい 22.0 17.2 一4.8

どちらかというと良いイメ・一ジ 2.7 1.1 1.6

その他 1.9 2.3 0.4

出所:国際観光振興機構(2005) 訪日外国ノ、旅行者満足度調査報告書c,

表14 訪日前後の否定白IJイメージの変化 単位:%

訪日前と訪日後のイメージの変化

訪日前(A) 訪日後(B) 前後差(BA)

言葉が通じない 4.7 6.5 L8

交通機関が〒く便 1.1 L8 0.7

生活水準が低い 0.8 L5 0.7

シ、いソヒングが楽しめない 0.5 1.1 0.6

にぎわい・活気がない 0.5 1.0 0.5

サ…ビスが悪い 0.2 0.6 0.4

治安が悪い 0.2 0.5 0.3

産i業:・1:業製品の低イメージ 0.1 0.3 0.2

,イ淀的

Cメー一シ 都市の景観が・美しくない 1.9 2.0 0.1

映1由いアニメ ・音楽iゾ、1氏イメ・一ジ 0.1 o.1 0.0

自然・田舎が美1、くなし・ 0.9 0.6 0.3

吏fヒ・!歴史カミ魅力プCし、 α8 0.・1 ・0.4

ノ\々がfこ親切 1.6 Ll 0.5

食事が.ミずい 2.9 2.2 0.ア

物価が高い 24.3 22.3 一2.0

どちらかというと悪いイメ・一ジ 0.4 0.2 .0.2

その他 0.4 0.6 0.2

出所:前掲書

 次に訪日前後の否定的イメージの変化をみると,訪日前では、「物価が高い」が圧倒的 1位で(24.3%),その後,「言葉が通じない」,「食事がまずい」と続くが,訪日後では,

「物価が高い」のイメー一ジが最も負に変化,すなわち好転した項目となっている、

 同調査では,(帰国してから友人に)「お勧めする場所」,「期待はずれであった場所」

に関連する設問も行っており,「お勧めする」から「期待はずれ」を差し引いた数値を 好感度1直」とすると俵15), 関東地方」が最も低い数値を示していた、具体的な 訪問地では,「東京都区部」(有効[「!1答数σ)うち,約五割)が最も低く,次いで「大阪」(同 約1割)であった協 JNTOでは,都道府県別の外客訪問率に関する調査も行っているが

[ lbC200・1年に最も訪問率が高かった都道府県は,「東京都」(58.2%)で,「神奈川県」(16.4%),

「葉県」(13.0%)と続き,その他の関東地方の県は全て2.0%以ドであった、これらの 結果から、関東地方の中でも圧倒的に高い訪問率を誇る東京が含有している問題が示唆

される   方,「再訪日意向」に関する設問に対して,96.6%の外国人が肯定的な回答を 示していた状況は、外国人訪問者数が伸長しなかった理由として,「日本」全体に対する

期待はずれ」のために、再訪問へ結び付かなかったとは言い難いことを示している,

表15 好感度値の地域別比較 単位:%

北海道     東北     関東     北陸

お勧めする(A) 1.3 0.2 11.7 0.1

期待はずれ(B) 0.3 0.3 13.4 0.3

好感度値(A−B)     1、0       −0.1       −1.7 一〇.2

中部 近畿 中国/四国 九州/沖縄 指定なし

1.6 7.0 0.2 2.9 77.6

2.4 7.2 0.3 4.5 75.2

一〇.8       −0,2       −0.1       −1.6 2.4

}士 }可〒 : 甫f了i葛書

 以Lの結果を整理すると,日本を訪問した外国人は,一物価は思ったより,高くなく」,

人々の親切さや礼儀正しさは,想像していた以上」であったと感じたものの,「都市の 景観や,文化性・歴史性は期待に比べて,満足ができなかった」、とりわけ、「東京や.大 阪などの大都市に期待がはずれた」.しかし,日本を訪問したほとんど全ての外国人は、

「日本を再び訪れてみたい」と思っていた、とまとめることができる,

 ところが,実際は東京の外国人訪問者数は2000年代中半までほとんど伸張していな

,( 総ロ観光振興機構(2005)1訪B外国人旅行者満足度調査報告書 国際観光サー一一一ビスセンターp,47

/ll 総ロ観光振興機構(L) 006)lJNIO訪日外客訪問地調査2004 L) 005 国際観光サー一一ビスセンター−p.21

かった事実からは,日本のインバウンド観光の振興を考えるヒで,大都市、とりわけ東京 の都市景観や,文化性・歴史性が抱えている問題が浮かびLがってこないであろうか、

 4−3 観光魅力を持つ都市の共通項

 前章で事例に挙げた「都市の魅力やイメージに関する指標」のうち,「都市観光を創 る会[ 7」会員による内外の都市を対象とした「都市観光イメージ調査1□は,「魅力あ る都市・訪れてみたい都市」とともに,「魅力を感じない都市・:度と訪れたくない都 市」と肖定的な側面だけでなく,否定的な側面に対する項目も併せ持っていることから,

両面から都市を捉える特徴より,観光魅力の本質を現すために有用であると考えられた.

そこで本節で同資料を用いてt観光魅力の形成要因の共通項に関する考察を行ってみる、

表16 「魅力ある都rl了」 「魅力を感じない都市」

海外 国内 海外 国内

1 バリ 京都      1 ロサンゼルス 名古屋

2 二才一ヨーク 金沢      2 シンガポール 大阪

3 ベネチア 東京      3 フランクフルト 川崎

4 ロー一 長崎      4 バンコク 千葉

5 ㌔「フィーン 横浜      5 モスクワ 北九州

6 ロンドン 札幌      6 ジャカルタ 福島

7 バルセロナ 函館      7  ,¥ワル 大宮

8 ブインンツェ 松江       8 ラスベガス 広島

9 プラハ 福岡      9 香港 前橋

10 ラスベガス 湯布院      10 カルカッタ・S 熱海

出所:都市観光を創る会(2000)「都市観光イメージ調査

 まず,双方の都市の持つ特徴性を際立たせるため、−1二表に挙げられた各都市に対して,

左項(魅力ある都市)をA,右項(魅力を感じない都市)をBとして,次の通戎類型化 を行うものとした,

P999年7t]設立された観光関係の事業者や研究者,自治体職員,芸術家等から構成される組織

1:tl@2001年211 10日2月L 5 Hにかけて実施された都市観光を創る会会員165名(有効回答数95件)へ向 けた郵送によるアンケー一ト調査出所:白石真澄(2000) 都市観光を・r能にする都市の魅力 :ニッセイ基

礎i研Rl三PORI12000.10、I J:ツ・セイ基石楚石汗究F・}「

Cl@L)OOI年ベンガル語読みのコ レコタに改称された.