る。
に開催された第 13 回会議、並びにドイツ・カールスルーエで平成28年3月15日
(火)~18日(金)に開催された第
14回会議の
2回に参加し、研究成果を発表する とともに、情報を収集した。本会議では、高速炉安全評価の専門家が集まっているた め、積雪、強風、森林火災等の外部ハザードに対するリスク評価手法に関する条件設 定、仮定の妥当性、結果や考察について質疑応答がなされ、本研究に役立つ有益なコ メントを得た。また、世界を先導する本研究の先進性に高い関心が持たれ、国際標準 化の足掛かりとなった。
(2)既往研究の調査・整理
降雨を対象とし、確率論を使用したハザード評価は気象庁で行われている。そこで は、対象とする地域の降水量(例:年最大降水量)のデータから非超過確率及び再現 期間を評価している。まず、再現期間
T x( )(年最大降水量の場合、年単位)を、下記 の式により算出している。
1
1 (
) )
( x
T x = − F (3.2.1.3-1)
ここで、 x は降水量(mm)、
F x( )は非超過確率である。この非超過確率は、ある降水 量 x 以下の度数をデータの総度数で割った値として定義される。降水量に対する連続 的な再現期間を評価する場合は、観測データを入力値として(3.2.1.3-1)式から得ら れる再現期間に対し、確率分布をあてはめて評価できる。代表的な確率分布としては、
(1)グンベル分布、(2)一般化極値分布、(3)平方根指数型最大分布、(4)対数 ピアソンⅢ型分布、(5)対数正規分布などが知られている。このうち、分布(1)~
(3)は極値分布と呼ばれ、最大値や最小値に関する統計理論でみられる分布であり、
分布(4)~(5)は極値分布と似た分布となることから既往の評価でも使用されてき た分布である。
得られたデータに対する再現期間を評価する公式として、以下のプロッティング・
ポジション公式が知られている。
3.2.1.3-3
( 0.2
) 0.4
N T i = i +
−
(3.2.1.3-2)
(3.2.1.3-2)式は、総データ数
N個に対して i 番目のデータの再現期間を表現してい る。降水量のデータから得られた再現期間に対し、(3.2.1.3-1 )式及び確率分布
(1)~(5)を使うことにより、降水量に対する連続的な再現期間も評価可能である。
その場合、確率分布が適合することを定量的に示すことが必要となる。このような適 合度の指標として
SLSC(Standard Least-Squares criterion、標準最小二乗基準)指標が知られており、これが小さいほど確率分布は適合していると見なされる。また、
確率分布が特異な観測データに大きく依存していないか、という安定性を調べる方法
にはジャックナイフ法が知られ、必要に応じてこれも評価する。
3.2.1.4-1
3.2.1.4
重畳事象(積雪と低温)に対するハザード評価手法(H27)
(1)低温に関する記録の調査・整理
気象庁による地上気象観測地点は約
160地点あり、このうち
2拠点は福井県内にあ る。気象庁のデータベース[3.2.1.4-1]では、全国の気圧、気温、湿度、風速、降水量 などが記録されており、日時と場所を指定して気象データを入手できる。
本研究では、福井県に着目し、敦賀気象観測所で記録されたデータを用いて
1961年
(昭和36年)~2010 年(平成22年)(50年間)の年毎の最低気温の記録を調査 した。また、原子力発電所への影響を評価するためには低温の継続時間も必要と考え、
冷却水が凍結する
0℃以下となる気温を低温と定義し、その継続時間を調査した。これら調査したデータを図
3.2.1.4-1に示す。年最低気温、及び低温継続時間のハザード 曲線は、これらのデータを基に構築した。
(2)低温ハザードの重要パラメータの同定
低温の影響として原子炉補助建物の外に設置されている補機海水系設備の配管内の 水の凍結が考えられる。凍結に至るには、低温にも依存すると考えられるが、その他、
低温の継続時間にも大きく依存すると考えられる。このため、最低気温、または低温 継続時間を指標とするハザード曲線を算出する。
(3)低温ハザードの評価
a. 年最低気温に対するハザード曲線
低温ハザード評価手法は、平成24年度、平成25年度、及び平成26年度のハザ ー ド 評 価 で 実 施 し た 手 法 を 低 温 ハ ザ ー ド 評 価 に も 適 用 で き る 。 評 価 フ ロ ー を 図
3.2.1.4-2
に示す。年超過確率を評価する方法として、実際に起こった異常気象がどの
ような頻度で発生しているか、その分布の様子を視覚的に確認するために、確率紙が 用いられる。確率紙とは横軸に変量(例えば、最低気温)を、縦軸に頻度(確率)を とり、頻度(確率)の累積値をプロットしたときに直線上になるよう縦軸の目盛りに 工夫が凝らされている用紙のことである。個々のデータを、確率紙にプロットするた めに、次式のような非超過確率を評価するプロッティング・ポジション公式が使われ る。
( 2 ) 1
N
F i i
α
α
+−
= −
(3.2.1.4-1)
この(3.2.1.4-1)式は、経験式であり、総データ数
N個に対して
i番に小さな指標に 対する非超過確率
F i( )を表現している。ここで、 α は定数であり、 α
=0(ワイブル 公式)、 α
=0.4(カナン公式)などが知られている。この主たる研究は
1960~1970年代になされており、これまで様々なもの(例えば、ワイブル、ハーゼン、カナン)
が提案されている[3.2.1.4-2]。3.2.1.4(1)節で整理された年最低気温のデータを小
さい方から順に並べ、年超過確率を求めた。敦賀における年超過確率を図
3.2.1.4-3に示す。ここで、本評価ではプロッティング・ポジションとして多くの分布に適合す
るカナン公式を用いた。
3.2.1.4-2
次に、求めた超過確率を基に最低気温のハザード曲線を算定する。平成24年度、
平成25年度、及び平成26年度のハザード評価と同様に、極値分布と呼ばれるグン ベル分布及びワイブル分布を用いて近似的に表した場合の確率分布を推定する。指標
x に対するワイブル分布 F x
w( ) 、及びグンベル分布 F x
G( ) は、各々次式のように定義 される。
( ) 1 exp
w
x r
mF x η
−
= − −
(3.2.1.4-2)
( ) exp exp
G
F x x µ
θ
−
= − −
(3.2.1.4-3)
ここで、
r、 m 、 η 、及び µ 、 θ はそれぞれワイブル分布、及びグンベル分布を決め る確率分布パラメータである。ワイブル分布とグンベル分布による推定方法は平成2 4年度成果報告書の積雪ハザード評価手法で記述されている。ワイブル分布とグンベ ル分布を年超過確率にあてはめることで、表
3.2.1.4-1の確率分布パラメータを推定 した。推定した確率分布パラメータを用いた、年最低気温に関するハザード曲線を図
3.2.1.4-4に示す。
b. 低温継続時間に対するハザード曲線
原子力発電所に対する低温の影響は低温だけでなく低温の継続時間にも大きく依存 すると考えられる。そこで、本研究では、最低気温だけでなく、継続時間を指標とす るハザード曲線を算出することとした。算定方法としては、3.2.1.4(3)a.節と同じ ハザード曲線の推定方法である。ただし、低温継続時間のデータは
3.2.1.4(1)節で整理したデータを用いた。推定した確率分布パラメータを表
3.2.1.4-2に示す。これ らの確率分布パラメータを使った低温継続時間のハザード曲線を図
3.2.1.4-5に示す。
c. 適合度評価
平成24年度、平成25年度、及び平成26年度のハザード評価と同様に、観測値と の適合度はSLSC(Standard Least-Squares Criterion, 標準最小二乗基準)で判断する。
SLSCとはプロッティング・ポジション公式と確率分布から推定した超過確率の差を指標
化したものであり、0.04以下で適合していると判断される。年最低気温と継続時間の年 超過確率に適用した確率分布の適合度評価結果を表3.2.1.4-3に示す。導出した確率分 布は判断基準の0.04より小さく、適合していると判断できる。
d. 安定性評価
平 成 2 4 年 度 、 平 成 2 5 年 度 、 及 び 平 成 2 6 年 度 の ハ ザ ー ド 評 価 と 同 様 に 、
Jackknife
法を用いて安定性評価を行う。この評価は、現在の観測値をランダムに選ん
だ場合や今後観測値が追加された場合でも、確率分布パラメータの推定結果が大きく
変わらず、安定しているかを判断するためのものである。ここでは、1961 年(昭和3
3.2.1.4-3
6年)~2010 年(平成22年)の50年間のデータに対する低温継続時間の場合の確 率分布に対する安定性評価結果として、超過確率
10-1、10
-2、10
-3における
Jackknife推定誤差分散を表
3.2.1.4-4に示す。この表
3.2.1.4-4の結果からも分かるように
Jackknife
推定誤差は、グンベル分布よりもワイブル分布の方が小さく安定性が高い。
ここで、この安定性評価のために
51個の確率分布を求めた。それらの確率分布を図
3.2.1.4-6
に示す。50 年分のデータを使った時のハザード曲線とそれから最も大きく
ずれるハザード曲線との差については、ワイブル分布の場合は
10-2で
2.96%、10-4で
2.96%、10-6で
2.96%の誤差であり、グンベル分布の場合は 10-2で
12.64%、10-4で
13.84%、10-6で
14.30%の誤差であった。e. 日本における最低気温に基づくハザード曲線(参考評価)
参考評価として、日本における最低気温を記録した北海道旭川市におけるハザード 曲線を評価した。北海道旭川市での年最低気温のデータを図
3.2.1.4-7のように整理 した。3.2.1.4(3)a.節と同様の手法でワイブル分布及びグンベル分布で確率分布を 推定した結果を図
3.2.1.4-8に示す。また参考として敦賀市の最低気温のハザード曲 線も示す。グンベル分布で年超過確率が
10-5となる年最低気温を比較すると、敦賀市
のハザード曲線では約-20℃であるのに対し、北海道旭川市のハザード曲線では約-50℃となった。(4)積雪ハザード、及び低温と積雪の重畳事象ハザード
積雪のハザード曲線は、日降雪深、及び積雪深を指標として平成24年度、及び平 成25年度に評価済みである。一方、低温ハザードの評価は前述のとおりである。以 上を踏まえ、低温と積雪は独立であると仮定して各ハザードの年超過確率を掛け合わ せることで重畳事象ハザードの年超過確率を算定した。ここで、積雪との重畳影響と して考慮すべき低温の影響は、融雪しない温度の継続であることから、低温の指標と して「0℃以下の継続時間」を考慮した。よって、本評価では、低温継続時間[day]、
積雪継続時間[day]、及び日降雪深[m/day]の
3つの指標で重畳事象ハザードの超過確 率を評価した。また、後でイベントツリーを定量化し、支配的なハザードのカテゴリ を同定するために、各指標をカテゴリ化した。日降雪深については
1m/day~4m/dayの
範囲を
1m/day毎に離散化し、積雪継続時間及び低温継続時間については
1~7dayの範
囲を
1day毎に離散化してカテゴリ化した。日降雪深を降雪速度[m/day]と解釈すれば、
降雪速度のハザード曲線は日降雪深を指標としたハザード曲線で与えられる。また、
降雪速度が一定ならば、積雪深[m]は降雪速度[m/day]と積雪継続時間[day]の積で表さ れる。前述のとおり、積雪深を指標としたハザード曲線は評価済みであることから、
降雪速度が与えられた条件下では、積雪深に係る超過確率を積雪継続時間に係る条件
付きの超過確率に読み換えることができる。各指標に対するカテゴリと区間頻度、区
間確率を評価し、表
3.2.1.4-5及び表
3.2.1.4-6にまとめた。重畳事象ハザードの年
超過確率は、指標のカテゴリの組み合わせに対応した日降雪深の区間頻度、積雪継続
時間の区間確率、低温継続時間の区間確率を掛け合わせることで算出できる。
ドキュメント内
外部ハザードに対する崩壊熱除去機能のマージン評価手法の研究開発(PDF:23.4MB)
(ページ 170-187)