第 2 章 ペルー政府の取組みと成果
3.1. 援助機関による取組み
3.1.3. 多国間援助機関
❑ 国家の近代化(地方分権化の促進、公的セクター管理の強化、法の支配および司
法に関する国民への啓発)上記の
CPS
において、世銀グループの支援金額については、同期間最大35
億ドル(年 間7
億ドル)の支援を提示しており、前回の国別援助戦略(CAS
:Country Assistance Strategy 2002
〜2006
年)の年間2
億3,000
万ドル82と比べ、大幅に支援規模を拡大して いる。これまで
WB
は基本的ニーズに対応するため、上水道修復管理事業、農村電化事業など、基礎インフラへの支援を中心に、都市あるいは農村貧困層への裨益が期待されるプロジ ェクトを実施している。また、教育、保健、栄養等の社会セクターへの支援を通じた貧 困削減事業を実施している。2007年から
2011
年にかけて実施するプロジェクトは、山 岳地域開発、財政マネージメント、低所得者層住宅、自然災害マネージメント等が予定 されている(事業詳細は別添4
参照)。(2)
欧州委員会(EC)EC
はペルーに対し、対ラテンアメリカ支援の中でも多額の援助を行っている。1991
〜2000
年の間に、食糧援助、融資、技術援助を中心とし、4
億ユーロ以上の支援が行われ、1998
〜2001
年はペルー政府の政情悪化のため通常の支援は行われず、食糧援助や人道 的支援、NGO
を通じた支援のみが実施された。2004
〜2006
年83には、7,100
万ユーロ84の 対ペルー協力プロジェクトを承認した。その他にも、EC
のアンデス共同体を対象とし た統計の調和化事業、複数国が連携した災害防止システムの構築、自由貿易協定関連支 援、市民社会の活性化等の支援が対象となっている。最新の対ペルー協力戦略(
Country Strategy Paper 2007-2013
)においては、以下の2
点を 重点とし、特に、貧困地域における社会開発をターゲットとした支援を行うとしている(カッコ内は予算配分の割合)。
❑ 国家の近代化、ガバナンスの強化および辺境地の市民権を得ていない人々に対す
る市民権の付与と社会参加に対する支援(15%)❑ 貧困層および極貧層が多くかつ社会的疎外が問題になっている地域における総
合的な社会開発への支援(80
%)上述のように、
EC
による支援においては貧困削減が重点分野となり、貧困層を対象と したプロジェクトが実施されている(事業詳細は別添4
参照)。(3)
米州開発銀行(IDB: Inter- American Development Bank)IDB
は国別戦略(2002
−2006
年)85の中で、「貧困削減」と「貧富の格差の是正」を通 じた「均衡の取れた経済成長」を目的として掲げている。そして、これらの達成のため には、持続的な投資の増加と生産の諸段階における生産性の向上が必要であるとしてい る。その上で、ペルーの支援に対しては以下の3
つの目的を掲げ、貧困層を直接ターゲ ットとしたアプローチをとる方針を示している。82 ただし、公的セクター改革、徴税等のペルー経済の成長があれば、最大
4
億ドル/
年まで実施する。83 当期間の
EC
の支援分野は、法的支配および組織改革への支援(15
%)、社会経済開発(60
%)、地域統合
25%)であった。
84 コミットメントベース
85 最新の国別戦略は現在策定中。
❑ ペルーの投資環境を整備し、人的資本に対する投資を行うことによって、経済の
生産性と競争力を向上すること❑ 社会政策の効率を向上し、貧困緩和および社会的弱者を保護するための方策を実
施すること❑ 近代的、地方分権化された効率的な国家を設立すること
具体的には、社会開発協力基金(
FONCODES: Fondo de Cooperación para el Desarrollo Social)による衛生、住居、教育等、社会セクタープロジェクト等貧困削減に関連した
事業を通じ、貧困層向けのインフラ支援を行ってきている(事業詳細は別添4
参照)。(4)
国連開発計画(UNDP: United Nations Development Programme
)現在の
UNDP
の対ペルー支援では、以下の5
点が貧困削減に向けての重点支援分野86と して掲げられている。❑ 民主的ガバナンス
❑ 貧困との戦い
❑ エネルギーと資源環境
❑ 情報通信技術
❑ 自然災害と HIV/AIDS
の予防「貧困との戦い」においては、
2002
年のペルー人間開発報告書にて公表したペルー初 の郡レベル人間開発指標を公共政策策定の際に参照するように働きかけている。また、大規模な雇用プログラム、国境地帯の社会開発プロジェクト、零細・中小企業支援プロ グラム、企業の社会的責任プロジェクトへ参加する民間セクターに対しても協力を行う 方針を示している。
(5)
国連児童基金(UNICEF: United Nations Children’s Fund)UNICEF
は、ペルーの国家政策とも合致する形で、教育および保健分野支援を行っている。具体的な方針としては、以下の
2
点を掲げ、政府とともに、進捗のモニタリングを 行っている。❑ 万人の社会的参加を促進するための地方のイニシアティブの強化(質の高い、文
化的にも適切な社会サービスに人々が等しくアクセスできるような戦略的な参 加型アプローチの実施)❑ 市民参加型社会の実現および青年の社会参加(国民への市民権に関する啓発活動
を行い、知識や情報へのアクセスを向上させ、女性と子供の権利が確保された公 的政策の策定を行う)また、ペルー政府は、出産における母子死亡率の低減を目標にした取組みを実施してい
るが、
UNICEF
は母子安全プログラム(Safe Motherfood Programme
)を、カハマルカ、クスコ、アプリマクで実施しており、今後も引き続きこの分野で事業を支援する予定で ある。
86 ウェブページ
http://www.pnud.org.pe/n_Mision_Pais.asp
(2007
年8
月現在)。ちなみに、直近の対ペルー国 別援助戦略(CCF、2001-2003年)と同じ内容である。UNICEF
は以前からアマゾン地域の先住民族を対象としたプロジェクトを実施してき ている。(6)
国連人口基金(UNFPA: United Nations Population Fund)UNFPA
は、1972
年からプログラムを実施してきたが、今後もプログラムの効果・効率性を向上させるために、
i
)国家の貧困削減戦略、ii
)地方分権化プロセス、iii
)セクタ ー改革を掲げ、よりいっそう合致した形での支援をしていく方針を打ち出している。ま た、市民社会との連携を強め、1994
年にカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD
:International Conference on Population and Development
)で採択された行動計画に沿った取 組みに支援していくとしている。2006〜2010
年の支援プログラムの実施に当たっては、ICPD
の行動計画の実施に向けた政策対話、政府機関、市民社会、国際ドナーとの調整および連携の強化、ペルーの政策 能力の強化およびその活用に留意し、貧困層、ジェンダー、人権に配慮したアプローチ を採る方針である。具体的な支援の重点分野は以下のとおり(同プログラム予算におけ る分野別資金配分をカッコ内に示す87)。
❑ リプロダクティブ・ヘルス(48%)
❑ ジェンダー( 4
%)❑ 人口と開発( 45
%)(7)
国際農業開発基金(IFAD: International Fund for Agricultural development))IFAD
は、1980
年からペルーに対する支援を開始し、現在までに7
案件、約1
億ドルの 融資事業(事業詳細は別添4
参照)を実施し、それに関連して無償による農村開発トレ ーニング支援も組み合わせて行ってきた。7
つの融資プロジェクトのうち6
つがシエラ の小規模農家を支援するものであり、小規模ながら農村貧困層をターゲットとした事業 を実施している。IFADのペルーにおける戦略は以下の4
点である88。❑ 農民の資産と資源を活かすため、より良い天然資源管理の推進、土地所有権登録
の支援、土地所有をめぐる争いの解決のための資金供与❑ 技術支援および金融サービスへの農民のアクセスの向上を目的とした、市場の開
発、民間セクターのサービスプロバイダーの強化等❑ 都市と農村の連携強化のための小規模企業の農業外経済活動の促進、中小規模の
町の近隣における地元農民の農業関連企業設立への支援❑ 事業実施に係る意思決定および資金管理への住民組織やコミュニティーの参画
促進87
3
重点分野以外その他プログラム調整のための費用2%をあわせると合計 100%になる。
88 ウェブページ
http://www.ifad.org/english/operations/pl/per/index.htm(2007
年8
月現在)より。3.1.4.
二国間援助機関
ドキュメント内
untitled
(ページ 71-75)