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財政的枠組と実績

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第 2 章 ペルー政府の取組みと成果

2.1. 貧困削減に向けた政策的枠組

2.1.4. 財政的枠組と実績

本項では、開発計画および貧困削減への取組みを実施するための裏づけとなる財政的枠 組みと政府予算の実績について概観する。なお、地方分権化に係る地方政府への財政移 転については、次項

2.2

においてとりまとめる。

(1)

財政的枠組51

2-1

はペルーにおける予算策定の枠組みを示したものである。経済財務省が予算シー リングを各省に伝達し、各省において予算配布の優先順位を決定し、経常支出および資 本支出について予算案策定を行う。策定された予算は国会での審議を受け、「予算法」

として承認を受ける。各省は各期の支出計画を策定し、支出を行う。予算執行に関して は、各省がプログラムの進捗と財政目標に関するレポートを作成し、モニタリングを行 う。

なお、

2002

年以降、地方分権化が進められ、中央政府と地方政府52の公共支出に関する 役割分担が行われている。表

2-8

に示すとおり、中央政府の専管事項としては、防衛・

治安維持および外交、法務、金融、公共サービスに関する規制および国全体に関わる公 共インフラの整備があげられている。州の専管事項としては、州内のインフラ整備や農 業等の振興、観光開発等に関わる支出があげられ、州レベル以下の地方政府(郡、市町 村)の専管事項としては、都市・農村開発および公共サービスの管理や公共インフラの 運営に関する支出がある。教育や保健等に関する支出は州政府と州レベル以下の地方政 府の共管事項とされている。

ガルシア政権下では、トレド政権で進められた法整備を土台としつつ、地方分権化をさ らに推進している。まず、トレド政権での国家地方分権化審議会(

CND

Consejo Nacional de Decentralización

)を首相府(

PCM:Presidencia del Consejo de Ministros

)の中の地方分 権化総局に移管した。第

2

2007

年から公共投資システム(

SNIP

Sistema Nacional de

Inversión

)の地方分権化のもとでの取り組みに着手した。第

3

に市民参加の予算立案制

度の推進53、第

4

に「成果に基づく予算(

Prepuesto por Resultados

)」という政策実施モ ニタリング制度が試行的に実施されている(図

2-2

)。

51ペルーの会計年度は

1

月から

12

月。

52

2002

年に開始された一連の地方分権化に向けた制度改革では、州をベースに地域を統括する

Gobierno

Regional(地域政府)と州以下の Gobierno Local(地方政府)の 2

つのレベルの地方行政機関に分けて地

方分権化を進めている。

IMF, (2007), p3

より。ペルーにおける地方分権化の詳細については

2.2.2

を参照。

53 全ての州政府、市町村政府は予算策定の過程で予算年度の資本支出について市民社会の代表者(例えば、

水利用者組織、学校代表者など)が参加して検討することになっている。詳細はウェブページ

http://presupuesto-participativo.mef.gob.pe/portal_pp/html/index.php  (2007

9

月現在)。

政策決定では、地方政府に権限を与えることなどにより、地方分権が地域経済発展の推 進力となることを担保しようとしている。各地域の経済活性化による生活水準向上に向 けて、地方政府が中心的役割を担うことが期待されている。

図 2-1 予算策定の枠組み

(出所) WB and IDB, (2003), p47, Box 3.4

(注) Pliegoは所管する業務にかかる活動やプロジェクトを実施するための年間予算の承認を行う行政機関。

表 2-8 公共支出に関する役割分担

中央政府 州政府 州以下の地方政府

専管事項 ‹ 防衛、治安、対外関係、法務、

金融・銀行、税金・公的借入、

公共サービスに関する規制お よび公共インフラ

‹ 地域開発計画の承認

‹ 地域のインフラ

‹ 観光開発

‹ 中小企業(PYMES)の近代化

‹ 州内の行政区域変更の承認

‹ 農業、手工業、森林等の振興

‹ 市レベルの都市および 農村開発

‹ 公共サービスの管理・規制

‹ 公共インフラの運営・モニタ リング

共管事項 ‹ 行政権に関する基本法あるい はセクターに関する法律によ って規定される事項

‹ 教育(基礎、初等、中等、高 等教育の管理)

‹ 保健

‹ 経済活動に関する規制(農業、

工業、観光、エネルギー等)

‹ 環境

‹ 文化および芸術

‹ 教育保健

‹ 文化、観光、スポーツ

‹ 市民の安全

‹ 記念物の修復

‹ 公共運輸・交通

‹ 住宅

‹ 社会プログラムの管理

‹ 廃棄物管理

(出所)IMF, (2007), “Peru: Selected Issues”, IMF Country Report No. 07/53, p29, Table A.1より作成

経済財務省 Pliego その他 予算項目の積上げ

当初予算シーリング の伝達 

4 期に分割して予算 配分(各期の最終月 19日)

コ ミ ッ ト メ ン ト の 日 程 の承認(承認される 月の5日までに)

各 責 任 者 が 優 先 順 位を決定

予算上限をPliego 配分

各 期 の 支 出 計 画 作 成(各期の最終月の 26日)

コミットメントの日程を 各プログラムに割当

プ ロ グ ラ ム の 進 捗 と 財政目標のレポート 作成

国 会 が 予 算 法 を 承 認(局長は閣僚会議 で承認されたプロジ ェクトを提出) 

経常・資本支出 重点および特定予算 

すべての予算項目

経常・資本支出 重点および特定予算 

Pliegoおよび実施ユ ニット

セクターおよび プロ グラム

一般支出

予算策定予算承認実施評価

図 2-2 「成果による予算」のスキーム

(出所)MEF, (2007a), p90

(2)

財政状況

フジモリ政権下で実施された経済合理化や民営化などの一連の改革は、一方で失業の増 加をもたらし、低下傾向にあった貧困者比率も再び増加するなど、社会不安をもたらし た。政権に対する支持を回復するため、貧困対策などの社会支出が拡大されたが、こう した歳出拡大は財政赤字の増加につながった。

2000

年以降の中央政府の財政状況をみると(表

2-9

)、

2001

年は

12

億ヌエボソルを超 える赤字となった。その後、基礎的収支の赤字は

2002

年まで続いたが、

2003

年以降は プラスとなっており、年々黒字額が増加している。総合収支は

2005

年まで赤字であっ たが、毎年の税収増に支えられて減少し、2006年には約

44

億ヌエボソルの黒字に転じ た。歳入については、税収が全体の

82

88

%で、

90

年代との比較ではあまり変化はな いが、歳出に関しては、経常支出の割合が

1997

79

%から徐々に割合が伸びてきてお り、

2000

年以降、

85

87

%となっている。また、資本支出に関しては、

1999

28

%で あったのが、

2000

年以降徐々に下がっており、

2006

年では約

14

%となっている。

財政赤字補填のための主な資金調達源は、対外借り入れ、国内借り入れ、民営化による 売却益などの収入である。

2004

年までは、対外借り入れが主要な資金調達源であった が、

2005

年以降は、マイナス、すなわち、返済額の方が大きくなっている。

2005

年は 対外借り入れに代わり、国内借り入れの資金調達が行われて、対外債務の返済と赤字補 填がなされた。なお、民営化収入は、

2002

年まで

10

億ヌエボソルを超えていたが、

2003

年以降は金額が減少している。

また、過去

5

年間の財政状況を対

GDP

比で見ると(表

2-10

)、経常歳出は

12

%台であ るが、経常歳入の比率は

2005

2006

年と上昇し、税収が順調に伸びていることがわか る。同時に公的債務も

2004

年まで

40

%台であったのが、

2005

37.7

%、

2006

32.6

% と減少しており、財政健全化に向けての努力がみられる。

2000

年以降の歳入の伸びと 反対に資本支出は

2005

年まで伸びておらず、インフラ投資への高い需要に対応してい なかったことがうかがわれる。

成果の測定・評価

戦略的予算策定

マネージメント・コントロール の結果評価

活動/プロジェクトへの 資金配布

マネージメントの柔軟化、

インセンティブ付与の 新スキーム

1 2 3

4

5

表 2-9 中央政府の財政状況

(単位:100万ヌエボソル)

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 歳入 27,705 27,059 28,559 31,568 35,381 41,046, 52,715   税収 22,769 23,541 24,062 27,405 31,144 35,589 45,485   非税収 4,935 3,518 4,498 4,163 4,238 5,458 7,229 歳出 29,360 28,580 29,241 31,451 34,165 38,468 43,260   経常支出 24,101 24,349 25,285 27,371 29,870 33,577 37,252   資本支出 5,259 4,231 3,956 4,080 4,295 4,891 6,008 基礎的収支 -1,120 -1,230 - 310 478 1,405 2,965 9,816 利払い 4,077 4,060 3,953 4,191 4,381 4,794 5,413   国内債務 543 466 485 469 460 657 1,117   対外債務 3,534 3,594 3,469 3,722 3,921 4,138 4,297 総合収支 -5,197 -5,290 -4,263 -3,713 -2,977 -1,830 4,403 資金調達 5,197 5,290 4,263 3,713 2,977 1,830 -4,403   対外債務 2,104 2,065 3,997 3,386 3,838 -3,121 -1,832   国内債務 1,666 2,092 -1,236 146 -1,251 4,766 -2,875   民営化 1,427 1,134 1,503 181 389 185 304

(出所) Banco Central de Reserva del Perú,

ウェブアドレスhttp://www.bcrp.gob.pe/bcr/Cuadros/Cuadros-Anuales-Historicos.html,(20078月現在)

(注) 2003年〜2006年数値は、暫定値。

表 2-10 中央政府の財政状況(対

GDP

比)

(単位:%)

2002 2003 2004 2005 2006 経常歳入 14.2 14.8 14.9 15.7 17.2   税収 12.0 12.8 13.1 13.6 14.9   非税収 2.2 1.9 1.8 2.1 2.4 経常歳出 12.6 12.8 12.6 12.8 12.2 基礎的財政収支 -0.2 0.2 0.6 1.1 3.2 総合財政収支 -2.1 -1.7 -1.3 -0.7 1.4 公的債務 46.9 47.5 44.4 37.7 32.6

(出所) Banco Central de Reserva del Perú,

ウェブアドレスhttp://www.bcrp.gob.pe/bcr/Cuadros/Cuadros-Anuales-Historicos.html,

(20078月現在)

(注) 2003年〜2006年数値は、暫定値。

(3)

貧困削減への公共支出

政府支出全体に対し、貧困層を受益者として含む社会支出の比率は、

2003

年以降、毎 年およそ

5

割が割り当てられており、2003年以降やや増加傾向がみられる(表 2-11)。

GDP

比の社会支出をみると、

2003

年に

9.3

%から

2006

年には

8.3

%へと若干下がっ ているものの、経済規模に対し、一定水準の貧困削減のための公共支出が維持されてい るといえる。社会支出額の中で

40

%以上と最も大きな割合を占めるのは教育・保健へ の支出である。

2003

年と比較すると、

2007

年予算では名目価格で

43

%増額、この間の インフレ率(約

8%)を加味しても実質で約 30%以上増額したことになる。また、社会

支出全体に占める最貧困層向けプログラムの支出の割合は、

2003

12.5

%から

2007

14

%へと増加傾向がみられる。

表 2-11 社会支出の推移

(単位:百万ヌエボソル)

2003 2004 2005 2006 2007(注1)

政府支出合計

(中央政府・州政府) 39,457 41,291 44,892 48,264 51,686 社会支出(注2)合計 19,995 21,825 24,238 25,472 28,030 教育・保健 8,709 9,560 10,324 11,629 12,409 最貧困層向けプログラム(注3) 2,509 2,525 3,034 3,371 3,920 社会保障(保険・年金等) 7,407 8,339 9,210 9,270 9,759 比率

社会支出/政府支出  50.7% 52.9% 54.0% 52.8%  54.2%

社会支出/GDP  9.3% 9.2% 9.3% 8.3% 8.5%

最貧困層向けプログラム/社会支出 12.5% 11.6% 12.5% 13.2% 14.0%

(出所)MEF, Dirección de Assuntos Sociales y Económicos

(注1)予測値。

(注2)MEFの統計で定義されているもの。ここでは社会保障費も入れて計算。

(注3)MEFが最貧困層プログラムとして定義しているものであるが、最貧困層以外も含まれる。

表 2-12 最貧困層向けプログラムへの支出状況

(単位:百万ヌエボソル)

実施機関あるいはプログラム 2003 2004 2005 2006 2007(注1)

社会開発協力基金(FONCODES) 286 362 443 496 426

教育省 178 165 243 236 159

保健省 239 316 356 323 268

農業省(PRONAMACHS、土地所得権付与等) 233 227 160 303 148 女性社会開発省(PRONAA) 433 415 445 427 415

(その他(注2) 37 48 52 49 48

災害地域復興開発支援プログラム(注2)

(Programa de Apoyo a La Repoblación) 16 8 3 0 0

経済・財務省 20 32 26 35 23

エネルギー・鉱業省 152 131 155 121 348

運輸通信省 172 132 112 151 150

住宅・建設・衛生省 178 118 222 309 813

首相府(JUNTOSプログラム) 0 0 116 173 400

INFES、COFPRI 81 71 58 94 103

地方政府  Vaso de Leche(注3) 356 360 487 469 464 地方政府  社会プログラム(注4) 0 0 124 106 101 労働・雇用促進省(緊急社会生産性プログラム

Programa de Emergencia Social Productiva) 157 142 154 187 154

合計 2,509 2,525 3,034 3,371 3,920

(出所) MEF, Dirección de Assuntos Sociales y Económicos

(注1) 予測値。

(注2) 2006年からFONCODESに統合されている国家人民協力局(COOPOP: Oficina Nacional de Cooperación Popular) などの予算を含む。

(注3) 2003年は首相府地方分権化審議会に予算がつき、2004年以降は地方政府へ資金移転されている。

(注4) PRONAAの一部となっていた大衆食堂(Comedores Populares)、労働による食糧配布、社会・生産インフラ等 プログラムなどの地方政府に移管されたものを含む

ドキュメント内 untitled (ページ 46-52)