以上のような建設業界や行政の現状を踏まえ、製造業は、より一層の新 たな考え方により安全対策に取組む必要があるといえ、その安全への取組 み方については、自動車業界のものが参考になる。
自動車の事故防止の取組み方は、事故を時系列に捉え、事故が起こる前 から事故が起こった後までのそれぞれの段階で行うべき安全対策を検討し ている。その段階とは、「未然防止」「危険回避」「損害軽減」「損害拡大防 止」であり、この全ての段階での安全技術の開発が必要としている。
建設機械では、標準またはオプション仕様で、次の述べるような装置、機 器を開発している。
2.3.1
「未然防止」車体の周辺の状況を正確に素早く認識するために、視界の確保(オペ レータが周囲を見易く)、被視認性の向上(車体を周囲の作業者から認 識し易く)やオペレータが運転に集中できるような各種計器、操作部の 視認性、操作性等を考慮(運転し易く)し、誤操作・誤認識を未然に防 止する。
図表 55 「未然防止」機能
2.3.2
「危険回避」オペレータが、危険を察知したら、素早く回避できるように、車体の 制動性能、操作応答性を向上させる。また、回避操作を補助する装置を 装備する等がある。
図表
56
「危険回避」機能機能 自動車の例 建設機械の例
ABS エマージェンシーステアリング
---- バックアップコンピュータシステム 緊急時自動作動パーキングブレーキ クレーン過負荷時自動停止装置 アウトリガー設置検知装置
エンジン非常停止用車外スイッチ
----迅速回避 回避操作補助
緊急時自動作動パーキングブレーキ エンジン非常停止スイッチ
大型マルチモニタ 近接感知システム CCTV(視覚補助装置)
機能 自動車の例 建設機械の例
ミリ波レーダ 近接感知システム
超音波反射式,超音波トランスポンダ, 赤外線反射式
バック/サイドモニター CCTV (視覚補助装置)
---- 残光機能付きライト 被確認性 ハイマウントストップランプ トラベルアラーム
運転者の視認性 ---- 大型マルチモニタ
ゲートロックレバー
クロスバー式作業機ロックレバー 安定性向上 窒素ガス充填タイヤ 窒素ガス充填タイヤ
状況認識
誤操作防止
----2.3.3
「損害軽減」車体が周囲のものと衝突した場合にオペレータや作業者への損害を 軽減させる装置や構造で、オペレータを保護する装置やその生存空間を 保持する構造、作業者が衝突してもその衝撃を吸収・分散する車体構造 が考えられる。
図表 57 「損害軽減」機能
2.3.4
「被害拡大防止」オペレータの事故後の安全を確保するため、衝突により火災が発生し た場合の拡大低減のための装置や難燃性素材を採用する。また、オペレ ータが衝突後、安全に脱出・救出できる構造とする。
図表
58
「被害拡大防止」機能機能 自動車の例 建設機械の例
火災拡大低減 ---- ファイヤーウォール
脱出容易化 ---- 後方脱出窓
後方脱出窓
ROPS(油圧ショベル)
ROPS(ホイールローダ) プリテンションシートベルト
機能 自動車の例 建設機械の例
運転者保護構造
-