前節の調査から、VIA が評価手法として適切と考えられるが、様々な対策についてメー
カにコストを問い合わせても定量的に回答することは困難との回答であった。そこで、簡
3.1.5-2
便な方法として、コストについては定性的表現とした。ベネフィットとして、本研究成果 である
PRAで得られた炉心損傷頻度あるいはマージン評価で得られたマージンを用いる評 価手法とした。本研究で提案するコスト-ベネフィット評価手法を図
3.1.5-2に示す。ま ず、既実施の
PRAとマージン評価の中で、感度解析として対策の有効性を炉心損傷頻度あ るいはマージンで示す。その対策のコストは、高価あるいは安価といった定性的表現を用 いる。それらを図示して整理する手法とした。
3.1.5.4
積雪に対するコスト-ベネフィット評価
平成25年度に積雪に対するマージン評価及び
PRAを実施した。積雪に対する対策は除 雪作業とヒータ設置になることから、感度解析等により定量的に評価結果を得た。
マージン評価の結果は、降雪速度
2m/dayのとき、実効除雪速度が
0.67、1.0、1.33、1.67m/day
の場合、マージンはそれぞれ
1.0、1.3、1.8、3.3dayと評価された。一方、ヒ ータを設置した場合は、バッテリー容量
8時間としていたが、実際には非常用ディーゼル 発電機デイタンクが
1日分(屋外燃料タンクは想定しない)あるため、それを考慮して、
マージンは
1.3dayと見積もることができる。除雪作業は安価、ヒータは高価と定性的に 判断して、図示したものが図
3.1.5-3(a)である。除雪作業はヒータに比べて安価かつマージンが大きく効果的な対策と言える。除雪作業は、必要となる機材は安価であるが、実 効的に除雪が作業できるように実施体制等を検討する必要がある。
PRA
の結果は、ノミナル除雪速度
4m/dayとした基準解析では、炉心損傷頻度は
5×10-7/炉年であった。一方、除雪作業に加えて更にヒータ設置を考慮した場合、7×10
-9/炉年であった。同様に、コストと併せて図示したものが図
3.1.5.3(b)である。除雪作業のみと比較すれば、除雪作業とヒータ設置の両対策を導入する方が炉心損傷頻度は桁違いに低減 しているが、コストは確実に高くなる。仮にヒータを設置しない場合の炉心損傷頻度の絶 対値が許容可能な水準と判断されるならば、ヒータは設置せずに除雪作業が効果的となる ように体制を構築することが対策として合理的と提言できる。
一方、さらなる炉心損傷頻度の低減を追求する場合には、安価な除雪作業を実施せずに 高価なヒータ設置のみ導入した場合の炉心損傷頻度を評価すれば、本評価手法を適用する ことにより、除雪作業、ヒータ設置及び両対策の実施の3者間でのコスト-ベネフィット の比較が可能となる。また、全系統にヒータを設置しなくても単一系統に設置することで 崩壊熱除去を成功しつつコストダウンを図ることも合理的な対策となりうる。
以上のように、合理的な対策策定のためのコスト-ベネフィット評価手法を開発するこ
とができた。
3.1.5-3
参考文献
[3.1.5-1] U.S. Nuclear Regulatory Commission, Regulatory Analysis Guideline of the U.S.
Nuclear Regulatory Commission, NUREG/BR-0058 Revision 4 (Sep. 2004).
[3.1.5-2] S.W. Heaberlin J.B. Burnham, R.H.V. Gallucci, M.F. Mullen, R.J. Nesse, L.A.
Nieves, J.J. Tawil, M.B. Triplett, S.A. Weakley, A.R. Wusterbarth, A Handbook for Value-Impact Assessment, NUREG/CR-3568, U.S. Nuclear Regulatory Commission (Dec. 1983).
[3.1.5-3] J.H. Jo, P.F. Rose, S.D. Unwin, V.L. Sailor, K.R. Perkins, A.G. Tingle, Value/Impact Analyses of Accident Preventive and Mitigative Options for Spent Fuel Pools, NUREG/CR-5281 (Jan. 1989).
[3.1.5-4] W.E. Kastenberg and L. Cave, Valu/Impact Assessment for the Evaluation of Risk Reduction: Development of a Framework, Reliability Engineering and System Safety, Vol.28, pp.205-227 (1990).
[3.1.5-5]
原子力規制員会(旧原子力安全基盤研究機構)、原子力発電の社会・環境経済学的
研究、平成
22~23年度 原子力安全基盤調査研究(平成
22年度).
3.1.5-4
図
3.1.5-1コスト-ベネフィット評価のイメージ(平成24年度報告書)
図
3.1.5-2コスト-ベネフィット評価手法
(a)マージン評価結果との比較 (b)PRA 結果との比較
図
3.1.5-3積雪に対するコスト-ベネフィット評価
0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5
コスト
マージン(day) 高価
安価
ヒータ
除雪作業
0.67
1.67m/day 1.0 1.33
10-9 10-8 10-7 10-6 10-5 10-4
コスト
炉心損傷頻度 (/年)
高価
安価
ヒータ
除雪作業
3.1.6-1
3.1.6
評価手法の整備(4年間のまとめ)
3.1.6.1
はじめに
平成24年度に既往研究からマージン評価手法を調査し評価手法の概念を構築するとと もに、種々の外部ハザードを調査し本研究で対象とする外部ハザードの代表性を検討・整 理した。平成25年度に外部ハザードに対する一般的なマージン評価手法を開発し、積 雪・竜巻に対するマージンを評価し、手法開発を行った。平成26年度に強風・降雨・火 山噴火に対するマージンを評価し、手法開発を行った。平成27年度に森林火災・重畳事 象に対するマージンを評価し、手法開発を行うとともに、コスト-ベネフィット評価手法 を構築した。平成27年度実施内容は前節までに記述していることから、ここでは、平成 26年度までの実施内容をまとめる。
3.1.6.2