トが破損することから、マージンは
F4スケールに増加する。
以上から、屋上飛来物に対しては比較的マージンが小さいことが分かったため、屋上飛
来物が生じないような対策を講ずることが有効であると言える。
3.1.6-9
3.1.6.9
強風に対するマージン評価手法(H26)
(1)重要パラメータ(プラントに影響を与える因子)
強風により影響を受ける崩壊熱除去機能は、風圧(風荷重)により機器が構造損傷する 場合、気圧差により機器が構造損傷あるいは圧力調整機能を喪失する場合、強風により飛 散する飛来物により機器が構造損傷する場合が考えられる。前者
2つは、瞬間風速で評価 するわけではなく比較的長時間を必要とするのに対して、後者の飛来物は瞬間風速のよう な比較的短時間の風によって飛散すると考えられる。したがって、強風ハザードの重要パ ラメータは最大風速と最大瞬間風速となる。
(2)強風により影響を受ける崩壊熱除去機能に関する重要機器の同定
強風による崩壊熱除去機能喪失は、風圧、圧力差、飛来物衝突による機器の構造損傷が 考えられる。崩壊熱除去機能に関する重要機器は直接的に影響するもの以外に、直接的に は崩壊熱除去機能に関する設備ではないが、強風により破損すると2次的に崩壊熱除去機 能喪失に波及する恐れのある機器がある。平成25年度には、強風により影響を受ける可 能性がある重要機器として以下を同定した。
・外部電源設備
・排気塔
・原子炉補助建物(崩壊熱除去系設備の健全性維持)
・補助冷却設備(外気の吸排気)
・メンテナンス冷却系(外気の吸排気)
・非常用ディーゼル発電機(外気の吸排気)
・非常用発電に必要な燃料タンク
・換気空調系(外気の吸排気、電源設備の冷却)
(3)機器別のマージン評価
a. マージンの定義崩壊熱除去機能維持に必要な補助冷却設備とメンテナンス冷却系の吸排気口は原子炉補 助建物の屋上(数十
m位置)に設置しており、飛来物がそれらの吸排気口から侵入して衝 突すれば、空気冷却器伝熱管が破損する可能性がある。換気空調系の吸排気口も屋上に設 置されており同様のことが考えられる。非常用ディーゼル発電機は地上から数
m~十 m程 度の位置に空気取入口が設置されており、開口部への飛来物の侵入及び衝突が考えられる。
燃料タンクは原子炉補助建物に近接して地上設置されているため飛来物の衝突が考えられ る。
飛来物候補には敷地内にあると想定される自動車、コンテナ、鋼製パイプ、鉄鋼材、砂
利が考えられる。また、強風の場合は、頻度及び影響を考慮に入れて支配的な風向きは山
側(南、南南東の方向)からの風であると考えられる。この場合、山側に位置する森林の
多くの木材が飛来物化する可能性がある。また、強風は数日間も継続することが考えられ
るため、作業員によるアクシデントマネジメントが困難である可能性に留意する必要があ
る。
3.1.6-10
強風による崩壊熱除去機能喪失には、風圧、圧力差、飛来物衝突による機器の構造損傷 が考えられ、機器別のマージン評価では、これらによる機器の構造損傷に至らしめる最大 風速あるいは最大瞬間風速をマージンと定義した。
b. 風圧による破損
(a)風圧により破損する可能性のある機器
風圧により破損する可能性のある機器・設備は、外部電源設備、排気塔、原子炉補 助建物が挙げられる。
(b)風圧による破損評価
・外部電源喪失
鉄塔の崩壊や開閉所の損傷など様々な要因によって外部電源を喪失しているため、
ここでは、後述の飛来物による損傷評価と比較しやすいように、最大瞬間風速で整理 した。最も低い風速は
54 m/sであるため、これが外部電源設備のマージンとなる。
・排気塔の倒壊による崩壊熱除去機能(一部)喪失
別途、排気塔への風圧について構造評価を行った結果、支持鉄塔主柱材部について、
許容応力度比が
69m/sで
0.38、100m/sで
0.74との一例がある。本研究では、この結 果を踏まえて排気塔を倒壊させる風速を算定することとした。風速による圧力は風速 の二乗に比例し、風速
0 m/sで極小となる対称曲線になると仮定すると、許容応力度 比が
1.0になる風速は
117 m/sと算出される。ただし、この評価には保守的な想定が 含まれているため、この
117 m/sと許容応力度比が
2.0となる
168 m/sの平均値相当 で破損すると想定すると、それらの平均値の
143 m/sがマージンと算定される。
排気塔が倒壊した場合、補助冷却設備及びメンテナンス冷却系の吸排気口に影響す ることが想定される。しかしながら、崩壊熱除去系の設備は系統間で分散配置を想定 するため、排気塔倒壊によって崩壊熱除去系の系統が全て同時に機能喪失に至ること はないと考えられる。
・原子炉補助建物倒壊による崩壊熱除去機能喪失
風圧に対する原子炉補助建物の壁の破損確率を評価した。その結果、極めて高い風 速と評価され、現実的な風速の範囲では原子炉補助建物が倒壊することはないほどマ ージンは大きい。
c. 気圧差による破損
(a)気圧差により破損する可能性のある機器
高速炉の崩壊熱除去系に対して想定される事象は、補助冷却設備及びメンテナンス 冷却系の排気ダクト変形閉塞が挙げられる。
(b)気圧差による破損評価
3.1.6-11
平成25年度に実施した評価結果では、気圧差による圧力荷重での部分的なダクト 変形はありえるが、工学的に変形閉塞あるいは設備破損の可能性は小さいと判断でき、
本評価では、気圧差による排気ダクト変形閉塞は発生しないと仮定した。
d. 飛来物による破損
(a)飛来物による影響モード
飛来物が原子力発電所へ与える影響モードは、大きく分けて以下の
3つに分けられ ると考えられる。
・大きな運動量を持つ飛来物の地上平行移動による原子炉補助建物の裏面剥離
・補助冷却設備及び/またはメンテナンス冷却系の空気冷却器の吸気口、排気口等の開 口部に飛来物が侵入することによる、崩壊熱除去系に係る重要機器・設備の機能喪 失
・原子炉補助建物外の燃料タンクなどの設備に飛来物が衝突し、機能喪失
(b)飛来物の候補
平成25年度に選定したように、発電所敷地内で飛来物になる可能性のあるものに 加えて、発電所周辺にある山側森林からの木を想定した。以降、具体的には以下の括 弧内の物を飛来物と想定する。
・大きな運動エネルギーを持つ飛来物(自動車、コンテナ)
・施設の貫通抵抗を確認するための固い飛来物(鋼製パイプ、鋼製材)
・開口部等を通過することができる程度に小さくて固い飛来物(砂利等)
・高所からの飛来物(山側森林からの木)
(c)飛来物により破損する可能性のある機器
崩壊熱除去機能に関係する機器・設備のうち、飛来物に影響されるものとして以下 が想定される。本評価では、各機器の設置高さは、燃料タンク及びディーゼル発電機
が地上数
m、それ以外は数十mを想定した。
・補助冷却設備
山側からの飛来物は、補助冷却設備の空気取入口から侵入し、空気冷却器あるいは 2次ナトリウム配管に衝突することでそれらを破損し、補助冷却設備が機能喪失に至 る可能性がある。特に、山側のうち、屋上より高い位置からの飛来物については、屋 上に配置する排気ダクト側から侵入し、空気冷却器内の伝熱管に衝突することで伝熱 管が破損し、補助冷却設備が機能喪失に至る可能性も考えられる。ただし、3 系統あ るため、1 系統でも健全であれば除熱可能である。
・メンテナンス冷却系
山側からの飛来物は、その角度からメンテナンス冷却系の空気取入口側に侵入でき
ないと考えられる。屋上高さより高い位置の山側からの飛来物については、落下して
3.1.6-12
きた飛来物が排気ダクト側から侵入し、空気冷却器内の伝熱管に衝突することで破損 し、メンテナンス冷却系が機能喪失に至ることが考えられる。
・ディーゼル発電機
ディーゼル発電機の空気取入口から飛来物が侵入し、ディーゼル発電機に衝突、破 損し、機能喪失に至ることが想定される。本評価では外部電源は喪失すると想定する ため、ディーゼル発電機が機能喪失すれば、電源は全て機能喪失し、補助冷却設備及 びメンテナンス冷却系の強制循環は機能喪失すると想定する。この場合、自然循環に よる崩壊熱除去に期待できる。
・換気空調系の出入口ダクト
屋上高さより高い位置の山側からの飛来物については、落下してきた飛来物が排気 ダクト側から侵入し、主要な機器に衝突することで破損し、換気空調系が機能喪失に 至ることが考えられる。本評価では外部電源は喪失すると想定するため、換気空調系 が機能喪失すれば、電源の配電設備が機能喪失するため、補助冷却設備及びメンテナ ンス冷却系の強制循環は機能喪失すると想定する。この場合、自然循環による崩壊熱 除熱に期待できる。
・ディーゼル発電機燃料タンク
ディーゼル発電機用の燃料タンクに飛来物が衝突し、燃料が流出する可能性がある。
これによりディーゼル発電機が機能喪失に至ることが考えられる。さらに、流出した 燃料が燃焼した場合、燃焼に伴う高温の外気が補助冷却設備の空気取入口へ流入する ことで外気による冷却機能を喪失する影響が考えられる。本評価では外部電源は喪失 すると想定するため、ディーゼル発電機の燃料タンクが機能喪失すればディーゼル発 電機は運転できないため、電源は全て機能喪失し、補助冷却設備及びメンテナンス冷 却系の強制循環は機能喪失すると想定する。この場合、自然循環による崩壊熱除熱に 期待できる。
(d)飛来物速度の算定
竜巻での飛来物評価と同様の手法で飛来物の飛来速度を求める。竜巻評価ガイド
[3.1.6-9]においては飛来物の抗力係数は空力パラメータC A mD /と呼ばれ、次式で表 される。
1 2 3 2 1 3 3 1 2
0.33 D D D
D C L L C L L C L L C A
m m
+ +
=
(3.1.6-1)
ただし、
mは飛散物の質量、
CDは抗力係数、
Aは飛来物が風を受ける面積、
Lはそ の面積の
1辺の長さである。
(e)原子炉補助建物の裏面剥離
大きな運動量を持つ飛来物が、原子炉建物の壁に衝突し、原子炉建物の内側の壁が
ドキュメント内
外部ハザードに対する崩壊熱除去機能のマージン評価手法の研究開発(PDF:23.4MB)
(ページ 113-122)