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第3章 無収水対策選択モデルの構築

3.4 目的関数の設定

.. 1 目的関数の構成

無収水量を計算する目的関数を以下のとおり記述する 。

𝑁𝑅𝑊

𝑗

= 𝐿𝑀

𝑗

+ 𝐿𝑁

𝑗

+ 𝐿𝐼

𝑗

+ 𝐿𝐷

𝑗

+ 𝐿𝑆

𝑗

NRWj:j年の無収水量(m3/年)

LMj:j年におけるメーター故障に起因する計量誤差による無収水量(m3/年)

48

LNj:j年におけるメーター未設置に起因する認定誤差による無収水量(m3/年)

LIj:j年における非認定給水量による無収水量(m3/年)

LDj:j年における送配水管からの漏水による無収水量(m3/年)

LSj:j年における給水管(メーター上流側)からの漏水による無収水量(m3/年)

.. 2 メーター故障による計量誤差

メーターの更新については、 ①一定期間毎に全戸訪問調査で水道メーターを一斉点検 し、故障メーターを更新する場合と、②故障の有無に拘わらず全ての水道メーターを一 定期間毎に更新する場合(全数更新) が考えられる。日本においては計量法の規定に基 づき、故障の有無に拘わらず8年毎に更新することになっており、②の考え方に準拠して いるが、途上国においては双方の場合が見られる。 両者のコストを比較した結果を 巻末 の「補論」に示す。補論における分析の結果、①の方が より経済的である ことが明らか となったため、以下の検討では故障メーターのみを交換するものとする。

メータ ー故障 による 計量 誤差LMjの計 算式は 、信 頼性工 学で用 いられ るワ イブル 分布 に基づくメーターの故障率を考慮に入れ 、以下のとおりとした(宮村鐵夫. 2011)。

𝐿𝑀

𝑗

= 𝑈𝑀𝑁 ∙ 𝑁𝑀𝑁

𝑗

𝑁𝑀𝑁

𝑗 =

𝑁𝑀𝑁

𝑗−1

𝑋

1𝑗 +

∑ 𝑁𝑀𝐹

(𝑗−1)(𝑡−1)∙ 𝜆𝑡

𝑇𝑀𝑗

𝑡=1

∑ 𝑁𝑀𝐹

𝑗𝑡

𝑇𝑀𝑗

𝑡=1

=

∑ 𝑁𝑀𝐹

(𝑗−1)(𝑡−1)

𝑇𝑀𝑗

𝑡=1

(

1 − 𝜆𝑡

) + 𝑋

1𝑗

+ 𝑋

2𝑗

𝜆𝑡

= 𝑚 ƞ (

𝑡 − 𝛾 ƞ )

𝑚−1

LMj:j年のメーター故障に起因する計量誤差による無収水量(m3/年)

UMN:故障メーター1 個当たりの無収水量(m3/年/個)

NMNj:j年における故障メーター数 (個)

NMFjt:j年における材齢t年の稼働メーター数(個)

X1j:j年における故障メーター更新対策数 (個)

X2j:j年における 新規メーター設置数(個)

TMj:j年に存在するメーターの最も古い材齢(年)

λt :t 年経過したメーターの故障率 。ワイブル分布を適用。

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m:ワイブル分布の形状パラメーター ƞ:ワイブル分布の尺度パラメーター γ:ワイブル分布の位置パラメーター

.. 3 メーター未設置による認定誤差

メーター未設置による認定誤差LNjの計算式は以下のとおりとした 。

𝐿𝑁

𝑗

= 𝑈𝑁𝑀 ∙ 𝑁𝑁𝑀

𝑗

𝑁𝑁𝑀

𝑗

= 𝑁𝑁𝑀

𝑗−1

− 𝑋

2𝑗

LNj:j年のメーター未設置に起因する認定誤差による無収水量(m3/年)

UNM:メーター未設置1 か所当たりの無収水量(m3/年/箇所)

NNMj:j年時点におけるメーター未設置数 (箇所)

X2j:j年におけるメーター未設置世帯への新規設置数 (箇所)

.. 4 非認定給水量(違法接続)

違法接続による非認定給水量LIjの計算式は以下のとおりとした 。違法接続は、市民の 順法意識が低い、水道事業体職員のモラルが低く違法接続の手助けをする、時間給水で あるなど違法接続の工事を行いやすい環境がある、などの 条件がある場合には多いと考 えられる。もともと違法接続が多い都市はこのような条件に合致して おり、摘発を行っ てもまた 違法接続が増えると考えられる。これに対して、もともと違法接続が少ない都 市は、違法接続の増え方も緩やかであると考えられる。これより 、違法接続数初期値(NIC0) に対して一定の割合(RIC)の数の違法接続が毎年増加すると仮定した 。

𝐿𝐼

𝑗

= 𝑈𝐼𝐶 ∙ 𝑁𝐼𝐶

𝑗

𝑁𝐼𝐶

𝑗

= 𝑁𝐼𝐶

𝑗−1

− 𝑋

3𝑗

+ 𝑅𝐼𝐶 ∙ 𝑁𝐼𝐶

0

LIj:j年の非認定給水量(m3/年)

UIC:違法接続1 か所当たりの無収水量(m3/年/箇所)

NICj:j年における違法接続数(箇所)

X3j:j年における違法接続摘発・正規接続化数 (箇所)

RIC:違法接続数初期値に対する毎年の違法接続増加率 NIC0:違法接続数初期値 (箇所)

50 3.4.5 送配水管からの漏水

IWAは、漏水量を地上に表れる漏水(破裂事故) 、地上に表れないが探知可能な漏水

(地下漏水)、探知困難な漏水の合計として推定することを提案している(Farley, M. et al. 2008)。

破裂事故の発生箇所数は 、日本と途上国では使用している管材の質や施工技術に相違 があると考えられるものの 、途上国における調査事例がないため 、日本における調査事 例が示す事故率推定式 (水道技術研究センター. 2011)を用いた。

𝑌𝐷

𝑡

= 𝐶1 ∙ 𝐶2 ∙ 𝐶3 ∙ 𝑓

𝑘𝑡

YDt:材齢t年の送配水管の推定破裂事故率( 箇所/km/年)

C1:仕様に関する補正係数 C2:口径に関する補正係数 C3:地盤条件に関する補正係数

fkt:管種kの材齢tにおける標準事故率

地下漏水の年間新規発生箇所数は 、破裂事故の発生箇所数と同数と仮定した 。無収水 対策として送配水管の更新を行うと管が新しくなり 、事故率低下により破裂事故と地下 漏水の双方が減少する 。無収水対策として漏水探知・修理作業を行うと 、地下漏水箇所 数が修理箇所数だけ減少する 。

以上より、送配水管からの漏水LDjの計算式は以下のとおりとした 。

𝐿𝐷

𝑗

= 𝐿𝑅𝐵𝐷

𝑗

+ 𝐿𝑈𝐺𝐷

𝑗

+ 𝐿𝐵𝐺𝐷

𝑗

𝐿𝑅𝐵𝐷

𝑗

= 𝑈𝐿𝑅𝐵𝐷×𝑇𝐹 ∙ 𝑃 ∙ ∑ 𝑌𝐷

𝑡

𝑇𝐷𝑗

𝑡=1

∙ 𝐿

𝑗𝑡

𝐿𝑈𝐺𝐷

𝑗

= 𝑈𝐿𝑈𝐺𝐷×24×365 𝑃 ∙ 𝑁𝑈𝐺𝐷

𝑗

𝑁𝑈𝐺𝐷

𝑗

= 𝑁𝑈𝐺𝐷

𝑗−1

− 𝑋

5𝑗

− 𝑋

4𝑗

1000 ∙ 𝑌𝐷

𝑇𝐷𝑗

+ ∑ 𝑌𝐷

𝑡

𝑇𝐷𝑗−1

𝑡=1

∙ 𝐿

(𝑗−1)𝑡

𝐿𝐵𝐺𝐷

𝑗

= 𝑈𝐿𝐵𝐺𝐷×365×𝑃 ∙ 𝐿𝑇

𝑗

LDj:j年の送配水管からの漏水量(m3/年)

LRBDj:j年の送配水管破裂事故の漏水量(m3/年)

TF:破裂事故による漏水の修理に要する時間(hr)

LUGDj:j年の送配水管地下漏水の漏水量(m3/年)

51

LBGDj:j年の送配水管の探知困難な漏水量(m3/年)

ULRBD:破裂事故による送配水管からの漏水量原単位(m3/時間(hr)/水圧(m)

/箇所)

ULUGD:地 下漏 水 によ る送 配水 管か らの 漏水 量 原単 位(m3/ 時 間(hr) /水 圧(m)

/箇所)

ULBGD:送配 水管か ら の探知困難 な漏水 量原単 位 (m3/管 路延長 (km) /日/ 水

圧(m))

P:平均水圧(m)

NUGDj:j年の送配水管地下漏水箇所数 X4j:j年の送配水管更新対策実施延長(m)

X5j:j年の送配水管漏水探知・修理数

YDt:材齢 t 年の送配水管推定破裂事故率(箇所/km/年)

Ljt:j年における材齢 t 年の送配水管の延長(km)(初期条件、経年劣化、及び無収

水対策として送配水管更新が行われる場合の更新延長X4jを考慮して計算する)

LTj:j年の送配水管総延長(km)

TDj:j年で存在する送配水管の最も古い材齢(年)

3.4.6 給水管からの漏水

IWAは、給水管からの漏水量も送配水管からの漏水量と同様に 、地上に表れる漏水(破 裂事故) 、地上に表れないが探知可能な漏水(地下漏水) 、探知困難な漏水の合計とし て推定することを提案している (Farley, M. et al. 2008)。ただし、送配水管からの漏水 と異なるのは、探知困難な漏水の計算式として、送配水管からの漏水の場合は管路延長 当たりの漏水量原単位が設定されているのに対し、給水管からの漏水は管路延長当たり の漏水量原単位と 給水管 接続数当たりの漏水量原単位が設定されており、双方の要因に よる探知困難な漏水の和として推定することが提案されていることである。これは、給 水管からの漏水には、管の継手からの漏水や、給水管自体の亀裂 、穿孔、腐食箇所等か らの漏水 といった給水管の延長に比例すると考えられる要因と、 配水管からの 分岐箇所 や水道メーター、止水栓等からの漏水という給水管接続数に比例すると考えられる要因 の双方が大きく影響していると考えられるためである。

52

破裂事故の発生箇所数は 、送配水管の日本における調査事例が示す事故率推定式 (水 道技術研究センター. 2011)を用い、途上国における給水管の事故発生率を反映した補正 係数を加えて設定した 。

𝑌𝑆

𝑡

= 𝐶1 ∙ 𝐶2 ∙ 𝐶3 ∙ 𝐶4 ∙ 𝑓

𝑘𝑡

YSt:材齢t年の給水管の推定破裂事故率( 接続/1,000接続/年)

C1:仕様に関する補正係数 C2:口径に関する補正係数 C3:地盤条件に関する補正係数

C4:途上国における給水管の事故発生率を反映した補正係数

fkt:管種kの材齢tにおける標準事故率

地下漏水の年間新規発生数は 、破裂事故発生数と同数と仮定した 。無収水対策として 給水管の更新を行うと管が新しくなり 、事故率低下により 、破裂事故と地下漏水の双方 が減少する。無収水対策として漏水探知・修理作業を行うと 、地下漏水箇所数が修理箇 所数だけ減少する。

以上より、給水管からの漏水LSjの計算式は以下のとおりとする 。

𝐿𝑆

𝑗

= 𝐿𝑅𝐵𝑆

𝑗

+ 𝐿𝑈𝐺𝑆

𝑗

+ 𝐿𝐵𝐺𝑆

𝑗

𝐿𝑅𝐵𝑆

𝑗

= 𝑈𝐿𝑅𝐵𝑆×𝑇𝐹 ∙ 𝑃 ∙ ∑ 𝑌𝑆

𝑡

𝑇𝑆𝑗

𝑡=1

∙ 𝑁𝐶

𝑗𝑡

𝐿𝑈𝐺𝑆

𝑗

= 𝑈𝐿𝑈𝐺𝑆×24×365 𝑃 ∙ 𝑁𝑈𝐺𝑆

𝑗

𝑁𝑈𝐺𝑆

𝑗

= 𝑁𝑈𝐺𝑆

𝑗−1

− 𝑋

7𝑗

− 1,000 ∙ 𝑋

6𝑗

∙ 𝑌𝑆

𝑇𝑆𝑗

+ ∑ 1,000 ∙ 𝑌𝑆

𝑡

𝑇𝑆𝑗−1

𝑡=1

∙ 𝑁𝐶

(𝑗−1)𝑡

𝐿𝐵𝐺𝑆

𝑗

= (𝑈𝐿𝐵𝐺𝑆𝐶 ∙ 𝑁𝐶𝑇 + 𝑈𝐿𝐵𝐺𝑆𝐿× 𝑈𝐿 ∙ 𝑁𝐶𝑇

1000 ) ×365 𝑃

LSj:j年の給水管からの漏水量(m3/年)

LRBSj:j年の給水管破裂事故の漏水量(m3/年)

TF:破裂事故による漏水の修理に要する時間(hr)

LUGSj:j年の給水管地下漏水の漏水量(m3/年)

LBGSj:j年の給水管の探知困難な漏水量(m3/年)

ULRBS:破裂事故による給水管からの漏水量原単位(m3/時間(hr)/水 圧(m)/

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箇所)

ULUGS:地下漏水による給水管からの漏水量原単位(m3/時間(hr)/水圧(m)/

箇所)

ULBGSC: 給 水 管1接 続 当 た り か ら の 探 知 困 難 な 漏 水 量 原 単 位 (m3/ 接 続 / 日 / 水 圧

(m))

ULBGSL:給水管延長1km当たりからの探知困難な漏水量原単位(m3/管路延長(km)

/日/水圧(m))

P:平均水圧(m)

NUGSj :j年の給水管地下漏水箇所数 (接続)

X6j:j年の給水管更新対策数(接続)

X7j:j年の給水管漏水探知・修理数(接続)

YSt:材齢 t 年の給水管の推定破裂事故率( 接続/1,000接続/年)

NCjt:j年における材齢 t 年の給水管の接続数(初期条件 、経年劣化、及び無収水対策 として給水管更新が行われる場合の更新接続数 X6jを考慮して計算する)

NCT:接続数合計

TSj:j年時点で存在する給水管の最も古い材齢(年)

UL:1接続当たりの給水管単位延長(m)