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送電線工事

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第 5 章 送変電工事の技術的検討 5.1 プロジェクトの範囲

5.2 送電線工事

当該送電線の送電容量については、今回実施した2020年断面における系統解析結果から、1回線あ

たり3,976A以上でより大きな容量の回線がが必要であることから、前回調査時の必要容量987A/条以

上(仮に4導体線の場合、3,948A相当以上)で可能な限り大きな容量となる増容量方法を検討する。

なお、ここでは以下の理由から新たな送電線ルートの建設は考慮しない。

 過去の事例から新規用地取得は非常に困難である。

 このため、送電線の運開時期は大幅に遅れてしまう。

5.2.1 増容量方法の選定

本プロジェクトにおける増容量方法は以下が考えられる。

(1) 従来電線(ACSR)の利用による増容量化

(2) 増容量電線(HTC, High Temperature Conductor)の適用

(3) 増容量低弛度電線(HTLS, High Temperature Low Sag Conductor)の適用

以下、それぞれの方法について、説明する。

(1) 従来電線(ACSR)の利用による増容量化

従来電線を使用し、当該送電線の電流容量を増加させるためには、以下の方法が考えられる。

① 導体数増加

② 導体太線化

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以下、それぞれの方法について詳述する。なお、本対策については、補強等の改造を伴わない既設 鉄塔の流用を前提とする。

① 導体数増加

導体数増加の概念図を図5-1に示す。

5-1 導体数増加の概念図

(出典:調査団作成)

既設送電線はACSR Doveの4導体である。電線種類を変えずに導体数を増加させた場合の電流容量 について、表5-1に示す。

5-1 導体数増加による電流容量の変化

導体数 電流容量 [A]

4 2,056

6 3,084

8 4,112

(出典:調査団作成)

導体数増加については、既設送電線の最高温度が同じであるため、1条あたりに流せる電流も同じと なることから、電流容量は導体数に比例する。つまり、2倍の容量を得るためには導体数も2倍とする 必要がある。今回の必要容量を考慮すれば、導体数は8導体以上必要となる。既設鉄塔を利用し、導体

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数を8導体に増加させた場合、電線の重量、風圧が倍増することにより、鉄塔荷重が大幅に増加し、主 柱材や基礎を含め、大規模な範囲が強度不足となることは明らかである。その結果、鉄塔建替に至るこ ととなるため、本対策は妥当とは言えない。

② 導体太線化

導体太線化の概念図を図 5-2に示す。

5-2 導体太線化の概念図

(出典:調査団作成)

導体を太くすれば電流容量は増加するため、ここでは一例として、従来電線の中でも既設電線ACSR Doveよりも太い電線であるACSR Falconを採用した場合の電流容量計算結果を表5-2に示す。外径が 既設電線の1.67倍、重量が2.67倍にもなるACSR Falconを採用したとしても、表5-2の通り、既設容 量の1.84倍程度にしかならない。

5-2 導体太線化による電流容量の増加

単位 ACSR Dove ACSR Falcon

(増加率) アルミ断面積 mm2 282.1 805.7

(286%)

外径 mm 23.53 39.23

(167%)

質量 kg/km 1,140 3,043

(267%)

電流容量 A/条 514 945

(184%)

(出典:調査団作成)

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必要容量を満たすレベルで導体太線化した場合、電線の重量、風圧が既設に比べ極めて大きくなるた め、鉄塔荷重が大幅に増加し、主柱材や基礎を含め、大規模な範囲が強度不足となることは明らかであ る。その結果、鉄塔建替に至ることとなるため、本対策は妥当とは言えない。

以上より、従来電線の導体数増加または導体太線化による方法は、本プロジェクトにおける増容量方 法としては不適である。

(2) 増容量電線(HTC, High Temperature Conductor)の適用

増容量電線(TACSRやUTACSR等)は従来電線よりもその使用温度を高くすることができるため、

電流容量が大きくなる。しかし、一方で電線温度を高くすると、電線の弛み(弛度)が大きくなり、表 5-3に示す地上や他工作物との所要離隔が確保できなくなる恐れがある。

5-3 最小離隔距離

対象 最小離隔距離 [m]

一般箇所 12.5

建造物および橋梁 9.0

樹木 9.0

車道、高速道路及び鉄道 15.0

運動場 18.0

他の送電線及び通信線 8.5

(出典:前回報告書)

前回報告書によれば、既設送電線路は上記の値を概ね満足していることから、電線張替を行う場合に も既設の電線弛度と同レベルを確保することで所要離隔を確保することができる、とされている。本調 査においても基本的にはこの考えに則り、設計を行うものとする。

ここで、増容量電線をアルミ線の最大許容温度まで使用すると、電流容量は大きくなるが、弛度も大 きくなり、地上高が確保できなくなる。したがって、電線温度は既設の電線弛度により制限され、期待 する増容量化は図れない。

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高い電線温度で地上高を確保するためには、径間長を短くする方法が考えられる。径間内に鉄塔を1 基追加で建設することにより径間長を短くすれば、弛度が抑制され、地上高を確保することができる。

例えば、径間中央に鉄塔を1基建てれば、径間長は半分となり、弛度は約1/4となる。本方策の概念図 を図5-3に示す。

5-3 鉄塔の径間内追加の概念図

(出典:調査団作成)

追加で建設する鉄塔はROW内に建設することにより、住民移転等の環境・社会影響を抑えられる反 面、鉄塔を新設するためのコスト増や工期の大幅な長期化、線路停止期間の長期化が懸念される。また、

本対策の実現のためには、送電線の全径間に亘って鉄塔を追加できることが条件となる。Suralaya変電

所からBalaraja変電所間においては、そのほとんどが田畑等の一般地を経過しており、径間内の鉄塔追

加に支障がない箇所が多い。しかし、Gandul変電所周辺には住宅密集地が多く、また、送電線全体を 見ても主要道路や高速道路、送電線横断が数多くあり、全径間において適した場所に鉄塔を追加するの は極めて困難である。

以上より、増容量電線の適用は本プロジェクトにおける増容量方法として不適である。

(3) 増容量低弛度電線(HTLS, High Temperature Low Sag Conductor)の適用

増容量低弛度電線は、前述の増容量電線と同様に高い許容温度を有するが、増容量電線よりも弛度を 抑制することができる電線である。一般的に、増容量低弛度電線の弛度抑制機能は、コアとして従来の 鋼線に代わり線膨張係数の小さい線材を使用することで実現される。

本方策の概念図を図5-4に示す。

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5-4 増容量低弛度電線の概念図

(出典:調査団作成)

前述の通り、電線の通電電流は既設電線の地上高によって制限される。増容量低弛度電線は、増容量 電線に比べ、同じ電線温度における弛度が小さくなるため、より多くの電流容量を持つことが可能であ る。

本方策のメリットは以下の通りである。

 既設鉄塔の補強や改造、建替を必要としない。

 電流容量は既設電線の2倍程度に増大できる。

 電線張替のみで増容量化が可能なため、短期間での施工が可能である。

 用地の新規取得が不要なため、環境・社会影響はほとんどない。

以上より、増容量低弛度電線の適用は本プロジェクトにおける増容量方法として最適であると考 える。

5.2.2 増容量低弛度電線(HTLS)の選定

増容量低弛度電線にもいくつかの種類があるが、ここでは増容量効果や既設鉄塔における荷重増加 の抑制等の観点から、以下の電線について比較・検討する。

(1) カーボンファイバ心耐熱アルミ合金より線(TACFR)

(2) アルミ覆インバ心超耐熱アルミ合金より線(ZTACIR/AC)

(3) アルミ覆インバ心特別耐熱アルミ合金より線(XTACIR/AC)

なお、前回報告書にて検討されていたギャップ型鋼心アルミより線(GTACSR)については、今回 対象外とする。その理由は、ギャップ型鋼心アルミより線の最大使用張力が既設電線のそれを超えて しまうため、既設鉄塔についてその電線張力増に対する裕度検討を行う必要があるが、既設鉄塔の設 計図や計算書はなく、現実的には裕度検討が実施できないためである。したがって、既設鉄塔におけ

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る電線張力が増加しないよう、既設電線のACSR Doveと同等の重量、外径を有する電線を選定する ことが肝要である。

(1) カーボンファイバ心耐熱アルミ合金より線(TACFR)

増容量化は、アルミ素線に150°Cまで連続使用を可能にした耐熱性を有する耐熱アルミ合金線(TAL)

を採用することにより、また弛度抑制化は、コア部分に線膨張係数の小さいカーボンファイバ複合材ケ ーブル(CFCC)を使用することにより、目的を達成している。なお、本調査ではアルミ素線を通常の 円形形状ではなく台形形状とした電線としている。電線構造は図5-5に示す通りであるが、次の特徴を 有する。

 コアに使用されているCFCCは既設線路に使用されているACSR の鋼線と比べると線膨 張係数が10分の1以下である。

 異形TAL を使用している。

 電流容量はACSR Doveと比べて約2 倍に増大できる。

 電流容量が2倍になっても、ACSR 75℃使用時の弛度とほぼ同じに架線することができる。

 コアの重量は鋼線の約1/6であり、全体重量はACSRに比べ軽量である。

 コアをより線構成とすることにより曲げ剛性が低く、容易な取り扱いが可能である。

 インドネシアや中国では日本製のコア部に海外製のアルミ部を組み合わせたカーボン電 線が採用されており、日本ではともに日本製の電線が採用されている。

5-5 TACFRの断面構造

(出典:調査団作成)

(2) アルミ覆インバ心超耐熱アルミ合金より線(ZTACIR/AC)

増容量化は、アルミ素線に 210℃まで連続使用を可能にした耐熱性を有する超耐熱アルミ合金線

(ZTAL)を採用することにより、また弛度抑制化は、鋼心部分に線膨張係数の小さいインバ線を使用

することにより、目的を達成している。電線構造は図5-6に示す通りであるが、前回調査時に提案され たものと同じである。そして、次の特徴を有する。

ドキュメント内 (1) (ページ 77-102)