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中央政府

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第 2 章 ペルー政府の取組みと成果

2.2. 貧困削減に向けた政府のキャパシティ

2.2.1. 中央政府

(1)

社会プログラム管理の改善への取り組み

ガルシア政権では、社会政策各省委員会(

CIAS

)の事務局が中心となって、社会プロ グラムの統合および支出マネージメント改善のための取り組みを進めている。経済財務 省(

MEF

)の多年度マクロ経済指針(

MMM

)によると、

2007

3

月に発表された社会 プログラム改革計画の実施により、

3

5

千万ヌエボソルの資金(=約

1

1

千万ドル)

の節約が可能と推計されており、社会プログラムの資金への再配分などにより、貧困削 減に資すると期待されている。

全部で

82

ある社会プログラムが統合される第一段階として、各政府機関へ割り当てて いる社会プログラム数のレビューを行ったのが表

2-14

である。

2006

年の社会プログラ ムの支出は、約

34

億ヌエボソルであるが、

PRONAA

FONCODES

などが傘下にある 女性社会開発省が

31

プログラムを担当し、全支出の

38

%を占める。プログラム数では、

農業省が

12

、労働・雇用促進省と住宅・建設・衛生省が各

9

プログラムと続いている。

55

MEF, (2007a), P101

金額では、一杯の牛乳(

Vaso de Leche

)プログラム資金が経由する経済財政省が

10.6

%、

次いで保健省の

10.3

%となっている。

多年度マクロ経済指針では、これらプログラムの支出上の問題点として

2

点指摘されて いる。第一は、

2005

年の全社会プログラム支出の

24.8

%にあたる約

6

億ヌエボソルが 経常支出に向けられている点であり、これについては、プログラムのマネージメント効 率の問題であるという指摘がある。第二は、州レベルで貧困者比率が高いところに対し、

社会プログラム一人あたりの支出が高いとは限らないという点である。したがって、配 分の改善が必要であるが、この点においては具体的な対案はまだ示されていない。

以上の分析から、社会プログラムの実施の重複、優先順位、補完関係を考慮し、目的と 受益者グループ別に社会プログラムをグループ分けし、重複するものを統廃合すること が提案された。プログラムの統廃合のため、トレド政権下の国家貧困克服計画(

PNSP

) の基本戦略である

3

つの課題に沿ってプログラムを整理している(図

2-3

)。特に栄養 改善プログラムでは、対象者が同じ複数のプログラムが同時に実施されており56、見直 しが必要とされていた。その結果、表

2-15

に示すとおり、

82

のプログラムから

26

へ 整理することが提案されている。また、社会プログラム資金の配分については、成果に よる予算マネージメントを重視し、市民参加による計画策定、フォローアップと、評価 のための指標に基づく成果の確認、達成された成果に係る報告(参加モニタリング)な どのプロセスを通じ、プログラムの透明性と効率性向上を図っている。

表 2-14 セクター別(担当機関)社会プログラム数と実施金額

(単位:百万ヌエボソル)

セクター(機関) プログラム数 2005 2006 (%)

農業 12 73 210 6.1

女性・社会開発 31 763 1,305 38.3

働・雇用促進 9 183 197 5.8

住宅・建設・衛生 9 315 301 8.8

教育 4 66 112 3.3

運輸・通信 4 112 285 8.4

市民情報国家登録 3 2 6 0.2

生産 3 9 10 0.3

エネルギー・鉱業 2 115 121 3.6

保健 2 364 351 10.3

対外貿易・観光 1 3 4 0.1

経済・財政 1 363 363 10.6

首相府 1 36 144 4.2

合計 82 2,445 3,410 100.0

(出所)MEF, (2007a), p93, Table 26

56 例えば、

0

歳から

5

歳までを対象にしている栄養プログラムは、「一杯の牛乳プログラム」

WAWA WASI

プログラム」「幼児食糧支援プログラム」など

8

つある(Vasquez, (2007b), p52)

表 2-15 戦略的目標による社会プログラム数

目標 提案前 提案後

目標1:非農牧業の事業機会拡大 12 4

目標2:農牧業の事業機会拡大 10 3

目標3:労働者の統合と能力開発 2 2

目標4:基礎サービスへのアクセスのインフラ 11 5

目標5:予防と(あるいは)保健への支援 2 2

目標6;基礎教育のアクセスと向上 6 2

目標7:食糧支援 14

目標8:栄養補給 5 3

目標9:社会的弱者の保護 8 1

目標10:住宅と衛生設備へのアクセス 6 2

目標11:多目的プログラム 3 1

目標12:市民の登録 1

合計 82 26

(出所)MEF, (2007a), p97, Tabla29

2-3

「国家貧困克服計画(

PNSP

)」の中心課題よる社会プログラム再編のスキーム

(出所)MEF, (2007a), p98, Gráfico 39

社会開発の成果達成に向け、各プログラム間で重複する部分を統合・整理した結果、目 標に向けての各プログラムの位置づけが明確になり、以前よりもわかりやすくなってい る。しかし、以上のプログラム整理・統合のみでは、社会支出の効率性や成果の達成に 不十分である。公共支出に対する予算配分や社会プログラムの支出は、実質的に経年的 な基準で行われており、計画の質については問われていなかった。前年度予算の踏襲で はなく、対象地域の格差是正や貧困削減の成果を高めるような形で予算配分や支出が行 われることが重要である。

課題間の連関 課題

1

人的能力の発展・基本的権

課題内の連関 利の尊重

課題

2

経済的機会および能力の 推進

課題

3

社会セーフティー・ネットの 確立

目標

5

予防と(あるいは)

保健への支援 目標

6

基礎教育のアクセス

と向上 目標

7

食糧支援

(子供と青年)

目標

8

栄養補給

目標

10: 住宅と衛生設備への

アクセス 目標

12: 市民の登録

目標

11

多目的プログラム

目標

7

食糧支援

(成人弱者)

目標

9

社会的弱者の保護

目標

11: 多目的プログラム

目標

1

非農牧業の事業機 会拡大

目標

2

農牧業の事業機会 拡大

目標

3

労働者の統合と能 力開発

目標

4

基礎サービスへの アクセスのインフラ 目標

11

多目的プログラム

(2)

貧困削減戦略の実施能力

現ガルシア政権下で進めている貧困削減プログラム実施に関連する政策と政権

2

年目 までの進捗状況を検証して、実施能力について考察したい。

社会プログラム改革について示された計画案は、貧困世帯の積極的参加の推進、経常支 出を総経費の最大

10

%までに抑える上限の設定、地理的かつ個人的なターゲティング、

成果によるマネージメント、マクロ的な社会指針の策定の提案等、評価できる点はある。

しかし、改革がプログラム設計の改善そのものよりも、プログラムの整理と統合を中心 とするのみでは実質的な効率性の向上へは結びつかないこと、改革プランに目立った特 徴がないこと、監督機関としての社会政策各省委員会(

CIAS

)に政治的独立性が確保 できるのか不透明であることなど、まだ懸念が残る57

貧困との戦い合同委員会(

CCLCP

)は、ガルシア政権における新しい取り組みである。

FONCODES

が作成した市町村レベルの貧困マップによる国内貧困地区

811

のうち、

100

の最貧困地区を対象に

11

の社会プログラムの戦略の連携を図ったパイロットプロジェ クトが実施されている58。こうした取り組みは、州政府や郡政府と共に実施しており、

さらに

600

地区へと拡大して実施される予定である。

2007

7

月から始まった

CRECER

(成長)プログラムは、

CCLCP

で各政府機関間で調整された事項を反映し、また受益 者の選定には、世帯ターゲッティング・システム(

SISFOH

)を参照にしている。現時

点では、

CCLCP

の試みは、ターゲッティングミスの問題や関係機関の調整がない、と

いう批判に応えるものであり、その動向が注目されるが、その成果はこれからである。

ガルシア政権の「地方分権化ショック」政策、「投資ショック」政策、および公共投資 システム(

SNIP

)改革は、公的支出の管理と投資プロジェクトの実施促進への取り組 みであるが、いずれも進行中である。

「地方分権化ショック」の政策は

35

億ヌエボソルを上回る予算と権限を中央政府の省 庁から州、郡、市町村政府へ移管するという政策である。

2007

年末までに州政府へ保 健、住宅、農業、産業、鉱業などの分野での権限委譲、また、州レベル以下の地方政府 へ教育や保健プログラムを移管するためのパイロットプロジェクトを開始するなど意 欲的な

20

の対策を計画している。しかし、

2007

7

月までに実施されているのはその うちの

7

つの対策のみである。「投資ショック」政策は、公共投資レベルの低さやイン フラ整備の遅れに対し、投資奨励策として、約

800

の社会投資プロジェクトに対し、総 額約

19

370

万ヌエボソルの補正予算を実施するものである。半年後の

2007

3

月の 予算実行レベルでみると、執行されたのは、総額の

43%

(約

8

3,500

万ドル)で、中 でも保健セクターは計画の

17.3

%、教育は

19.4

%と執行率は低い59。「地方分権化ショッ ク」政策と「投資ショック」政策が計画通りに進捗していない理由は、州その他の地方 政府および関連機関で働く公務員の専門的知識や業務処理能力のレベルが低いこと、公 共投資プロジェクト実施における経験不足などによる。資金面のみならず、予算の執行 を促進するような改善も必要である。

「投資ショック」政策採択後の

2006

12

月、大統領令により、公共投資システム(

SNIP

) 改革が開始され、公共投資プログラム承認の手続きの円滑化を図った。そもそも

SNIP

57

Vasquez, (2007b), p61-62

58

JUNTOS

プログラムやその他の社会プログラムの実施状況、道路へのアクセス、州政府への予算配から

選択した地域。各社会プログラム、予算、受益者のマトリックスで、社会活動連携マトリックス(MAIS:

Matrices Articuladas de Intervención Social)を策定している。

59

Vasquez, (2007a), p37。

ドキュメント内 untitled (ページ 52-56)