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性化および塩化物イオンの影響,鉄筋腐食について,以下の知見を得た.

4) 予測対象となる路線全体の中性化速度,塩化物イオンの拡散速度,かぶり のばらつきを考慮できる補修量予測法を構築した.これにより,変状原因 ごとに,経年とひび割れ発生割合の関係が予測可能になった.

5) 全国の開削トンネルにおける中性化について,地上構造物と比較して進行 速度がやや遅く,中性化深さは広く分布するという特徴を得た.

6) 全国の開削トンネルにおける塩害について,感潮河川付近において,その 進行速度は干満帯とS2地域における飛来塩分の中間である特徴を得た.

7) 丸鋼の付着強度について,室内試験の結果から,ある程度腐食している状 態かつひび割れ幅 1.0 mm 以下であれば,異形棒鋼と同様の評価をしてよ いことが分かった.

8) 腐食生成物の種類を考慮したひび割れ発生時の腐食量の算定方法を構築 した.これにより,腐食生成物の体積膨張率のばらつきを考慮した予測が 可能となった.

9) 全国の開削トンネルにおける経年と中性化に起因するひび割れ発生割合 の関係について,漏水がある箇所では経年20 年で0 ~ 6 %程度,経年100

年で16 ~ 21 %程度であることが分かった.また,漏水がない箇所では経年

100 年で0 ~ 4 %程度と少ないことが分かった.

10) 全国の開削トンネルにおける経年と塩害に起因するひび割れ発生割合の 関係について,経年20 年で3 ~ 18 %程度,経年100 年で100 %程度であ ることが分かった.

11) 補修数量を計画する際の指標となりうる,経年と単位面積あたりのひび割 れ発生面積の関係を算出して,一覧表でまとめた.また,その使用方法を モデル路線を用いて示した.

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最後に,塩化物イオンの影響に起因するコンクリート中の鋼材腐食の予測法 について,以下の知見を得た.

12) 電気化学理論による鋼材腐食アルゴリズムに基づいて,酸素,水の反応に よる消費を考慮した三次元反応拡散解析を用いたコンクリート中の鋼材 腐食の予測法を構築した.

13) 構築した予測法を用いて,腐食原因物質の供給範囲や量等の環境条件に応 じた,腐食反応による酸素,水の消費を考慮したうえで,鉄筋の腐食を予 測することを示した.

14) シールドトンネルのセグメント継手部付近の塩水噴霧試験方法を新たに 考案して試験を行い,複雑に配置された鋼製部材の腐食の状況を把握した.

15) シールドトンネルのセグメント継手部付近を対象に数値シミュレーショ ンを行い,鋼製部材が複雑に配置された部材においても鋼材腐食が生じる 順序や深さを予測できることを示した.提案手法の予測結果から重点的に 検査が必要な範囲を推定可能であるため,変状の早期発見・早期対応の実 現に寄与することを例示する結果を得た.

16) 地下RC部材の劣化対策を想定した数値シミュレーションを行い,断面修 復や電気防食により,鉄筋の腐食深さを低減できることを定性的に示した.

すなわち,提案手法を用いることで,予防保全も選択肢として合理的な維 持管理計画が検討しうることを示した.

本研究では,地下RC構造物の維持管理の合理化に資する技術として,鋼材腐 食予測に関する 3 つの予測法構築に取り組んだ.以下に,各手法の今後の展望 を述べる.

第一に,感潮河川の影響範囲の推定法は,1つの感潮河川に着目し,2次元地