• 検索結果がありません。

資料3︓インタビュー 〜SXSW の魅⼒の本質と沖縄での展開〜

ドキュメント内 Microsoft Word - SiS OKINAWA報告書.docx (ページ 108-114)

【インタビューテーマ】

SXSWの魅力。その本質を沖縄で生かすためには フィールドR法律事務所 弁護士 山崎卓也

■⾒本市ではなくプロの勉強会 それが SXSW の魅⼒

最近インタラクティブのカテゴリーが盛り上がりを見せているので、少し性格は変わったのか もしれないが、SXSWは見本市ではなく、勉強会というところに重要なドメインがある。

自分はエンタテインメントロイヤーとして、音楽産業やスポーツ産業にも関わっているが、

SXSWに行くことは、音楽業界のプロとしては仕入れのようなものである。

ひるがえって、世界のさまざまな音楽系・エンタテインメント系のカンファレンスがあり、多々 参加してきたが、結局はお金はかかっていても、スポンサーの提灯イベントの域を出ないものも 少なくない。

その点SXSWは、プロがお金を払ってでも、何かが吸収できる場所として本気で行こうと思え る場所である。さまざまな企業が集うゲームショー、モーターショーのような典型的な産業の見 本市的イベントとは異なり、マネジメントサイドの勉強会の性格が強いので、非常にマニアック なプログラムが多い。

「オースチンに何かを変なことしでかしそうな人間が集まっている」「何かイノベーションが生 まれそうだ」そんな空気感に溢れているという点では、他の追随を許さない。今後、一つのカン ファレンスしか出席できないとするならば迷うことなくSXSWを選ぶ。

大事なのは中味のキュレーション。ここに行けば誰々に会える。面白いやつと交流できるという 期待感。

ただの商業的見本市だと、金を出せば誰でも来れるので、プロ意識の低い人間が集まる場になっ てしまうリスクもある。

プロにとってみれば、そこでしか聞けない情報がどれだけあるか、それで価値が決まる。

SXSWのセミナーに出て感じられる楽しさは、そこで出会う人の面白さや最新の情報がキャッ チアップできることであり、その産業の将来像や、自分ができる貢献を考えることできるところ にある。

一般的なカンファレンスでも、ビッグネームが呼ばれたりするが、話の中身はポジショントーク だったり、ただの自慢話だったりで終わることも多い。

うっかりとんでもないマネージャーと契約してしまったアーティストが、どうやったらうまく縁 が切れるかなどというセッションが行われるのが、SXSWの魅力。

プラスチックスマイルに満ちた建前だけの場所と、本気で勉強しにきている人間が集まる場所の 違いだ。

これから先、中国が先頭を切って、お金にものをいわせるイベントは増えていくだろう。

例えば、サッカーのチェルシーのエグゼクティブが来るとかを看板にしたような、商業的カンフ ァレンスもたくさんある。

ただ、そうしたイベントから、そこから何かが生まれるという期待感が、感じられるかというと 必ずしもそうではない。

SXSWがいつまでもプロっぽい仕立てで、その魅力が継続しているのは、立ち上げ時のスピリ ッツとスタッフィング、特にキュレーターが重要で、そこにこだわっているからだと思う。

例えば、テレビの深夜枠で、挑戦的で面白い番組だったものが、人気が出てゴールデンタイムに 移行した瞬間つまらなくなるようなケースがあるが、SXSWには、ゴールデン的なポジション をとっているにもかかわらず面白さを失わせないこだわりが感じられる。

音楽業界の人がいかにワシントンでロビー活動しているかを語るセッション 音楽業界での訴訟の原告の立場・被告の立場で議論させるセッション

レコード会社に頼らずにインディーズのアーティストがプロモーションできる仕組みについての セッション

こうしたマニアックなセッションが多数行われるところに、他の追随を許さないSXSWの魅力 がある。

今後、アジアでは、シンガポールでも中国でも、ゴールデンタイム的カンファレンスがどんどん 出てくるであろうし、その予算感、規模感には太刀打ちできない。

むしろ、それは、そういう国にやらせておけばいい。

沖縄に、スポーツをテーマにしたカンファレンスを立ち上げるのなら、本気で変えたい人間が集 まる。プロが集まる。それぞれのプロにとって、ここでしか得られない情報が得られる場として ブランディングしていくしかない。

非常に厳しい道のりかもしれないし、パッションとスキルがないとできないことだが、短期の成 功よりも、長期的戦略が重要だと思う。

ツィッターが生まれた場所としてSXSWは有名だが、SXSWがただの商業イベントだったら生

今でこそ、日本からパナソニックが参加したり、perfumeがライブをやったりしているけれど本 来のSXSWは広告宣伝費がかけられない人たちにイノベーションを提供できる場である。

また、SXSWのもう一つの魅力は、第一線級のプロと人脈を築くことができることにある。

先日、日本のある音楽の業界団体で、海外の音楽ビジネスシーンに関するセミナーを行った。日 本の音楽市場はいまだに75%をCDの売り上げに依存しており、海外でサブスクリプションサ ービスが全盛であることに比べるとガラパゴス的な状況で、そうした中でMusic Allyという世 界的な音楽デジタルマーケティングのプロを招いて、セミナーを行ったのだが、その講師は、も ともとSXSWの講義で出会った人物であった。その内容に感銘し、その場で名刺交換して、そ れ以来、関係を持つようになり、そうした中で今回、日本に呼ぶことになったのである。

■SXSW の本質を、「沖縄」「スポーツ」に変換するには

SXSW の期間中はオースチンの夜の至るところでライブが行われている。もちろんライブ はアーティストにとっての売り込みの場である。

スポーツをテーマにするとのことだが、沖縄はキャンプ地としてのファシリティがある。プロ が集まって価値の高いセミナーを行いながら、プラス選手をチェックしに行くとか

そこに科学的な施設があって、特定ジャンルでのレベルの高いトレーナーに会えると行った付 加価値の付け方はある。今後のスポーツの世界ではデータが重要になっていくので、そういう 観点からのアプローチもあるだろう。

サッカーで言う、トルコのアンタルヤや、中国の海南島のように、2月に試合も組まれて、スカ ウティングもできるし、カンファレンスで人脈作りや情報交換もできるといった場所に演出す るという方法もある。夜は選手も呼べるかもしれない。

SXSW とは逆で、昼はフィールドを見て、夜はカンファレンスという編成にするのも面白い。

沖縄がキャンプ地であり、スポーツ関係者が集うタイミングをレバレッジにして発展させてい くのもありだろう。IMGアカデミーのような仕組みも沖縄に誕生するかもしれない。

これからのスポーツの潮流は、1)ユーススポーツの産業化 2)スポーツベッティング 3)E-sports 4)VR データ そして5)スポーツオリエンテッドなオウンドメディアがポイ ントとなる。そうした分野でメッカ的なブランディングをしていく戦術もある。

スポーツは、フィールドマネジメントとビジネスマネジメントの二種類に分けられる。多くは 前者に関心を持ちがちだが“いかに強くするか”というかテーマについては、黙ってても発展 する分野。皆苦しむのはビジネスマネジメントの分野である。この分野では、アジアには専門 家は少ないし、どうしても欧米から専門家呼んでくるという話になりがちだが、ビジネスマネ ジメントを体系化していくとか、教育のファシリティが日本にあればそれは強みになる。

実際、NPB(日本野球機構)は世界のトップ10に入る規模のリーグだし、Jリーグもアジアで は有数規模。そうした意味ではアジアにおいては、スポーツビジネスの最先端は、日本にある というイメージを作ることにまだアドバンテージがある。そうしたブランド価値形成は、地政

ビジネスマネジメントは、どうしてもフィールドよりも後回しになるが、勝ち負けに経済状況 を依存しているうちはサステナブルなものにならない。

21世紀型スポーツへの知見をどのくらいのレベルで情報発信できるのか。

経済力では中国に太刀打ちできなくても ソフトパワーでは勝負できるはず。それはスポーツ に限らない日本の命題であるし、資本主義社会の成熟により、金だけが勝負ポイントでない時 代になってきている。

アジアに視線を据えた時に、東南アジアを巻き込んだ視線でいうとサッカー、その次は バスケットボール。野球はどうしても台湾・韓国ぐらいになる。

サッカーで言えば、東南アジアの場合、タイ、マレーシア、インドネシアあたりのサッカーを、

沖縄を軸に巻き込める余地はある(タイは2月にシーズン始まってしまうが)

その他、日本では普及していないマイナースポーツのショーケースしての余地もないことはな いが、Eスポーツの大会の誘致から始めるというのはありではないかと思う。

大会を契機に、情報を求める人が集まり、やがて毎年来るようになる。

伊江島など島のブランディングを、スポーツのブランディングと結びつけるのもありかもしれ ない。

これからのスポーツビジネスは、スポーティングリザルト、つまり勝ち負けに依存しなくなっ ていくモデルに移行していく。

スポーツは結果ではなく、友達と見に行く、友達を作りに行く、あるいはSNSのネタとして酒 の肴として存在するような位置づけになっていく。

スポーツの楽しみ方もテクノロジーで進化し。例えば、ロナウドがピッチに入ってからの視線 を90分間VRで体験できるようなことも可能になる

その意味でもスポーツでオウンドメディア持つことは重要。むしろスポーツでオウンドメディ ア持たないとビジネスとしての利益率を上げることはできないし、twitterや YouTubeなど外 のメディアに頼っていては、スポーツの産業でのマネタイズに限界が出る。

音楽とスポーツは共通していて、それを本当に好きな人が入ってきているけれど、マーケティ ングのプロではないし、マネジメントのプロでもない。

SWSXが生まれたオースチンも、そうした素人が、どうしたらアーティストを売っていけるか を考えているうちにああいうイベントになった。

ドキュメント内 Microsoft Word - SiS OKINAWA報告書.docx (ページ 108-114)