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2. 地下構造物における感潮河川の影響範囲の推定法

2.4. 地下密度流解析を用いた数値シミュレーション

2.4.1. 解析条件

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33 a) Case1

b) Case2

c) Case3

c) Case4

※モデル側面は,地下水位相当の圧力水頭を与えた 図 2-4 解析条件の模式図

L=450m

H=20m

感潮河川l=40m

開削トンネル

(*モデル化しない)

第1不透水層 濃度境界=1

L=450m

H=20m

感潮河川l=40m

開削トンネル

(*モデル化しない)

第1不透水層 濃度境界=1

5m

L=450m

H=20m

感潮河川l=40m

開削トンネル

(*モデル化しない)

第1不透水層 濃度境界=1

濃度境界=0 濃度境界=0

L=450m

H=20m

感潮河川l=40m

開削トンネル

(*モデル化しない)

第1不透水層 濃度境界=1

濃度境界=0 濃度境界=0

流量境界=0.076 流量境界=0.076

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表 2-1 解析ケースの概要

Case1 地表面から地盤への雨水の浸透は考慮しない.地下水位は

G.L. 0.0 mとする.

Case2 地表面から地盤への雨水の浸透は考慮しない.地下水位は

G.L. -5.0 mとする.

Case3

感潮河川外の地表面の塩分濃度を 0.0 kg/m3とし,地表面か ら地盤への雨水の浸透は考慮しない.地下水位はG.L. 0.0 m とする.

Case4

感潮河川外の地表面の塩分濃度を 0.0 kg/m3とし,東京の年 降雨量,路面(舗装)の流出係数に基づき,地表面から地盤 への雨水の浸透を考慮する.地下水位はG.L. 0.0 mとする.

本節では,地表面の降雨と地下水位変動の影響について幾つかの解析ケース を設けて検証した.Case1およびCase2は降雨がなく,地下水位をG.L. 0.0 mとG.L -5.0 mに設定したケースであり,地下水位のみの影響を確認することを目的とし たものである.また,Case3は地下水位をG.L. 0.0 mとし,雨水の地盤への浸透は 考慮しないものの,地表面では降雨により塩水が洗い流されていると仮定し,感 潮河川以外の地表面の濃度境界を0.0 kg/m3としたケースである.Case4は降雨の 影響を精緻に表現することを目的としたケースである.地下水位をG.L. 0.0 mと して地表面の濃度境界はCase3と同様に0.0 kg/m3にするとともに,雨水の地盤へ の浸透を考慮した.この地表面からの雨水の浸透量は,降雨の観測記録と地表面 の舗装の影響を考慮して定めた.東京都千代田区大手町の観測資料(1981年~

2010年の30年間での平均値)を取り纏めた資料5)によれば,東京の年降水量は

1.5288mであることがわかる.また,路面(舗装)の流出係数は0.70~0.95である.

地盤への雨水の浸透量が最小となる0.95と仮定すると,浸透量は1.5288 m/年× (1-0.95)=0.076 m/年となる.

解析に用いた地盤物性値を表 2-2に示す.浸透流解析では東京都心部の砂質

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土相当の地盤を想定して,関東全域を調査した文献3)より物性値を定めた.また,

移流・分散解析の縦・横分散長とは,分散係数と地下水流との比例定数である.

室内実験では数cm程度となるが,観測精度や地盤の不均一性の問題から,観測 規模に応じ,大きくする設定する必要があることが知られている5).そこで,縦 分散長にはBeimsの観測規模100m(既往調査1)で得られた影響範囲の2倍相当)の 値を用いた.横分散長は既往文献の範囲のなかで安全側に水平方向の濃度分布 が最大となる横分散長/縦分散長=1/3とした.

表 2-2 解析に用いる地盤物性値 浸

透 流

透水係数(m/sec) 1.0×10-5 文献3)を引用 比貯留係数(m-1) 1.0×10-3

文献3)を引用 有効間隙率 0.25

移 流 拡 散

塩水の比重 1.025

縦分散長(m) 3.0 Beimsの観測規模100mの値5) 横分散長(m) 1.0 横分散長/縦分散長=1/35)

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