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本業務の全体計画及び体制図をそれぞれ図 2. 1-1 と図 2.1-2 に示す。

② 時間依存事象進展アルゴリ ズムに基づいた事象シーケ

3.1 マージン評価手法の開発

外部ハザードに対するマージン評価手法を開発するため、森林火災・重畳事象に対する ナトリウム冷却高速炉の崩壊熱除去機能のマージンを評価した。また、合理的な安全対策 とするためのコスト―ベネフィット評価手法を構築した。4年間のまとめとして手法を整 備した。

3.1.1

はじめに

東京電力福島第一原子力発電所事故後に、欧州のストレステストに倣って、我が国では 発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価(いわゆるストレステスト)を実施するこ とが事業者に指示された。このストレステスト評価手法は本研究で開発されるマージン

(安全裕度)評価手法と類似したものであることから、平成24年度は、国内外の既往研 究からマージン評価手法を調査・整理し、マージン評価手法の概念を構築した。マージン 評価の場合は、ハザード評価が指標とするハザード強さを設定するのに対して、PRA

(Probabilistic Risk Assessment、確率論的リスク評価)ではハザード強さを発生頻度 と関連付けてハザード曲線を描く。すなわち、ハザードを定量化できれば

PRA

になり、定 量化できなければ確率の概念を取り入れないマージン評価となる。本研究では、ハザード の定量化を試みることから、PRA とマージン評価の両方の手法を開発することとしている。

4年間の業務計画は次のとおりである。平成24年度に既往研究からマージン評価手法 を調査し評価手法の概念を構築するとともに、種々の外部ハザードを調査し本研究で対象 とする外部ハザードの代表性を検討・整理する。平成25年度に外部ハザードに対する一 般的なマージン評価手法を開発し、積雪・竜巻に対するマージンを評価し、手法開発を行 う。平成26年度に強風・降雨・火山噴火に対するマージンを評価し、手法開発を行う。

平成27年度に森林火災・重畳事象に対するマージンを評価し、手法開発を行うとともに、

コスト―ベネフィット評価手法を構築し、4年間のまとめとして手法を整備する。

ここでは、森林火災・重畳事象に対するマージン評価手法及びコスト-ベネフィット評

価手法について記述するとともに、4年間の成果をまとめる。なお、重畳事象は、積雪と

低温の組み合わせ、強風と降雨の組み合わせを評価対象事象とした。

3.1.2-1

3.1.2

森林火災に対するマージン評価手法(H27)

3.1.2.1 概要

森林火災ハザードに対し、高速炉が有する堅牢性を評価するため、崩壊熱除去機能維持 に関わるマージン評価を行った。評価の前提となる事故進展シナリオは、これまでの評価 を踏まえ、森林火災の熱影響に関して厳しい条件を重畳させた状況で、炉心損傷に至る代 表的なものを選定した。1つ目は、「外部燃料タンクの破損火災時の周囲の空気の昇温に より、換気空調系(電源維持)と空気冷却器が、共に機能喪失」である。すなわち、空気 冷却器の機能喪失が森林火災への潜在的な脆弱性を有する外部燃料タンクにおいて、その 損傷と内部燃料への引火を仮定する。さらに、燃料火災により生じるタンク周囲の空気の 昇温が、崩壊熱除去モードにある崩壊熱除去系の空気冷却器の除熱性能低下をもたらすと 仮定する。これらの仮定により、外部燃料タンクの火災が継続している間は除熱機能が大 幅に低下することで、原子炉冷却材の温度上昇がもたらされることとなる。これが換気空 調系の機能喪失あるいはディーゼル発電機の起動失敗と重なることより、全交流電源喪失 の状態となる。このように評価した冷却材最高温度が、保守的な冷却材バウンダリ損傷判 断基準値に対してどの程度のマージンを有するかを評価した。このシナリオは、他の代表 的なシナリオである、「ディーゼル発電機起動失敗(電源確保失敗)」が重畳した場合も 包絡し、全炉心損傷確率のうち約

94%を占めるものである(3.3.1.3

節参照)。2つ目は、

「外部燃料タンクの破損火災時の周囲の空気の昇温により空気冷却器が機能喪失」と「強 制循環系であるメンテナンス冷却系の起動失敗」が重なるシナリオであり、外部電源喪失 の状態となるが非常用発電機による交流電源自体は確保され、ポニーモータによる冷却材 循環と空気冷却器のダンパ制御は可能となるものである。全炉心損傷確率のうち約

4%を占

める。3つ目は、外部燃料タンクの火災が生じないシナリオであり、電源が確保されない 状況で自然循環冷却時に空気冷却器のダンパ制御に失敗する状況であり、全炉心損傷確率

のうち約

2%を占めるものである。

3.1.2.2 マージン評価(タンク燃料火災を伴うシナリオ)

3.1.2-1に示す流れにより、マージン評価を実施した。

(1) 森林火災

森林火災の延焼が発電所周囲に達したときに、主に輻射伝熱により発電所系統機器の温 度上昇が生じる。FARSITE を用いた森林火災延焼シミュレーションを通じ、これまでに燃 焼強度

Ir

が解析されており、発電所周囲での最大値は

Ir_max=~1,100kW/m2

である。燃焼強 度は対流熱と輻射熱の影響の和であり、その内の輻射の割合を与える樹木燃焼特性値とし て

Red Pine

の値

erad=0.376 (37.6%)を与えて輻射発散強度とする。また森林前面と外部

燃料タンクとの最近接離隔距離として保守的に

L=100m

を与える。森林火災前線から外部 燃料タンクへの輻射量は、形態係数

φ

を用いて評価される。火災柱の燃焼半径

R

は火炎高 さ

H

1/3

とみなせ、森林火災延焼シミュレーションで計算された代表的な火炎長として

H =1.36m

を与える。ここで、

𝑚𝑚=𝐻𝐻

� ≅𝑅𝑅 3

𝑛𝑛=𝐿𝐿

� ≅𝑅𝑅 220

、さらに

A = (1 +𝑛𝑛)2+𝑚𝑚2≅ 4.9 × 104

B = (1− 𝑛𝑛)2+𝑚𝑚2≅4.8 × 104

が求まり、

3.1.2-2 𝜙𝜙

1

𝜋𝜋𝜋𝜋𝑡𝑡𝑡𝑡𝑛𝑛−1√𝜋𝜋𝑚𝑚2−1�+𝑚𝑚𝜋𝜋(𝐴𝐴−2𝜋𝜋)𝜋𝜋√𝐴𝐴𝐴𝐴 𝑡𝑡𝑡𝑡𝑛𝑛−1��𝐴𝐴(𝜋𝜋−1)𝐴𝐴(𝜋𝜋+1)� −1𝜋𝜋𝑡𝑡𝑡𝑡𝑛𝑛−1��(𝜋𝜋−1)(𝜋𝜋+1)��

(3.1.2-1)

を用いて、形態係数

φ=3.9×10-5

が求められる。これらにより、ある1つの火炎柱から外 部燃料タンクが受ける熱流束

𝐸𝐸𝑖𝑖=𝜙𝜙×𝑒𝑒𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟×𝐼𝐼𝑟𝑟_𝑚𝑚𝑟𝑟𝑚𝑚

が求められる。ここで、外部燃料タン クから見た場合、森林火災前線にある火炎柱は横手方向に並んでいる(もしくは、横手方 向にいくつかに分かれている)ことから、火炎柱の数だけ輻射熱を受けることとなる。こ の横手方向の長さとして

W=100m

を仮定した場合、火炎柱の数

F

は火炎柱の燃焼半径

R

を 用い

F=100/2R

となり、よって総熱流束は

𝐸𝐸𝑟𝑟𝑎𝑎𝑎𝑎=𝐹𝐹×𝐸𝐸𝑖𝑖=𝐹𝐹×𝜙𝜙×𝑒𝑒𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟𝑟×𝐼𝐼𝑟𝑟_𝑚𝑚𝑟𝑟𝑚𝑚

となる。

よって、

Ir_max=1,100kW/m2

の場合、

Eall

=1.79×10

3W/m2

となる。なお

L=100m

の場合、横手

方向に並ぶ火炎柱と外部燃料タンクの実効距離は、これよりも長い。輻射の熱流束は距離 の

2

乗に反比例することを用いた別途積分計算により、実効的な横手方向長さは

Weff=約 110m

となる。

(2) 外部燃料タンク

輻射熱を受けた外部燃料タンクは昇温することから、構造壁の強度低下や内部燃料の自 然発火・沸騰などを通じて損傷に至る潜在的リスクを評価する必要がある。熱容量の大小 に応じた温度上昇速度の差のため、構造壁の温度上昇はタンク内部の軽油の温度上昇より も顕著である。外部燃料タンクに関する技術基準によれば、構造壁材料の規格上の上限値

350℃であり、これを超えると破損の可能性が生じてくると仮定した。温度上昇では、

上記の外部燃料タンクが受ける熱流束に加え、森林火災の継続時間が重要となる。

発電所周囲での森林火災継続時間であるが、風速・湿度・発生地点・発生時間を変化さ せた全

240

ケースの

FARSITE

解析によれば、各ケースでの発電所周囲での

ROS(Rate of Spread、延焼速度)の調和平均は 0.2-1.7m/min.であった。0.3~0.4m/min.の出現頻度が

高く、平均値及び標準偏差は各々0.53m/min.及び

0.27m/min.であった。輻射発散強度を

用いた外部燃料タンクの昇温計算は、火災柱が敷地境界に沿って横手方向に並んだ状況で なされていることから、横手方向に延焼する効果は既に取込まれている。よって延焼時間 の設定は、森林火災前線が奥行方向から発電所境界へと前進してくる時間に対応したもの となる。外部燃料タンクが受ける輻射熱流束は、奥行方向距離

r

2

乗に反比例すること から、奥手方向での積分輻射量は、

∫ �𝐸𝐸𝐷𝐷𝐿𝐿 𝑟𝑟𝑎𝑎𝑎𝑎×𝑟𝑟𝐿𝐿22� 𝑑𝑑𝑑𝑑=𝐸𝐸𝑟𝑟𝑎𝑎𝑎𝑎×𝑋𝑋

(3.1.2-2)

と表せる。ここで

X

は、実効奥行長さ(奥行方向の積分輻射量と等価な熱量を与える、地 点

L

での強度

Eall

に対する奥行長さ)である。簡単な計算により

X=L

が求まる。よって、

森林と外部燃料タンクの離隔距離

L=100m

の場合、地点

L・強度 Eall

の輻射強度で、奥行

長さ

X=L=100m

分、森林火災前線が進む時間受熱することと等価となる。上述の

ROS

値を

用いて、奥行長さ

100m

分を森林火災前線が進展する時間を全

240

ケースに対して求めた

ところ、平均値及び標準偏差は各々3.9 時間及び

1.7

時間、最も長時間なものでも

8

時間

未満であった。また

0~4

時間未満、4~6 時間未満、6 時間以上(それぞれの代表時間は

3

時間、5 時間、7 時間とする)の割合は

0.5(50%)、0.35(35%)、0.15(15%)であった。

3.1.2-3

外部燃料タンクの壁温度の初期値を、敦賀地区で観測された気温最大値

37.6℃とし、

壁材比熱(473K/J)を与えることで壁温度が

350℃に達する時刻は t_T350=1.17×104

(~3.25 時間)となる。燃焼強度

Ir

に応じた

350℃到達時間は図 3.1.2-2

となる。燃焼 時間

8

時間未満、燃焼強度

1,100kW/m2

未満、350℃到達曲線の右上を同時に満たす領域が、

外部燃料タンクの損傷リスクが顕在化しえる領域である。ここで

350℃到達曲線の回帰曲

線式は、t_T350=3,574/x となった。

(3) 外部燃料タンク火災発生

壁面温度が、規格上限値

350℃に達した直後に、外部燃料タンクに貯蔵された軽油の火

災 が 生 ず る と 保 守 的 に 仮 定 す る 。 軽 油 タ ン ク 火 災 時 の 標 準 的 な 質 量 低 下 速 度

(0.036kg/m

2s)と外部燃料タンク容量から、外部燃料タンク火災が生じた場合の継続時

間は

4.37

時間と評価された。よって、外部燃料タンクが4つ併設されていた場合、1つ のタンクが火災を起こし火災が収束した直後に別のタンクが火災を生ずる状況を仮定した 場合、外部燃料タンク火災の最大継続時間は、4.37×4=17.48=約

17.5

時間となる。

(4) プラント過渡挙動

森林火災発生後、煤煙が発電所に到達した場合でも、崩壊熱除去系の空気冷却器フィル タ目詰まりは生じがたいことが別途評価により分かっている。よって、本検討における状 況下では、外部燃料タンクの火災が生じる前までは、空気通風流路が

100%維持された通

常の崩壊熱除去が行われていると想定される。この際、森林火災が遠方にあるときの高圧 送電線への火災の影響で、発電所では外部電源喪失が生じており、さらにディーゼル発電 機も起動しない全交流電源喪失にあると仮定する。すなわちポニーモータやブロワは停止 状態にあり、ダンパは全開状態にある。このような過渡状態における原子炉容器出口冷却 材温度の変化を図

3.1.2-3

に示す。なおこのとき、崩壊熱除去に用いられる発電所周囲で の空気温度は

20/50/100℃とした解析を示している。また保守的に換気空調系は停止し主

系統配管からの自然放熱は無視している。崩壊熱出力レベルの変化を図

3.1.2-4

に示す。

発電所周囲での森林火災が継続し、タンク壁面温度

350℃に達した時にタンク火災が生じ

ると仮定しており、この

350℃に達した時刻での冷却材温度と出力レベルを、時刻及び燃

焼強度を横軸としてまとめたものを図

3.1.2-5

に示す。

(5) 原子炉冷却材温度

外部燃料タンクで火災が生じた場合、周囲の空気温度は上昇することから、その一部が 崩壊熱除去系の吸い込み空気となる潜在的可能性がある。森林火災が発電所周囲に到達し た時点で原子炉をスクラムさせ、崩壊熱除去モードに移行した状況を考える。このとき、

吸い込み空気温度は

20℃を仮定した場合、原子炉冷却材の温度挙動は図 3.1.2-3

20℃

の場合に沿って変化する。さらに上記の考察から、外部燃料タンクの壁面温度が

350℃に

達したと同時に外部燃料タンク火災が生じ、吸い込み空気温度は

100℃となり、その状態

の継続時間は

17.5

時間と仮定する。この状態における原子炉冷却材の温度上昇速度は、

3.1.2-3

の空気温度

100℃の場合の原子炉冷却材温度変化と同等となる。外部燃料タン

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