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詳細手順

ドキュメント内 プライベート IP アドレスを用いた (ページ 77-87)

第 5 章 異なる運営主体間のローミングのための実現手法

5.3 詳細手順

5.2.3 グローバルローミング・エージェント

前節に示した通信形態を実現するため、モバイルIPネットワークごとにグローバルロー ミング・エージェント(GRA: Global Roaming Agent)を新たに導入する。GRAは、MNが 現在接続中のネットワークを識別・管理し、必要に応じて、ネットワーク間でパケット転 送を行う際の送信元/送信先プライベートアドレスの変換、DNSと連携した一時的なグロ ーバルアドレスの割り当て、グローバルアドレスとプライベートアドレスの変換、アドレ ス変換を実行するために必要なセッション情報の管理などの機能を実現する。各 GRA は、

外部とのインタフェース用にグローバルアドレスを持ち、GRA同士が連携してMNのロー ミングをサポートする。標準的なMobile IP手順との互換性を維持し、既存のHAやFAな どに対する改修などの影響を最小限に抑えるため、GRAをHAやFAとは独立な機能ノー ドとして定義した。モバイルIPネットワーク間のローミングを必要としない移動端末に対 しては、個々のモバイルIPネットワーク内部において通常のMobile IP手順を用いた位置 管理/通信機能を提供可能である。

MN FA1-x HA1

Mobile IP RRQ <mn-pa1, CoA=fa1x>

RRP

GRA1 GRA2

GRRQ

GRRP

GRRQ

GRRP

HA2

RRQ (CoA=gra2) RRP

<mn-nai1, mn-pa1, subnet-pa1, gra1 / mn-nai2, mn-pa2, subnet-pa2, gra2>

(+ GRA Address Extension <gra1>)

図 5-2 MN登録手順

に対して、新たに定義するGRRQ (GRA Registration Request)メッセージにより登録を行 う。GRRQのパラメータとして、現在接続中のモバイルIPネットワーク1および移動元で あるモバイルIPネットワーク2において割り当てられたMNのNAI (mn-nai1, mn-nai2) とホームアドレス(mn-pa1, mn-pa2)、各ホームアドレスに対応するサブネットアドレス (subnet-1, subnet-2)、および移動先と移動元のモバイルIPネットワークのGRAアドレス (gra1, gra2)を含む。GRA1は、GRRQを受信して処理した後、GRRQをGRA2に転送す る。GRRQを受信したGRA2は、モバイルIPネットワーク2のHA2に対して、MNの CoAをGRA2のアドレス(gra2)としたRRQを送信し、モバイルIPネットワーク2におい てMN宛に送信されたパケットをすべてGRA2が引き取るように登録する。その後、GRA2 はGRRP (GRA Registration Reply)メッセージをGRA1に返し、GRA1がGRRPをMN に返すことによって登録を完了する。

5.3.2 他モバイル IP ネットワークからの着信

他モバイルIPネットワーク上のCNからMNに着信する場合の手順を図 5-3に示す。本ケ ースでは、モバイルIPネットワーク2に存在するCN-2が、現在モバイルIPネットワーク1 に接続中のMNに対して、モバイルIPネットワーク 2 におけるMNのホームアドレス (mn-pa2)を指定してパケットを送信する。このパケットは、逆方向トンネリングによりHA2

MN FA1 | HA1 GRA1 GRA2 CN-2

IP[cn2, mn-pa2]

{IP[cn2, mn-pa2], key=gra1}

{IP[cn2, mn-pa1]}

IP[cn2, mn-pa1]

mn-pa2

→ mn-pa1

{IP[mn-pa2, cn2], key=gra1}

{IP[mn-pa1, cn2]}

IP[mn-pa1, cn2]

mn-pa1

→ mn-pa2

HA2 | FA2

{IP[mn-pa2,

cn2]} IP[mn-pa2, cn2]

{IP[cn2, mn-pa2]}

CoA

= gra2

図 5-3 他モバイルIPネットワークからの着信

まで転送されるが、前述の登録手順により、HA2におけるMNのCoAがGRA2アドレスgra2 に設定されているため、HA2からGRA2に転送される。本パケットを受信したGRA2は、

先の登録手順により、現在MNがGRA1配下に存在することを認識しているため、パケット をさらにGRA1に転送する。

GRA2からMN宛パケットを受信したGRA1は、その宛先アドレスmn-pa2をモバイル IPネットワーク1におけるホームアドレスmnp-pa1に変換し(必要に応じてヘッダチェッ クサムの変換等を含む)、HA1に転送する。その後、通常のMobile IP手順に従って、HA1 からMNまでパケットが転送される。

ここで、GRA間のパケット転送とアドレス変換処理をサポートするために、GRA間でパ ケットを転送する際にGRE (Generic Routing Encapsulation)カプセル化[36]を行い、GRE ヘッダのkeyフィールド[37]に、MNのホームアドレス(プライベートアドレス)の変換を実 行するGRAのアドレスを格納する。本通信形態の例の場合は、GRA1アドレスgra1を設 定する。これにより、他のGRAからトンネリングされたパケットを受信したGRAは、そ の転送方向と key フィールドの値によって、ユーザパケットのアドレス変換の必要性を判

断することができる。

MNがCN-2に対する応答としてパケットを送信した場合、このパケットはHA1まで逆 方向トンネリングにより転送される。HA1は、先の着信時のシーケンスにより、宛先のCN-2 が他ネットワークに存在していることを認識しているため、パケットをGRA1に転送する。

GRA1は、GRA間で転送されるユーザパケットの送受信アドレスに基づくセッション情報 を管理しており、該当するセッション情報を検索してパケットの送信元アドレスをmn-pa1 からmn-pa2に変換し、GRA2に転送する。GRA2はそのパケットをHA2に転送し、HA2 からCN-2まで通常のMobile IP手順により転送される。

5.3.3 他モバイル IP ネットワークへの発信

本ケースは、現在モバイルIPネットワーク1に接続中のMNが、モバイルIPネットワーク 2に存在するCN-2に対してパケットを送信する場合に相当する。本ケースの手順を図 5-4 に示す。

MNが送信するパケットは、HA1まで逆方向トンネリングされるが、HA1は、その宛先

MN FA1 | HA1 GRA1 GRA2 CN-2

IP[cn2, mn-pa2]

{IP[cn2, mn-pa2], key=gra1}

{IP[cn2, mn-pa1]}

IP[cn2, mn-pa1]

mn-pa2

→ mn-pa1 {IP[mn-pa2,

cn2], key=gra1}

{IP[mn-pa1, cn2]}

IP[mn-pa1, cn2]

mn-pa1

→ mn-pa2

HA2 | FA2

{IP[mn-pa2,

cn2]} IP[mn-pa2, cn2]

{IP[cn2, mn-pa2]}

図 5-4 他モバイルIPネットワークへの発信

がHA1 の配下のネットワークに存在する端末か、外部の端末かを判断する必要がある。し かし、各ネットワークにおいて互いに独立なプライベートアドレスを使用しているため、

宛先アドレスのサブネットアドレス(サブネットプレフィックス)が自身の管理するサブネ ットアドレスと一致するかどうかの比較だけでは、HA1 配下のネットワーク内の端末宛に 転送すべきかどうかを判断することができない。そこで、他ネットワークへの発信を希望 するMNは、Mobile IPのRRQによる登録時に、5.3.1節で述べたGRA Address Extensionを 設定する。

HA1において、送信元のMNがGRA Address Extensionを指定していた場合、宛先ア ドレスによらずにGRA1に該当パケットを転送する。GRA1は、先のGRRQによって登録 されているモバイルIPネットワーク2のサブネットアドレスsubnet-pa2と宛先アドレス cn2のマッチングにより、宛先がモバイルIPネットワーク2であることを認識し、送信元 アドレスをmn-pa1からmn-pa2に変換してGRA2にパケットを転送する。その後GRA2 からCN-2には、HA2経由で通常のMobile IP手順により転送される。CN-2からの応答パ ケットは、HA2からGRA2に転送され、GRA2からさらにGRA1に転送される。その後、

同様にGRA1において宛先アドレスがmn-pa2からmn-pa1に変換され、MNまで配送さ れる。

5.3.4 グローバルインターネットへの発信

MNからグローバルインターネット上のCN (CN-g)に対してパケットが送信された場合 は、MNが現在接続中のモバイルIPネットワークのGRAによって外部に転送される。す なわちHAは、配下のMNが送信したパケットの宛先がグローバルアドレスの場合は、同 一ネットワーク上のGRAに転送することにより、MNから外部へのアクセスを実現する。

図 5-5に示すように、CN-g宛のパケットはHA1からGRA1に転送され、GRA1は一時的 なグローバルアドレスmn-ga1を割り当てて送信元アドレスをmn-pa1 からmn-ga1に変換

し、CN-gまで送信する。CN-gからの応答パケットに関しては、GRA1がセッション情報を

参照して、宛先アドレスをmn-ga1からmn-pa1に変換し、HA1経由でMNまで配信される。

MN FA1 | HA1 GRA1 CN-g

{IP[cng, mn-pa1]}

IP[mn-pa1, cng]

mn-ga1

→ mn-pa1

IP[cng, mn-ga1]

グローバルアドレス 割当 <mn-ga1>

mn-pa1

→ mn-ga1 {IP[mn-pa1,

cng]}

IP[mn-ga1, cng]

IP[cng, mn-pa1]

図 5-5 グローバルインターネットへの発信

5.3.5 グローバルインターネットからの着信 ( ケース A)

本ケースでは、MNがモバイルIPネットワーク1に存在する場合に、グローバルアドレス を持つCN-gがモバイルIPネットワーク 1で割り当てられたMNのNAI (mn-nai1)を指定し たDNS QueryによりMNにアクセスする場合を想定する(図 5-6)。GRA1はDNS Queryを 受信すると、一時的なグローバルアドレスmn-ga1を割り当て、mn-ga1を含むDNS Answer を返す。CN-gがmn-ga1 を宛先とするパケットを送信すると、GRA1 がそのパケットを受 信して宛先をmn-ga1からmn-pa1に変換し、HA1に転送する。HA1からMNまでは通常の Mobile IP手順により転送される。

MN FA1 | HA1 GRA1

DNS Q (mn-nai1) DNS A (mn-ga1)

CN-g

IP[cng, mn-ga1]

{IP[cng, mn-pa1]}

IP[cng, mn-pa1]

mn-ga1

→ mn-pa1

{IP[mn-pa1, cng]}

IP[mn-pa1, cng]

mn-pa1

→ mn-ga1

IP[mn-ga1, cng]

グローバルアドレス 割当 <mn-ga1>

図 5-6 グローバルインターネットからの着信(ケースA)

5.3.6 グローバルインターネットからの着信 ( ケース B)

本ケースでは、MNがモバイルIPネットワーク1に存在する場合に、グローバルアドレ スを持つCN-gがモバイルIPネットワーク2で割り当てられたMNのNAI (mn-nai2)を指

定してDNS Queryを送信し、MNにアクセスする場合を想定する。

本ケースの場合、図 5-7に示すように、モバイルIPネットワーク2のGRA2がDNS Query を受信し、一時的なグローバルアドレスmn-ga2 を割り当ててDNS Answerを返す。CN-g からmn-ga2宛に送信されたパケットはGRA2が受信し、宛先をmn-ga2からモバイルIPネ ットワーク2におけるMNのホームアドレスであるmn-pa2に変換する。GRA2は、先の登 録手順によりMNが現在GRA1配下に存在することを把握しているため、パケットをさらに GRA1に転送する。GRA1では、MNの登録情報に基づき、宛先をmn-pa2からmn-pa1に 変換して、HA1経由でパケットをMNまで転送する。

MN FA1 | HA1 GRA1 GRA2

DNS Q (mn-nai2) DNS A (mn-ga2)

CN-g

IP[cng, mn-ga2]

{IP[cng, mn-pa2], key=gra1}

{IP[cng, mn-pa1]}

IP[cng, mn-pa1]

mn-pa2

→ mn-pa1

{IP[mn-pa2, cng], key=gra1}

{IP[mn-pa1, cng]}

IP[mn-pa1, cng]

mn-pa1

→ mn-pa2 mn-pa2

→ mn-ga2

IP[mn-ga2, cng]

mn-ga2

→ mn-pa2 グローバルア

ド レ ス 割 当

<mn-ga2>

図 5-7 グローバルインターネットからの着信(ケースB)

MNからCN-g宛の応答パケットは、HA1からGRA1に渡される。GRA1は、mn-pa1 とCN-gのアドレスcngに該当するセッション情報に基づいて、送信元アドレスをmn-pa1

からmn-pa2 に変換し、GRA2に転送する。GRA2 においても同様にセッション情報を管

理しており、送信元アドレスをmn-pa2からmn-ga2に変換してパケットをCN-g宛に送信 する。

以上のように、アドレス変換は、変換対象となるプライベートアドレスやグローバルア ドレスを割り当てた側のGRAが実行する。これは、アドレス管理に一貫性を持たせるとと もに、次に述べるGRA間ハンドオフの実現を可能とするため、このような方針を採用して いる。

ドキュメント内 プライベート IP アドレスを用いた (ページ 77-87)