第 3 章 部分モデルを用いた横磁場 MCZ プロセスにおける
3.2 計算モデル
3.2.1 ジオメトリ
円柱状のルツボにシリコン融液が装填され、種結晶と融液が接触している状況を考える。
図 3-1:本系の計算ジオメトリ に具体的なジオメトリを示す。
図 3-1:本系の計算ジオメトリ
本計算ではハルトマン層のメッシュを用いた解像が可能なように小径の MCZ プロセスを
模擬し、H = 37.5 mm, D = 75 mm とした。つまり、ルツボの半径は37.5 mm、融液高さ
は37.5 mm、結晶半径は18.75 mm である。
本モデルで使用している物質はシリコン融液のみである。シリコン融液の物性値は、前 章記載の表2-2と同じ値を使用した。
H H/2 D/2
x y
z
57
3.2.2 支配方程式、境界条件
3.2.2.1 流動
シリコン融液の流動は質量保存則の式(3.1)、運動量保存則の式(3.2)、外力項(3.3)、(3.4) で表すことができる。
0
u
t
(3.1)
u
uu
p
u Ft
(3.2)
Lorentz buoyancy F F
F
(3.3)
T T
gF
0 0
buoyancy (3.4)
シリコン融液は熱膨張による密度変化と比べ膨張圧縮による密度変化は十分小さいと仮定 し、ブジネスク近似(Boussinesq Approximation)を適用した。すなわち、質量保存則の 式(3.1)とナヴィエ-ストークス方程式(3.2)の密度は一定として解き、熱対流の効果はナヴ ィエ-ストークス方程式の外力項に式(3.4)で表される値を与えることで解く。外力項とし て式(3.7)で計算されるローレンツ力を与える。また、乱流モデルを用いない。
3.2.2.2 伝熱
シリコン融液の温度はエネルギー輸送方程式(3.5)で表すことができる。
u T
k T St
T
(3.5)
3.2.2.3 電磁場効果
誘導電流は、静磁場の下ではスカラーポテンシャルを用いて下式(3.6)の様に表せる。
u B
j
(3.6)58
ローレンツ力は、電流と磁束密度を用いて下式(3.7)の様に表せる。
B j
F
Lorentz (3.7)
ここで、電流保存則より、式(3.7)の両辺に発散を取ることで、下式(3.8)が得られる。
u B
(3.8)式(3.8)を解析的な手法により解くことでスカラーポテンシャルの分布が得られる。得られ
たを式(3.6)に与えることで誘導電流が求まり、これを式(3.7)に与えることでローレンツ力
が求まる。
3.2.3 境界条件
本系では図 3-2 に示すように、A.固液界面、B.気液界面、C.ルツボ横、D.ルツボ底の4 つの境界が存在する。各境界における流動、伝熱、電磁場効果の境界条件について示す。
図 3-2:本モデルにおける各境界の模式図
3.2.3.1 流動
A、C、DではNo-Slip条件とし、各境界において流体は設定した結晶回転速度、ルツボ
回転速度と同じ速度で動くとする。
Bは完全Slip条件とする。
A. Crystal – melt interface B. Melt surface
C. Side crucible
D. Bottom crucible Crucible Rotation
Crystal Rotation
59
3.2.3.2 伝熱
Aは固液界面であり、Siの融点1685 Kに固定する。
Bは気液界面であり、1685 KのArが流れているものと考え、熱流束を計算する。実際 は気液界面において、炉体と輻射により熱交換を行っており、それらを考慮する必要があ る。
Cはルツボ側面であり、本検討では固定温度Thを与える。
D はルツボ底であり、式(3.9)に示すように、中心からの距離 r に応じて2次式で定義し た温度を固定値として与える。
2 2
D
T r T T r
T b h b (3.9)
3.2.3.3 電磁場効果
電流はSi融液のみに流れ、計算領域外には流れないとする。つまり、Si結晶、石英ルツ ボ、Ar雰囲気を絶縁体として扱う。
各境界において、電流の境界と垂直成分はゼロである。従って、式(3.11)を電位の境界条 件とする。
0
n J
(3.10)
u B nn
(3.11)