第 6 章 環境・社会的側面の検討 6.1 プロジェクトの環境・社会的影響
6.3 相手国における環境関連規制・基準
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6.2.2 JICA ガイドラインにおけるプロジェクト分類
(1) 本プロジェクトの分類
JICAガイドライン 別紙3によると、大規模非自発的住民移転、大規模森林伐採、海底送電線を伴 う送変電・配電事業は、影響を及ぼしやすいセクターとされ、カテゴリA に分類される必要があると されている。然しながら、このプロジェクトは、既存の送電線の張替によるものであり、影響を及ぼし やすい性質は有さず、影響を及ぼしやすい地域は関係しない。よって、当該ガイドラインにより、本プ ロジェクトは、カテゴリBに分類される可能性が高い。
(2) 環境影響評価
カテゴリBのプロジェクトは、EIAレポートの提出は要求されていない。
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AMDAL書類の形式は、MoEの規制 No. 08/2006の第2章に記載されており、以下のものが含まれ
る。
1 ToR(KA-ANDAL)
2 ANDAL 又は EIA report(環境影響評価書)
3 RKL ( 環境マネジメント計画)
4 RPL ( 環境モニタリング計画)
5 総括
環境調査の前に、相手国はプロジェクトの関係者に環境に対する影響を知らせる必要がある。この 関係者は、プロジェクトの性質、所在地により承認される。環境調査の承認は、環境省による中央政 府レベル、又は州単位、地方単位で行われる。プロジェクトの地域的な範囲により関係者が定義され、
本送電線プロジェクトは、複数の州にまたがっているため、通常環境省などの中央政府により承認さ れる。
図 6-2において、EIA承認が要求されている場合の、環境アセスメント実施手続を示す。
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図 6-2環境アセスメント手続
環境アセスメント関連書類の審査: 75営業日, 10日間の 住民説明会を含む
ToR Review: 30営業日 公示、一般説明
(10 営業日)
ToR (KA-ANDAL)の 確定
ToR for reviewの承認
事務局による 手続承認
技術チーム による技術 上の審査
委員会執行 部によるToR
承認に関す る議論
環境アセスメント関連 文書の公式承認
環境免許や環境アセス メント関連文書の申請
書類の承認
事務局による 承認
技術チーム による技術 上の審査
委員会執行部 によるANDAL
and RKL-RPL レビュー
環境免許に関する一般説明 推薦
環境免許の環境実 現可能性や論点の
議論 環境免許に関する
決定の公示
相手国 EIA Secretariat Technical Team and Commission 承認機関
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Ministry of Environment Regulation No. 5/2012 において、AMDALにおいて要求されるプロジェクトや活
動のリストが示されている。150kVを超える送電線に関係するプロジェクトでは、環境評価が要求される。
表 6-2 は、インドネシアの法律により、環境評価が必要とされる電力事業の詳細をまとめたものである。
なお、500kVの送電線を新設する場合には、図6-2に示すAMDALの手続きを踏む必要がある。
表 6-2環境評価が必要とされる電力セクター事業リスト
事業 判定基準
送電線網の新設 > 150kV
ディーゼル、ガス、石炭火力発電プラント 一か所当たり ≥ 100MW
地熱発電 ≥ 55MW
水力発電所 ダム高 ≥ 15m
面積 ≥ 200ha 発電容量 ≥ 50MW その他の発電所 (太陽光、風力、バイオマス等) ≥ 10 MW
(出典: 環境省 Regulation No. 5/2012)
本プロジェクトは、新規送電線の設置ではなく、既存の送電線の張替であるため、環境に対する影 響は限定的であり、完全なAMDAL手続きは不要であると考えられる。土地取得や住民移住も必要な い。然し、工事期間中は周辺の植物に対する被害を避けるため、注意を払わなければならない。PLN の経験では、1990年代の間、Suralaya-Gandul間における既設の送電線張替工事に関するAMDAL手続 きにおいて、重要な問題は生じなかった。
これまでの我々と環境省との協議では、有効な環境ライセンスを有している既存のプロジェクトへ の修正は、AMDAL手続きの完全な実施は必要とされていない。現在のAMDALやUKL-UPLに対し て、大幅に環境評価手続きを短縮するなどの、追加・更新のみで対応可能である。PLNの環境部署と の協議では、本プロジェクトが、既存の敷設権の更新のみを計画しているため、Suralaya-Gandul間の 張替プロジェクトは、Banten州の現地事務所とともに、環境省への通知が必要である。なお、環境調 査の必要性は、インドネシア政府との対話により、更なる検討は必要である。
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6.3.2 プロジェクトに対する環境影響調査の詳細
以下は、500kVの送電線を新しく建築する際に必要とされる、受入国におけるAMDALの検討事項
の詳細である。
①プロジェクトの紹介
‘a) プロジェクトの概要
この調査は、現状の500kVのSuralaya-Gandul間の送電線を、壮大な35GW計画との接続を想定した送電 線を増容量化するためのものである。特に、西ジャワの新しい発電所との接続を計画している。
‘b) プロジェクトの合理的根拠
高まる電力需要とインドネシアにおける新しい発電所である35GW計画と歩調を合わせて、新しい送 電線は、効率的かつ環境に影響を及ぼさない方法で電力利用と新しく設置した電力容量との連結を可 能にすることに役立つ。
‘c) 環境方針
本プロジェクトの目的が、既存送電線の張替であるため、環境に対する影響は最小限度であるが、も し影響がある場合は、インドネシアの法律規則に従って対応されることになる。
‘d) 関連する規制
インドネシア法は、電磁界強度、コロナ騒音、ラジオ騒音を規制しているが、前章で検討した通り、
これらすべての問題は、基準値ないに収まっている。
②調査内容
追加的なEIAが本プロジェクトには要求されないとしても、以下のような典型的な環境影響を考慮する 必要がある。
‘a) 環境に対する影響
気候
大気汚染
水質
用地
地質学
土壌
‘b) 生態系に対する影響の範囲
生態系に対する影響は、プロジェクトの現場で確認されるべきであり、建設用地の不法投棄、保護区、
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植物群、動物群も考慮する必要がある。調査は、工事が実施される箇所から直径30メートル以内を範 囲として行われる必要がある。
‘c) 社会経済に対する影響の範囲
現在の人体に対するコロナ騒音、ラジオ騒音、電磁界強度に対する影響には、地役権や用地取得の 結果生じる影響について確認する必要がある。また、適切な補償策も含める。
③調査の概要
‘a) 環境影響に関連するデータの収集
・気候
気候、湿度、降雨量、気圧、風速、風向きのデータを、過去10年分を収集し、データファイルにす る。
・大気汚染と騒音
大気汚染源物質と騒音の実測は、3か所で実施する。Regulation No.41 of 1999に則った環境空気品質基 準や環境省Decree No. 48/MNLHJ III/1996に則った騒音基準に基づいて分析する。
表 6-3環境空気基準の政府Regulation No.41 of 1999 汚染源物質 観測期間 政府基準 (mg/Nm3)
PM10 年間平均 年間基準なし
24時間平均 0.15
PM2.5 1 年 15 µg/Nm3
24 時間 65 µg/Nm3
O3 1 年 50 µg/Nm3
1時間 235 µg/Nm3
SO2 年間平均 0.100
24時間平均 0.365
1時間平均 0.900
NO2 年間平均 0.100
24時間平均 0.150
1時間平均 0.400
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表 6-4 騒音基準の環境省Decree No. 48/MNLHJ III/1996
分類 1時間 Leg dB(A)
日中 夜間
森林 50 -
病院・医療機関 55 -
混合地域(教育・一般住居) 55 -
商用地域 65 -
公共機関 70 -
余暇 70 -
工業地域 70 -
・水質
水質は、周辺の土地、河川、水たまりから採取しなければならない。また、次にあげる汚染源物質 は調査しなければならない。結果は、表 6-5 政府Regulation No. 82 of 2001の政府水質基準値に沿っ て、水質基準を比較しなければならない。
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表 6-5 政府Regulation No. 82 of 2001の政府水質基準値
No 指標 単位 Class I Class II Class III Class IV
10.00 25.00 50.00 100.00
1 BOD5 2.00 3.00 6.00 12.00
2. DO mg/l 6 4 3 0
3. N-Nitrite mg/l 0.06 0.06 0.06 (-)
4. Sulfide (H2S) mg/l 0.002 0.002 0.002 0.002
5. Temperature o C Dev. 3 Dev. 3 Dev. 3 Dev. 5
6. pH - 6 - 9 6 – 9 6 - 9 5 - 9
7. Electric
Conductivity
mS/cm - - - -
8. TDS NTU 1000 1000 1000 2000
9. NO3 mg/l 10 10 10 20
10. PO4 mg/l 0 0 1 5
11. SO4 mg/l 400 (-) (-) (-)
12. Iron (Fe) mg/l 0.30 (-) (-) (-)
13. Manganese (Mn) mg/l 0.10 (-) (-) (-)
14. Copper (Cu) mg/l 0.02 0.02 0.02 0.20
15. Zinc (Zn) mg/l 0.05 0.05 0.05 2.00
16. Lead (Pb) mg/l 0.03 0.03 0.03 1.00
17. Cadmium (Cd) mg/l 0.01 0.01 0.01 0.01
18. Chromium mg/l 0.05 0.05 0.05 1.00
19. Oil & Grease µg/l 1,000 1,000 1,000 -
20. Radiation Total α Bq/l 0.10 0.10 0.10 0.10
21. Radiation Total β Bq/l 1.00 1.00 1.00 1.00
22. Fecal Coliform no/100 ml 100 1,000 2,000 2,000
23. Total Coliform no/100 ml 1,000 5,000 10,000 10,000
注)ClassⅠ;飲用水や飲用水と同等の品質が要求される用途に使用できる水
ClassⅡ;インフラや水を使用した娯楽、魚の養殖、家畜の飼育、灌漑その他同等の用途に使用できる水 ClassⅢ;魚の養殖、家畜の飼育、灌漑その他同等の用途に使用できる水
ClassⅣ;灌漑やその他同等の用途に利用できる水
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・土地利用
工事用の土地に関しては、移住計画や交通障害等について、地域の計画機関であるBeppedaと工事 期間にわたって、地域空間管理計画(RTRW)について協議しなければならない。
・地質学
現在の土地の高低差のデータや過去のデータは、地質学や地理学の測定データとして利用しなけれ ばならない。本プロジェクトは、地質学の観測にデジタルデータを使用しなければならない。
・土壌
本プロジェクトの実施に付随して土地の浸食は、肥沃度の変化について、現地調査や土壌検査によ
りLand Observation Guideline (LTP, 1969)と比較し、調査する。比較対象には、地図、高低差、降雨量等
を考慮に入れる。調査は、1983年に土地調査センターより発表されたSoil Characteristic Analysis Data
Assessment Criteriaを基礎にして、物理的科学的性質の分析を含む掘削や土壌調査により行われる。
‘b) 生態系に対する影響に関するデータ収集
・植物系
工事計画地域やその周辺地域における植物系の種類に関するデータを取得するには、現地調査を通じ て項目表を作成し、一覧表にまとめる。収集されたデータは、SDR(Summed Dominant Ratio) メソッド を使用して分析する。
・動物系
動物系についてのデータ収取は、サーベイメソッドを利用して実施する。そこでデータ収集方法は、
鳥類の生息数調査、哺乳類・両生類・爬虫類の巡回調査を実施する。
‘c) 社会経済に対する影響に関するデータ収集
データは、政府や民間調査会社、本プロジェクト活動に関係する総人口や制度、経済、政治、様々な 社会データや文化の種類等のサービスから収集する。然し、一次データは、実際に現地に住んでいる人々 から直接対話するなどの方法により得られるものである。同時に、調査は、人口密度や男女比、年齢構 成比率なども含む。
‘d) 住民の健康に関するデータ収集
地域のPublic Health Centreから得られるデータの収集やプロジェクトを実施する地域の住民へのヒア
リングは必要である。また、環境衛生状態や変更状態、主要な病気の種類、疫学的罹患についても実施 されなければならない。また、実際の健康サービスについても調査する。